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イップス論、五十嵐 信一,ASUKA DARTS

No.27 2017年1月 理論とは万に対し共通するもの

 2017年一発目のNDLコラムなのですが、今号が最後のコラムとなります(涙)。2012年9月NDL57号より5年間寄稿させて頂き、毎号面倒な話の連続にお付き合い頂きましたが、更に面倒な話の展開になる様相で、しっかりと寄稿させて頂く為の時間が確保できない事から、編集長と話し合った結果卒業の形となりました。これからもイップス撲滅に向け勉強して参りますのでこれからも宜しくお願い致します。

 

イップスとは違和感の事
 私が一番言いたいことは何度も言ってきていますが、イップス症状の原因はメンタル等の精神性ではないという事です。私の現在の活動は5年前に比べ多岐に渡るようになり、ダーツだけでなく、野球やテニス・ゴルフに卓球・ソフトボール・フリスビー・バレーボールと様々なジャンルや競技でレクチャーを施しています。
 イップス(主に野球送球イップス)を直しますとうたっている方は沢山います。催眠療法やメンタルケアが主な改善方法で、イップスの原因は技術論ではなく精神性によるものだと考えるのが一般的です。私も野球の送球イップスの方と沢山接していますが、その症状は一般の方が見ても気付かないくらいだと思います。最近ではプロ野球選手の送球イップス告白が多く、メジャーリーガーのイチロー選手やドラゴンズ・ジャイアンツでプレーした名手井端選手が告白されており、井端選手に関しては引退するまでイップス症状があったと言っているくらいなのです。ある側面から見れば野球の送球イップスは「その程度」だという事です。もちろんイップス症状がある状態は当然芳しくない状態であり、本人にとって泣きたいくらいの悩みになっているのです。

 

初めてダーツを投げる時にイップスが起きている
 私がレクチャーしている野球チームの監督さんに「今の送球はエラーですか?イップスですか?」と聞かれたときの答えは『エラーは全てイップス症状です』と答えます。
 私の定義するイップス症状とは「違和感の全て」です。もしかしたら皆さんもブルを狙いしっかりブルに入ったとしても首を傾げてしまう場面があると思います。「簡単にイップスって言うな!」と悩んでいる方に言われる方が後を絶ちません。イップスとは甚大なる障害がある状態だけでなく、何となく結果が出ていたとしても「自分の腕ではなくなってしまう」状態に陥っている方が沢山いるのです。私はカウントアップの最高点が1135点ですが、この点数を取った時は違和感しかなく、その直後にイップス症状に悩まされ勉強するきっかけになったのです。

 

イップス症状はどのレベルにも存在する
 ダーツ競技は「やめる」と宣言してやめる方が多く感じます。要は大好きだった競技が嫌いになりやめるという構図です。そして意外とやり始めのとっつきが悪く感じます。よくイップス症状は上級者やレベルの高い環境で発症すると言われますが、まったく関係ありません。野球で言えば小学生やあまり野球を経験していないお父さん達にもその症状は強くありますし、ダーツで言えばCクラスの方の重度イップスも上級者の方に比べれば圧倒的に多いと思います。
 何故上級者の方のイップス症状が目立つかと言うと、出来ていたものが出来なくなるギャップにより目立つのです。ダーツ界でもイップスを原因にかつてのスターが姿を消しています。しかしそれ以上にやり始めの方や、上達の遅い方達の方が「違和感」というイップス症状に悩まされているのです。その上その違和感を打ち明けると「単に練習不足」だとか「気持ちが弱いだけ」とか「考えすぎ」と余暇を楽しむため、人生を彩る為に始めたダーツが他人の強迫観念によってつまらないものになっていくのです。
 イップスの問題は技術論・指導論そしてイップスという概念の間違いにより引き起こされています。間違った技術論を教えイップス症状を植え付け、その上イップス症状になった事を気持ちの問題にすり替え、吐いた唾を飲まない指導者の怠慢が一番の原因だったりもします。

リリース・インパクトだけ考える
 勿論ですが人のせいにしてばかりでも上達はありません。私が思う上達の遅い人は「検証力」が乏しいのです。もっと言えば検証力が乏しいが故に、数多くのいい加減な話や嘘を許してしまうのです。イップスを助長する技術論の一つはフォロースルーへの言及です。フォロースルーがどうしたとか、ターゲットに向けて腕がなんとかとか、正直聞き飽きました。
 これは野球でもテニスでもそうなのですがフォロースルーに言及すると「リリース遅れ」や「インパクト遅れ」を助長し、力が伝わらなくなる事でイップス症状が強くなります。しかしフォロースルーに出る違和感は好不調を表すと思いますが、フォロースルー自体に原因や理由はなくあくまでも「リリース」に技術の全てはあるのです。最終コラムなので詳しく書けませんがリリースを構築する要素にトップがありますが、物理的事象に取って一番重要なのはリリースの瞬間なのです。しかしこのリリースの瞬間を殆どの方が勘違いしています。リリースの瞬間とは、ゼロコンマ何ミリの世界で「ダーツに対する指の干渉が物理的になくなった瞬間」を指すのです。それを何故か、指を大きく開き手首が返った(掌屈)リリースの瞬間だとされる写真が席巻し、それを見るたびため息が出ます。

 

手首と指はワンセット
 このリリース時の手首の使い方が送球イップスやダーツのイップスを助長している間違った技術論の筆頭のようなものです。そもそもフォロー側やリリース時に関する手首の使い方は何も考える必要がありません。それは「テノデーシスアクション」と言って解剖学作業療法学では常識の、「手首と指の連動」が構造上あり、指を屈ませると手首は背屈し、指を伸ばすと手首は掌屈していくというものです。よって「道具を離す作業=指の伸展=手首掌屈」はワンセットになるのです。

 

フォームを見た目で考えると失敗する
 イップス症状は誰でも起こります。もしくはもう起こっているかもしれません。自分は性格的に無関係だと言われる方がいますが、それは本当に甘いです(笑)自分だけはイップスにならないと思っていたのですけどね~と笑って明るく話してくれる方も沢山いらっしゃいます。普段はイップス症状が出ないのに、試合本番になるとイップス症状が出る方もいます。あたかもメンタルが原因っぽいですが、あくまでも技術論なのです。


良い指導者は吐いた唾を飲める
 大概の方が一流の選手を研究し共通点を探そうとしますが、絶対に見た目では見つかりません。こうすれば上手く行くという技術論がもしあるのであれば、それを教えている方が先ず上達しないといけませんよね(笑)。
 見た目で技術論を探すと必ず例に漏れる方が生まれ、またその方が超一流だったりするケースが出てきます。野球界で言えば王さんや落合さんイチローなどは絶対真似してはいけないとコーチは言うでしょう。彼らは天才なんだ、特別なんだと本質を見る前に適当な技術論を盾に、もしくは自分の言っている事を正当化するために、無茶苦茶な事を言う指導者が多いのです。一つ嘘をつくと百嘘をつかないといけなくなるとよく言われますが、間違いに気付いていながら吐いた唾を飲まず嘘の上塗りをあなたはしていませんか?

 

 理論とは万に対し共通するものでなければなりません。一つの例外も許してはダメなのです。もしも単に例外を認めてしまっては議論の余地はなくなり、妖怪のせいだと言われれば納得するしかないのです。例外が生まれたらまた勉強し論理的に説明できる人でありたいと私は思っております。

 長い間ご愛読ありがとうございました。

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