馬場 善久
4年ぶりに優勝

JAPAN STAGE9 福岡、優勝おめでとうございます。改めてご感想はいかがですか?
ありがとうございます。もちろん嬉しいですが、と言っても感極まってというほどでもなく比較的落ち着いています。

それでもバンザイしている写真では笑顔を噛み締めているような感じです。
それをテーマにするという話があったので、それも意識していたと思います(笑)。

4年ぶりですが長い道程でしたね?
コロナで試合が止まっていたこと、また決勝に行けても勝ちきれなかったりして時間がかかってしまいました。しかし4年間を振り返ってみると、練習はしていましたし準備は怠っていませんでした。ただ流れが悪いのかなと受け止めていましたね。

当日の一日の流れはどうだったんですか?
STAGE8でシードに残ることが出来たので、昼過ぎに会場に行きゆっくりスタートしました。5時頃に入れ替え戦が始まったので、体調をしっかり整える余裕があったと思います。自分のペースで臨めましたね。

決勝までの試合展開はどうだったんですか?
最初は廣野 巧プロだったんですが、普段から仲良くしている選手で一緒に練習もします。勝ち越すことも多かったので負けらられないと力が入った部分はありますが、そこをうまく乗り越えられたので、いいスタートを切ることが出来ました。それ以降はピリピリ緊張しながらも、楽しくプレイできましたね。
ラッキーでワンチャンスが回ってくることもあり、それをうまく決められて流れを掴めたと思います。

JAPANは厳しい戦いが繰り広げられていますね。
いやぁ、その通りです(笑)。強いうまいプレイヤーが増えていて、若い層が勢いに乗って上がってきていますね。正直ランキング40〜50位ぐらいのプレイヤーは誰が勝ってもおかしくないです。当日の流れを誰が掴み取るのか、そんなステージになっています。
4〜5年前と比べると格段にレベルが上がってきていて、128から尻に火がつく試合が増えています(笑)。

現在ランキング12位ですが、いかがですか?
目の前の試合に一つずつ勝つようにしているので、あまり意識しないようにしています。それを考えると駄目なタイプかもしれません。結果として上位には残りたいですね。

今までに一番、心に残っている試合はありますか?
もちろん今回の優勝などの試合は忘れられませんが、自分の中では負けた試合を大事にしています。負けるのには原因があると思うんです。自分のふがいなさなのか、相手に素晴らしいダーツを打たれたのか、それを分析しています。今は動画に残ることも多いので何度も見返してますね。凡ミスで負けた試合ばかりです(笑)。

ところで2021年のPDCワールドカップ、ドイツが突然入国条件を変えたため、柴田プロに変わって出場した時のお気持ちはどうだったんですか?
出場できることには嬉しい反面、繰り上げで行くのはどうなんだろう?と考えていました。柴田プロとは仲も良いので「行けるようだったら行って頑張ってほしい」と直接連絡をくれて、いろいろなモヤモヤから吹っ切れました。
海外に挑戦するためにはワクチン接種など必ず準備が必要だと思っていたので、改めてよかったなと思っています。

そして松田 純プロとドイツでワールドカップに挑みました。
松田さんとはその時まであまりからみもなかったんですが、とても良い人物で気をつかわずにダーツが出来ました。感謝しています。

その後柴田プロはまた挑戦して年末のワールド・チャンピオンシップの出場権を掴んで、まるでドラマのようでしたね。
本当に凄いです!何か持っている人だと思いました。

今年はQ-スクールに挑戦されましたが、レベルなどいかがでしたか?
行ってよかったと思っていますし、いい経験になりました。十分戦えるな!という手応えも感じました。レベルは日本のトッププレイヤーだけが多く集まっている感じですね。数日前に来年の日程も発表されたので、行く準備をしています。

イギリスとドイツで開催されていますが、ドイツを選ばれた理由は何でしょうか?
初めてなので分からないことも多かったのですがワールドカップがドイツで、まぁまぁのダーツが打てたので良いイメージがあったからです。今年のQ-スクールでのダーツでも手応えを感じたので、来年もドイツを考えています。

イギリスは面子が濃くて、ドイツの方が通りやすいと言っている人もいますが…。
そう聞くんですが、どうでしょうか?実際にはイギリスとドイツで通ったプレイヤーの数字などを比較すると大差ないですね。最後にトップを倒さないとツアーカードは取れない、という意味では同じだと思います。

他に誰も日本人は行かなかったので、一人で戸惑った場面もあったんじゃないですか?
不安もあったんですが着いてしまえば、意外と楽でした。会場のある近くのホテルで宿泊していて食事も3食準備されていたので、ダーツに集中できる環境でした。
僕は英語は堪能ではありませんが、各国からそんなプレイヤーも多数来ていて、同じような条件なので何とかなりました。運営の方々も寄り添って丁寧に説明していただけました。
予選を抜けると周りのプレイヤーの対応も変わってきていて、喋れないと知っていてもすれ違う時に声を掛けてきたりします。とても良い印象のステージです。

ツアーカードが取れたら、どうするんですか?
費用の面などネガティブに考えたら壁が高くなるだけなので、もっと前向きに捉えて1年ぐらいは挑戦したいですね。あちらに住んで可能な限りツアーを回りたいです。
イギリスは物価が高いことで有名ですが、外食しないで自炊すればなんとかなるのではないでしょうか?日本でも基本そうしているのでプラスアルファー経費がかかる、という考え方をしたいと思います。苦労はあるでしょうが不可能ではないでしょう。
人それぞれ考え方はあるでしょうが、PDCは僕にとって大きな魅力のある舞台ですね。

ソフト、スティール両方投げていますが、練習の配分はどうでしょうか?
ソフトだけ投げていた練習がプラス、スティールの練習時間が増えて長くなりましたね。ソフトの試合前はソフトが長くなりますが、それ以外は同じような配分です。

ソフトとスティールの違いは何でしょうか?
僕は野球をやっていたので、例えると硬式と軟式の違いのような感じでしょうか。同じ競技ですが道具や扱い方の違いと捉えています。
大きく見た時にバレルを握って力を乗せて、的に投げるという意味では一緒ですね。初心者の方は意識して投げ分ける必要はないと思います。

中級者以上のレベルでの助言はありますか?
僕は投げ方を変えています。具体的に言いますとソフトはきれいに放物線を描いていくのを理想としています。バレルを2、3本目は上に当てていくようなイメージです。
スティールはポイントを上に上がるように飛ばして、盤面に刺さる時は下を向いてフライトが上になっているようになるような形を追求しています。2、3本目はそこにぶつけながら流し込むイメージです。
1本目が下に付くと邪魔になるので、角度をつけて刺さるようにしていますね。

これからの目標は?
やはりPDCで活躍したいです。これから日本からもダーツにおいて素晴らしい逸材が出てくるんだと思うんです。その道標になりたいですね(笑)。応援よろしくお願いいたします。