Vol.114 知野 真澄
SETTING

僕は一つのセッティングで貫き通しています。
以前よりは多くの商品が出ていてそのような選択肢もあるとは思うのですが、
僕にとっては道具はパートナーなので変えられません。

改めてダーツ歴はどのくらいになりますか?
え〜と、始めたのが17歳なので18年目になります。長くなって来ました。

最初にマイダーツを買った時のバレルやセッティングは覚えてますか?
当時は今のようにダーツ道具が簡単に手に入らなかったので、あまり鮮明には覚えていないんですが、多分プーマ製品でセッティングはパッケージに付属しているものでした。

10年ほど前から日本メーカーから付属品が各種発売されて、セッティングについては研究されて来ましたか?
当時は一般的には長いシャフトで揚力を得るために大きなフライトが安定した飛びには良いよ、と説明されていたように思います。勿論それで飛び方、刺さり方など試しましたが、でも逆に短いシャフト、小さなフライトではどうなるのかいろいろ検証しました。フライトを裁断してさらに小さくしたりして、楽しみながらやっていましたね(笑)。
遊びの中で短いシャフトでも小さなフライトでも飛ばせるな、と学びました。それでしっくり感じたのが短いシャフトで小さなフライトだったので続けていったんですが、それが今のセッティングのベースに至った経過です。そこまで深く考えていない時期から、楽しんで遊びながら見つけたセッティングです。
ダメ押しといいますか当時のフィル・テイラーはスリムのフライトを使っていて、勝手に「うまい人はスリムなんだ」なんて解釈していました(笑)。

チップについて今のを使っている理由は?
今僕の使っているバレルではバリエーションが無いんです。アキュートのリップでLとのコラボです。スティールではポイントは長めですね。

シャフトについてはいかがですか?
Lシャフト・ロック・ストレート・130です。これもエルとのコラボ商品です。一番短いシャフトですが10年以上使っています。昔はエクストラ・ショートと言われていました。

フライトは?
Lのスリムで、ナンバーで言うと6ですね。ずっと小さいのを使っています。

セッティングによって飛び方は変わりますよね?
ダーツを楽しむのには、とても重要なことだと思っています。ぜひ遊びながらたくさん試して欲しいと思いますね。僕の場合ではこの短いシャフトと小さなフライトにしてから暫く、いろいろな方からブツブツ言われました。それでさらに懸命に練習して、これできちんと入るよと示したかった面もあります。意地になったような感じもありますが、そんな展開もあるのがセッティングです。

セッティングで大事なことは何でしょうか?
僕は信頼だと思っています。この道具で同じセッティングだったら、必ずいつもの飛びをしてくれるということですね。たまたまこのセッティングを早い時期に決めて、飛びや刺さり方を10年以上見ているので変えることは難しいです。こういうパターンだと弾かれたり、吸い込まれる軌道などは把握していて、安心感があります。

理想とするダーツの飛びは?
昔は盤面に対して垂直に刺さる感じが正解だという風潮があったんですが、今では飛び方や刺さり方というよりは入り方が大事だと思っています。プレイヤーによって上から斜めから、など個性があるのでそれが重要ポイントではないでしょうか。直線的、放物線、などいろいろ刺さり方がありますがどう入っていくのかに注視しています。それはソフト、スティールでも同じように考えています。
ソフトでも上に付いているダーツをそのまま追いかけるのか、立ち位置を替えて投げるのか、自分のパターンを知っていると弾かれるケースは減ると思います。自分の入り方を知っているといろいろな場面で対処できますね。

プレイヤーによってはセッティングの種類をいくつか持っていて、会場当日で飛びを見て変える人もいるようですが?
僕は一つのセッティングで貫き通しています。以前よりは多くの商品が出ていてそのような選択肢もあるとは思うのですが、僕にとっては道具はパートナーなので変えられません。今の形を熟知していると思っているので、全面的に信頼しています。DMCのセイバーとセッティングは最高の友で迷いは無いですね。
日本には四季があります。夏は湿度が高くて冬では乾燥していますが、このセッティングで長く投げているので、その時にどんな飛び方をするのかも知り尽くしているんです。
試合当日に調子が悪い時は、自分のインスピレーションを大事にしています。

初心者の皆さんにセッティングの助言をお願いいたします。
皆さんダーツ楽しいな、と思って始めていると思うんです。今は本当に多くの種類が出ているので、楽しみながらたくさんのパーツを試してほしいですね。あまり固定観念を持たずに柔軟に考えることです。「え〜!こんな飛び方になるのか」、など多くの発見があって、さらに楽しくなることと思います。
ダーツショップに行っていろいろ試投して、助言を求めるのもいいですね。遊びながら上達していきましょう。

今使っているご自身のバレルの説明をお願いいたします。
ずっとDMCのセイバーを使っていたんですが、今はプレイヤーモデル、セイバー・マスミ・SP2というのを出していただきました。より僕の個性が表現できたオリジナルとなっています。元々のセーバーでも何も悪いことは無かったんですが、その中でもカットの強さなどを調整してさらに使いやすい形状になったと思っています。とても満足しています。

プロトーナメントが再開されましたが、いかがですか?
いやぁ、うまい人が増えました(笑)。今までは上位ランクはだいたい同じような名前が並んでいましたが、様変わりした感じです。この2〜3年きっと努力していたんでしょうね。家で投げられる環境も整ったので、それもあるのかもしれません。ダーツを上達させるためのフィールドが広がっています。

久しぶりの試合ですが、うまく対処できていますか?
マスク着用で戸惑うこともあります。試合では外してても良いとなっていますが、お店で練習する時は着用しているので、どちらをベースにするのかなどですね。うまく適応したいです。顔の近くに引いてくるプレイヤーはたいへんだと思います。

出だしの成績はあまり良くないですね?
そうなんですよ。元々スロースターターなので、徐々に上げていきたいと思っています。このコロナ禍で何か足りなかったのか、反省もあります(笑)。
※このインタビュー後、第5戦札幌で優勝

今ダーツで課題にしていることは何ですか?
シーズンが始まって調子が良くないので、強い頃のダーツに戻したいと考えていたんです。でも徐々に今の自分のダーツをさらに磨いて、という考え方になってきました。それに向けて練習しています。
具体的には調子が良くても悪くても求めていることは100%なんですが、必ず最低80%打てるようにするということです。浮き沈みなくある程度のレベルで安定させて維持したいです。