Monthly Vol.9 2025年8月
石塚 梨紗 Risa Ishizuka
苦労を乗り越えて掴んだ栄光

「遠征費も苦労も乗り越えて掴んだ栄光」
日々の小さな努力の積み重ね、プロとしての成長、その先にあった初優勝。

初めてのインタビューよろしくお願いいたします。ダーツとの出会いを教えてください。ダーツ歴は何年になりますか?
一つ年上の兄がいるのですが、一緒に遊びに行ったときに「ダーツしようぜ」となったのが最初の出会いです。ダーツ歴は途中で抜けている時期もありますが、そこから数えると15年ほどになりますね。

そこからどうやってハマっていったのですか?
年子ということもあって、何でも兄には負けたくないと思っていたんです。いつもボコボコに負けていましたが、それ以来続けて、現在に至ります。

プロになったのはいつからですか?目指そうと思ったきっかけは?
2019年2月です。いろいろやりたいことがあったのですが、それができなくなって、「さて何があるのか?」となったときにダーツが残ったんです。ではこれを頑張ろうと決めて、プロライセンスを取りました。

PERFECTに参戦を始めたのはいつからですか?
2019年9月の大阪大会からです。近場でのデビュー戦だったのですが、まさかの中継台で、何もわからないままパニック状態で投げていました。その年は3〜4大会しか出場していません。
全戦回るようになったのは一昨年からで、今年が3年目です。

年間ランキングはいかがでしたか?
20位以内を目指していましたが、2023年は21位、2024年は20位でした。今年は現在13位です。

プロツアーでPERFECTを選ばれた理由は?
ノリと勢いです。大阪はライブが多いので、元々はJAPANを考えて準備していたのですが、周りの人たちがPERFECTを受けることになり、一緒に行ってしまいました。

第12戦・神戸、初優勝おめでとうございます。
ありがとうございます。まだ浮かれています。写真を皆さんがSNSに上げてくださっているのですが、どれも写りがひどくて、泣きながら笑っているような感じでした。もっと可愛い顔で…次はそうできるように頑張ります(笑)。

当日は1日を通してどんな流れでしたか?
そのときは2週間で4大会という過密スケジュールだったのですが、調子というよりは感触が良かったです。当日は予選はまあまあな感じで抜けて、勝ち上がっていくうちに「いけるかも?」となった流れでしたね。
決勝は藤田真子プロとの対戦でしたが、緊張はありませんでした。いつもそうなんですが、フワッとした気持ちで臨んでいて、むしろ「自分にシャキッとしろ」と言い聞かせるようにしていますね。

初優勝までの道のりで、苦労話とかはありますか?
いつも付きまとっている遠征費のための資金問題です。全戦回るのはなかなかしんどいですね。普段の生活はダーツに全部費やしていて、欲しいものは何も買わず、500円の服を着ています(笑)。
物は残りませんが、良い経験や心の成長は何にも代えられません。すべてを犠牲にしても、それだけの価値があると思っています。ましてや今回の優勝、この達成感は今までの苦労を全部忘れさせてくれました。まさにプライスレス。ダーツをするのがさらに楽しくなりました。
プロツアーに出ている人たち、皆さんそうだと思います。大変だけど子どもや家族、お店のために歯を食いしばって…そんな感じではないでしょうか。他のプロの方とも話す機会が多いのですが、尊敬できて刺激になっています。

優勝する前と後で、周囲の反応や自分の中の意識はどう変わりましたか?
人生180度変わるのかな、と思いきやそれほど変わっていません。「ありがとう」というメッセージはたくさんいただきました。でもこのインタビューで実感しています(笑)。

ライバルだと思っているプレーヤーはいますか?
プロプレーヤー全員です。その中でも今までに勝ったことのないプレーヤーには、次いつ当たるのかとワクワクしながら待っています。

尊敬するプレーヤーはいますか?
そうですね。まず松本伊代プロ、とても世話好きでお世話になっています。それと小野舞子プロ、彼女は優しく助言をしてくれます。両プロともにチャーミングで格好いいですね。

自分を分析してみて、どんなタイプのプレーヤーですか?
良いイメージだけを持ってダーツを投げています。あるときにアドバイスをいただいたのですが「自分を信じて」を大事にしています。どんなに打たれても諦めずに1本でも多く打ち返す、スーパーポジティブな性格ですね。失投しても切り替えは鬼早いです(笑)。

自分の中で決めているルールはありますか?
いつも思っていることは、対戦相手をリスペクトして戦うということです。それと「言い訳はしない」と決めています。よく「自分のときだけ打ってきた」なんて耳にしますが、調子の波もありますので、そういうふうには考えたくないですね。

今までに特に印象に残っている試合は?
やはり今回の優勝での決勝戦ですね。ダーツライフのターニングポイントになりました。正直、自信になっていて、以降さらに強気なダーツが打てるようになったと思います。

では今年はあと2〜3勝したいですね。
そうですね。驕らず地道に練習します。ランキングももう少し上に行きたいですね。

ダーツを続けるかどうか、迷った時期はありましたか?
何回もありますが、やはり遠征費で苦しんだときです。以前、鈴木未来プロに「どうやってプロを始めたのですか?」と質問したことがあるのですが、「私は3年で結果を出そうと思った」という答えでした。
そもそもデビュー戦の1か月前に父が亡くなって、遺産から100万円だけ使わせてもらい参戦を始めた経緯があります。それでも経費がかかりますので、ジリ貧になっていきますよね。
私も今年が全戦回り始めて3年目なので、もし結果が付いてこないようなら、来年からスポット参戦になるか、最悪は引退かなと考えていました。勝負の年だったんです。でもこの優勝で「来年も頑張るぞ!」と決めました。

練習について教えてください。
どんなスポーツでも準備運動があるように、最初はブルを狙わずに気持ちよく腕を振ることから始めます。体を温めてから相手を探して、対戦を主に練習しています。そこで大事にしているのは、遊び感覚ではなく試合のように臨むことですね。

スランプの経験はありますか?
たくさんありましたが、一番ひどかったのはプロになる前、手が前に出ない状態になったときです。ダーツを握って投げるのですが、手が開かないんです。いわゆるイップスでした。一般大会で突然なって、5分投げてやっと3ダブル。自分でもびっくりしました。  そのときは壁におしぼりを投げて「離すことができるんだぞ」と自分に言い聞かせていましたね。数か月で元に戻りました。

怪我の経験はどうですか?
怪我というよりは、いつも肩が凝っています。右の肩甲骨に強い張りがあるので、常にストレッチしています。

モチベーションを保つために意識していることは?
ネガティブな言葉や態度は控えるようにしています。ダーツが好きで努力して上達を目指していますが、次々に新しい課題が見えてくるんですよね。
一つ乗り越えても、また次の問題が現れます。それに挑戦していく限り、モチベーションが落ちることはないと思います。

試合前のルーティンはありますか?
大会前日は移動だけして、良いダーツをイメージして早めに寝ます。普段は夜型の生活リズムなので、睡眠快眠ドリンクを飲んで翌日に備えます(笑)。

オフの日はどのように過ごしていますか?
できる限りダラダラしながらアニメを見ています。そして部屋の掃除ですね。

お仕事は?
今年の7月に新しくオープンした大阪にあるダーツバー「ジャイアント・キリング」で週数日スタッフとして働いています。また「ダウンタウン」というお店で水曜日にプレーヤーデーとして活動しています。

所属のダーツバレルメーカーについて教えてください。
「King’s」というメーカーで、とても楽しいプレーヤーが集まっています。精密機械制作関係の会社なのですが、社長がダーツ好きでバレルブランドを立ち上げました。
私のモデルも言葉で伝えるのですが、図面が出てくるとまさに忠実に表現されていて、プロ集団ですね。どうしてそんなことができるのか、いつも不思議に感じています。
オーダーのバレルも作っていて、品質は最高です。もっと多くの人に認知してほしいです。

これからの目標は何でしょうか?
良い人間でありたいと思っています。周りにも前向きな気持ちを振りまきたいですね。試合では負けて泣きたくなることもありますが、涙を流したことはありません。そこで発散すると次に進めないように思っていて、持ち帰って練習にぶつけています。
もっと強くなりたいです。ランキングも上げたいので、ぜひ期待してください。

では読者の皆様に一言お願いいたします。
良いことも悪いこともありますが、ダーツは自分を成長させてくれるスポーツなので、楽しんでほしいと思います。私も頑張っていきますので、よろしくお願いいたします。