Special Person Interview

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僕は成長が遅いプレイヤー vol.46 2010年11月 村松 治樹 僕と一緒にゆっくりいきましょう!

ハルキ選手の最近の活躍には目覚しいものがありますが、先ずは去年のPDJ優勝の感想をお聞かせ下さい。
 本当に無我夢中でした。PDJの前にハードを投げたのはジャックポットの二戦くらいだったので、PDJでは沢山の観客の前でアレンジなどの、初歩的なことで笑われないようにしようとだけは思っていました。でも、アレンジでは失敗もありましたね。

 

その後参戦したワールドチャンピオンシップはいかがでしたか?
 あの時は、大雪でバスが止まっていたので、歩いてアレキサンドラパレスという会場に入ったんです。そういう不測の事態のおかげで臆してしまうというような余裕が無かったので、そこはかえって運が良かったなと思います。

 

ワールドチャンピオンシップ第一戦目はポーランドの選手と対戦でしたね?
 そうですね。本当に緊張してました。僕はダーツのキャリアは長いほうだと思うし、それまでにも結構緊張する場面は経験してきたと思うんです。でも、あの時の第一試合はその経験をもってしても、ここまで緊張するものなのかと自分でも驚くぐらい、過去最高の緊張状態でした。


その試合を見事勝ち抜けたわけですが、スコアはいかがでしたか?
 ベストオブ7の試合で、僕が4ー1で勝ちました。プレイしている間は、何がなんだかわからないような状態で投げていました。終わってから後で振り返って見ると、相手がファーストレッグを12ダーツ・140ハイオフであがっていたんです。きっと観てくれていた人たちからすると、やっぱり世界のダーツの壁は厚いなとその時思ったんではないでしょうか。でも実際プレイしていた僕は、ファーストレッグを相手に12ダーツであがられたという自覚が無く、ただ獲られてしまったという印象だけだったんです。もしその時12ダーツであがられたという事実に気付いていれば、多分セカンドレッグでもっと怖気づいちゃってたと思うんですよ。緊張のあまり色々周りの状況を理解できていなかったことが、かえって功を奏したという部分はありました。

 

その後4レッグ連取で勝ったということですね。
 そうですね。相手もファーストレッグの勢いに乗り切れていないようでしたから、その間に僕が波に乗る時間があったということですね。

 

その試合は昼から始まったんですか?
 いや、夜でしたね。7時くらいです。で、その後2時間くらい空けて第二試合でした。

 

そしてその相手が当時ランキング7位のロニー・バクスター選手でしたね。
 そうですね。バクスター選手との試合は、とにかく140でしたね。向こうの140の数が多くて、いつ180が出てもいいという140の出し方をするんですよ(笑)。それをずっと続けてきてるので、それに対して僕は、いつ60になってもおかしくない100で対抗するという状況だったので、やっぱり力の差を実感しました。まあ、無理やり気味の100がなんとか出ていたので、周りから見たら良い試合をしているように見えたかもしれません。でも、自分の中ではダーツの刺さる位置に開きを感じたので、大きな差があったなと思います。

結果、スコアは?
 ベストオブ5レッグのベストオブ5セットで、3ー0でした。結構長く打つ試合なんですが、最短で9レッグですよね。ファーストセット、セカンドセットと連続3ー0で獲られて、このまま最短の9レッグで終わるのだけは避けたいと頑張りました。試合が始る前は、僕がバクスターに勝ったら日本は大騒ぎだろうなと考えていたし、勝ってやるというつもりでやっていました。でも、試合の途中でこれだけ差が開いたことに愕然として、その時点では最短の9レッグにはさせたくない、絶対1レッグだけは獲ろうという気持ちになりました。結果1レッグは獲れました。まあ、ボコボコにやられたという感じです。

 

世界の舞台に立った感想は?
 やっている最中は緊張していたというのに尽きます。その他のこともおろおろすることばかりで、ドリンクや食事をどこで買えるのかとかわからないことだらけだったので、そういうささいなことで雰囲気に呑まれてしまうような感覚はありました。でも、今振り帰ってみると楽しかったし、また絶対行きたいと思います。

 

次に今年のPDJについてですが、決勝ラウンドの一回戦で橋本選手と当たってしまいましたね。
 初戦で橋本選手に当たってしまったクジ運の悪さを皆に言われるんですけど、最後は結局1人しか行けないトーナメントなので、どこかで絶対そういう場面は来ますよね。決勝で橋本選手と戦っていれば結果は変わっていたかもしれないという考え方もありますが、初戦からエンジン全開でいけないようなプレイヤーはイギリスに行っても多分あっさり負けてしまうのが見えてますよ。あの試合でも橋本選手は180を3回出してますよね。そういう選手が勝ち抜けて行くべきだし、そういうプレイが出来なかった自分が負けたのは仕方なかったと思います。自分にはまだ課題が山積みだなと感じました。

 

第一ゲームではお二人ともダブルを随分引っ張っていましたね。緊張しましたか?
 橋本選手はわかりませんが、僕に関しては緊張以外のなにものでも無かったです。引っ張れば引っ張るほど、お客さんが引いていくのを感じれば感じるほど、違う意味での緊張感が高まって、更にプレッシャーがかかりました。橋本選手も同じような感じだったと思いますよ。でも、先攻の橋本選手がこれだけダブルを引っ張っているというのは僕にとって凄くラッキーなことだから、このレッグを獲れなかったら絶対後悔するなと思っていました。

 

そして優勝した橋本選手が代表として12月にワールドチャンピオンシップに行くわけですが、何か贈る言葉はありますか?
 去年は運よく僕が行ったわけですが、橋本選手が行けなかったこと自体番狂わせだったと思うんです。運で行けたその僕が一勝できたわけですからね。橋本選手に対しては更に期待が大きいと思いますし、活躍してくれると信じてます。技術的なことを言えば、海外のプロ選手に劣ることはないので、ダーツ以外の事に呑まれないといいですね。というか、橋本選手なら呑まれないと思いますけど(笑)。自分のダーツを打てば、いいところまでいけると思います。

 

今年からDーCROWNで賞金が出るようになり、モチベーションも変わりましたか?
 変わりましたね。いつも以上に必死になってます。

 

決勝で橋本選手と当たることも多いですよね。同じモンスターチームに所属するプレイヤー同士で良きライバルだと思いますが、そんな橋本選手に対しての印象は?
 本当に凄い人です。投げ方も理想的だし、無駄な動きがないですよね。表情を見ていても読みにくいです。精神的に、これはきてるだろうという場面でも眉一つ動かさずいつも通り淡々と投げるんですよ。メンタルが重要なスポーツであるダーツに本当に向いている人ですね。僕なんかは、凄く乗っていて頭がちょっとトリップしているような状態の時には、今まで打てなかったようなダーツが出来たりということもあるんですが、橋本選手はいつも通りのことをいつもやっているというのを強く感じます。なかなか崩れないですよね。

 

先日のburn.決勝戦でも橋本選手と当たっていましたね。
 そうですね。僕にとってburn.は、そこに行くこと自体が夢みたいなところのある大会なんです。今年で参加2回目で、去年は夢がかなってやっと行けました。今年も出場したんですが、burn.に対してはいまだ夢の舞台と思っている中で、決勝まで残れたと言う事実に満足しそうな感じだったんです。そんな自分を抑えながらの決勝戦でした。もちろん勝ってやろうとは思ってました。でも、どこかで決勝にいる自分を夢のようにふわふわと感じていて、それを抑えきれていない部分があったと、今にしてみれば思いますね。

 

でも試合では魅せるダーツを打っていたと思いますよ。
 演出も凄く良かったし、お客さんもたくさん入ってくれていたので、僕も盛り上げてもらいました。その中でトリップしたような感覚が生まれたんでしょうね。

 

過去にスランプの経験はありますか?
 一回だけ、どうにもならないようなスランプを経験しました。ダーツを始めて2~3年目で、競技としてのダーツに真剣に取組むようになってからは1年くらい経った頃でした。地元でもそこそこ強いと言われだした時期だったんですが、ブルを狙ってもトリプルの外に外れてしまうんですよ。それもどこのトリプルの外に外れるか解らない状態で、それが半年くらい続いたんです。

 

原因は?
 多分、ただの腕の振りすぎだったと思います。押しと振りの加減の問題だったみたいです。昔僕にダーツを教えてくれた人が秋田にいるんですけど、その人のところに行って自分の状況を話したら、アドバイスをくれて、その人の一言で治りました。その言葉と言うのが、「的に向かって何でもいいから手を伸ばしてみろ」というものだったんです。それを言われただけで、あっさり元に戻りました。その後調子が戻ったのが嬉しくて、一人で5000円分くらいカウントアップやりました(笑)。

 

ハルキ選手がダーツで大事にしているポイントは?
 今は結構漠然と投げているのでそんなには無いんですが、ダーツに回転はかけてますね。回転をかけると真っ直ぐ投げなくてはダメなんです。リリースが曲がってしまうと回転がかかっている分、とんでもないところに飛んでいってしまうので、真っ直ぐ押し出すようには気をつけています。

練習に関して教えてください。
 僕は今ダーツバーで毎日働いているので、お客さんと一緒に投げているのが練習ですね。体力が有り余っていて、店が暇な時に一人で黙々と投げるということもたまにはありますが、そんなにしょっちゅうあるわけではないので、練習の主流はやはりお客さんと投げることだと思います。

 

ハルキ選手は、ダーツを凄く軽く飛ばしているように見えるんですが、意識はしていますか?
 もともと筋力はあまり無いですし、力もあるほうではないので、いかに効率よくダーツを飛ばせるかを身体が勝手に探している部分があると思いますね。いかに力を使わずに投げるかというのは、回転させるということにも繫がっています。今までダーツを投げてきた経験の中から、ダーツはどうやったら飛ぶのかを身体が勝手に模索して、行き着いた投げ方なんだと思います。

 

ご自分の事をどういうダーツプレイヤーだと思いますか?
 適当なプレイヤーじゃないでしょうか。本当に、クリケットの戦略なんかも適当にやっていて、「そこに行くのか」と思われたりしているんじゃないでしょうか。でも、勿論それは理に適っていないわけではなくて、一か八かというか、成功したら相手に大きなダメージでも、はずしたら自分がやられるというような事を突然のノリでやってしまうんです。まあ、結構適当な部分が多いと思いますね。

 

性格的にはどんなタイプですか?
 僕は性格的に言って、「激前向き」なんです(笑)。悪いことは本当にビックリするほどすっぱり忘れられるんです。嫌なこともすぐ忘れるので、面倒くさい仕事なんかも完璧に忘れていて後でとんでもないことになったりします。とにかく前向き、ポジティブです!

 

これからの夢や目標は?
 まず、ソフトではDーCROWNで年間ランキング一位になること。そしてハードではPDCに行って、フィル・テイラーを倒すことが目標です。更に、ソフトでトーナメントを通してパーフェクトを出して、「あいつ今日1本もはずしてねぇよ!」と言われてみたいですね。そういう偉業を達成するプレイヤーはいつか出てくると思うので、自分がそのプレイヤーになれるようにしたいです。僕は結構とんでもないことや、無理だろということを考えてるんです。

 

最後に読者にメッセージをお願いします。
 色々ブログなどでも書いていますが、僕の成長は物凄く遅いと思うんです。ダーツを始めて8年くらいやっているプレイヤーなんです。今の人たちは上達が早いので、1ヶ月で1000点出しましたとかそういう話を良く聞きますし、そういう人たちはそのまま上手になっていけばいいと思います。でも、上達が遅いからといって、自分にセンスが無いと思わないで欲しいですね。僕の成長がいかに遅いかというと、1年経った時点でCフライトというのは当たり前だったんです。そのころカウントアップで700点出して大騒ぎしてましたからね。
 だからダーツを始めて間もない人たちに、センスが無いとかいうことで、あっさりダーツをあきらめないでもらいたいんです。僕と一緒にゆっくりいきましょう!

 

ダーツ テクニック

GRIP

中指、薬指、小指は補助

 グリップは、シンプルな形にするのがいいと思うんです。ダーツでは同じ動きを三回繰り返すので、使う指は少なければ少ないほど良いのではないでしょうか。僕の場合は親指と人差し指の二本が基本です。初めてダーツを教わったときにこの原理を教えてもらったんです。この二本が基本で、中指、薬指小指は使うにしろ使わないにしろ、あくまでも補助だということでした。実際投げるようになって、それは自分でも実感として感じています。だから、この二本で投げられないグリップは僕はしないですね。他の指が無ければ投げられないということにならないようなグリップですね。

 

SET UP

足を真横に向けて立つことなら毎日同じに出来る

 僕は元々スローラインに対して足を斜めにつける感じで投げていたんです。真っ直ぐでもなく、真横でもなく、斜め45度くらいですかね。でもあるとき、このスタンスだと今日立った角度と明日になって立った時の角度は本当に同じだろうかと考えるようになったんです。例えば、今日45度で立って凄く入ったとして、この投げ方でいこうと思ったとしますよね。で、次の日40度くらいにスタンスを取って、なぜか入らないという状況になっても、その理由がはっきりとはわからないじゃないですか。だから、あいまいな斜めという立ち方より、いっそのことわかりやすく真正面か真横に立ったほうが良いと思ったんです。で、正面と言うのは何だか違う感じがしたんです。肩のラインがボードに対して直角になるのが理想だと、どこかで読んだ気もしたので、そのためには真正面より真横の方がいいかなと思って、そういうスタンスをとるようになりました。足を真横に向けて立つことなら毎日同じに出来ると思ったんです。最初はやりづらい感じはありましたが、真横に立つことを心がけて、それ以来ずっと足をオッキーに真横にぶつけるような形が僕のスタンスです。

 

 

TAKEBACK& FOLLOW THROUGH

少ないテイクバックというのが理想

 テイクバックも同じことを三回繰り返すということを考えると、少ないテイクバックというのが理想だと思います。ただ実際には、自分はMAXにテイクバックを引いているプレイヤーだと思うんです。だから、本当は橋本選手みたいにちょっとのテイクバックで投げられるようになりたいです。今のところ僕にはそれがまだ出来ていませんね。どうしても大きく引いてしまうんです。ゆくゆくは少しのテイクバックで投げるようにしたいし、理想を言えばテイクバック無しで構えたところからそのまま投げられたら一番いいと思ってます。フォロースルーに関しては、指も腕も肩も肘も、全ての関節が伸びきった状態が理想です。例えば腕を120度の角度で伸ばしたフォロースルーが良かったとしても、毎日正確にそれを再現できるわけではないですよね。毎回同じ動きにする為には、最大限伸ばしきると言うのが一番良いと思うんです。腕の長さはいつも変わらないので、MAXに腕や肩やその他の関節を伸ばしきれば同じ動きができるし、良いと思います。でも試合で精神的にナーバスになっている時などは、指が曲がっていたりしますね(笑)。いつもJーSTUDIOの映像を見て反省してます。

 

SHOULDER

ボードに対し直角

 肩はあまり意識しないです。両肩のラインがボードに対し直角になるのが理想というだけですかね。さっきから同じことばかり言っているようですが、肩のラインも中途半端な角度だと同じ動きを繰り返すのは難しいので、いつでも同じにする為に90度と決めてます。そうすれば変な投げ方になったときに気付きやすいんです。それが目指している投げ方です。

 

DARTSの飛び

回転を加えて

 飛びは意識しています。回転を加えて投げるようになってからは、飛びが鋭くなりました。飛びが悪くても入るならOKだと思いますが、飛びが良くてさらにダーツも入ると気分が良いんです。気分が良いというのはダーツを気持ちよく投げられるので、結果的に僕にとって飛びは良いに越したことは無いですね。

 

RHYTHM

いまひとつの時はゆっくり確実に

 僕はリズムがよく変わるんです。腕の振りとかその他の要素が正しくできているときは何も考えなくてもポンポン投げられるし、しっかり入るんです。しかも疲れないですね。でも、試合を続けていると、腕の振りの調子や他のところがズレてくるんです。だから、ズレが無い時に試合が当たればその試合は勝てるので、そういうときはリズムに乗って何も考えずに投げます。逆に、それがズレているのにあまりリズムに乗って投げていると入らないですね。で、何で入らないんだろうと考えて、少しゆっくりというか、しっかり狙うような感覚で、一つ一つの動作を考えながら投げることもあります。つまり、調子の良い時はリズムに乗り、いまひとつの時はゆっくり確実にいくようにしています。

 

SPIRIT

目立ちたがりの精神が宿ってます

 うーん、難しいですね。いかに目立つかということですかね(笑)。自分で自分を盛り上げるという感覚かもしれません。僕は存在感を消しているような雰囲気のときが多々あると思うんですが(笑)、こう見えて結構目立ちたがり屋なんです。魂の奥底には目立ちたがりの精神が宿ってます。だからといって、僕は普段面白いことをしたり目立つ行動をするわけではないので、せめてダーツだけでもという感じです。ダーツはやることはシンプルなので、その中で目立つためには唯一凄いプレイをすることですよね。だからそれを目指すのが僕のダーツスピリットです。burn.での4ラウンド狙いなども目立ちたい一心でやっているんですが、それが勝ちに繫がるというなら僕のこの目立ちたがり精神も悪いものではないと思ってます。

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