2017年5月
ダーツの出発点を教えてください。
友だちとたまたま遊びにいったバーで、そこのマスターから「働かない?」となぜかスカウトされたんです(笑)。当時はまだ若かったので、「なんかお洒落だからいいかな、やりまーす」みたいなレベルで始めたんですけど、そのお店にダーツがあったんです。
真剣にダーツを投げ始めたのはいつ頃ですか?
ちょうど20歳になったばかりの頃に、お店のマスターから「近所でハウスがあるからペアで出ようよ」と誘われたんです。その時はクリケットのルールも知らずに半ば無理矢理出場して当然負けて、それが悔しくて練習する様になりました。
五月女選手とはかなり前からお会いする機会がありましたよね。
そうですよね、確かシカゴに行った頃からですね。あの頃は何もわからなくて「すごい!雑誌で見る選手がたくさんいる!」みたいな感じでした(笑)。
それからずっと投げ続けていらっしゃいますが、やっぱり楽しいですか?
たぶん負けず嫌いだからだと思います。楽しいことより辛いことの方が多かったですから。
一時期は「ダーツじゃなくてダンス頑張るんだ」と言ってましたよね。
今もやってますよ(笑)。
またダーツに力を入れ始めた感じですか?
ダンスはダーツを始める前からやっていたんですが、ダンスのショーとダーツの大会とが被ることがあるんです。そうするとダーツを真剣に出来なくなるので、一旦ダンスはお休みしていたんです。
しばらくダーツだけに力を入れていたんですが、スランプみたいになった時に追いつめられてしまったんです。仕事でも休みの日でもダーツばかりで、時間が違うから友だちとも遊べない。「私は何をやってるんだろう」と考えた時に「あ、ダンスやらなくちゃ」と思ったんです。それで今までとジャンルの違うダンスを始めたんですけど、そうしたらダーツの調子もまた戻ってきたんです。
私にとってダーツは趣味じゃないので、ダーツをやるなら同時に趣味もないとダメなんだということに気がついたんです。そうしたらまたダーツが楽しくなってきました。
ジャパン・レディースに参戦したのはいつからですか?
2013年からです。
2013年は43位、2014年は17位、2015年はランキングの中に入ってない様ですね。
2015年は出場してなかったんです。この年は資格を破棄して休憩してたんです。ちょっと悩んだ時期で、このままフェードアウトするか少しずつでも出ていようか考えたんですけど、白黒はっきりつけたかったんで結局更新もしないでお休みしていました。
それで昨年は6位という好成績でしたね。
びっくりですね。ちょうど半分からずっと残ることができてそのランキングになったんです。
結果を追っていると「五月女選手また入賞してるな」という感じでしたね。
そうなんです。「またいるー」みたいな(笑)。派手な入賞の仕方じゃないんですけど常にスタメンみたいな感じでしたね(笑)。
今までで印象に残った試合はありますか?
思い出深い試合は古すぎて、みんな知らないと思います(笑)。
最近では去年のジャパンで決勝に上がった試合ですね。すごく調子が悪くて打てなかったんですけど、波に乗って決勝まで進んだんです。そこでボコボコにやられて、あの時は「五月女真理こんなんじゃないんだけどな」と底まで落ちました。
でも底辺を見たらそこからは上がるだけじゃないですか。それがあったから今は上がってるのを感じます。
最近は男子よりも女子のダーツプレイヤーに注目が集まっていると言える状況ですが、それについてはどう思われますか?
やったー!って感じですね。筋肉の作りとかもあるのだろうけど、スポーツってどうしても女子より男子の方が上のイメージがありますよね。それがすごく悔しかったんで、こうやって女子プレイヤーが注目されるのは凄く嬉しいです。
打ち方や数字もメンズに近づいてきていて、レディースは確実に成長していると思っています。
女子プレイヤーの中にはすごく可愛い子も多いし、個性的なキャラの人もいるしで、応援してくれるファンの人達も楽しいんじゃないかと思います。それだけ盛り上がるっていうのは、やっぱりダーツプレイヤーが増えてるのかなとも思いますね。
ご自分でどのようなタイプの選手だと思いますか?
なんだろう?そういうことはあんまり考えたことないですね……。
私はダーツの時とプライベートの時ではまったく違う顔を持っているので、初めて会うお客さんからは「真理さんて笑ったことあるの?」と聞かれるくらいダーツでは真剣です。周りからは可愛いとか綺麗とかじゃなくて、カッコいいプレイヤーだと思われたいですね。
ジャパンにはフル参戦されていますか?
去年は一戦だけ出場できませんでしたが、今年はフル参戦を目指します。
フル参戦のための体調管理などはどうしていますか?
私のダンナさんがカイロプラクティックの先生なので、試合の数日前に身体の矯正などメンテナンスをしてもらいます。それだけですね。
今までにスランプはありましたか?
ありました。グリップを変えた時に調子を崩してしまって、今みたいに持てる様になるまでに3年かかりました。その間も試合感を保つために試合には出ていたので、試合しながら調整するという感じでした。当然成績は良くなかったですが「今はしかたない」と自分に言い聞かせて、周りから何を言われても気にしない様に、メンタルだけで投げてました。
グリップを変える前と後では違う形になったのですか?
全然違います。
どうして変えようと思ったのですか?
癖が強くなってしまったからです。以前はフォーフィンガーで、右の薬指にチップを入れてる様な形だったんです。そのうちだんだん握る様になってきたのが気になって変えようと思い、今はスリーフィンガーになりました。パッと見はそんなに変わらないんですけど、持ち方も構える角度もかなり変わりました。
練習方法や時間を教えてください。
よく怒られるんですけど、基本は練習してないんです(笑)。
私はどんなスポーツでも一人では練習できないタイプなんですよ。技術的に必要なものはもう持ってるので、あとは本番の集中力でそれを最大限に出す努力をするだけだと思うんです。強いて言えば何回かプラクティスゲームをやったり、お客さんとの対戦の中で確認したりするだけです。
今ダーツで一番大事にしていることはなんですか?
楽しもうという気持ちですね。以前は負けん気が強かったせいで、負けると悔しすぎて握手も出来なかったんです。それがプロとなって周りを見るようになってからは変わりました。今でもたまにきちんと挨拶できない選手もいて、そういう気持ちも分かります。でも同時にそうされた時の相手の気持ちも分るので、それではだめだと思う様になったんです。どんな気持ちでも最初と最後は笑顔で挨拶して、一試合一試合を大事に楽しもうと思っています。
お仕事について教えてください。
今はナチュラルナイングループの店舗を、プレイヤーとしてぐるぐる回っています。それから自分のホームだった埼玉のグリーンカフェにも週に一度入っています。こんな感じで月の半分くらいは、常にプレイヤーとして各店舗を回ります。
尊敬するプレイヤーはいますか?
浅野ゆかり選手です。ハードでもソフトでもずっとトップにいて、海外もたくさん経験してるし、ずっと尊敬してます。今は違う団体になってしまったのでお見かけする機会が減ったけど、たまに会うと誰に対してもあのほんわかした雰囲気で接してて、そういうダーツの時とのギャップが大好きです。
ゆかりさんはもちろん、頑張ってる人はみんな尊敬しています。
ダーツを初めて何年になったのですか?
13年です。20歳の時から始めたので数えやすいんですけど、今33歳ですよ!やばいですよね(笑)。こんなに続けるつもりはなかったのに、気がついたらすごい時間が経っちゃいましたね。
そこまで続けられるダーツの魅力は何でしょうか?
大人の部活です!一般の大会でみんな同じユニフォーム着て一緒になって応援して、なんていうのは大人になってからはもうないですよね。パッと思い浮かぶのはゲートボールくらい(笑)。学生じゃなくなってもそうやって人と出会うのはサークルみたいだなと思います。人との出会いに感謝できるスポーツですよね。
ダーツ以外の趣味ではダンスの他に何かありますか?
食べることです!おいしいものを食べるのが好きですね。
では地方の大会に行っても楽しいですね。
楽しいですよ。もう肥えてばっかりです(笑)。
これからの夢や目標を教えてください。
小さい目標ですけど、常にスタメンに入っていたいです。いつもトップ8に入っていたいし、もし落ちてもすぐに這い上がりたい。今までは一度落ちるとなかなか上がれないというのを何回も繰り返してたので、そういうことのないように安定したいです。そしてもちろん一度は優勝したい!それでお世話になってる人達を泣かせるのが夢です。私は夢は大きくとは言わないので、とりあえず一回でいいんです(笑)。
最後に読者にメッセージをお願いします。
最近は変顔なんかで有名になってきちゃって(笑)。へらへらしてるし、ふざけたことしか言わない私を応援してくれる人がいるのにはとても感謝しています。心からありがとうと言いたいのと、必ず優勝するから待っててと伝えたいです。