Vol.97 The 15th ADA INTERNATIONAL
DARTS TOUR

2019年5月

毎年、香港で開催されるADAだが15周年記念大会が大成功の内に閉幕した。今までに何回も取材に赴いているが、毎回思うことは会場の熱気だろう。朝早くから夜遅くまで、会場のあちらこちらが歓喜に湧いている。そして感じるのはプレイヤーたちが世界から集結しているため、実に国際色豊かなことだ。
ロシアチームとコミュニケートしたかったのだが、彼らはほとんど英語を話さない。困っていると、そこに英語とロシア語を話せるモンゴルの人が来てくれて助けてくれた。ダーツで海外に行くと何時も思うが、本当に様々なタレントを持っている人達が多い。後でメールが来たのだが、モンゴルではダーツがブームになりそうだということだ。冬は激寒なので室内競技のダーツはとても向いているという。確実に世界にダーツは拡大していることを感じる。
今ADAが特に力を入れているのが、ユースの取り組みだ。中国の学校を訪れ、様々なプロモーションを展開しているそうだ。徐々にその努力が実り、今大会には百人ものユースプレイヤーが参戦した。ダーツ界にとっては夢のある試みなので、大いに期待したい。

それにしても15年も大会を開催し続けているADAには、正直頭が下がる。これほどの人数の大会になったことは嬉しい悲鳴だろうが、準備はいかほどに大変なことか!参戦するプレイヤーは楽しむだけだが、それは彼らの努力で成り立っているのだ。
後のインタビューでも分かるように、ジョセフとクリスのホスピタリティーには感銘する。
来年以降も長く続けていって欲しい大会だ。世界のプレイヤーたちの架け橋になっていて素晴らしい。

Light Leagueより選出されて参戦
芹澤 甚太
ライトリーグから香港ADAへ派遣された代表チームがone80dartsの島村真央選手、辻裕充選手と共に大活躍!
ライトリーグはスティールダーツのリーグで、2週に1度3名から参加ができて、アレンジも教えてくれる初心者でも楽しめるリーグです。
スティールダーツで楽しく遊ぶ目的で出来たリーグですが、年間最低8名ものプレイヤーを海外に派遣しています。
現在はアジア限定ですが交通費、宿泊費、エントリーフィーの全てがライトリーグから支給されます。しかも派遣先はプレイヤーが選べ、ソフトダーツでもOKという自由度の高さです。
ライトリーグは特殊ではありますが、Lスタッツという基準点が自動で計算されますので、自分のレベルが一目で分かります。
代表選手はこのスタッツの上位から選ばれますが、下のディビジョン1位も抽選で派遣のチャンスがあります。
今回のライトリーグチームはたまたま沖縄と北海道という面白い選抜になりました。国別対抗では松田純、伊良部昌貢、辻裕充、島村真央の4名は強豪国が多数出場の中でトップ8!。そしてダブルスのLーstyle CUPでは松田、伊良部ペアが見事準優勝、という活躍を見せてくれました。

その中でも特筆すべき点は、今回の各国1名が代表で出るスーパーワンに松田純さんが選ばれ、また国別対抗のリーダーとしてみんなをまとめてチームを引っ張ったのです。松田さんはライトリーグのLスタッツ1位で今回の代表入りをしたのですが、現在はソフトのプロトーナメントには参加していないプレイヤーなのです。
ライトリーグという楽しくワイワイやるスティールダーツから上がってきた松田純さんは、前回の畑野千春さんもそうですが環境にも強く、しっかりと結果を残して頂きました。
そして自分達の試合が終わっても最後まで応援して頂いた砂川高輝さん、砂川哲治さん、宮城信弘さん、宮國翔さん、ナナエさんも含めた今回のチームは、みんなの力が一つになって良い結果につながりました!最高のチームに感謝します。
これからもライトリーグはダーツが楽しくなる方向を考えて、進化していきたいと思います。

日本代表
■ 皆様よりコメントをいたたきました。
チームリーダー 松田純さん
この度ライトリーグランキング枠で招待して頂きました、北海道のアマチュアプレイヤーの松田です。世界各国の代表が集まるトーナメントに参加出来、とても貴重な経験になりました。
日本のトッププレイヤー伊良部選手のお陰で、決勝の舞台まで経験させて頂きました。このステージは一生忘れる事はないと思います。ライトリーグ事務局様、LーStyle様、本当にありがとうございました。この経験を多くのダーツプレイヤーに伝えて行きたいと思います。

伊良部昌貢
今回はライトリーグで優勝でき又、全国の優勝チームの中から抽選で海外派遣をするプロジェクトに石垣チームが当選しましたので、香港ADA大会に参加させてもらいました!
今回参加したメンバーの中で僕が色々な大会を沢山経験していているので、皆んなを引っ張っていけたらと思っていましたが…。僕が皆んなに引っ張ってもらっていましたね(笑)。
ほとんどの試合が悔しい結果ばかりで、応援してくれた方にはいい結果報告が出来ずに申し訳ないです。また違った形でどんどん参加して行く予定でいます。その内、いい結果報告が出来る様に頑張って行きます。今、1番言いたい事は、ライトリーグ最高、ありがとうございました!

辻裕充
今回、私のスポンサーのone80様とLーSTYLE様のご厚意で、参加させていただきました。日本で試合をする何倍も疲れましたが、それ以上に良い経験をすることが出来ました。今後はこの経験をダーツに生かしていけるように頑張ります。
ありがとうございました。

島村 麻央
スポンサーして頂いているONE80様、Lーstyle様のご好意で日本代表として参加することができました。
三日間のハードスケジュールでしたが、沢山の経験をすることができました。結果を言えば悔しい三日間でしたが、まだまだ戦える!。自信に繋がる悔しさ、確信がもてる経験となりました!
また、伊良部プロを筆頭とする石垣メンバー、北海道からアマチュアといえど、めちゃくちゃ強かった松田さん、ONE80チーム辻プロ。このメンバーと三日間戦えて本当にダーツが楽しかったです!みんなが居たから戦えました。
この経験は私の宝物になると思います。全力で三日間サポートしてくれたチームLーstyle、励まし続けてくれて日本代表のチャンスをくれたジンタさん、招待してくれたONE80様、ほんとに私を強くしてくれてありがとうございました!
絶対、また戦いに行きたいです(^^)。

砂川高輝
皆さんお疲れ様でした。今回もじんたさんをはじめテイちゃん、ヒロキさん大変お世話になりました(笑)。
初日のパトロールからスタートして、いろんなドラマがありとても楽しく過ごせました!海外の大会は4回目ですが、世界の凄さを毎回感じます。こんな素晴らしい舞台を見れるのもじんたさんのお陰です。本当にありがとうございました。
自分なりにライトリーグや海外の大会を、沢山のプレイヤーに広めて行きたいと思います。今回も最高なツアーでした。皆さん本当にお疲れ様でした!。

砂川哲治
この度、ライトリーグにて、このような形で海外の大会に初めて参加でき、世界のプレイヤーと対戦出来ました。いい経験ができ、ありがとうございました。世界のレベルは凄いなあって実感しました。
悔しい思いもあるので、この経験をこれから先のダーツに活かしていきたいと思います。Lーstyle様、関係者様ありがとうございます。

宮城信弘
今回、ライトリーグ 沖縄・石垣チームとして参加させて頂き、貴重な経験をさせてもらいました。世界で活躍する選手達がいる中、チームとして一緒に戦えて本当に幸せな時間でした!。参戦は少ないですが、この経験をPERFECTの試合でも活かせるように頑張りたいと思います!
関係者の皆様、チームの皆様、本当にありがとうございました!

宮國翔
この度、ライトリーグ海外派遣でADA香港に行かせて頂きました。
多少不安でしたが、Lーstyle様の素晴らしいサポートと心強い日本人プレイヤーの皆様のお陰で、自分の今持てる力を最大限に出せたかと思います!
色々と初めての経験で海外プレイヤーと会場に終始圧倒されっぱなしでした。この経験は絶対に今後の人生のステップアップに繋げて行きたいと思います。
本当に貴重な経験をさせて頂き、ありがとうございました。

Asia Darts Association Interview
今年はどんな大会でしたか?
ジョセフ 今回のADA大会ですが、15回目を開催することが出来ました。最初は3百人を必死に集めてスタートした大会ですが、今年は三日間共に満杯、会場を埋め尽くすことが出来ました。毎日1200人以上の参加ですので、会場が小さく感じるほどでしたね。今までの努力が実って、主催者側としても嬉しい限りです。
今年の大きな特徴は23才以下と16才以下の2部門合わせて、ユースプレイヤーが百人以上参加したことですね。このことはダーツ界にとっても画期的なことだと思っています。長い期間、取り組んでいろいろ試行錯誤してきましたが、なかなか思っていたより難しく、やっと今回実現できました。ダーツ界に、大きなインパクトを与えたと考えています。
ダーツは始める人も多いのですが、止めていく人も少なくありません。やはり全体を底上げするには、若い人達に知ってもらい始めてもらうことが必要です。

クリス 今までの中でも最も忙しかったですね。イベント数が増え、プレイヤーも凄い数だったので大変でした。数日あまり寝ていませんが(笑)。皆さんに楽しんでもらうことが出来てよかったです。
ユースのステージは特に注目して見ていました。大成功で終えることが出来て、ほっとしています。そして試合内容もとてもよかったですね。これから更に層を厚くしていきたいと思います。
このイベント実現のために、昨年はたくさんの学校を訪問してプロモーションを行いました。先生たちにダーツを説明し、ぜひダーツをクラブ活動に導入して下さい、とお願いして回りました。多くの学校で賛同を得ることができたことが、この結果に結びつきました。
努力が報われたことは嬉しいですし、取り組み方に間違いはなかったと思っています。
今回の経験はとても役立ちました。ご存知の通りダーツという競技は、けっしてフィジカルなスポーツではありません。
しかし逆に先生たちには、それが受け入れやすい要素だったんです。必ずしも格闘技のようなスポーツが好きな子供ばかりでは無いということです。何かしたいけど、あまり体力には自信が無いし、お洒落感も欲しいな、という子供にはマッチしているんですね。
そして真剣に取り組むと意外と体力的には疲れるし、普段では使わない集中力、頭脳も求められるので、その魅力にはまります。将来とても有望なクラブ活動に成長するかもしれない、と話す先生もいました。

お二人はダーツのお仕事をされてから、もうかなり長いですよね。思い起こすとどんな事がありましたか?
クリス そうですね、長いですね。確実に15年は経っています(笑)。最初の頃はダーツも普及していなかったため、仕事にすることは大変でした。その時に日本の多くの会社やプレイヤーに助けていただいたのは、今も忘れていません。ADAを立ち上げて第一回大会を開催した年には、香港に大人数で来ていただきました。今ADAが成功しているのは、あの時の力添えがあったからこそだと思っています。
寂しいことにその後はソフトダーツを取り巻く環境が激変して、お互いの国に参戦するような機会も無くなってしまいました。とても残念なことだと思っています。

ジョセフ 1996年からダーツビジネスに関わっています。最初にアメリカのアラクニッドのマシンを取り扱って以来です。若い方は知らない名前のマシンかもしれないですね(笑)。
それ以降多くの過程を経て、今はソフトダーツマシンのディーラーをしながら、香港は勿論のこと中国でもソフトダーツの普及活動に尽力しています。ソフト、ハード共に長い間その歴史に携わって来ましたが、ダーツは今更ながら、本当に素晴らしいスポーツだと思います。だからこそこれほど長く続けて来ているのでしょう。

日本のソフトダーツ界をどのように思っていますか?
ジョセフ 香港と日本ではこの10年、全く違った道を歩んで来ました。日本ではプロツアーに注目が集まっていますが、香港ではそのような状況にはなっていません。
私個人の意見ですが、ソフトダーツでプロツアーは必要なんでしょうか?そこまでダーツの真髄を目指すのならば、スティールに移行すればいくらでも戦えるステージが世界にはありますからね。私には懐疑的に思えて賛成出来かねます。特に二つのツアーがあることによって、プレイヤーの交流なども減り、ソフトダーツの一体感も無くなっているのではないでしょうか。
外から見ているとビジネス面でも、とても苦しんでいるように見えます。

アジアのソフトダーツはどのような状況ですか?
クリス 日本を除いて他のアジアの各国は、地理的に距離が近いですよね。そのため香港のプレイヤーは、よく外の国の大会に参戦しています。台湾、中国、韓国などとは深い交流が続いています。遠征する度に友達が増え、SNSで繋がるため広がっていますね。
私どもは大きな大会には、チーム香港として多くのプレイヤーを送っています。韓国には50人、台湾には60人、昨年末の中国大会には400人を送りました。凄い人数でしょう(笑)。
そんな地道な努力をした結果、アジア各国でソフトダーツが根付きました。少なからず貢献できたのではないでしょうか。

これからの10年、ソフトダーツ界はどのようになっているとお考えですか?
ジョセフ 5年前から中国の大学にソフトダーツを紹介する企画を始めました。卒業した生徒たちが今ではソサエティーを作って、現役生徒たちに教えるようになっています。素晴らしいことなので、できるだけ応援しています。例えばコーチやレフリーを派遣したり、マシンの設置、大会開催の仕方などですね。同様に最近では小学校、中学校、高校にもプロモーションを開始しています。若い人達は上達も早くて、見ていても楽しいですね。
このような状況が拡大すると、当然10年後にはダーツのルールがより多くの方に理解され、身近にプレイされるようになり、浸透しているのではないでしょうか。
中国の人口は圧倒的なので、これから先のダーツの将来を握る大きな鍵になることは疑う余地がありません。まだまだ始まったばかりですが、その成長に大いに期待しています。

最後に読者にメッセージをお願いいたします。
クリス 日本はソフトダーツでは世界を牽引する大国となりました。プレイヤーの層も厚いですし、実力もずば抜けています。またビジネスでも、次々に新しい商品を出しておられるので、その発想には感服しています。皆さんぜひADAに参加していただき、ダーツの輪を広げ一緒に楽しみましょう。本当に楽しい大会ですよ(笑)。

ジョセフ 正直、日本人プレイヤーが多く参加いただけていない現状は寂しいことです。ADAには世界から多くの違った文化を持ったプレイヤーたちが参加しています。ダーツで日本文化を発信して下さい。来年はお待ちしております。