Vol.84 THE DAY
何を目的に何を伝えたいのか

2017年3月

毎日一生懸命生きていかなければならないと思わされる中で、日々の一瞬一瞬を大事に生きて行こうという気持ちを込めて
『THE DAY』というブランドを立ち上げました。

ダーツに携わる様になった時期ときっかけを教えてください。
ダーツを始めたのは約15年前です。最初は飲食店をやっていましたが、そこにディーラーさんからの紹介でダーツを置く様になったのがきっかけです。
現在は『THE DAY』というブランドを立ち上げ、アパレルとダーツを絡めながら、イベントの運営企画などもしています。

『THE DAY』を始めた理由を教えてください。
始めたのは2011年の震災の年でした。この年は父が亡くなった年でもあり、震災でもメンタル的にいろいろあった年でした。毎日一生懸命生きていかなければならないと思わされる中で、日々の一瞬一瞬を大事に生きて行こうという気持ちを込めて『THE DAY』というブランドを立ち上げました。

強いコンセプトの基に始められたブランドのようですね。
はい。まずは、『何を目的に、何を伝えたいのか』ということをしっかり固める努力をしました。ブランドコンセプトというのは、やっているうちにどうしても少しずつ変わっていってしまうんです。それでも芯となるものだけはしっかり固めていたかったので、最初の3ヶ月間くらいはそれに費やしました。例えばデザインを作る時でも、「毎日一生懸命生きて行こう、常に輝いていよう」と思える様なデザインコンセプトで考えています。また、そういうプレイヤーを発掘して応援していくことをポリシーとしています。

『THE DAY』の商品について説明していただけますか。
よくユニフォームメーカーと言われるんですが、どちらかというとカジュアルウェアを中心としたアパレルメーカーという位置付けです。その中の一つにユニフォームがあるわけで、ユニフォームだけのメーカーではないですね。
僕たちの願いは、いろいろな人にダーツをもっと身近に感じてもらうこと。ダーツがもっと、ライフスタイルの中に入っていってほしいということです。『THE DAY』がきっかけで、「ダーツってカッコいいな」「ダーツって楽しいな」と感じてもらえたらいいですね。ダーツがクールにライフスタイルに取り込まれて、ダーツ業界の盛り上がりに協力できたらと思っています。
アパレルがメインですが、それ以外の物も作ってるし企画もしています。生活の中に『THE DAY』を少しずつでも感じていただくためには、どうしてもアパレルだけでは弱いですから。

商品の企画やデザインにはかなりの時間を費やすそうですが、その発想というのはどういうところから生まれるのですか?
これはよく聞かれるんですが、とにかく『好き』というのが一番だと思うんです。好きだからこそ常にアンテナを張っていられるんですよね。時間があれば家具や洋服を見に行ったり、居酒屋に行ったりしながら、何かしら新しい物を作り上げるヒントにならないかを探しています。
それは自分のブランドを愛しているからだと思うんです。そうやって生み出した物をお客さんが手に取ってくれて「これカッコいいな」「やられたな」と感じてくれることが、僕たちへの何よりのご褒美だと思っています。ですからどうしても時間を費やしちゃいますね。

ダーツに携わって15年ということですが、『THE DAY 』から見てダーツ業界をどのように思われますか?
バレルメーカーさんやフライトメーカーさんではないので分らない部分もありますが、僕たちの目線で見ると、ちょっと特殊な業界だなという印象を受けます。物の売れ方もそうですし、団体や協会やトーナメントをはじめ、お客さんまでもがこんなに毎年変わっていく業界というのは他にないと思います。めまぐるしい変化に戸惑っている部分もありますね。
業界が良くなっているとか悪くなっているとかは、一概には言えないと思うんです。確かに消えるダーツバーもあれば、新しく生まれるダーツバーもある。止める人もいれば始める人もいます。
ただ周りの状況を見たり聞いたりしていると、やはり商品が売れにくくなっているのが現実だろうと思います。それを打開するのはボードメーカーさんやグッズメーカーさんなどが協力して、常に新しい物を生み出していくことが重要じゃないでしょうか。お客さんは常に新しいことを望んでいると思いますから。

それが突破口になるというわけですね。
そうですね。ベースとなるものを変える必要はないと思いますが、なぜ一般業界がダーツというものに目をつけないのかということを、業界全体で考える必要があると思います。そうしないとメディアを取り込むこともできないですよね。
男性プレイヤーでも女性プレイヤーでもいいし、プロでもプロじゃなくてもいいと思うんです。震災でのチャリティーは素晴らしいと思いますが、例えば目の見えない人や耳の聞こえない人に対するチャリティーもあるし、震災以外でもチャリティーはできると思います。
とにかくダーツというもので何ができるかを、業界全体で団結して考えることが必要なのではないでしょうか。

最近では『THE DAY』のロゴを付けている選手が多く見られます。サポートを希望するプレイヤーもいることと思いますが、『THE DAY』のサポートを受けるためにはどうしたらよいか教えてください。
毎年末あたりになるとSNSなどを通して、そういう問い合せがたくさん来るんです。僕が必ず問うのは「あなたが考えるプロとはなんですか?」「サポートを受けるプレイヤーの意識とはどんなものですか?」「何のためにスポンサードを受けたいのですか?」ということです。
そうするとストレートに返して来る人もいれば、そこで連絡が途絶える人もいますね。
この時点でまず選定するのは、ちゃんと意識を持っているかということと、『THE DAY』というブランドを知っているのかということです。中には、どこでもいいからサポートしてもらいたいと思っているプレイヤーも多いんですよ。とりあえずユニフォームにロゴが付くことがステイタスと考えているタイプですね。
僕たちはそういうプレイヤーに付き合っている余裕はないですから。僕たちの目的は、『THE DAY』というブランドを知ってもらうために、幅広くいろいろなプレイヤーをサポートすることによって、広告として広めてもらうことです。まずはそこを理解していただきたいです。
次に、どうしても『THE DAY』でなくてはならないのか、ということです。他にもアパレルメーカーはたくさんあるし、地域性もありますからね。
例えば「『THE DAY』の商品が好きなんです」と言われれば「じゃあ、どんな商品を知ってますか?」「コンセプトは理解してますか?」などどんどん聞いて、ハードルを上げちゃうんです(笑)。そこまでのプレイヤーじゃないとサポートはできないですからね。これがサポート選手を決める一つのパターンです。

もう一つのパターンは、オーディションによる審査です。これは、地方の代理店さんを中心としたダーツバーさんやダーツショップさんから依頼されて始めました。地域を盛り上げることが目的なので、受かる人がいなくてもいいということで始めたんですが、今まで一人も通過しなかった地域というのはないですね。
結局はオーナーさん達が『THE DAY』を好きだからこそ依頼してくることで、実際に現地に行くと『THE DAY』を身に付けてくれている人が本当に多いんです。こうして広めてくれているんだと実感すると、プロだけをサポートの対象にしなくてもいいだろうという考えになりますね。

海外にも進出されているそうですが、具体的に教えていただけますか。
以前はメーカーさんからの紹介もあって、アメリカを中心にした海外選手のサポートもやっていました。でも、どうしても選手とのコミュニケーションを取るのが難しくて、一年で撤退することになったんです。
そのうちにアジアのダーツショップから「どうして『THE DAY』は海外進出しないのか?」「みんなジャパンのプレイヤーを見ていて『THE DAY』の商品を欲しがっているのに、買いたくても買えない」という声が多くなってきたんです。それでもう一度海外を視野に入れる様になりました。
再度の海外進出では、アメリカの失敗を繰り返したくなかったので、まずは一社一社としっかり付き合っていこうと考えました。それで、香港・台湾・マレーシア・シンガポールを中心としたアジアを拠点にしようというのを、2016年の目標に掲げたんです。お陰さまで各国の代理店が決まり、僕たちの希望でもあったオーディションを開催することができました。

一つ目のオーディションに選んだのは、唯一最後まで代理店の決まらなかったマレーシアです。
現地のショップさんが40人分の履歴書を用意してくれていたんですが、実際に行ってみたら150人くらいのプレイヤーが待っていて、中には前日のワールドで優勝した選手も参加していました。プロというものやメーカーに対する憧れの様なものをすごく感じて、日本よりも数年遅れている現地のプレイヤー達が新鮮に映りましたね。思わず身が引き締まって、手伝いのために一緒に来たプレイヤー達と「真剣にいい選手を捜そう」と気合いが入りました。
その中から9人のプレイヤーを選んで、一次予選通過という形で決めさせてもらいました。それがあちこちに波及して盛り上がって、香港・台湾・シンガポールはもちろん、日本のここでもやってほしいと、いろいろな地域から要望が来たんです。海外に進出することによって国内の人達の反応や見方が変わって来たのを感じたので、今年もアジアを中心としてもっともっと盛り上げていきたいと思っています。
今は外国人観光客が多いですからね。『THE DAY cafe』というお店をやっているんですが、英語も中国語もできるスタッフが常勤していて、海外からのお客様にも対応できます。海外で『THE DAY』を知った人が遊びに来てくれる様な、今はそうやって輪をつなげていく活動をしようと思っています。

これからの目標を教えてください。
ダーツというものがもっと広くみなさんのライフスタイルに浸透していくように、アパレルを中心とした商品を作っていきます。みなさんがワクワクする様な商品作りを目指していますので、これからも楽しみにしていてください。

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