Vol. 60 Royden Lam
PDC Q-SCHOOL合格

2013年3月

今、彼女は遠い空の彼方にいて、私がプレイするのを見守っていると信じています。

Qスクール合格おめでとうございます。今改めてどんな心境ですか?
Qスクールでの4日間のハイレベルな闘いの最後の日に、ツアーカードを獲得する事が出来ました。多数の国から参戦したレベルの高いプレイヤー達と対戦出来、緊張しましたが、とても充実していました。
最後の一投を投げた際に、私の体全身が極度の緊張状態から一瞬にして解放されました。その後は非常にリラックスした状態でした。しかし、これは始まりに過ぎないとも思いました。私は、自分自身の為、またスポンサーであるCosmo Darts, Dartsliveのためにも、良い結果と優勝を目指して努力し続けるつもりです。

ところでいつ頃からQスクールに挑戦しようと思ったのですか?
2010年のQスクールに挑戦することを考えましたが、タイミングが合わず、参加できませんでした。カナダの試合で経験し、多くのことを学ぶことによってついに2013年、この目標を達成することが出来たのです。

4日間の日程でしたが、毎日どんな展開でしたか?
イギリス、ウィガンでのQスクール4日間の日程は、毎日朝6時起床し、身支度を整え、7時に朝食をとり8時に練習。9時にはQスクール会場へ出発し、運動して精神状態を安定させます。
初日の試合はリラックスし、精神状態も安定していました。当日、私と対戦した相手の選手はジョナサン・マレー、ジョン・バージェス、鈴木健太郎氏達です。ランキングで32位になったとき、リッキー・エバンス選手と対戦し、6ー4で負けました。もう少しで私は16位以内に入れたのですが、チャンスを掴むことが出来ず、残念な結果となりました。
2日目1回戦の対戦相手は、リー・ホワイト選手、2回戦の対戦相手はブライアン・ウッド選手でした。最後の決勝戦でプレイした時、相手のブライアンはうまくダブルフィニッシュしたのに対し、私は出来ず、結局6|5で負けてしまいました。私は早々に敗北し、不本意な結果となりました。3日目には、もっと良いパフォーマンスを皆さんに見せようと決意しました。
そして、思った通りのパフォーマンスを繰り広げる事が出来ました。多数の強力な選手が登場しました。ジャック・ハリントン、スティーブ・ハイガティー、イアン・ジョプリン、ケビン・マクダイン、ショーン・ライアン選手達です。ベルギーのロニー・ハイブリックス選手とは準々決勝で争いました。彼は落ち着いていて、優れた技術を習得していました。
2日間とも先にセットを奪われたので、私はツアーカードをぜひとも獲得したいと必死の思いでした。そして最終ラウンドを、4日目の最後のチャンスと捉え闘いました。勝敗に関わらず、この場でたくさんの選手と知り合い、友達になれて良かったです。
3日目には、試合の最終日に合わせて自分の気持ちの整理が出来るようになりました。

4日目はどんな試合展開でしたか?
3日目の夜から私は眠れなくなり、4日目の朝、疲れた表情で会場入りした私を、多くの友人達が心配してくれました。私は、疲れていましたが、しっかりしないと今までの努力が無駄になると思いました。そして、香港にいる、今まで私を懸命にサポートしてくれた友人達の事を考えると、すぐに力が湧いてきました。彼らの期待を裏切ることは出来ません。
この間、マシュー・ワドウプス、ダイソン・パロディー、クリス・ハートニィ、リー・ブライアント、ポール・アモス、テリー・テンプル達が私をサポートしてくれました。
準決勝に残るためにはもっとポイントを取得しなければなりませんでした。最終的に私の願いは叶いました。最後を決定する一投を投げ終えた時、ホッとして相手選手と握手する時、全身の力が抜けていくような感覚がありました。

英国、会場の雰囲気はいかがでしたか?
イギリスでは試合の4日間ずっと雪が降っていて、会場は美しい風景で囲まれていました。香港に比べるとかなり気温が低いです。
試合で良い結果を出そうと、いつもヒーターの近くに行って体を温めていると、それを見た現地のスタッフが笑いながら、「そんなに寒いの?」と聞いてきました。様々な国や地域から多くの選手がツアーカード獲得を競う為参加していましたが、彼らは熱心に練習し、お互い励まし支えあいながら、礼節を持って和やかな雰囲気で接していました。

それぞれのプレイヤーのレベルはどうでしたか?
参加していた全ての選手は一流選手ばかりで、どの試合も11~15ダーツで終わらせます。レベルはあまり変わりません。勝敗を決めるのは1ダーツの差です。とっても興奮します。

世界各国からプレイヤーは来ていましたか?
選手の大半はイギリスの様々な地域から来ていましたが、私と同じように、日本、オーストラリア、ベルギー、南アフリカ、南アメリカ、ドイツ、スウェーデン、香港からも参加していました。彼らと交流出来てとても楽しかったです。

昨年はTHE WORLDにも出場されてソフトで忙しかったと思うのですが、ハードも練習していたのですか?
私はハードダーツから始めました。以前はハードダーツだけを練習していましたが、今は自分のテクニックを安定かつ向上させるため、昼はハードダーツ、夜はソフトダーツの練習をしています。こうすると、試合中自分の感情をコントロール出来るのです。

さてこれでツアーカードを獲得したのですがPDCにはどのくらい挑戦するのですか?
今回の試合で、私は初めてPDCに本格的に触れることが出来たと思います。今回のイギリスへの旅は長かったです。同様に、香港にも参加しないといけないいくつものトーナメントがありますので、イギリスの全てのトーナメントに参加することは出来ないと思います。
ですが時間の許す限り、私は香港の代表としてPDCへ参加しようとは思っています。

今年はソフトとハード両立していくのですか?
今年私が参加するのは、ハードダーツとソフトダーツで、Dartsliveが主催する「The World」のソフトダーツトーナメント、そしてPDCのハードダーツトーナメントの両方です。すでに参加の手配を行っています。良い試合が出来ればと思っています。

アジア中から注目されると思いますが、プレッシャーは?
多くの友人が私をサポートしてくれているので、プレッシャーは感じていません。逆に彼らのサポートがエネルギーとなっています。私はダーツの素晴らしさと美しさを皆さんにぜひお伝えしたいと思っています。

特に心に残ることはありましたか?
私の妻シニー・ホーは私の事を真摯に支え、香港の多くのダーツ事業の活動に貢献してくれました。色々なトーナメントに選手達を参加させるためのサポートをしていました。私が出場する試合全ての準備を整え、私が試合だけに集中できるようにしてくれました。
私が出場する全試合を観戦し見守っていてくれましたが、私よりも彼女の方が緊張していたようです。残念なことに、昨年9月に彼女は癌でこの世を去りました。今、彼女は遠い空の彼方にいて、私がプレイするのを見守っていると信じています。
私は世界の舞台で、世界選手権への道を進むことを彼女に約束したのです!

これからの目標をお聞かせ下さい。
今後もハードダーツとソフトダーツの全ての試合で勝てるように努力し続けて行きます。多くの人が私のプレイを見て楽しんでいただけるよう、より多くの試合に勝ち、皆さんの期待に応えられるよう努力します。
もちろん私の目標は世界の舞台で優勝を果たし、世界チャンピオンになることです。