Mana Kawakami-Vol.78.2016.3-Top

Vol.78 川上 真奈
プレイスタイルは「楽しんで投げる」

2016年3月

まずダーツの出発点を教えてください。
高校生の時からバイトしていたお店の近くにダーツバーがあって、休憩時間にみんなで投げに行くようになったのが初めてです。

それはいつ頃ですか?
18歳の時なので約8年前です。

真剣に投げ始めたのはいつからですか?
ダーツバーで働いていたので常にダーツに触れる環境にいて、最初はAフライトを目指して頑張っていました。JAPANができた2012年にはプロを目指すためにさらに真剣に投げ始めました。

JAPANレディースには2012年から全戦参戦しているのですか?
2012年のステージ2の新潟大会だけは仕事の関係で出場できませんでした。それ以外は全部出場しています。

今までの成績は12年が7位、13年と14年が6位という結果ですが、この成績についてはいかがですか?
私はプロ参戦自体がJAPANからだったので、初年度に7位に入るとは思ってもみない結果でした。入賞していた人達がDクラウンやパーフェクトに出ていた選手ばかりの中ではよく頑張ったと思いました。
2年目は強い人が徐々に出てきた年だったので、一年目に比べると同じダーツを打ってるつもりでも全然勝てなかったですね。でも決勝には2回行けたので、まぁ頑張ったと思います。3年目も同じランキングでしたが、最終戦から2〜3試合前まではすごく混戦していたので、もう少し頑張っていればあと1つ2つ上のランキングに行けたかもしれなかったとちょっと悔やまれます。

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2015年は4位ですが、この結果には満足していますか?
2015年は本気で年間優勝を狙っていたので(笑)、満足しているとは言えないです。最初の優勝は北海道の小樽大会だったんですが、そこまでは入れ替え戦に行けなかったり、行っても負けてしまったりとずっとしんどかったんです。
それがこの優勝で切り替わって、残り9戦も順調で4位になったことは自分でもほめてあげたいです。でももう少しスタートが早ければ3位以内に入れたんじゃないかと思うと悔しいですね。

前半が良くなかったということですね。
そうですね。私は毎年スタートが遅くて、ポイントを稼げるようになるのが後半からなんです。これがあと3試合くらい早ければ違う結果になるのに、と思いますね。

それは何か理由があるのですか?
どうなんでしょうか……?15年にスタートダッシュが遅れた理由というのも、14年の最終戦で鈴木未来プロに入れ替え戦で負けてしまったからだと思います。今年の開幕戦は初めてロビンからのスタートだったんですが、入れ替えに行きたいという気持ちが強すぎて固くなってしまいました。そのせいで力が入り過ぎて思ったダーツが打てませんでした。今思うと自分で『入れ替え戦の壁』を作ってしまってたのかもしれないですね。

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今年のステージ10で優勝された時は号泣されてましたね。
前から優勝した時は泣いちゃうだろうと思ってたんですけど、実際には全然涙が出なくて「あれ?意外とあっさりだったな」という感じだったんです。それがトッシーさんがインタビューで泣かす様な方向に持って行ったのでつい泣いてしまいました(笑)。

JAPANレディースの舞台はどのような雰囲気ですか?
私は他の団体のことは知らないのですが、聞いたところによるとピリピリしているらしいですね。そういうピリピリ感のようなものはなくて、特にエキシビジョンは知り合いばかりというのもあってみんなワイワイといった感じです。
2015年からダブルスがシングルに変わってしまったんですが、せっかく仲良くなっていたメンバーを急に引き離されてしまったのは個人的には残念です。本戦に向けての緊張感を再現するためには必要なことだと思いますが、エキシビジョンも今までよりちょっとガチな感じになってしまったので、私は正直やりにくいです。
私はみんなが好きですし、試合でしか会えない選手もいるので試合に行くのが楽しみなんです。でも遊びに行っている訳ではないので試合は試合でどの選手もきっちりメリハリをつけていると思います。仲がいいからこそ負けると余計に悔しいというのもあるかもしれないですね。

女子の戦いも熱いですね。
でもすごくすっきりしたプロ団体じゃないかと思います。負けた相手にもちゃんと敬意を払える選手が多いのは気持ちいいですね。

最近は女子のプロプレイヤーに注目が集まっていますが、それについてはどう思われますか?
すごく嬉しいことだと思います。ただ残念ながらまだ男女の差があるのが現実ですね。世界的に見ても、例えばワールドなどではレディースという部門はなくてオープン戦しかないですよね。
もちろんオープン戦で活躍している選手もいますが、まだレディース部門ができるまでに女子のレベルが達していないことだと思うんです。今後は女性プレイヤーも今まで以上に頑張っていかなくてはならないと思っています。

ご自分でどのようなプレイヤーだと思いますか?
波があるというか、試合に入るのになかなか時間のかかるタイプだと思います。その時のコンディションで、何も考えず周りのことも全く気にならずにスッと試合に入れる時もあれば、つまらないことが気になってしまって全く集中できない時があります。性格的に神経質なので、そういう部分が自分でマイナスだと思います。
ダーツの基本はとにかく「楽しんで」ということなんですが、勝っている時はどんどん力も抜けて楽しくなれても、逆に追いつめられた時は本来の力を発揮できなくなってしまうんです。私にはまだまだそういう弱さがありますね。

ツアーを全戦回るにあたって気をつけていることなどはありますか?
私は元々体が丈夫な方なんですが、強いて気をつけていることと言ったら、電車や飛行機で移動する時にマスクを付けるようにしているくらいです。
それから冷え性なので、試合当日の朝にはゆっくり湯船に浸かる様にしています。そうしてから少しはましになったのですがそれでもなかなか治らないので、これから漢方なども試してみようと思っているところです。

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練習方法や時間は?
特に決まった練習時間はなくて、その日の気分によっていろいろです。仕事ではインストラクターをしているので常に投げているんです。
一日20メドレーくらいは投げるんですが、そうするとどうしても体力的にもきつくなってくるので、そんなに長い時間を練習に当てることはあまりありません。
必要な時はJAPANの決勝の場面を想定して一試合だけ投げてみたり、今日はどうしても投げ込みたいという時は目標の点数を決めてひたすらカウントアップをします。調子の良い時は勢いだけで投げてしまうので、一投一投をしっかり投げる練習をしたり、その時のコンディションによって練習内容も自然に変える様にしています。

今ダーツで一番大事にしていることは何ですか?
周りの目を意識しています。プロになって1〜2年目は周りから注目してもらえる様なプレイヤーではなかったと思うんですが、最近はいろいろな人から声をかけてもらえるようになりました。「楽しそうに投げてるね」とか「参考にさせてもらってます」とか、見られる立場になってきたと思うので、勝ち負けはもちろん最優先ですが、恥ずかしくないプレイをすることや普段の振舞いなどにも気をつけるようにしています。

お客さんにアドバイスをすることもあるかと思いますが、具体的にはどのようなことがありますか?
「最近調子悪いんだけど」という相談を受けることがありますが、そういう方は「あの時はちゃんと投げられたのに」と自分の調子が良かった時のことを忘れられずに、グリップやリリースポイントなどにこだわり過ぎている方が多いんです。
そういう人は指先だとか肘の感じなどを意識し過ぎていて「狙う」ということを忘れてしまっていると思うんです。私はダーツを誰かに教わったこともなく、師匠と呼べる様な人もいないままほとんど我流でやってきたんですが、唯一教えられたことと言えば「とりあえずブルに手を伸ばせ」と言うことなんです。
不調の人は一番大事な「狙う」ということを忘れかけている方が多いので、私は「形にこだわらずにまずブルを狙って下さい」とアドバイスすることが多いです。

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尊敬するプレイヤーはいますか?
好きなプレイヤーはいますが、尊敬するまでのプレイヤーはまだいません。

ダーツの魅力は何ですか?
私が一番感じるのは人とのつながりです。私はフェイスブックのフレンズがたくさんいますが、その人達に実際会ったかと聞かれたらほとんど会っていないんです。
世界的にもこんなにたくさんの人に自分のことを知ってもらえるというのはダーツがなければあり得ないことなので、ダーツというのは人と人をつなげてくれるすごいツールだと思います。ですからみなさんにもそれを生かしてほしいです。通信の対戦だけで終わってしまうのはもったいないと思います。もし隣で投げている人がいたら声をかけてみて、ぜひつながりを作っていってもらいたいです。

今後の目標や夢を教えてください。
まずは年間チャンピオンが一番の目標です。そしてワールドでの勝率を上げて、世界的にも私のことをもっと知ってもらいたいです。

最後に読者にメッセージをお願いします。
よく試合の時はムスッとしていて話しかけにくいと言われますが、別に機嫌が悪い訳ではなくただ試合モードに入っているだけなんです。
プレイスタイルは「楽しんで投げる」がモットーなので、もし話しかけてもらえたら喜びますのでどんどん話しかけてください。そしてだんだん私の顔が緩んできたら「この子もしかしたら優勝するんじゃないかな」と思って応援していただけたら嬉しいです(笑)。

COSMO DARTS よろしくお願いいたします