Kasumi Sato-Vol.80.2016.7-Top

Vol.80 佐藤 かす美
プレイスタイルは男っぽくて怖いと…

2016年7月

ダーツの出発点を教えてください。
家の近所にダーツが置いてあるバーがあって、よくそこに飲みに行っていたんです。そのお店でダーツを一生懸命投げてるスタッフの方がいて、その人に教えてもらうようになったのがダーツを始めたきっかけです。5年前の20歳頃です。

真剣に投げるようになったきっかけは?
最初はお客さんみんなで遊びながら、テキーラを賭けて投げてたんです。女の子が少ないのもあっていつも私が負けてたので、もうテキーラを飲みたくなくて頑張って練習する様になりました。

パーフェクトに参戦したのは2014年の第14戦からですね。
そうです。2年前の静岡大会からでした。

どうしてパーフェクトに参戦するようになったのですか?
ダーツを練習しているうちに縁があって今のお店で働かせてもらうようになったんですけど、そこに来るお客さんもスタッフも大会に出場する人が多かったんです。私も出ようと思った時に、たまたま試合の前日にプロ試験があると聞いたんです。その時は「受かるといいね」というノリで、藤野裕加里と一緒に軽い気持ちで受けました。

藤野プロと一緒に始められたんですね。
はい。プロとしては完全な同期です。

参戦してみてどんな感触でしたか?
初戦の静岡大会では松本恵さんと田中美穂さんと同じロビンだったんです。それまでは映像でしか見た事が無かった選手達なので「こんな人達が同じロビンなんだ」って緊張しました。手も震えて手汗もひどかったんですけど、でも不思議と絶対勝てないとは思わなかったんです。
結局ロビン落ちしたんですけど「落ち着いて投げればいけるかも知れない」と、なぜか変に自信が付いて帰って来たんですよね。それで次の横浜大会ではいつの間にか3位になってました。

2015年は総合で8位でしたが、その成績についてはいかがですか?
正直複雑ですね。もっといけるんじゃないかと思ってた部分と、やっぱり甘くないなという部分とありました。でもいろいろな人のおかげで一年間ツアーを回ることができて、10位以内に入れたというのはやっぱり素直に嬉しいです。

Kasumi Sato-Vol.80.2016.7-1

2016年の3戦では初優勝して号泣されてましたね。
あの瞬間は大内麻由美選手に勝てたことが嬉しくて、『優勝』というのは飛んじゃってました(笑)。一昨年一度だけ3位タイになった時に麻由美さんを倒してベスト4になってるんですけど、それ以外では勝てたことがなかったので、とにかく麻由美さんに勝てたことが嬉しかったんです。「ああ、やっと勝てた」って思った時に、審判をやってた藤野裕加里が先に泣いたんです。「おめでとう、やったね!」って言った時にはもう号泣してて、それを見たら「優勝したんだ」という思いが込み上げてきて私も泣いてしまいました。

今年は第9戦を終えて現在は5位という成績ですが、これについてはいかがですか?
「5位か……」という、何とも言えない気持ちですね。もう少し上に行きたいですね。

上に行くためには何が足りないと思いますか?
一番大きいのは経験値と、あとは当日の気合いですね(笑)。技術もメンタルも全然足りてないものはいろいろありますが、「負けたくない」という気持ちだけには自信があるんですが(笑)。

Kasumi Sato-Vol.80.2016.7-2

パーフェクトの舞台はどのような雰囲気ですか?
ジャパンの場合は8制度・16制度とあるのでプロにとってはすごくありがたいことだと思います。
でもパーフェクトは毎回一からやらなくてはならなくて、どんな選手が出場するかも分らない。みんな強い選手ばかりなので、毎回予測のつかない戦いの中で一戦一戦を積み重ねていく緊張感があるんです。そういう独特の空気感が魅力だと思うし好きなんです。
私も緊張するタイプなのですが、張りつめた空気の中で選手が感情をあらわにする瞬間に鳥肌が立ちます。パフォーマンスではなく、湧き上がる感情がそのまま現われてるのがとても伝わるので、そういう姿には心が打たれます。私もそんな中で戦っていけるのが嬉しいです。

ダーツでは女子のプロプレイヤーが注目されていますが、それについてはどう思われますか?
私は『女子プロ』として括られるのはあまり好きではありません。女子が注目されているのは分っていますが、「女子だからここまでしか勝てない」「女子だから○○だ」というふうに「女子だから……」という言葉が付いて回るのが嫌なんです。私はルックスもそんなに良くないし、すごく人気が出るタイプの選手だとは思っていません。
ダーツの実力だけで頑張ってるので、もっともっと実力を上げて「男子も女子も変わらないな」と言われる様になりたいです。同じダーツをやってるんだから、男子と女子とを分けられるのには抵抗がありますね。

Kasumi Sato-Vol.80.2016.7-3

自分はどんなタイプの選手だと思っていますか?
気持ちで投げるタイプですね。もちろんそれに見合った練習もしてると思います。私は練習では手を抜かないので練習でガツガツして、試合では自分でちょっと褒めてあげてテンションを上げながら気持ちで投げるタイプです。

一年間のツアーを回るために体調管理や調整等はどのようにしていますか?
私はそれが一番難しいと思ってるんです。今までの結果でいうと、体調の悪い時ほど良い成績を残せてるんです。優勝した時などは前日から熱が出てて、扁桃腺も腫れて咳をしながらだったんです。痛み止めを何錠も飲んで「ロビン抜けれるかな」と思うくらいでした。いつも体調が悪い時に成績が残ってるので、上手く付き合えてるんじゃないかと思っています(笑)。

普段の練習方法や時間は決めていますか?
基本的には投げたい時に投げる様にしています。大会前は調整があるのであまり長時間は投げない様にしてますが、とりあえずダーツを触ってると安心しますね。練習は絶対裏切らないので手を抜かずきっちりやるようにしています。

お店でお客さんと投げるのも練習ですよね。
それもそうですし、自分で練習に行くこともあります。私は基本的には男子のプレイヤーと投げることが多いですね。

今ダーツで一番大事にしているポイントはありますか?
飛ばすことです。

きれいに飛ばすということですか?
いえ、きれいでなくてもいいので、きちんと飛んでくれることです。試合でもきちんと飛ばなくなったらダメだと思うので、私は『飛び』を一番大事にしています。

現在はディークラフトの契約プレイヤーですが、スポンサーについてはどう思われますか?
ご縁があってディークラフトさんに声をかけていただいて、契約プレイヤーとしてお世話になっています。ディークラフトさんは比較的新しいメーカーなので、共に成長していきたいという気持ちです。一緒に頑張って上を目指していきたいです。

Kasumi Sato-Vol.80.2016.7-4

小島さんというユニークな方がいらっしゃいますが、どのような存在なのですか?
私にとってよき理解者ですね。プレイヤー側の気持ちを汲み取ってくれて良い方向に持って行ってくれるのと同時に、メーカー側の要望もガンガンぶつけてくれます。私達もメーカーが付いたことがないので「ああ、そうなんだ」と納得することが多いですね。そして私にとっては個人的にお話し相手でもあります。友だち感覚で、たまには恋愛相談なんかもしちゃいます(笑)。

尊敬するプレイヤーは?
松本恵さんです。あの方にはまだまだ近づけませんね。

どのへんがすごいですか?
オーラが違いますよね。今年開幕で当たってるんですけど、試合をしてて松本選手のオーラには鳥肌が立ちました。私が優勢だったのでこれは勝てると思ったんですけど、そのオーラで一気にひっくり返されちゃったんです。ホントにすごいなと思いました。

ダーツ以外の趣味はありますか?
ゴルフとか釣りとかドライブですね。今住んでる所は自然が多いので、バーベキューをしたりアウトドアで遊ぶことが多いですね。

多趣味なんですね。
そうですね。あとは日光浴も好きです(笑)。

日光浴というのは趣味なんですか?
家のベランダとかでぼーっとしてるんです。夏は暑いし冬は寒いんですけど、太陽の光を浴びて光合成をしてます(笑)。
釣りでは特に海釣りが好きで、餌を投げて浮きが沈むまでのあの時間が好きなんです。ちょっと病んでるんですかね(笑)!?

Kasumi Sato-Vol.80.2016.7-5

これからの夢や目標を教えてください。
まずは年間王者になることです。そのためにはもっともっと強くならなくてはならないと思っています。そしてゆくゆくは男女関係ないレベルまで到達してダーツがしたいです。

最後に読者にメッセージをお願いします。
私のプレイスタイルは男っぽくて怖いと言われるんですけど、負けない様にいつも一生懸命練習しています。練習すればするだけ必ず結果は現れてくるので、みなさんも自分を信じて頑張ってほしいと思います。
女子の方はプロになったら新参者の私をまず倒してください。私ももっと強くなって、これからのダーツ界に少しでも貢献できるように頑張りたいと思いますので、応援のほどよろしくお願いいたします!