Monthly Vol.1 2024年12月
『ダーツBAR存続への道』
中山悟

いつもNDLをご愛読の皆さま。 初めまして、株式会社G-RIZE/株式会社G-Link代表取締役の中山悟(なかやま さとし)です。ダーツ業界ではGON(ゴン)と呼ばれています。 Bully‘sというダーツBAR、MIRARCHというバレルメーカーの代表を務めています。 約2年前に一度L-style芹澤甚太会長の代打で登場させて頂きましたが、この度NDLが紙媒体で復活するとの事でお声がけ頂きました。(紙媒体復活おめでとうございます!)

大手飲食チェーンだとダメだったら即閉店してすぐ次に…なんてことも聞くのですが、 自分は勝手に人(お客様、スタッフ)の居場所を作っておいて自分の都合でなくすってことをしたくないんです。 かといって赤字経営では続けられないので店舗出店する時は、自分の中での成功率を限りなく100%に近づけてから決めます。

なにを書こうか迷ったのですが、今回は『ダーツBAR存続への道』とさせて頂きます。ダーツBAR成功の秘訣や成功する鍵を是非と題材頂いたのですが、そんな偉そうなことは言えないので(笑)。
まず私のダーツBAR経歴ですが、遡ること約20年前にダーツ業界の大手企業がチェーン展開しているダーツBARに就職しました。当時はダーツバブルと呼ばれていた時代でダーツ台を置けばめちゃくちゃ儲かりました。毎週の集金時に百円玉が入る箱が全台パンパンです。価格は501とクリケットが200円、701が300円でした。ハッピーアワーも投げ放題もなかったので、ダーツをやるにはとにかくお金がかかりました。
それでも店内では常にダーツ待ちの行列ができていました。当時グループ内で一番売上の新宿のダーツBARでは週末のダーツ待ちが20組を超えていて、1回ダーツをするのに2時間以上待ちます。2時間待って順番が回ってきても、2回プレイしたら次の組に強制交代、また2時間待ちです。今では考えられないですよね(笑)。
その会社に10年務めたのちに独立を決意して「人形町」という街でダーツBAR Bully’s1号店を出店しました。人形町駅から徒歩5分、約30坪で35席、ダーツは2台でした。
しかし、ダーツバブルと呼ばれた時代はとっくに終わっていて、ダーツ以外の武器(強み)を持たなくては生き残れないと思いチャレンジしたことが「ランチ営業」「ステーキ」「貸切パーティー」でした。これがオフィス街の人形町で上手くハマりました。
ランチは連日満席、ディナータイムのステーキ需要の高さ、貸切パーティーは毎月10件前後入っていました。他にも終日ダーツ投げ放題1、000円、19時までのドリンクハッピーアワー、焼酎/ウイスキーのボトルキープの実施がサラリーマン層を取り込むことに繋がったと思います。
人形町店は残念ながらビルの都合で2018年7月に閉店したのですが、初月から一度も赤字を出すことなく終えた店舗でした。
人形町店オープンから約7か月後にBully’s池袋店を出店、同年11月にBully’s大宮店、その後各地へ出店が続くのですが、全て書くとダーツBAR経歴だけで終わってしまうので今回は省略させて頂きます。

ということで、やっと本題に入らせて頂きます(笑)。『ダーツBAR存続への道』
私が重視することは、
① 最寄り駅徒歩5分以内
② 駅の乗降者数の多さ
③ 居抜き店舗
④ FLR比率
⑤ ダーツ以外の武器(強み)を持つこと
などです。

①②を重視する理由はどんなことがあっても1日を通してノーゲストになることはないだろうという立地を選びたいからです。「あの店に行けば誰かはいる」そんな空間を作りたいですね。丸1日ノーゲストだと経営者もスタッフも心を折られますから(苦笑)。

③は単純に初期費用の為です。
出来れば高コストの天井、床、トイレ、エアコンがあるといいですね。
個人でやるなら物件取得、内装費、設備費など全て含めて1,000万以内に収まる店舗が良いと思います。初期投資回収は早くて2年、普通で3年、どんなに遅くとも4年が自分の目安です。

④のFLR比率とは売上の中での比率です。
飲食材費(Food)、人件費(Labor)、家賃(Rent)が占める割合なのですが、自分のお店では高くても60%以内で設定しています。
具体的にはF=15%以内、L=30%以内、R=15%以内を指標にしています。
どこを重視するかは店舗の特性や業態により様々だと思いますが、一般的には70%を超えると危険と言われています。

⑤は先ほども書かせていただきましたが、ダーツ以外の武器を持つことです。
私が思う良いお店はメイン以外にもいくつか売りや強みがあって一つがダメになっても他でカバーできるようなお店です。

私が出店する時は①~⑤全てがクリアできる見通しが出来てから、営業のシミュレーションを何度も重ねます。SNSを見てくださっている方からはぶっ飛んでいる奴だと思われているかもしれませんが、意外と慎重派で石橋を叩いて注意に注意を重ねてから渡るタイプです(笑)。
大手飲食チェーン店ではダメだったら即閉店してすぐ次へ…なんてことも聞くのですが、自分は勝手に人(お客様、スタッフ)の居場所を作っておいて自分の都合でなくすってことをしたくないんです。
かといって赤字経営では続けられないので店舗出店する時は、自分の中での成功率を限りなく100%に近づけてから決めます。
まだまだたくさんあるのですが、文字数足りなくなりそうなので簡単にまとめ
させて頂きます。

「毎日同じ時間に開けて同じ時間に閉めること」
個人的に今日お店のオープン遅れます、急遽お休みします、みたいなのが凄く嫌いで、いつも同じ時間に開店して同じ時間に閉店する安心感があるお店にしたいです。

「整理整頓、清掃清潔」
仕事を開始する前は、いつもお店や身の回りの何かを片づけるようにしています。体調管理と同じように仕事の環境を整えるのも仕事の内と考えています。

「やらなきゃいけないことよりやりたいことを」
特に現場(お店)なのですが、スタッフがやらなきゃいけないことに追われて、やりたいことができないという状況を極力作らないようにしています。お店でスタッフがデスクに向かう時間を少なくするために、出来る限りの事務作業や雑務は請け負うようにしています。

「タイミングは待たないで作ること」
良いタイミングが来たら…とよく聞きますが、待っている間は何も前に進んでいない状態が多いので勿体ないと思います。やりたいことが出来たら日々前に進んで自分で良いタイミングを作れるようにしています。

「ダーツBARの特殊な営業は飲食店の営業が出来てから」
スタッフがお酒を頂いたりダーツをしたり、普通の飲食店じゃまず考えられない異様な光景だと思います。でもそれがダーツBARでは当たり前になっている。うちのスタッフには『ダーツBARの営業は特殊。まずは皆が思う良い飲食店(居酒屋やファミレス)の営業が出来てから、ダーツBARとしての営業をしよう』と言っています。お店に自分が行くときは店内やスタッフの所作を風景化させないように、何か違和感がないか探すようにしています。

「SNS活用」
見て頂いている方を飽きさせないように、下書きのストックを作るようにしています。常に30個ぐらいは面白そうなネタの下書きを持っていて良いタイミングで出せるようにしています。もちろんお蔵入りで没になるネタも多数あります。

「ターゲット層」
ダーツBARのターゲット層はダーツをやる人だけだと錯覚しがちなのですが、大事なのはダーツ初心者や未経験者の層を取り込んで裾野を広げること。現状はマイダーツ保持者やダーツ経験者を数あるダーツBARが取り合ってしまっていると思います。ピラミッドの頂上付近の面積が狭い部分がマイダーツ保持者の人口だとしたら、下の方の面積が広い部分のダーツ初心者や未経験者にも同じ熱量でアピールしていきたいですね。ダーツ上級者も初心者もお酒を飲む人も飲まない人も複数人でも1人でも、皆が平等に楽しめる場所作りを目指しています。

「人がやらないことをやる」
人が思いついたとしても実行はしないような他人から見たらバカバカしい、だけど面白いことをやるようにしています。

「時に非効率的に」
普段は効率を求めて動いていますが、たまにとんでもなく非効率的なこともします。人に興味関心を持ってもらえる事ができるという持論です。

「不言実行より有言実行」
あれこれ言わずにやるという方がかっこいいと思うのですが、自分は何かをやる時はあえて口に出して公言して自分にプレッシャーをかけています。

「セカンドキャリア」
ダーツをメジャースポーツに、オリンピックに、なんて大きなことは言えませんが自分に関わってくれた人は、幸せにしたいし大事にしたいと思っています。一緒に働いてくれた人がダーツBARの店長になった先、ダーツで有名になった先の将来を考えるようにしています。自分はダーツプロじゃなくなってもたまたま生きる道がありましたが、全員がそうではないと思うので『もしもダーツが出来なくなったら』という人の不安を少しでもなくしたい。ダーツに携わる仕事を生涯続けられるように、というのが目標です。

だいぶザックリと書いてしまいましたが、少しでも何か伝わったら嬉しいです。他にも書きたいことはたくさんありましたが、今回は終わらせて頂きます。またいつかご依頼を頂けたらダーツプロ~経営者に至るまで挫折を繰り返したGONヒストリーを書かせて頂きたいと思います(笑)。最後まで読んで頂きありがとうございました。