Monthly Vol.8 2025年7月
大久保 李佳 Rika Okubo
「涙の初優勝」

『人生一度きり』の覚悟が、私を変えた。
苦しみ抜いた先にあった、初めての頂点

初めてのインタビュー、よろしくお願いいたします。ダーツとの出会いを教えてください。また、ダーツ歴は何年になりますか?
姉がいて、遊びでダーツを投げていたんです。あるとき誘われて、初めてダーツに触れました。そこから数えると、ダーツ歴は20年ほどになります。
その後、千葉に引っ越したのですが、周囲を探索しているとダーツができるゲームセンターを見つけて、興味があったので通うようになりました。
最初はストレス解消のために投げていたのですが、常連の方たちとの対戦で負けるのが悔しくて、だんだん練習に打ち込むようになりました。やがてリーグや大会にも参加するようになり、どんどんハマっていきましたね(笑)。

プロを目指そうと思ったきっかけを教えてください。
練習を重ねてレーティングが12くらいになると、周りから「プロ資格を取ったら?」という声をいただくようになったんです。最初はそれほど興味がなかったのですが、仲間たちがプロ試験を受ける流れになって、「受かるかどうかはわからないけど、私も挑戦してみよう」と決意しました。
2015年に東京で試験を受けてプロとなり、2016年の開幕戦からツアーに出場しています。

最初はどのくらいの頻度で参戦されていたのですか?
当時は昼間に仕事をしていて、土曜日も出勤のことが多かったため、関東周辺の近場だけに出場していて、年間で4大会ほどでした。

プロツアーでPERFECTを選ばれた理由は?
トッププレーヤーたちと最初から対戦できるシステムが魅力的だと感じたからです。全員が予選からスタートするので、挑戦しがいがあるところがPERFECTの面白い点だと思います。

全戦に参戦するようになったのは、いつ頃からですか?
4年ほど前からです。当時、仕事のことで悩んでいた時期だったのですが、ちょうどスポンサーも付いて、イベント出演の依頼も増え、いろいろなタイミングが重なって「人生一度きりだし、本格的にプロ活動しよう」と決断しました。

第4戦・横浜での初優勝おめでとうございます。試合後はさすがに涙があふれていましたね。
ありがとうございます。本当に嬉しかったです。自分がやってきたことがようやく報われたという気持ちと、会場で応援してくださっていた方々の顔が見えて、思わず涙がこみ上げてきました。

2024年は3位タイが何度かあり、あと一歩というところでした。
そうなんです。少しずつ勝てるようにはなってきたと感じていたのですが、なかなか優勝まで届きませんでした。今年は「頑張ろう」と気合いを入れてスタートした2025年だったので、ようやく実現できて本当に嬉しかったです(笑)。

当日は1日を通してどんな流れでしたか?
ロビンラウンドでは特に調子が良いということもなく、普段通りでした。なんとか通過して、決勝トーナメントでは「もっとギアを上げないと勝てないぞ」と思いながら臨みました。
これまでは強いプレーヤーに押されるとメンタル的に崩れていたのですが、この日は最後まで折れずに頑張り通すことができました。

準決勝では女王・大城明香利プロに勝利されました。
そこが大きなポイントでした。これまでの対戦ではフルレグまではいったことがありましたが、全部負けていましたから。

決勝は藤田真子プロとの対戦でした。どんな試合展開でしたか?
3ー1で勝つことができたのですが、最終レグでブルが全然入らなくなってしまって、慌ててしまいましたね。
それでも、集中力を保ったまま戦えた試合だったと思います。緊張はしていないつもりだったんですが、気持ちがふわっと飛んでしまったのかもしれません。

初優勝までの道のりは長かったですか?
そうですね。以前は「優勝できたらいいな」と漠然と考えていたのですが、2024年に上位へ何度か入ったことで「意外と現実的かもしれない」と思えるようになってからは早かったです。でも、プロになってからの期間で見れば、やはり長かったですね。

今までの年間成績は2019年:86位、2022年:19位、2023年:20位、2024年:13位。そして現在は6位です。いかがですか?
2022年あたりから参戦数が増えてきたので、それが成績にも反映されているのだと思います。今年はなんとかランキング5位以内を目指したいです。

優勝前と後で、周囲の反応やご自身の意識に変化はありましたか?
現在は大阪に住んでいるのですが、以前住んでいた千葉の方々など、応援してくださる人が増えたと感じます。自分自身の気持ちとしては、少し強くなれたと思います。

大阪に引っ越された理由は?
今働いているお店のオーナーさんから以前からお仕事のお誘いをいただいていました。2年ほど悩んだ末に昨年、思い切って決断し、今の環境になりました。現在は「901-QLAY-梅田店」のスタッフとして勤務しています。 ダーツ漬けの毎日ですが、充実していて楽しく過ごしています。読者の皆さんも大阪にお越しの際は、ぜひご来店ください。対戦、お待ちしています。

ライバルだと思っているプレーヤーはいますか?
たくさんいます。自分より上位のプレーヤーは皆さんライバルです(笑)。その人たちを超えていかないと、さらに上の世界は見えてこないと思っています。

尊敬するプレーヤーはいますか?
やはり大城明香利プロです。ちょっとした場面でも気遣いができて、人としても尊敬しています。あれほど強くて勝ち続けているのに、それを感じさせない。なかなか真似できないと思います。

ご自身を分析すると、どんなタイプのプレーヤーですか?
とてもマイペースな性格だと思います。小心者なので、自分を鼓舞しながらなんとかやっています。いまだに第1試合は緊張しますね(笑)。

「自分はこの世界で通用する」と確信した瞬間はありますか?
そんなふうに思ったことはなくて、「自分はどこまでできるんだろう?」と、常に挑戦の気持ちでやってきました。

「才能」と「努力」、自分ではどちらが大きかったと思いますか?
努力だと思います。悩んでダーツが投げられなかった時期も乗り越えましたし、練習も精一杯やってきました。

現在の課題は何でしょうか?
自分と向き合いながら、技術の向上やメンタル面の強化が課題です。お店のお客様とも投げていますが、やはりプロではないので、技術やメンタルの面で学べることには限界があります。もっと強いプレーヤーと日常的に投げられる環境が必要だと感じています。

特に印象に残っている試合はありますか?
いつの大会かは覚えていないのですが、京都大会で清水希世プロと対戦したとき、人生で初めてブル・パーフェクトを達成しました。701の試合でしたが、嬉しすぎて浮かれてしまい、その試合には負けてしまいました(笑)。

ダーツを続けるかどうか迷った時期はありましたか?
先ほども少し触れましたが、投げられなくなった時期があって、ボードにも届かなくなってしまい、ダーツがつまらなくなって見たくもなくなったことがあります。ダーツバーに行くと「投げようよ」と言われるのもつらくて、足が遠のいていました。
そんなとき、ある方から「ダーツではなく軽いボールを投げると改善するかも?」とアドバイスをもらい、実践したら不思議と回復しました。2か月ほどで克服できましたが、あれがイップスだったのか何だったのか、今もよくわかりません。

練習について、時間やメニューを教えてください。
仕事が終わってから練習時間を取っています。メニューは特に決めていませんが、まずはカウントアップをゆっくり始めることが多いです。最初はフォームや腕の動きを確認して、少しずつ本格的に投げていきます。1000点を超えることを目標に投げたり、クリケットカウントアップやイーグル・アイも目標点を設定して取り組んでいます。

モチベーションを保つために意識していることはありますか?
「自分を信じてやるしかない」と思っています。今まで積み重ねてきたことをしっかり試合で出せるように心がけています。そう考えられるようになったこと自体が、自分にとって成長なのかもしれません(笑)。

試合前のルーティンやジンクスはありますか?
前日はしっかり休むことを徹底して、ダーツは投げないようにしています。PERFECTは年間23大会あるので、全戦回るのは本当に大変です。体力温存はとても大事ですね。

スポンサーや周囲の期待がプレッシャーになることはありますか?
ありますね。ただ、それは自分の中に不安要素があるときが多いです。応援はとても力になりますが、「結果が出せないかも」と考えてしまうと、やはり内心ドキドキしてしまいます(笑)。

オフの日はどのように過ごしていますか?
アニメを観たり、気分転換に散歩をしたりしています。ゆっくり過ごして、心と身体をリフレッシュするように心がけています。

これからの目標は?
「2回目の優勝が難しい」と言われているので、次の優勝が目標です。初優勝後は周囲から警戒されている感じもあるので、早く実現したいですね。

では最後に、読者の皆さまに一言お願いいたします。
いつも応援していただき、ありがとうございます。マイペースな私ですが、どうかこれからも温かく長く見守ってください。