2004年9月号
すっかり恒例になったラスベガス大会
ラスベガスで7月28日より7月31日の4日間の日程でメダリストUSAの主催するワールド・チャンピオンシップス・トーナメントが盛大に開催された。昨年に続いて2回目の取材となったが、写真でご覧のようにあらためて、その規模には驚かされる。4日間のエントリー合計数がなんと5147人と聞いて読者の方々はどう思われるか…。
この大会はメダリストUSAが主催するもので日本人プレイヤーにとっては一つの目標ともいえるトーナメントだ。日本人プレイヤーも多く参加したが会場の空気にも順応した選手はそれぞれに自分の力を出したのではないか。かつては外国人との対戦には、一歩精神的に引いていた方々も多かったように思うが、今は違う。すっかり雰囲気に溶け込み、自信たっぷりに自分のダーツを投げるプレイヤーが多く、それがじつに印象的であった。カメラをむけると緊張するのではなく、かえって励みになって良いダーツを投げることができたなどという人もいたほどだ。なんとも頼もしい。初日の撮影からそんな声を聞くことが多かったので、今回の大会では今までにない結果が続出することが予想できた。
そしてそれは見事に的中、多くのプレイヤーが日本にトロフィーを持ち帰る結果となった。毎日、会場に入るとそんな朗報ばかりが届く4日間であったので、参加したプレイヤーはいつも笑顔で必要以上に緊張する場面も少なく、かなり楽しめたのではないだろうか。
ソフトにおいて日本のダーツもようやく数年を経ようとしているが、やはりめざましく進化しているのだと確信する。最近、トーナメントの写真を撮っていて、プレイヤーの多くが綺麗な無理のない投げ方をしているとは感じていたが、それはこの大会の結果を見ているとまさに事実なのだ。日本人はよく器用な民族といわれるが、それに加え研究熱心な気質も併せ持つ。やはり、このダーツという競技、かなり日本人に向いているのではないだろうかと改めて思う。こんな勢いで若いプレイヤーがぞくぞく現れたら、近い将来ソフトダーツの世界チャンピオンはみんな日本人?なんてこともあり得ることなのかも知れない。2、3年でこんなに進歩したのだから、けっして夢物語ではない。
参加だけでなく…結果を求めたい
そろそろ結果…トロフィーを日本に持ち帰る…そんなことを心に刻み込んで、ラスベガス入りしたプレイヤーが多かった。そうでなければ、こんなにたくさんのトロフィーを手に出来たはずがないと今では思う。実は今年のこの大会、日本のソフトマシーンの諸事情があり必ずしも全てのプレイヤーが一致団結して挑んだ訳ではないので、日本人の参加人数は昨年よりも減った。渡米前迄はいささか危惧する面も多かったというのが真実。しかしながら、このかつてないほどの優勝者続出。ようするに心構えが違って来ているのだ。たしかにラスベガスという街、ホテルは華やかで、ネオンはキラキラ、何処に行ってもカジノが誘うので初めて参加した時には日本人は他の誘惑に惑わされた。しかし、今年のメンバーは本当にダーツに集中し結果を出した。賞賛したい。
このラスベガスの地はかなり遠い。費用もかさむし、休みも長く取らなければならない。そんなプレイヤーたちに素晴らしいニュース。来年2月24
より26日の3日間の予定でメダリストUSA・ASIAが韓国、済州島で大きなトーナメントを開催する。近いし、旅費もかなり安いので国際大会で結果を求めたい方々には、素晴らしい機会なのでは。
下の写真はすべて勿論ラスベガスの大会の風景。なにか錯覚しないか…。まるで何処かの日本で開催されているようにも見えるのだが。
そう日本人プレイヤーのダーツは進歩し、場の雰囲気にも馴れて来た。そしてさらに精神的にも自信を持ち始めているのではないか。先に世界のダーツトーナメントにおいても動じなくなったことや投げ方がいっそう洗練されてきていることなどを書いたが、精神的にも一歩、前進したのではないだろうか。ようするにどんな場所、空間に行っても集中してダーツを投げられるようになったということなのだろう。それは日本人プレイヤーが新しい扉を開けつつあるということを意味する。
折しも4年間に1回開催されるオリンピックがギリシャで行われている。よく普段通りの実力が発揮できない、精神的にもろいなどと辛口の批評が新聞などに書かれるが、さてダーツは?残念ながらオリンピック競技とはなっていないので、比較するのは難しいが、ようするにスポーツとしてとらえるのならば同じ次元にあるわけだ。そして昔に比べると日本人選手の活躍は確実に世界のトップニュースを賑わしている。
写真の面々、読者の方々はどのようにご覧になるか。皆さん、満面笑みではないか。やはりこのラスベガスで開催されるトーナメントの楽しさは格別だから。
聞くところによるとプレイヤーの多くはホテルの有名レストランを予約、やっとで手に入れたショーチケット、グランドキャニオンやモニュメントバレーなどの観光などを計画していたのだが…。それが予想に反して?試合で勝ち残るという結果になったため、最後の日にやっとおみやげの買い物をしたという方々も多かった。日本人プレイヤーがそこまで実力的に世界でも通用するようになったのだが、きっと試合前には世界のプレイヤーはもっと強いと思いこんでいたに違いない。それぞれに結果を残し4日間のダーツスケジュールを満喫した。
やはりラスベガスで開催されるこの大会の魅力は他では味わえないものがある。負けても遊ぶことには困らないし、勝つと舞台は万全なだけにダーツの思い出が心に刻み込まれる。
今年来たプレイヤーはきっと来年も参加したいことだろう。2005年はもっと多くのプレイヤーが参加し、一致団結、ほとんどのトロフィーを日本に持ち帰ろうではないか。
ラスベガスの魅力
アメリカ・ネバダ州の南端に位置し、砂漠の中のオアシスのような街。映画「バグジー」によってその成り立ちはすっかり有名になったが、現在は家族全員で遊べるテーマパークのようなイメージの場所としてアメリカ人はとらえている。1989年にオープンしたミラージュを皮切りにパリス、ニューヨーク・ニューヨーク、ルクソールと巨大エンターテイメントホテルの建設ラッシュが続き、今もいくつも進行中の計画が目白押しだ。写真を見ていてここは何処なのかと、誰もが錯覚するだろう。それほどにどのホテルのテーマ性も本格的で大規模なものだ。ルクソールのパワービームは世界最強だし、ニューヨーク・ニューヨークは昔のダウンタウンを再現、パリスは本物のエッフェル塔を細部にまでこだわって造り上げ…とホテルに関してはまさに日本人は脱帽。とても真似の出来るスケールではない。それ故、大会の最中でも去年は…に泊まったので今年は…に泊まっているなどという会話も自然だ。ラスベガスならではの楽しい一面。
かつてはアメリカで唯一カジノが合法の街であったが、他の州でも解禁となったので、ラスベガスはより観光客が楽しめるように何処にもまねのできない大がかりなショーを提供することに最近は力を入れている。例えば、ベラッジオでは世界で其処でしか鑑賞できない水をテーマにした「O」を売り物にしているが、その豪華さと芸術性の評価は高く、チケット入手困難な状況が数年も続いている。舞台が七変化、床が水で溢れ人が泳いでいるかと思えば、いつのまにか人がそこを走り、空中から人が吊り下がって登場するかと思えば、水面からも…。何回見ても飽きないということがよく分かった。
そんな大がかりなショーが毎晩どこかで開催されているので、世界中から一年中、観光客がどっと押し寄せる。さらにカジノ、ミュージック関係のイベント、最近はK1も開催され、大忙しだ。全く不況を知らない街としてアメリカ人の間でも有名。この大会は夏に行われるのでホテルはチェックインだけでも行列が出来る。当然、最盛期と思ったのだが、なんと春のコンベンションの季節が最も混雑するとか。アンビリーバブル。
何回もこの地を訪れれば、誰もがカジノに興味を持つが、果たして必勝法はあるのか?答えは勿論ない。しかし、この街に来たら、やはりプレイしてみたくなるのが人情だ。
そこで簡単にマナーだけは知っておきたい。遊べるのは21才以上だ。アルコールも同じで、その法律は日本と比較すると相当に厳格なので注意したい。日本人は若く見られるのでパスポートの提示を求められたら、速やかに対応しよう。
ギャンブルをしている間はアルコールも含めドリンクは無料。どのホテルでもカクテルガールに注文するとすぐに運んできてくれる。それだけ負けている客がいるということ?
喫煙者にとってアメリカは肩身が狭いがこの街ではかなり事情が異なる。どのカジノでもほとんどがスモーキング可、ホテルのいたるところに灰皿が用意されている。ノースモーキングの人に配慮すればさほどスモーキングマナーにはうるさくない。
ディーラーの後ろは原則的に立ち入り禁止。通り抜けたり、邪魔をしないようにしよう。ゲーム見学は自由だが、プレイしている人のカードをのぞき込むのは当然マナー違反。高級ホテルでは高額で遊んでいる人もいるのでトラブルになることも。
ATMでは日本と同様にキャッシングが出来る。アメリカの他の街では機械の画面表示は20、40、60などという数字のドル表示がされるが、この街では100、200、500なんてとんでもない金額が引き出せる。ギャンブルは熱くなるときりがないもの、要注意。勝ったときを夢見てつい高額のテーブルに座るが$1000、$2000なんて負けるときには1時間ほどだ。
さて、読者の方々にこの街、この大会の楽しさ、伝え切れただろうか。昨年のこの大会の本誌の特集には「眠らない街」「眠らせない街」なんてキャプションを書いたが、今年のラスベガスも華やかで魅力溢れる街であった。ダーツ、テーマパーク、豪華なショー、コンサート、カジノ…寝ているなんてもったいない。全部を堪能するには4日間では短すぎる。