Special Person Interview

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酒井 善明、ダーツ屋どっとこむ、松本ダーツ

No.25 Vol.45. 2010年9月号 酒井 善明 ダーツ屋どっとこむ 

ダーツに携わったきっかけは何でしょうか?
 僕がダーツを始めたのは7年以上前になると思いますが、最初はただ普通にダーツが好きなだけでした。当時、ワールドカップ日本代表で綱島選手というプレイヤーがいたんですが、彼から「地方だとダーツ用品もないし、そういうのを自分で売って歩いて、それで稼いだお金でまたダーツ頑張ったら」と言われたんですよ。そして業界の人を紹介してもらってダーツを仕入れられるようになって、松本市内から長野県内の色々なお店にダーツを卸したり売りに行ったりということを始めたのが最初ですね。

 

当時はプレイヤーとしてもダーツにそうとう入れ込んでいたようですね。
 そうですね。勝ちたい、日本一になりたいと必死に練習してましたね。でも、あまりこういうことは言わないほうがいいのかなと思ってるんですけど、イップスになっちゃって、投げるのがすごく辛くなってしまったんです。練習の時はできるのに試合になると投げられない、ボードに届かないんですよ。ダーツを売って歩いてるので人に教えたりもしてたのに、それができないことがものすごく辛かったですね。
 それが今から6年前の話ですが、ちょうどその時メダリストのラスベガス大会に行く予定だったので、この大会で何も見つけられなかったら、きっぱりとダーツは止めようと思ったんです。思えばダーツのお陰で仲間もいっぱいできて、その仲間と疎遠になっちゃうのは寂しいけど、その状態で続けてるよりはいいだろうと……。そのくらい辛かったですね。成田空港で飛行機を待ってる間に「ラスベガスで何も見つからなかったらダーツ止めます」っていうメールを仲間の何人かに送って、まぁもらったほうも迷惑だったとは思いますが、それだけの決心をして行ったんです。
 この時の大会は日本人プレイヤーが200人以上いたんですが、知ってるプレイヤーはみんないて、そんな人達と話して、ダーツして、応援して、という充実した数日でしたね。そんな中、最終日の試合で「これはどうみてもレーティング詐称だろう」というチームに当たったんです。僕は女の子と組んでたんですが、やつらは後ろにいて、英語でたぶん日本人のことを馬鹿にしたようなことを言ってるんですよ。ペアの子もすごく嫌がってたので「じゃあこっちも日本語で何か言ってやろう」と、とてもここではお話できないようなことを言いながら投げてたんです。
 かなりの接戦で結局負けたんですけど、終わった時はなぜかすごい気持ちが良かったんですよね。それは相手チームも同じだったようで、さっきまでお互い悪口言い合いながら投げてたのに、思わず抱き合っちゃったんです(笑)。
 そんなこともあったし、いろんな人のドラマを見てるうちに「ああやっぱりダーツは楽しい」とつくづく思っちゃったんです。で、帰りの成田でまた仲間に「やっぱりダーツは楽しいから松本でダーツを広められる仕事をする」と、思いつきでメールしてしまって、それがダーツショップとダーツバーを始めるきっかけなんです。
 最初はダーツショップをやろうと思ったんです。それで銀行などとも話したんですが、ショップだけでは成り立たないということでバーもやることになったんです。でも僕は飲食店の経験など全くないので、最初は仲間のダーツバーに一ヶ月くらいタダ働きで入って、包丁やフライパンの使い方とかいろいろ教わりました。ラスベガスに行って5ヶ月で店をオープンしたんですけど、今思えばホント馬鹿ですよね(笑)。

やはりラスベガスは特別でしたね。
 そうですね。特にこの時は、その白人男性ペアとの試合も印象的でしたし、ジョニーが一番上のダブルスで優勝してすごく感動して、吉永さんもシングルスで3位になったりと日本人プレイヤーも活躍したんです。日本人が多かったせいで日本語も普通に通じましたし、海外でダーツをする楽しさを実感しましたね。その後は機会がないんですが、またチャンスがあればぜひ行きたいですね。

 

そんないきさつでダーツバーを始められたのですが、苦労などはありますか?
 たぶん僕だけじゃなくて、ダーツバーをやってる人はみんな苦労してると思いますよ。苦労はしてますが好きなので、それを苦労と言ってもしかたないですね。自分は好きなことしか仕事にできないので、好きでやってることは人より努力しようと、無い知恵を絞って頭を使って頑張ってます。

 

お店はとても優雅な雰囲気で、ダーツバーといってもダーツというよりいわゆるバーの要素が強いように感じますが、何かコンセプトがあるのでしょうか?
 僕はダーツを始める前は毎晩飲み歩いて遊んでたので、自分の中ではダーツと同じくらいバーというものが大事なんです。お客さんにはできればダーツもお酒も料理も、そしてそこにいる空間自体も楽しんで欲しい、それは自分が遊んできた中で大事にしてきたことなので、やはりこだわりたいんです。
 松本に日本バーテンダー協会のカクテルコンクールで日本一になった人がいて、僕はその人のお店に毎週行ってるんですよ。そのお店はなぜか毎年改装するんですが「こんなにきれいなのになんで改装するの?」って聞いたら「お店っていうのは理想があるけど一年では理想に届かないし、自分自身の理想も変わってくる。だから毎年少しずつ変えて、もっとお客さんに喜んでもらえるように努力していかなかったらだめなんだ」と言われたんです。なるほどなぁと思いました。
 一昨年あたりから不況になって、今までと違うことをしていかないとならないという中で、僕はダーツをしない人にも楽しんでもらえるような店作りを考えました。幸いオープン当初に借りたお金もだいぶ返済できたんで、銀行と相談しながら無理のない範囲で少しでも理想の店に近づけるようにと昨年改装しました。お客さんが心からくつろげて、ダーツをしない人でも「この店に来て良かった」と思える店にしたかったんです。それでダーツをしないお客さんが、ダーツというものに興味を持ってくれればいいなと思っています。

その試みは成功していますか?
 やっぱりお客さんの層というのも少し変わりましたし、うちで初めて投げるお客さんというのも増えましたね。改装した時に「この店の常連って言えるのは幸せだよ、酒井さんありがとう」と言ってくれた常連さんがいて、それを聞いた時には本当にやって良かったと思いました。
 以前は僕がお客さんとずっと投げてたのもあって、ダーツをやらない人には入りにくい店だったと思うんです。でも今はそういうことも減ったので、普通にカップルが通りかかって「ちょっとお洒落っぽいね」とフラッと入って来て、普通にお酒と料理を楽しんでくれる、という感じが増えてきました。僕としてもお客さんに「喜んでもらってる」という実感があるので嬉しいです。

 

松本市・長野県のダーツ事情はいかがですか?
 正直なところ停滞ムードですね。DMCに入った清水浩明と和田康二郎 以外は有名なプレイヤーも出てきてませんし、残念ながら活気がなくなってきちゃってるなという部分はあります。でもダーツをやってる人自体が減ってるわけではないので、例えばプロを目指すプレイヤーが育つような、何らかの働きかけが必要なのではと思っています。ただうちも他の店もそんなに余裕があるわけではないので、頭をひねっていかないとならないですね。
 頑張ってるプレイヤーがいるという噂が入ってくることもあるんですが、長野県は広いのでなかなか会えないんですよ。イマジンにいれば当然トーナメントにも連れて行きますが、他の店にいるプレイヤー達に関してはどうしようもないじゃないですか。まぁダーツの楽しみは人それぞれなので、必ずしもトーナメント志向になることもないとは思うんですが、何とか長野から全国に通用するようなプロが出てほしいという気持ちはありますね。

 

3年ほど前から始められた『ダーツ屋どっとこむ』についてお話しください。
 ネットショップというのはイマジンを始める前から心の中にはあったんですよね。ただ、いきなり物を仕入れてさばけなかったらどうしようとか、いろいろな不安があって踏み込めなかったんです。イマジンが地域のダーツショップとして認めてもらえるようになって、そこそこ在庫をかかえられるようになったので、ずっと心の中にあったネットショップを立ち上げようと思ったんです。
 普通のダーツショップなら店員さんに相談しながら、実際にダーツを持ち試投をして、自分にぴったりのものを探していけるじゃないですか。でもネットショップの場合は簡単な説明とサイズや色程度の情報だけから選ばなくてはならない。
 僕は自分が店頭に立って接客している立場から「よくそれで選べるな」と思うことが多かったんです。なので『ダーツ屋どっとこむ』では、これはこういうダーツなのでどういうタイプの人に使ってもらいたいとか、こういうグリップの人にはこれがおすすめ、などできるだけの情報を盛り込んで、実際に手に取らなくても選びやすいように工夫をしています。

状況はいかがですか?
 やはり反響はありましたね。自分が好きなダーツの知識をお客さんに紹介することと、インターネットというものを新たに勉強して、どうしたらネットの社会でお客さんに届くのかということを常に勉強しながらやってきました。幸い全国的に名前も知ってもらえるようなショップになったので、その点ではお客さんに感謝しています。ライバルの店舗も多い中で、今後もさらに進化させていかないとならないですね。

 

『ダーツ屋どっとこむ』で一番強いことと、逆に弱いことは何でしょうか?
 これはお客さんによく言われることなのですが、売ってる人が見えるショップ作りというのが一番強いことだと思います。僕が感じたことや得た情報は常にお客さんに届けたいと思っています。でも毎回僕が電話応対やメールの返信ができるわけではないので、ツィッターなどでお客さんの質問には個人で答えられるようなサービスを始めたりしています。とにかくなるべく僕自身が表に立って、お客さんと接することができる店作りというのを心がけてますね。
 弱いことはありすぎてわからないですね(笑)。

 

『ダーツ屋どっとこむ』として将来目指すものは?
 難しいですね(笑)。業界の中でイニシアティブを取るというわけではないですが、それなりに影響力のある存在になりたいですね。それはビジネスだけではなくて業界全体を見て、思ったことを実現できる立場になりたいと思います。とにかくサービス業なので、色々な意味で「サービス一番」だと思っています。

 

長くこの業界に携わっていらっしゃいますが、最近の状況をどのように見ていらっしゃいますか?
 ダーツプレイヤーのプロ化というのはずっと頭にあったので、プレイヤーがダーツで生活ができるようになってきたのはすごく良いことだと思います。そしてこれからはやはりPDCに出て行ってもらいたいと思いますね。今の状況でソフトを投げながらPDCに挑戦するというのは難しいと思うのですが、やはり頑張ってもらいたいです。ただ挑戦するというのではなくて、ちゃんとランキングに入って普通にエントリーするという日本人選手が出てきてほしい。必ず近い将来実現してほしいですね。『PDCチャレンジ』PDJにスポンサードしてますが、それは僕の思いなんです。たぶん関わってる人はみんなそうでしょうね。

酒井さんがダーツに携わっていて一番楽しんでいるのはどういったことでしょうか?
 イマジンに来て全然ボードに届かなかった女の子が届くようになって「ダーツって面白い」って言ってくれた時は幸せだと思うし、うちのプレイヤーがトーナメントで結果を出してくれた時は自分のことのように嬉しいですね。

 

今サポートしている選手は何人ですか?
 5人です。地元の選手が2人と東京と名古屋の選手が3人ですが、やるからには結果を出してほしいと思っています。小峯尚子と長澤 くみこに関していえば、去年今年と実績を出してるのでこの調子で頑張ってもらいたいのと、何かの形で世界に出せるようにしたいですね。それは本人達も意識しているだろうし、何かできないかなと考えてるところです。
 地元の2人はその町一番になって、町の希望になるような選手、新しいプレイヤーの目標になるような選手になってほしいですね。そうしないと地域の活性化につながらないと思うんです。天狗になれというんじゃなくて、その町のスターになってほしいです。そこからまた全国ツアーに回ったりという形になってくると思うので、みんなそれぞれ頑張ってほしいですね。

 

最後にダーツ業界の理想像についてお聞かせください。
 やはりちゃんとしたピラミッド型じゃないと上手くいかないと思うんですよ。今は底辺が減ってしまってる状況だと思うんです。真ん中で頑張ってるプレイヤーはいっぱいいるのに、新たに始めたり、遊びでダーツを投げるというのを許さないという雰囲気があるように感じます。それでは底辺の拡大につながらないじゃないですか。ダーツバーには教える人もいるんで、初心者プレイヤーをつかむ努力をしていってほしいですね。
 選手達にはPDC、PDCと言ってますが、本音は松本にはダーツを投げたことがない人がいないというくらいの町にしたいと思ってるんです。ピラミッドの一番下をがっちり支えたいと思ってます。
 そして上の方の人達は頂点のPDCを見て、しっかりそこを目指していってもらいたいですね。

幣紙にて長らくコラムを書いています

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