Toshihiro Katayama-Vol.65.2014.1-Top

Vol.65 片山 俊宏
ダーツショップ 真の役目 

2014年1月

ダーツとの出会いを教えてください。
友人がダーツバーでアルバイトをしていて、そこへ行ったのがきっかけです。

それはいつ頃ですか?
10年くらい前です。大学時代の友人に会いに行ったらたまたまダーツが置いてあったんです。でもその時は別にハマってないんです。その後ゲームセンターで一人で投げたりしてて、ある日チラシを見て『ディストマ』というダーツバーに行ったんです。そこで常連さん達にいろいろ教えてもらいながらだんだんハマっていきましたね。

Toshihiro Katayama-Vol.65.2014.1-1

そして今は『D×3』の店長になられてるわけですが、そこまでダーツに惹かれたのはどうしてでしょう?
ダーツはやることは単純じゃないですか。そんなに技術が必要ではないのに思う様にいかないところに、性格上つい真剣になってしまったんです。そこから夢中になりましたね。
そんな僕の姿が石川社長の目に留まったのか、声をかけていただいて今に至ってるわけです。

10年の間にダーツ業界もだいぶ変わりましたが、最初と今ではどのように違いを感じられますか?
最初はダーツを投げてる人なんて周りにも全然いなかったし、ある意味「オタク」のようなイメージだったと思うんです。「ダーツやってる」と言うと「ダーツって何?」って感じだったので、なんとなく周りには言い辛い雰囲気でした。ちなみにうちの母親は、今だにダーツというのはボードがぐるぐる回ってると思ってるんですけど(笑)。
今の状況はだいぶ違いますよね。プレイヤーはあきらかに増えてると思うし、頑張った先には『プロ』というものがあるというのは大きな変化だと思います。

ご自身も『ジャパン』のプロプレイヤーですが、大会にはどのくらい参戦されてるのですか?
近場の大会だけ年間4〜5戦くらいです。距離やお金じゃなくて時間の問題ですね。僕にとってはお店に立ってる時間が大事なので、大会に出るのも店のスタッフとしての幅を広げるためというか、お客さんに試合の話なんかができるようにというのもあります。まぁ、ホントはもっと出たいですけどね(笑)。

Toshihiro Katayama-Vol.65.2014.1-2

今までいろいろなお客さんと接してこられたと思いますが、プレイヤーの変化についてはいかがですか?
最近始めたばかりのプレイヤーでも、心境的には僕が始めた頃とそんなに変わらないと思います。でも以前と今では環境が全然違いますよね。昔はダーツを投げるといえばダーツバーしかなかったしお金もかかりました。上手くなるためにたくさん投資したプレイヤーも多いと思うんです。でも最近のプレイヤーはいろんなシチュエーションで投げることが出来て、ある意味恵まれてると思います。女子も昔はほとんどいませんでしたけど、今は本当に活躍してるプレイヤーが多くなりましたね。
10年でこれだけ変わったんで、この先ももっと変わるんじゃないでしょうか。僕は最近始めたプレイヤーが、どうしたらこの先長く続けてくれるかを常に考えてますし、この先もショップでできることをして、良い方向に変化させていきたいですね。

以前はダーツといえば海外メーカーのものしかありませんでしたが、数年前から日本製品が充実してきて、ストックや商品説明なども大変じゃないですか。
ショップとしてはバラエティがあっていいと思います。昔は結構単調じゃないですか。チップも色を選ぶくらいだし、羽もスタンダード・ティアドロップ・スリムの3つ、シャフトはショート・ミディアム・ロングの3つの中から選んで下さい、という様に簡単ではありましたが選択肢は少なかったですよね。
今はこれだけ種類があるので、人と違ったダーツを作ることもできる反面、疑問に思うことも増えてるはずなんです。お客さんにそういうことを説明したり、奥深い話を積極的にすることがショップの仕事だと思うので、昔より楽しくなってますね。

ブログにも力を入れられてますね。
幅広い層のプレイヤーに楽しんでもらえるように、なるべく初心者の人に分かる用語で説明することを心がけながら、ダーツには実は深いところもあるんだということを分かってもらえるような内容にしています。
初心者からコアなプレイヤーまで、それぞれの目的や目標やモチベーションにつながるような内容にして、ダーツを楽しむきっかけの一つになってくれたら嬉しいですね。

岡崎店も一宮店も面積が大きくてマシンも何台も置いてありますね。全国的にも大きい店舗だと思いますが、ショップの状況はいかがですか?
店舗によって多少の温度差や商品の売れ筋などは違いますが、来て下さるプレイヤーの数は確実に増えてます。

お店の特徴を教えてください。
当店の特徴は、店も広いのでいつ来ても投げられることと、お客さんにしっかりアドバイスできるスタッフがいることです。来ていただいたお客さんとはゆっくり話したり一緒に投げたりと、コミュニケーションが取れるようにしています。営業時間も長いので、いつでも投げたいと思った時に純粋にダーツに打ち込める環境だと思います。

Toshihiro Katayama-Vol.65.2014.1-3

ダーツショップとして目標などはありますか?
ダーツに携わることはすべてやりたいです。大会やダーツ教室などもやりたいですし、もっといろんな地域にも店舗を広げたいです。ダーツに関する自分の思いが、広い範囲で伝わるような形が取りたいですね。
お客さんといろいろな話をできるお店作りを大切にしているので、分かりやすく親切に話すことも心がけてますが、逆にお客さんがキョトンとするくらいマニアックな話もするようにしているんです。
こういうマニアックなスタッフがいるということで、他の店では味わえない様なコアな話を聞ける店だという印象も持ってもらいたいです。僕はそういうコアな話をするのが好きなんですよね。
例えば「samurai」がNo.10まで出てる時に、1から10まで見ないで触っただけで商品を当てて、その番号の的に当てるという練習をしてたんです。全部当たった時もあって、周りから驚かれたこともあったんです。余談ですが、昨日久しぶりにちょっと練習してみたんですよ。そうしたら、昔はグリップを触って種類を判断してたんですけど、今は投げ方が変わって、放す感触で判断してるということを発見したんです。触っただけだと微妙な部分で分からないこともあるんですが、放す時に「今のはNo.5だ」と分かるんですよね。

飛び方の特徴で分かるということですか?
飛びじゃないですね。触った感覚です。僕の場合ダーツは感覚で、理屈は後から付いてくるんです。なので、お客さんに対しての教え方もだいぶ変わりました。
昔は投げ方なんかも一生懸命教えてたんですけど、最近は教えるというよりは見ててあげるという感じなんです。じっくり見てて「最近はそんな感じ?」とか「今のはどうしたの?」みたいに声をかけて、その人自身の感覚を鋭くさせるようなアドバイスをするようにしています。昔も今も育ててあげたいという気持ちは同じですけどね。

石川社長によると片山さんはすごいアイデアマンで、フライトをティッシュで作ってみたり、テニスボールで投げ方を教えてみたりと、いろんな方法でお客さんに飛び方を教えているそうですね。
ダーツの投げ方は、日常のいろんな感覚からもヒントを得られると思うんです。例えばお賽銭を投げる感覚ということで、実際にお賽銭を投げに行ったり、ボールを投げる時の力の加減を理解してもらうためにボールを投げてみたりといったことをしています。

Toshihiro Katayama-Vol.65.2014.1-4

ティッシュでもダーツは飛ぶんですね?
形にめちゃめちゃこだわってる人がいたので「こんなんでも飛ぶんだから」という意味でティッシュのフライトを作ってみたんです。
とにかくいろんなことを実践して、言葉と実際の感覚との両方で理解してもらうということを一番大事にしています。
例えば重心の位置がどうだとかも人によって違うし、ダーツには答えがないことも多いじゃないですか。自分で見つけないとならないものなので、その力を育てることの方が上達への近道だと思うんです。それが僕の教え方ですね。

ダーツショップだからもちろん商品はたくさんあるけど、さらに一歩踏み込んでもらって、ダーツに関する様々なことをサポートしているということですね。
そうですね。初心者だからといって初心者扱いするんじゃなくて、プロになるところまで面倒見たいと思うんです。でもいきなりじゃ無理だと思うので、徐々に目標を見つけられるようにアドバイスするようにしています。
お客さんは「どんなダーツだったら上手くなりますか?」みたいに、スタッフに選んでもらいたい人が意外に多いんです。でもこちらから選ぶことはあまりしません。重いのと軽いのがあったら、こちらから薦めるのではなくお客さんに実際に持った感覚で選んでもらう。どっちにしてもその人が選んだ方が正解なんです。それを中心にいろいろ展開していくというのが僕の鉄則です。
投げ方にしても「どうやって投げたら上手くなるんですか?」と答えを求めたがるんですね。例えば雑誌に書いてある練習方法などは、その通りにやれば上手くなると思いがちじゃないですか。でも実際はそうじゃないし、そこを自分で考える事に意味があると思うんです。
「それは自分で探すものでしょう。それがダーツでしょう」と、あくまでもお客さん自身に見つけ出してもらいたいんですよね。考えて感じてもらえるように、そのお手伝いをするためにコアな話なんかもしちゃうんです。

最後にひとことお願いします。
これからプロトーナメントにも積極的に出て、選手としても頑張っていきます。ダーツ人口がもっともっと増えて、自分が生きている間にますます注目される競技になる様に努力したいです。
自分がダーツに携わってきて良かったなと10年先も思えるように、今できることを頑張りたいと思います。

DX3 よろしくお願いいたします