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すがまたあやの

No.23 2015年9月 楽園のピーターパン・宮前道浩プロ

 大人という年齢に達しているにもかかわらず精神的には大人にならない男性…肉体的にも精神的にも自我が成長する事を拒み続け、更には自己愛の傾向が強くなり、他的表現では社会的地位や目標の達成により自分の満足と周囲の注目を得ようとし、重度の症状では自己への陶酔と執着が他者の排除に至る思考パターンも見られる者。
 これは思春期から成年になるまでの男性の中に生まれる病的症状…二次性ナルシズムによる自己愛性パーソナリティ障害であり、成人後もこの症状が消えずに人格を形成する者を、一般的に「ピーターパン症候群」という。

 宮前道浩プロ。
 細身の長身と軽快かつ楽観的な会話力、愛くるしい表情と伊達眼鏡が特徴的なダーツプレイヤー。関東圏内でダーツバーのインストラクターやスタッフ等を経て、ダーツプレイヤーとしての職場を転々とし、現在は神奈川県のダーツバーに勤めている、知名度もあり男女問わず人気者の男性。
 その容姿は同年代に比べると遥かに若々しく…言ってしまえば幼くも見え、ファッションや所持品には独特の拘りすら感じさせられる。
 細身の肉体美を引き立たせる様な衣服に派手目な装飾品が、その気質を主張するアイテムになっているかの如く。周囲に愛される自我のキャラクターを作り上げ、その需要と供給を全身全霊でやり通すダーツ業界きっての演者でもある。

 私が宮前プロの撮影場所として選んだのは、彼の出生と居住区でもある神奈川県の遊園地。平日の小雨の降りしきる閑散としたその地で、見果てぬ夢を追う宮前プロにカメラを構え、ダーツや私生活に関するこれまでの経歴などを聞き出した。
 一つ言葉をかければ三つは返ってくるという軽快なトーク術。時折…いやその殆どが冗談交じりの返答と身振り手振りを繰り出す宮前プロからは、ファインダー越しでも伝わってくる紅潮と緊張を感じ取れた。
 プロ選手としてスタッフとして時にはゲストプレイヤーとして、自身を飾り立て演ずる事が生業でもある宮前プロにとっても、小紙の一面に起用されるモデルとして撮影に挑むのは不慣れな事。故にその弱さを知られぬよう逃れるかの如く、私の反応を逐一思慮するその話術は、彼らしいエンターテイメント性に長けていた。

 二次性に対し一次性ナルシズムは、幼少期から思春期までとされ身体の成長による痛みや変化への恐怖から自己を守ろうとする傾向の過剰表現とも言える。
 未発達な精神のまま身体の成長を避けられなかった者たちは、その性質を他人に触れられる事または触れる事を忌み嫌い、吐き出せぬ弱さを自我の中に閉じ込め、愛と充足の妄想に逃げ込む。
 これを繰り返す事で「自己愛性パーソナリティ障害」を引き起こす。

 自己愛性パーソナリティ障害。これに最も多くみられる傾向は、賞賛と共感の欲求、自己の過大評価…つまりは自画自賛である。
 但し、男性の多くがこの自画自賛の性質を持ち合わせているため、偏にそれら全てを自己愛性パーソナリティ障害とは括れない。
 次に見られるのが、他人の痛みへの欠乏。自身の痛みや不満は過剰表現するのに対し、他から訴えられる痛みには何の理解も示さない。周囲からは人格の欠乏だと指摘されるようになる。
また排他的且つ防衛的な性格上、自己中心的・無責任・依存的な言動が多く見られる。

 宮前プロを慕う人たちは皆、口を揃えて彼を「お兄ちゃん」的な存在だと言う。軽快な中にも角の無い柔らかな言語を使い、甘く宥めるかの様な宮前プロの口調は、他人からの信頼と甘えを引き出してくれる。
 無邪気な少年にも見える宮前プロのキャラクターは、老若男女問わずから愛され、女性からの恋愛対象にもなり易い。
 そんな宮前プロの恋愛観は、単純明快。何よりもダーツという競技に対する理解…たったそれだけ。しかし絶対に譲れぬ思い。
 生活の基準の全てをダーツという競技またはそれに徹する自分のキャラクターに全力を投じている宮前プロにとって、自身を理解し受け入れる器こそが女性に対する絶対基準なのである。

 成長する事を拒む男性…ピーターパンは精神が少年であることから、母親に甘えている時や甘えたいと欲する時に、母性の必要を演ずる傾向がある。
 これをアメリカの心理学者ダン・カイリーは「ピーターパン症候群」に対して「ウェンディ・ジレンマ」と著している。
 ウェンディ…それは同世代(または年下)でありながら、至極大人びた女性の象徴。童話の中に描かれたウェンディは、幼い兄弟たちを戒め包み込む母性溢れる少女であり、その反面で好奇心旺盛且つ純粋な心をも持つ少女でもある。
 破天荒なピーターパンに困惑するも、それを受け入れまた理解しようとする愛情深い少女。少年の心を捨てられずにいるピーターパンは、その伴侶としてのウェンディを探し求めていく。
 
 止まぬ小雨と人気のない遊園地の憂いの中撮影を無事に終え、私は宮前プロと食事に、そして宮前プロを知るプレイヤーたちの在籍するダーツショップ・ダーツバーへ同行した。
 いつ何時其処が何処であっても、宮前プロは明るく親しみ易いキャラクターのままで、終始変わらぬ笑顔と優しく甘い口調で話してくれていた。
 宮前道浩プロ。
 関東圏内では唯一、私に敬称を付けずに名前を呼ぶプレイヤー。
 その声は暖かく優艶で、女の身に安らぎを齎すかの如く心地よい。
 天真爛漫の瞳の奥に儚き夢を追い求め、共に歩む者たちを導き空へと舞い立つ。

 ネバーランドへ…

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