Vol.99 Cathy Leung 大特集

2019年9月号

子供時代について教えて下さい。
非常に活発で好奇心いっぱいの子供でした。何事も身につけるのが速く、よく勉強もしていたと思います。新しく興味のある課題をみつけると、一生懸命に研究していました。特に言語と音楽が大好きでしたね。

特別に何かスポーツをしていましたか?
ダーツをする前は特にはしていませんでした。ダーツは私が恋に落ちた最初のスポーツです。ダーツを始めたことによってエクササイズにも打ち込むようになり、週に3、4回ジョギングもしています。より良いダーツを投げるためにいろいろ努力しています。

いつ、ダーツを始めましたか?
約6年前です。その頃、教会の友人と2人でバンドをつくっていたんです。キリスト教文化センターに拠点を置いていました。そこにメダリストのダーツマシンがあったのです。でも誰もプレイしていなかったんです。とてももったいないなと思ったので、私はプレイを始めました。最初はマシンの取り扱い方やダーツのルールを勉強する必要がありましたが、すぐにその魅力に取り憑かれました。すぐにマイダーツを買って、楽しくて夢中になって投げましたね。
ダーツはターゲットを狙うのですが、その感覚が大好きです。これほど素晴らしいスポーツと出会うことができて、本当に幸せです。
その後いろいろな場所に行くようになりましたが、年齢や男女を問わず多くの人達と出会うことができました。それがダーツを止めていない最大の理由でしょうね。
今は多くのトーナメントに参加し、様々な会社からもスポンサードしていただき恵まれたダーツライフをエンジョイしています。

ダーツが進歩したと感じた時はありましたか?
ありました。ポール・リムに会うまで私はただの一般的なレベルのプレイヤーでした。大きな転換期となったのは、ダーツを始めた年に道場(香港のダーツバー)のオーナーが私のために彼を紹介してくれたことです。
その時に私のスローを見てポールは「とても才能があるよ」と言ってくださいました。そして彼が最も注目したことは、私が歌手活動をしていたという経歴です。多くのステージ経験があるため、観衆がいるトーナメントにおいても慣れていると思ったのです。勝負の大事な場面ではプレッシャーに負けない、強い心が求められますからね。
それ以降トーナメントにもっと積極的に参加するようになり、勝負の機会を増やすようにしました。練習も真剣に打ち込むようになり、ダーツが飛躍的に進歩したと思います。私のダーツが花開いた大きな瞬間だと思っています。
徐々に結果も残せるようになり、スポンサーも増え今の私があります。ポールには感謝の言葉しかありません。
ダーツで一番大事にしているポイントは何ですか?
ダーツにおいて基本的な技術は勿論大事ですが、より求められるのは精神力でしょうね。世界で活躍しているプレイヤーはみんな強い心の持ち主だと思います。

いつもはどんな練習をしていますか?
練習メニューがあって多くのゲームを行います。最初はカウントアップですね。目標得点にいくまで投げ続けます。それからクリケット・カウントアップ、その他のゲームもしますよ。
時間についてはスケジュールの都合もありますので、いつも同じではありません。忙しい時は日に1〜2時間、でも余裕のある時は7〜8時間投げます。

これまでに心に残った印象的な試合はありますか?
世界でも有名な村松治樹プロとの対戦は忘れられません。その日はソフトダーツ・ワールドカップの翌日で双方共に疲れていて、最高の体調ではありませんでした。それでもほとんど勝てる可能性はないと思っていましたが、彼に勝利したんです。
彼に勝って飛び上がって喜びました(笑)。世界最高のプレイヤーに勝って凄く自信になりましたね。

ソフト、スティール両方プレイされるのですか?
両方共に魅力がありますが、実はダーツとしては異なった面があります。スティールも時々投げますが、私はソフトの方が好きですね。ソフトダーツから始めたので合っているのかもしれません。ソフトダーツで多くの友人ができたことも大きな理由ですね。

ザ・ワールドに参戦していますね?
はい。2013年から少しずつ参戦しています。その頃はステージが香港のアイダーツ・クラブで開催されていたため、楽に挑戦できたんです。でも最初の頃は全く勝てませんでした。
2018年からアメリカとフランスを含め、すべてのステージに参戦することを決めました。より高い次元が求められるダーツステージを経験して、レベルアップしたいと考えたからです。世界から強いプレイヤーが集結するザ・ワールドのステージは、私にとっては本当にタフな挑戦です。しかし楽しくてやりがいがありますね。
今年、フランスで開催されたラ・ロシェルの大会でとても名誉な出来事が起きました。ベスト64に残ることができ、初めてザ・ワールド・トップ・レディースを受賞したのです。いつかさらに良い結果を残して皆さんにご報告したいと思います。

香港のダーツ状況について教えて下さい。
ダーツは香港で大人気、プレイ人口も増えていますよ。非常に手軽にプレイできる室内スポーツのため、多くの学校や会社でも導入されています。私も学校と私企業で、いくつかのクラスを個人的に教えています。またダーツは年輩者にもポピュラーなスポーツになっていますね。
ダーツライブ・オープンのような大規模トーナメントではあらゆる年齢層が集まって、とても楽しんでいますよ。
また私は香港ダーツ協会の手伝いをしていますが、各種のイベントやプロモーションを行いダーツの拡大に努力しています。着実に進歩していて私はとても満足しています。

今日本ではレディース・プロダーツ・プレイヤーが大人気になっています。その現状をどう思いますか?
香港でも同じ状況ですね。彼女たちのレベルも上がり、トーナメントにも積極的に参加するようになってきました。さらに多くの女性たちがダーツに興味を持ってほしいと思います。

トーナメントやイベントで気をつけていることはありますか?
私は歌手として活動していました。歌うときにはステージ上で最高のパフォーマンスが求められます。ダーツでも同じですね。イベントでは常にファンに最高のパフォーマンスを与えたいと心がけています。できるだけ楽しい時間を過ごせるように努力しています。忘れられないような時間が作れるように日々考えていますよ。そこでは勝負にはあまりこだわっていません。
トーナメントでは良いダーツが投げられるように日々練習を重ね、より上を目指すようにしています。

好きなダーツ・プレイヤーはいらっしゃいますか?
私の大好きなダーツ・プレイヤーはポール・リムです。彼はレジェンドですね。彼からは大きな影響を受けました。ダーツに対しての考え方やテクニックなど多くのことを教えていただきました。今でも壁に当たったときには相談に乗っていただいています。まさに師匠ですね。
そしてもう一人が香港のFBレオンです。私の良き友人でありチームメイトです。よく一緒に練習するんですが学ぶことばかりですね。彼がより良い結果をザ・ワールドで成し遂げることを期待したいです。

どんなプレイヤーになりたいとお考えですか?
私はエンターテインメント産業で働いていたので、いろいろな面でダーツ界に貢献できると考えています。メディアと太いパイプを持っています。テレビ、ラジオ、多くの雑誌でインタビュー記事に出演してきました。夕方のスポーツ番組では短いコメントをする仕事も続けています。
最高の女性ダーツ・プレイヤーになりたいと同時に、ダーツを販売促進する大使になりたいですね。ダーツを世界に広める役割に尽力したいと考えています。

ダーツの魅力とは何でしょうか?
香港はスペースが非常に限られた地域なんです。そのため多くのスポーツの進展は土地とスペースの問題のため、制限されます。しかしながらダーツは大きな空間を必要としません。ダーツボードと小さなスペース、気軽に持ち運べる3本のダーツでプレイすることができます。
本当に香港に向いたスポーツなのではないでしょうか。また年齢性別を問わず一緒に遊べるというのも大きな魅力でしょう。強い筋力も必要ないので長い期間プレイできることも大きな特徴です。60歳を過ぎても世界チャンピオンになれるスポーツなんてなかなかありません。
またトップを目指すと技術だけではなく、精神的にも様々なものが求められます。とても奥深い素晴らしいスポーツです。

ご趣味は何ですか?
歌です。元プロ歌手ですが私生活でも歌うことが大好きです。友人のダーツ・プレイヤーとバンドをつくりました。バンド名はD ALL STAR、最初のDはダーツです(笑)。皆さんにも聞いてほしいですね。

どんなファッションが好きですか?
ファッション…さてどうなんでしょうか。シンプルでスポーティなスタイルが好きですね。
歌手としてステージに立つときやポスター制作、ジャケット・デザインなどでは多くの異なるファッションが用意されました。しかし、私生活ではシンプルなデザインを選んでいます。好きな色は白や黒ですね。お休みの日にはすり減ったような古い快適な部屋着で過ごしていますよ(笑)。

ダーツをするときヘアやメイクはどうしていますか?
トーナメントに参加するときは、よく見えるために最善を尽くしますが必要以上にめんどうなことはしません。そこでもファッションと一緒でシンプルなヘアスタイルとメイクを心がけています。

あなたは自分で分析するとどのような人だと思いますか?
どうでしょうか?目指すのは信頼できて勤勉で責任感があり、人に支えられて生きていることを忘れない人間ですね。
旅行したり探検するのが大好きです。動物(特に猫)を愛しています。通りかかっている猫と一時を過ごして、幸せな気分になったりもします。
食べることが好きで友人で集まると、いつも一番の大食いとからかわれます(笑)。

今までエンターテイメント界ではどのような活動をして来たのですか?
2017年まではアーティストまたはダーツ・プレイヤーとして二足のわらじを履いていました。歌手としてアルバムをつくり、多くのステージに立ち演劇や若干の映画にも参加しました。さらに教育テレビ番組で多くの子供たちと共演していたんですよ。
しかし2016年12月、最初のソフトダーツ・ワールドカップに参戦後、いろいろ考えた末、2017年からダーツ・プレイヤーをフルタイムにする道を選んだんです。
そのため今では大好きなダーツ漬けの日々を送っています。歌う機会は香港や広州で開催されるダーツライブのイベントなどでしょうか。

あなたは何度も来日していますが、日本の印象はいかがですか?
数年前から何回も行っています。日本は大好きな国です。食物や文化、日本の美しい風景は素晴らしいですね。
特に冬の北海道が忘れられません。雪が降っていて、それは言葉では言い尽くせないほどロマンチックでした。勿論シーフードはたくさん堪能しましたよ(笑)。
日本人はとても礼儀正しく、親切です。私は日本語を話せませんが、コミュニケーションに問題があるとは感じませんでした。日本人は賢くて、人々を理解することに長けているからなのでしょう。

将来の目標と夢をお聞かせ下さい。
私の夢…。それは世界中をダーツ旅行することです。世界中で友人を作りたいですね。

最後に読者にメッセージをお願いいたします。
今回の私の特集を読んでいただきありがとうございました。心から感謝申し上げます。
何処かのトーナメントやイベントでお会いしたら、一緒にダーツを楽しみましょう。もしあなたが香港に来る機会がありましたら、ぜひダーツハイブに来て下さい。きっとお会いできると思います。

※2022年よりジャパン・レディースに挑戦しています。