Atsushi Takeuchi-Vol.36.2009.3-Top

Vol.36 竹内 淳
ハードで成功したい

2009年3月

ダーツを始めたきっかけは?
僕はもともと競技志向でビリヤードをやってたんです。でもサラリーマンだったので時間が取れなくて、趣味に戻すためにビリヤードをやめようと思っていました。そんな時に店にダーツが置かれたので、みんなで楽しくダーツを投げられればいいかなという軽い気持ちで始めました。それがだいたい4年前です。

練習時間は?
投げ始めた頃はワイワイ遊びながらやってただけで、特に練習時間などはなかったです。僕はお酒は飲めませんが、みんなはお酒を飲みながら一緒に気楽に投げてる程度でしたから。でも半年くらいたった頃、その中の一人がダーツにはまり始めて、一度メチャクチャに負けて悔しい思いをしたんですよ。それからですね、一人で練習するようになったのは。当時は毎日、黙々と投げてました。
今は練習時間は特に決めてませんが、時間があれば一日10時間くらい投げてることもあります。個人練習は日によりますが平均で言ったら5~6時間じゃないでしょうか。

練習内容は?
練習は8対2の割合でほとんどハードです。まず20トリプルだけを、自分で納得のできるスロー3本が出るまで投げ続けます。それからダブルの20から一周回るんですが、三投のうち二本が入ったら次、入ったら次というようにずらしていきます。そして61から100の上がり方の練習をして、さらに170から3ラウンドで上がる練習をしています。
ソフトではひたすらブルです。点数などはそんなに気にしないで、自分のフォームや飛び、肘の曲がり具合などを意識しながら投げています。僕は家ではまったくダーツは投げないで、ダーツのことは極力考えないようにしてるんですが、寝る前の10分くらいは今日一日のことを振り返る時間を持つようにしています。「今日はここが悪かった」と反省しながら「明日はこうしよう」と決めたら、次の日はそのことを一日通して練習するようにしています。

レーティングは?
ライブレーティングだと17後半から18くらいで、あまり投げませんがバーネットだと19~18の間を行ったり来たりといった感じです。

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ダーツで一番の課題は?
ソフトだと上がりが弱いことです。例えばアニーさんと対戦したら、同じレベルで打てるとしても最後の上がりで決められないんです。お互い150ずつ持ってて僕が先行だった場合は、僕はダメでもアニーさんは確実に決める。これが日本のトップのプレイヤーと自分との差かなとつくづく感じますね。それから上がりのひとつ前の削りも弱い。クリケットの場合も大事な場面ではずしてしまう。これが僕の弱いところです。
緊張すると余計に意識してだめになるようで、技術的なことよりも精神的な部分の方が僕にとっては重要な課題だと思います。

トーナメントの取り組みは?
ソフトで言うとDクラウン、burn、DJOの中で、どんなプレイヤーが出場するかなどを考えながらチョイスしていくつもりです。できれば近場でなるべく旅費のかからない所がいいのですが、どうしても出たい大会であればそんなことも気にしないようにと思っています。
ハードはあまり何も考えず、JSFDを中心にやっていきたいと思います。

スティールダーツの方が好きな理由は?
刺さった時の音と感触が気持ちいいんですよね。あとはかけひきなく入れた方が勝ち、というのが僕の性に合ってます。世界のトップの人たちは「はずしたら負け」になってしまうんでしょうけど、僕の現状ではまだ「入れたもん勝ち」ですからね。
JSFDで去年代表になってニュージーランドに行かれましたが、どのような経緯があったのですか?
お客さんで千田さんという日本代表になった人がいて、その人から薦められてハードを投げるようになりました。右も左もわからないまま去年の1月の大会に出場して、この時はベスト32くらいだったんですけど、3月の大会で優勝できたんです。その時、「今だったら代表の可能性もあるから地方のサンクションにも行った方がいい」と言われて、愛媛の大会に出場し、そこでも優勝できました。そしたら「かなり確率が高くなったからJSFD一本で責めろ」と……。それで試合を回るようになって、代表に選ばれたんです。
その後千田さんからはリーグにも誘われ、TDOにも入れてもらえ、僕の中でハードの世界が広がりました。とにかく僕にとっては未知だった世界に引っ張ってくれた恩のある人で、いくら感謝しても足りないくらいです。この人がいなかったら僕はハードはやってなかったと思います。本当に尊敬もしてるし感謝もしてます。

ニュージーランドはいかがでしたか?
すごくおもしろかったのと、同時にもっと結果を出せたんじゃないかという気持ちがあります。とにかくメンバーが良かったですね。みんなかみ合ってて、チーム戦もオーストラリアにもう少しで勝てそうでした。結局ダメで悔しい思いをしたんですけど……。
銅メダル受賞の時に日本の国歌が流れたんですけど、僕は今までそんな経験がなかったからすごく感動しちゃって涙が出そうで、ホントに出かかってて一生懸命我慢したんです。そういった意味でも代表ってすごいなと感じました。その時タローさんといろいろ話をさせてもらって、「代表マニアといわれるくらい代表にこだわれ」と言われたんです。代表はみんな国を背負って来てるからプライドをすごく持ってるわけで、その人たちに勝ったらもっと自信もつくし強くもなるだろうと。
世界に目が向くことは大事なので、それからはソフトもハードも代表にこだわりたいと思うようになりました。これはなった人にしかわからないと思うんです。チャンスをもらって代表になれたんだから、これからも頑張ってなり続けたいと思います。

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去年はどんな一年でしたか?
自分にとってはできすぎな一年でした。ソフトでは、エレメントという大会でシングルスで優勝して、京都のDクラウンでもシングルスで3位を取り、最低でもベスト16かベスト8なので、だいぶ上位にからめるようになってきたという実感があります。でも、周りからはおまえはもっと上にいけると言われるんですよね。ジョニーさんからは「おまえは平場であんなに打てるのになんで優勝できないの?」と大会会場でいつも怒られるんですけど、自分を評価してくれてるのでとてもありがたいと思ってます。グランドマスター歴は今年で3年目なんですけど、まだ経験が浅いせいか試合で実力が発揮できてないですね。今年はもっと経験を積んで結果を出せるようにしたいです。

今のスケジュールは?
昼間はマーケットクロスというショップ兼事務所の社員として働いています。6時以降はフリーなので、横浜のミーイングという店でダーツを投げたり、ホールスタッフをやらせていただいてます。
去年は夜まで働いてたんですが、環境を変えたくて昼間の仕事にシフトしました。環境を変えたいという主な理由は、トーナメントに出場するためです。例えば試合で良い結果が出せなかったとすると、「昨日4時まで働いてたんだからしかたないよな」と自分で自分に言い訳をしてしまってたんです。勝てない言い訳を自分でしてた自分がすごく嫌で、それならもう「寝てないから勝てなかった」などと言えないようにしようと思ったんです。幸い6時まででいいよという会社があったので、そこで働かせてもらいながら、夜はダーツを投げるという生活に変えました。

今までで印象に残った試合は?
僕にとっては初めての大きな大会だったエレメントで優勝できたことです。あとはJSFDの決勝でタローさんに勝てたことです。どちらも3月にあった大会だったんですが、すごい自信につながりました。この2つが合体して今の自分があるという感じです。

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今まで何かスポーツはしていましたか?
中学・高校・大学とバスケをやってました。だから僕のフォームはバスケのフリースローに近いイメージなんです。

ダーツの魅力とは?
年齢に関係なく知らない人とすぐ友達になれることがまず一つです。それから競技としての魅力は大きいですね。僕はすぐ震えちゃうんですけど、あの緊張感がたまらないです。試合では大の大人が勝った負けたで大騒ぎするじゃないですか。30歳40歳の人でも泣いちゃう人がいたりして、そういう大人が本気になれるところが好きですね。
これからの目標や夢は?
夢はフィル・テイラーとハードで対戦したいです。それもイベントで来た時のチャレンジマッチじゃなくて、自分がちゃんと試合に出場して勝ちあがって対戦してみたいです。あの人が一体どのくらい強いのか、テレビで見てても強烈なんですから、実際試合したらものすごいだろうと思うんです。そしてもちろん勝ちたいです。とてつもなく大きな夢でかなわないかもしれないけど、夢は大きく持ってた方がいいですからね。

海外で外国人と戦うのは楽しいですか?
初めてマレーシアに行った時は、初戦の時すごく緊張して、手も震えて大変でした。でも一緒に行った仲間が後ろから蹴ってくれて「おまえ、なに外人に緊張してんだよ、ここでおまえのこと知ってるやつなんていないんだから、やりたいようにやれよ」と言われたんです。そこからふっと緊張が取れて、いいダーツが打てるようになったんです。それからは外人に緊張するということはなくなりました。
逆に外国人プレイヤーは僕のことを知らないから「知らせてやろうじゃないか、やってやるぞ」という気持ちが強くなって、最近は外国人と対戦してるほうが楽しかったりします。
海外で活躍したいですか?
そうですね、今はホントに行きたいですね。でもお金もないので難しいです。だからJSFDで代表になったり、ブルシューターの代表も狙ってます。今は海外に行ける切符があるものに対してはこだわっていきたいんです。それ以外にも自分が成長できる大会はすべてトライしようと思っています。賞金が出る大会も緊張するから楽しいでしょうね。挑戦したいです。

最後に読者へひとこと
僕のダーツを見て参考になるならぜひ参考にしてください。それから、頑張りますので応援してください。