Vol.106 柴田 豊和
シンプルな競技ながら奥が深い

2021年1月号

世界を見ているだけではなくて、まずはトライしてみて勉強して、ダメなら何が足りないのかを考えて、技術を磨いてまたやり直して。
そうすると日本のダーツレベルがもっと高くなりますよね。

まずダーツとの出会いを教えてください。
18歳の終わり頃の2004年に、当時働いていたレストランの仲間との飲み会でダーツバーに行ったのがダーツとの出会いです。

ではダーツ歴は長いんですね。
はい。もう16年になります。

真剣に投げ始めたのはいつからですか?
最初はダーツバーに行くのは月に2回あるかないかでしたが、投げているうちにマイダーツが欲しくなりました。それでお店のスタッフに紹介してもらった茅ヶ崎のショップでマイダーツを購入したんですけど、それがのめり込むきっかけになりましたね。

自分のダーツを買うとやる気になりますよね。
そうですね。モチベーションが上がりました。

最初に買ったマイダーツはどこのメーカーでしたか?
確かハロウズのネメシスというストレートのバレルだったと思います。

ストレートバレルを買ったんですか。
最初はストレートが良いとアドバイスされたんです。まずストレートに慣れておけば何でも投げれるようになるからと言われたので、その言葉をそのまま信じて買いました(笑)。

やはりスタッフのアドバイスは大事ですよね。
何の知識もなかったですからね。それから、最初からあまり高い物も買わないように言われたので手頃な物を選びました。

プロになったのはいつですか?
Dークラウンがプロ化された時から資格は持ってます。

プロ試験を受けられたんですか?
当時はポイントシステムで、そのポイントを獲るのが結構大変だったんです。ベスト16とかADAJの大会でベスト32まで行かないと付かなかったんですけど、そのポイント所持者は実技試験が免除だったんです。僕は最後の最後にポイントが獲れたので、筆記試験だけ受けました。

ランキングを見ると2019年は3位という成績で、2020年は1位を狙いたいところでこういう状況になってしまいましたね。この成績には満足されていますか?
満足はしていないですけど、絶対に1位を獲らなくてはという焦りもないです。僕はマイペースで一つ一つの試合を真剣に楽しみながら投げていたいんです。そうすれば結果もおのずと付いてくるのではないかと思っています。

毎試合を一生懸命に投げるということですね。
はい。それの積み重ねしか考えられないです。ランキングばかりを意識するとパフォーマンスが下がると思うので、まずは目の前の試合だけ必死に頑張っていこうという考え方です。

プロツアーに参戦されたのはいつからですか?
2010年のDクラウン岐阜大会からです。

ジャパンには最初から参戦されているのですか?
Dークラウンがパーフェクトになるタイミングでジャパンに移籍しました。

移籍してからはどのくらい出場していますか?
ほぼ全戦出ています。

ジャパンの居心地はいかがですか?
16位に残っていれば居心地はいいですけど、やっぱり下からはしんどいですね(笑)。そこがパーフェクトに比べて良いところでもあり悪いところでもあるという感じじゃないでしょうか。僕はこのシステムを楽しんでいます。

今までに印象に残っている試合はありますか?
2017年の新潟で初優勝した試合です。初優勝は特別で、プロになって自分がやりたかったことを一つ成し得たという達成感がありました。相手は風間佑太選手でした。過去に2回決勝戦まで行きましたが優勝は初めてだったので、長く投げてきてやっと報われたと思いました。

2020年は中止になってしまいましたがどういう気持ちでしたか?
こういう状況なので仕方ないと思いました。試合が無いからといってくさる訳にもいかないし、技術の維持と向上心だけは忘れない様にしようと考えました。モチベーションという言葉だけに左右されるのではなくて、ダーツが好きでプロをやってる以上はしっかり練習してレベルアップを模索していくことに変わりはありません。

ステイホーム中はどうされていましたか?
家にダーツライブのゼロボードを置いて練習していました。

その間何か新しい発見はありましたか?
新しい発見は特になかったですね。決まった練習メニューを毎日やっていました。アップとしてダブル、トリプル、ブルを大体1時間15分から1時間半くらい、それから「今日はブルの練習」「今日はトリプルの練習」というようにその日のテーマを決めて投げていました。

では結構長い時間ですよね。
メンタル面にも負荷をかける意味で、毎日2〜3時間は集中して投げました。ダーツは技術だけで勝てる競技ではないので、自分の心にもあえて負荷をかけました。

自分に自分でプレッシャーをかけるということでしょうか。
そうです、そうです。自分にプレッシャーをかけるという表現がぴったりくると思います。

ところで、スティールダーツは投げますか?
もちろん投げます。

試合などにも出場していますか?
スティールのお店に投げに行きますし、リーグ戦にも出ています。もしコロナが落ち着いていたら、今年はQスクールにも行く予定でした。

スティールとソフトの違いは感じますか?
距離が7cm違ってボードの大きさも違うので、イメージラインは変わると思います。ソフトだと入れて当然なので、なる
べく外さない様にという気持ちで投げますけど、スティールに関してはそう上手くはいかないじゃないですか。なので的に対するアプローチは違いますね。

技術的にもだいぶ違いがありますよね。
そうですね。スティールの方がずっと難しいと思います。だからおもしろ味もあって、僕はスティールの方が全然好きなんですけど。

スティールの方が好きなんですか。
ソフトは上手くいくと全部入っちゃうので、そう簡単にはいかないスティールの方が好きですね。

去年はPDCの試合だけはあって日本人選手も参加しましたが、試合は見ましたか?
見てました。もちろんです。

印象はいかがですか?
ガーウェン・プライスがものすごく目立った年になりましたね。

技術的に学ぶ部分はありましたか?
技術的にというか勝負感というものを見ていると、僕たちとは違うレベルを感じます。人間らしさも見られるし、PDCの選手はいろいろな意味ですごく勉強になりますね。こういう選手と戦ってみたいと思いますし、戦えるようになりたいです。

ご自分のことをどのようなタイプのプレイヤーだと思いますか?
気迫で圧すよりは笑顔で試合をするタイプです。ダーツが好きで試合を楽しんでるけどでも勝っちゃう、みたいな見せ方が好きですね。

試合前の調整や体調管理などはどうされていますか?
調整という意味では普段からしっかり練習してるので、ジャパンの前に対戦練習を少しするくらいです。いつも準備はしてるので前日だからといって焦りはないです。もし負けたとしてもやるだけのことをやった結果なので仕方ないと思ってますから。
体調管理については、会社が出勤日数を考慮してくれるので良い状態を保てています。社長が僕に負担がない様にスケジュールを組んでくださるので、とてもありがたく感謝しています。その分結果を出さなくてはならないので、そこは自分自身にプレッシャーをかけて頑張っています。

先ほど伺った練習以外に何か特別なことはされていますか?
藤原徹也選手とスパークリングするくらいです。彼はメチャクチャ上手いですからね。

ダーツで一番大事にしていることはありますか?
ダーツに対するモチベーションや距離感を常に一定に保つようにしています。ダーツは自分が生活していくために必要なものなので、追いつめらることなく追っかけ過ぎず、しっかり練習して休む時は休んでというようにメリハリを作ることを大事にしています。ダーツは常に冷静な場所に置いておきたいんです。

では、お仕事について教えてください。
普段は『マックス大阪心斎橋店』でインストラクターとして働いています。月に15日程いますが、それ以外に大阪の梅田にある『eX』というお店に月2回インストラクターとして入っています。
それから月に1回東京の門前仲町の『H2O』というオープンしたばかりのダーツバーにも呼ばれて行きます。

尊敬するプレイヤーはいますか?
日本人では浅田斉吾選手です。やっぱり日本人選手の中では飛び抜けていると思うので、浅田選手に追いつけ追い越せというのは一つの目標になりますね。同じ大阪で普段からダーツに対する姿勢を見せてもらっているので、とても良い刺激になります。

今後の夢や目標を教えてください。
夢と目標がほぼ同じなんですけど、PDCにチャレンジしていきたいです。やっぱりトップの世界に挑戦していきたいと思いますね。
夢はワールドチャンピオンシップに出て上位に行くことと、大きく言えばプレミアリーグくらいには出たいです(笑)。
プロである以上は結果を出さなくてはならないですし、そのためには日本で一番にならなくてはダメですね。実現できるようしっかり頑張っていきたいです。勝つということに対してもっとシビアにならなくてはと思いますね。

最近はいろいろな選手がQスクールを意識し始めましたね。
そこにトライをしないと始まらないと感じるプレイヤーが増えてきたんだと思います。世界を見ているだけではなくて、まずはトライしてみて勉強して、ダメなら何が足りないのかを考えて、技術を磨いてまたやり直して、という選手が増えてくると思います。そうすると日本のダーツレベルがもっと高くなりますよね。

今後はアジアンツアーなどにも挑戦したいですか?
僕の中ではアジアンツアーは優先順位が下がっていて、まずはQスクールにしっかりトライしたいです。
日本でプレイしている限りは生活の資本がソフト中心になるので、ジャパンとザ・ワールドの優先順位の方が高いです。その中でQスクールやPDJの日本予選などに挑戦していきたいと思っています。さらにもっと準備が整ったらアジアンツアーなどに参戦していくかもしれないです。

改めてダーツの魅力は何でしょうか?
いろいろありますけど、ダーツはシンプルな競技ながらやってみると奥が深いということです。

読者にメッセージをお願いします。
こういう状況ですがSNSでもいろいろ発信していきますので、今後とも応援よろしくお願いいたします!