Raymond van Barneveld-Vol.60.2013.3-Top

Vol.60 Raymond van Barneveld
自分を信じ込ませる

2013年3月

フィル・テイラーはPDCのNo.1ということで日本でも知名度が高いですが、あなたもとても人気があるんですよ。
本当ですか?でも日本にはどれくらいのダーツプレイヤーがいるんですか?日本はソフトの国というイメージですが、PDCの試合はテレビ中継されていますか?

日本では毎週末に大きな大会が開かれていますし、ソフトメインにダーツ人口は大変多いです。PDCの試合もケーブルテレビなどで時々放送されていますよ。
それは嬉しいですね。日本がとても好きです。清潔だし、皆さんとても礼儀正しく親切ですよね。電車に乗ったときには、きちんと並んで他人を押しのけようとする人がいないのに驚きました。素晴らしいことです。

いつ日本にいらしたのですか?
おそらく6年くらい前だと思います。私の前のスポンサーに、日本につれて行ってもらうチャンスがありました。滞在したのは4~5日でしたが、地元プレイヤーと対戦もしましたし、とても楽しい時間を過しました。今でもまだ写真を持っていますよ。私が180を打つたび、「おー!」という歓声を上げてくれたのを覚えています。
私達ダーツプレイヤーにも、もっと日本に行くチャンスがあれば良いのにと思うことがありますよ。大きなトーナメントなどを開催してくれたら、素晴らしいでしょうね。

Raymond van Barneveld-Vol.60.2013.3-1

あなたはBDOのトッププレイヤーからPDCに移ったわけですが、そのあたりのいきさつを教えて下さい。
私が移籍したのが2006年のことです。その年BDOのワールドチャンピオンシップがあったのですが私は決勝でクラッセンに負けてしまいました。それから1ヶ月くらいはあまりハッピーな気分になれず、笑顔も出なくなってしまったんです。目標を失ってしまったような気分でした。そこで新しいターゲットとしてPDCで世界一になろうと決意し、移籍しました。実際翌年2007年にはテイラーと決勝で戦ってPDCでワールドチャンピオンになりましたよ!あのテイラーとの試合は本当に良いゲームで心に残っています。
それ以来沢山のトーナメントで優勝しました。PDCでは5勝していますし、その他の大会でも20近く勝っているでしょうね。今では自分の状況にとても満足しています。

PDCに移籍すると決めたのは、ご自分にとっても大きな決断だったのでは?
勿論そうです。当時私はBDOの主力プレイヤーでしたから、簡単に決められることではなかったですね。でも自分のためになることだと思ってあえて決断しました。
PDCは勝つのも難しいですがその分賞金の額も大きいです。トーナメントも毎週のように開かれますよね。私はもっとプレイしたいという気持ちがありましたから、1~2ヶ月に1度くらい試合があるというのでは、満足できなかったんです。
PDCでは年に幾つもテレビ中継される大会もありますし、観客動員数も桁違いです。今回のプレミアリーグでも、オープニングナイトに約8000人のファンが詰め掛けてくれました。これは大切なことです。
ところで、日本にPDCのトッププレイヤーが行ったとして、チケットは売れますかね?私は是非又日本に行きたいと思っているんですよ。日本に行ったときの話に戻ってしまいますが、私は東京から神戸に新幹線で移動したんですが、たった3時間で着いてしまい、ビックリしました。早いですよね。車窓からの景色も美しかったです。本当に日本は良い国です。
話を戻しましょう。私がPDC移籍直後に参戦したのがプレミアリーグでした。それからUKオープンに出ました。ワールドマッチプレイは資格がなかったので出られなかったのですが、その後に出場したワールドチャンピオンシップで優勝したのです。あの時の決勝は自分の中でもベストのファイナルだと思っています。
あれから7年経ちました。もうPDCに在籍して7年にもなるんですね。これは簡単な道のりではなかったですね。全ての試合は厳しい戦いばかりですし、私はオランダに住んでいるので、イギリスに来るだけで5~6時間かかるんですよ。勿論帰りも同じ時間かかるわけですから、体力を使います。ここ2~3は前ほどは勝てなくなりました。でも、私はダーツを楽しんで、1試合1試合を大切に戦っています。

Raymond van Barneveld-Vol.60.2013.3-2

あなたがワールドチャンピオンになった後、オランダでの反応はいかがでしたか?
ワールドチャンピオンになったとき、何千人もの人達が空港で私を出迎えてくれたんです。自分の目を疑いましたよ。「ビートルズが来たのか?」と思ったくらいです。テレビも来ていました。オランダの人口は1500万人ですが、今や500万人くらいはテレビで私の試合を応援してくれています。つまり、車が3台通りすぎる内、1台の車の人は私を知っているということです。勿論オランダ人全部がダーツファンというわけではありませんが、ほとんどのオランダ人は少なくとも私のことを聞いたことがあるという状況になっていると思いますよ。

PDCに移籍して人生も変わりましたか?
私は今でもオランダに住んでいるので、移動がとても大変ですね。まあ、もしイギリスに移り住んだとしても、移動は付いて回りますからあまり違いは無いかもしれません。
例えばカナダに住んでいるジョン・パートは毎週カナダに帰っています。彼の家は空港からも遠くて車で3時間くらいかかるそうです。とても大変だと思いますよ。だから私は健康管理には気をつけています。健康じゃないと、移動だけで凄く疲れてしまいますからね。

Raymond van Barneveld-Vol.60.2013.3-3

PDCに移籍して今年で8年目ですが、いかがですか?
幸せですよ。良いダーツをプレイできていると思います。特にこの3ヶ月は自分のダーツに満足していますね。優勝はないですが、一時期より多くの試合に勝っています。毎週試合に出て、一つでも多く勝つことに集中しています。
集中と言えば、日本とか中国では瞑想をすると聞きました。それが得意なら、日本人は世界一のプレイヤーになれると思いますよ。ワールドカップでも日本はイギリスを脅かすようなプレイをしていましたよね。面白い試合でした。

あなたは左手で字を書くようですが、ダーツは右で投げますね?
あえてやっているのではなくて、自然にそうなってしまうんです。他にも、金槌やのこぎりなどの手仕事は右手でやるんです。でも、もしはしを使うとしたら左手でしょうね。字を書くのも左です。私のようなプレイヤーは割といますよ。

Raymond van Barneveld-Vol.60.2013.3-4

日本のプレイヤーに何かアドバイスをお願いします。
ダーツをプレイするからには、何か夢を持って欲しいですね。目標と言ってもいいでしょう。ただダラダラ投げていても上手くはなりません。目標を定めて、「いつか俺はダーツでワールドチャンピオンになる!」と自分に言い聞かせてください。そして、自分はそれが出来ると本気で信じなくてはダメです。
練習している時も、試合中も、いつでもそれを頭の中に入れておくのです。そうすれば私やテイラーやルイスのようになれる日が来るでしょう。夢を持つことが良いプレイヤーになる第一歩なのです。そして、一生懸命練習してください。それから、他のエクササイズも大切ですよ。
ダーツプレイヤーは何よりも身体が資本ですからね。健康第一です!