2011年1月
日本からの熱い声援を受けて登場した橋本選手。1回戦はイギリスのマット・パジェットを押さえ、2回戦へと駒を進めた。次の対戦相手は今大会決勝まで残ったゲイリー・アンダーソン。橋本選手はアンダーソン相手に最初から180を出すなど、観客を魅了するダーツを見せたが、力及ばず残念ながら敗退となった。
「もし」という言葉は勝負の世界では通用しないが、あえて言えばもし橋本選手が2回戦で当たったのがアンダーソンでなければ、もっと上までいけたのではないかという悔しさも残る。対戦したアンダーソンも橋本選手のダーツを素晴らしいと称えていた。日本のダーツを未来へと繋げる意味でも、橋本選手の残した足跡は大きい。
橋本 守容 Morihiro Hashimoto インタビュー
ワールドチャンピオンシップへの初めての挑戦はいかがでしたか?
もちろん去年は僕にとって初めてのワールドチャンピオンシップへの挑戦だったわけですが、以前からテレビ等で試合などは見ていたので大体の雰囲気はつかめてました。まあ、予想していたものとさほど変わらなかったですね。比較的落ち着いてプレイできました。
ただ一つ予想外だったのは、僕が投げているときイギリス人の観客の方々が僕のことを凄く応援してくれたことです。
第一試合の途中から何故だかわかりませんが、みなさんがとても熱心に応援してくれだして、「HASHIMOTO!」コールの大合唱になったんです。それで緊張するということはなかったですが、やっぱりぐっと来ましたし、本当に嬉しかったですね。
行く前にプレッシャーは感じましたか?
それはもちろんありましたね。やっぱり、前の年にハルキ選手が1勝しているので、僕も最低1勝はしたいと思ってました。
対戦相手を前もって研究しましたか?
いえ、研究はしていません。実は映像などを探したのですが、殆んど見つからなかったんです。相手のランキングをチェックしたくらいですね。ごく短い映像はあったので、それは見ました。だから、研究しようとはしたということですね。
今回もイギリスは大雪で大変だったようですが、トラブルなどはありませんでしたか?
帰りの飛行機が飛ばなくて、3日間帰国が遅れました。現地時間で12月20日に発つ予定が、結局23日になってしまったんです。会場に行くときも大雪のせいでバスが動かなくて、歩いて行きました。去年のハルキ選手と同じです(笑)。
イギリスは雪に対する対策などは取ってないようですね。足止めされた3日間は買い物などに行く程度で、後はホテルにこもって過ごしました。
会場の雰囲気はどうでしたか?
試合の前日に練習のため会場に行ったんです。ステージも見ましたし、練習ルームも行きましたから、当日は雰囲気に呑まれることはなかったですね。周りで話してる言葉もよく分からないので、特に気にしたり緊張することも無かったです。
第一試合はどんなゲームでしたか?
相手が先攻で始まり、お互いキープが4レッグ目まで続いたんです。僕としてはどこかで一つブレイクしたいというのがあって、それが5レッグ目に来ました。次のレッグは僕が先攻で、僕がキープして結局勝ちました。ブレイクした頃には、観客からの歓声も凄かったです。お互いキープしていく試合展開で、観客の方も乗ってくれたのかも知れません。
第二試合の対戦相手アンダーソン選手は決勝まで行きましたね。
そうですね。僕も最初180出したんですが、やっぱりトータルで140の数が違ったなと思います。アンダーソン選手は強いなという印象を持ちました。
相手が違う選手だったら、もっと上までいけたかもしれないという考えはありましたか?
それはちょっとありましたね。まあでも、仕方ないです。
フィル・テイラーが負けるなど波乱の大会で若手の活躍も目につきましたよね。
そうですね。優勝したのもエイドリアン・ルイスという若手の選手でしたからね。
橋本選手は観客の心を掴むダーツをしたと思いますが。
僕の中では、今の自分のベストは尽くせたと思ってます。本当に悔しいですけどね。
今後日本選手が勝ちあがっていくためには何が必要ですか?
根本的な、60(20T)に入れる技術ですね。それが日本人に足りないところだと思います。それから、100、140の数でしょう。
ダブルフィニッシュに関してはどうですか?
60に入れられれば、ダブルは難しくないと思いますよ。あとは本人の心の問題というか、度胸さえあれば、大丈夫だと思います。
2011年への抱負をお願いします。
もちろん2011年もPDJ、PDC共に出たいと思ってます。負けた悔しさをバネに、もう一つ、二つ、さらには優勝まで狙っていきたいです!