2013年5月
ダーツとの最初の接点は?真剣に投げ始めたのはいつ頃からですか?
友達同士で飲みに行った店にたまたまダーツがあって、なんとなく投げ始めました。真剣に投げ始めたのは、それから2ヶ月後くらいですね。誰にも勝てなくて、悔しくて…ちょっと頑張らないと!ということで、家でこっそり練習してました。
初めてお会いしたのがたぶん8年前頃だと思いますが、それからずっとトップを維持されていますね。
トップなんですかね……?ここまで続けられた理由は、とにかくダーツが好きなんですよね。投げる事が全然苦にならないので、常にダーツを触ってる感じですね。
長く続けていられる秘訣などありますか?
課題というか、いろいろ目標を持つことじゃないかと思います。一番にはなれなくても、例えばプロツアーならランキングをここまで持って行くとか、年内に何回優勝するとか、そういう具体的な目標を立てることは大事だと思います。
他のスポーツは何かやっていましたか?
学生時代から22歳までサッカーをやっていました。
それはダーツに役立っていますか?
全く役に立っていないと思います。サッカーは10年くらいやっていて、ダーツより長いですけどね。
いろいろな選択肢があったかと思いますが、その中でジャパンを選んだ理由はなぜですか?
僕が勤めてる会社がダーツライブを取り扱ってるディーラーなので、必然的にそこにいくことになりました。
開幕戦は緊張されましたか?
もともとDクラウンで投げていてジャパンに移ったので、勝手が違ったりとまどう部分もありましたね。知らないプレイヤーが多かったので新鮮味もありました。やっぱりDクラウンの開幕戦よりは緊張しましたね。
2012年の総合ランキングが6位ということですが、この結果についてはご自分でいかがですか?
Dクラウンではずっとベスト10に入っていたので、最低でもベスト10には入るようにという心がけでツアーに参戦しました。
でも6位というのは予想外でした(笑)。最後に優勝できたので、そこで一気にステップアップできましたね。最終戦は良かったです。
改めて振り返ってみるとまずステージ4で優勝、13で準優勝、最終戦で優勝という成績でしたが、一年の流れとしてはいかがでしたか?
Dクラウンでも決勝には3回行ってるんですけど、3回とも負けてるんで、それに比べると流れとしてはかなり良いと思います。
明日は開幕戦、準備万端ですか?
完璧ではないですが、もうやるしかないなと(笑)。
今年は全部で18試合ありますが、福岡からの参戦となると仕事との両立もあって大変ではないですか?
それが大変だと感じた事はないですね。ダーツを始めたのは沖縄からだったので、それに比べたら環境的にはだいぶ楽になっていると思います。
ここ数年技術的にもだいぶステップアップされたのではないでしょうか?
それはありますね。まずはレーティングですが、自分の平均より少しずつ上がっているのが分かりますね。
試合中にハイオフできる回数やアワードが出る回数が増えています。カウントアップは、一昨年だと1230点が最高だったのが、現在は1265点と自分の中では最高点が出ているので、技術的には確実に上がっていると思います。
ハードについてはいかがですか?
実は練習ではハードしか投げないんです。僕自身ハードは好きなんですけど、仕事上ハードに力を入れる事はできないですね。
ジャパンのツアー数が多いので、それ以外にハードの試合に時間を費やすというのが厳しい状況なんです。挑戦はしたいのですが…。
ハードで練習されるというのはなぜですか?
僕はお客さんと対戦するのは練習だと思えないんです。僕にとっての練習というのは基礎をやることなので、飛びやグリップや腕の振りを確認することなんです。そのためにはハードの方が確認しやすいんです。
具体的にはどのようなことを確認されるのですか?
まずは飛びです。ソフトというのは1点にしか刺さらないですが、ハードは矢がブレるといろいろな角度で刺さるので、そこを重点的に見ていますね。矢がブレるということは的に対してもブレるという考えなので、矢がブレないようなしっかりしたダーツを投げたいんです。
ご自分をどのようなタイプのプレイヤーだと思いますか?
もう40歳なんでおっさんですね(笑)。どちらかというとメンタルが弱いので、その弱いのがばれないように隠そうとしていますね。
負けた時は、悔しいけどそれは仕方がないときっぱりあきらめられるタイプだと思います。負けた瞬間はすごく悔しいですけど、それもその一瞬だけで、そこから離れたらもう切り替えるようにしています。負けた試合について思い悩むよりも、次を考えるようなプレイヤーを心がけています。
試合を観戦していると座波選手はとても紳士的で、他の選手達は試合がしやすいのではないかと思いますが?
ジャパンに入ってから特に思いますが、僕と当たる選手がめちゃくちゃ打ってくる印象があるので、確かに僕とはやりやすいのかもしれないですね(笑)。
もっとやりにくい選手にならないとダメなんじゃないですか(笑)。
そうですね。そのへん今年から変えていこうと思います。あまりにのびのびと打たれるのも考えものですよね。う〜ん、何か良い作戦ないですかね?
試合前の調整などはどうされていますか?
まず前日はしっかり身体を休める事に専念します。大会はほとんどが日曜日なので、木曜日までは詰めて練習して金曜日は軽く流して土曜日は完全にオフ、そして日曜日の試合に挑むというのが理想的ですね。
一年間は長いので体調管理も大変ですね。
僕はあまり風邪などはひかないですが、例えば風邪をひきそうだなと思ったら早めに対処するようにして、体調を崩す事のないように気をつけています。
肘などの故障にも気をつけていらっしゃると思いますが、何か特別なトレーニングなどされていますか?
特別なトレーニングなどはしていませんが、僕の場合は疲れたらとにかくすぐに練習を止めます。万全な状態と疲れている状態での練習は、フォームとかもいろいろ変わってきますよね。疲れている時に練習すると、その良くない状態の感覚が残ってしまうので逆効果になってしまうと思うんです。万全な状態でベストなダーツができるのが理想的なので、無理な練習はしないですね。
年齢的なものもありますが、昔は6時間とか練習していたんですけど、今はもう1時間くらいで止めてます。身体に負担をかけないことが故障を避けるためには重要だと思いますね。
お酒は飲みますか?
2年前くらいまでは普段からよく飲んでたんですけど、去年からあまり飲まなくなりました。大会の時とか何かイベントがある時以外はほとんど飲まなくなりましたね。
それはなぜですか?
お酒を飲むと身体が疲れるんです。ものすごく疲れるようになりましたね。
ロケ周りをしているとお客さんから誘われることも多いですよね。例えば一日に30人のチャレンジマッチの相手をした時に、ノンアルコールでするのとアルコールが入った状態でするのとでは、疲れ方が全然違うんですよ。それだけお酒を飲んでしまうととても身体がもたないので、もうほとんど飲まないです。
今までにスランプはありましたか?
スランプというスランプは記憶に無いんですよね。順調に来ていると感じています。
強いて言えば4年前に一度ちょっと勝てない時期がありました。腕がしっかり振れなくて、なんで振れないのか、自分なりにいろいろと考えて克服したんですけど、それからはそういうことはないですね。
理由は分かりましたか?
狙い過ぎですね。狙い過ぎてそこに入れようとする意識ばかりが強くなってしまって、リリースポイントの若干の誤差に敏感になり過ぎたんです。しばらくはいろいろ悩んで試行錯誤を繰り返しました。そうしているうちに、あまり神経質にならないで振り抜くことが大事だということに気がついたんです。それからはスランプなどに落ちる事はなくなりました。
今までで印象に残った試合は?
わりと最近なんですけど、千葉での木山選手と対戦した試合の最終レッグが印象に残っています。木山選手が9スタートして僕が7だったかな、それを彼が4ラウンドの中で3回ナインマーク出したんですよ。それをブルで巻き返して勝てたんです。この試合に勝てたのは嬉しかったですね。
練習方法と時間は?
時間は長くても2時間、短い時は30分くらいの時もあります。とにかく身体を疲れさせないようにしていますね。
特に決まったルーティーンは無くて、その時の気分次第です。どうしても気分が乗らない時に練習しても良い成果は出ないので、自分の気持ちが乗ってる時に集中してやります。それでも投げて2時間ですけどね。
今ダーツで一番大事にしていることは何ですか?
体調管理ですね。身体に負担をかけない方法をいろいろ探して実践しています。例えば食事なら必ず温野菜から食べて牛肉や乳製品を減らすとか、整体などの身体のケアも大事ですよね。
プロダーツプレイヤーについてどう思われますか?
これからどんどんプロを目指すプレイヤーが増えて欲しいので、その人達の見本になれるように心がけています。試合が終わった後に椅子やテーブルを蹴っ飛ばしたり、物にあたるのはみっともなく見えるじゃないですか。そうじゃなくて、負けても相手に「おめでとう」と言えるようなプロプレイヤーになりたいですね。
試合結果はもちろん大事ですが、それ以外の意識も高く持つ事がプロとして重要なことだと思いますね。
何人も活躍しているプレイヤーを抱えるモンスターの一員ですが、それについてはいかがですか?
面倒くさいですね(笑)。みんな頑張りますからね。でもみんな本当に仲がいいんですよ。バレルメーカーの中では一番じゃないかと思います。良い仲間に囲まれてプレイ出来るのは本当に幸せだと思っています。
尊敬するプレイヤーは?
やっぱりフィル・テイラーですね。何十年もトップを走っているのは素晴らしいです。
あの歳でいまだに世界の頂点にいて、まだまだ現役でいけると思います。心から尊敬しますね。
ダーツ以外の趣味はありますか?
今はないですね。ずっとダーツばっかりで、強いて言えばビデオ鑑賞くらいですかね。
僕はロケ周りや大会の遠征などであまり家にいないんです。月に半分くらい出てることもあるので、家に帰って来た時はもう出たくないんですよ。ひたすらぐったりしていたくて、のんびりテレビを見るのが好きですね。
今後の目標や夢は?
一番近い夢としてはスーパーダーツですね。やっぱりスーパーダーツに出たいです。
ダーツの魅力は?
一番の魅力はいろんな人に出会える事です。普通のバーに行っても隣の人と話す事はないけど、ダーツバーだと一緒にゲームしたり、自然と輪が広がるのは楽しいですよね。
最後に読者にメッセージをお願いします。
プロなんて無理だよという人が結構いるんですけど、あきらめないで挑戦してほしいと思います。例えば僕はダーツの素質は無いと思っているんですけど、練習することでプロになることが出来たんです。努力すれば必ず結果はついてくるから、みんな頑張ってほしいです。
僕はダーツをやるまでは沖縄から外に出る事はなかったんです。でもダーツを始めてあちこち地方に出るようになって、それからいろんな輪が広がりました。やっぱりプロになって得たものは大きいと改めて思うから、みんなプロを目指してください。
ただ試合に勝って賞金を獲るというだけではないものがあります。絶対プラスになると思います!
【ダーツ テクニック】
グリップ
基本はフォーフィンガーです。僕はグリップというのは自分で変えるものではく、投げているうちに徐々に変わっていくものだと思うんです。
そうやって変わっていく中でゴースト1、ゴースト2と作って来たので、その変わっていくグリップに逆らわないことですね。バレルは自然に変化していくグリップに合わせた形状にもっていくのが一番良いと思っています。
スタンスとセットアップ
あまり気をつけていることはないです。投げやすいように投げるということだけですね。違和感のないようにスタンスをとって、セットアップは投げた時のラインを見るので、それに合わせられるというのが基本です。
肩
右肩に力が入らないように、できるだけ脱力した状態でいられるようにしています。力が入った状態では投げにくいですよね。
肘
肘が動かない方がいいという人がよくいますが、僕はそれについてはあまり考えないです。肘が下がっている上がっているとかいうことと、ダーツが入る入らないというのは関係ないんじゃないかと思ってます。
テイクバック
深すぎると自分のラインを取りにくくなるので、僕は浅いほうがいいですね。例えばセットアップの状態からいきなり投げてもダーツは届くので、実際ダーツを飛ばすことに対して深
いテイクバックは必要ないと思います。
フォロースルー
フォロースルーでは腕を振り切りたいというのが一番です。振り切った方がいつも同じところで離れる可能性が大きいと思うし、まず投げていて気持ちいいですね。
中途半端に止まっちゃうと気持ち悪さが残った状態で次のダーツを投げるので、失投が出てくると思うんです。それよりはしっかり振り切った方がいいと思いますね。
リズム
リズムに関しては意識したことがないです。いつもだいたい同じ感じで投げていると思います。
リズムというのは自分の感覚で自然に投げればいい事なんで、あまり悩んだり考えたりする事ではないと思いますね。
すごく遅いプレイヤーに当たったりした時は、最初はとまどいますけど、次からは対処できますね。あまり気にしないです。
ダーツの回転
今は左回転をかけるようにしています。テイクバックをする時に回すのではなくて、フォロースルーの時から回せる状態を作っています。回転をかける目的はジャイロ効果です。ダーツ自体がグルーピングしていると、的に当たった時にはじかれにくいですから。
僕の場合はめちゃくちゃ回ってると思うんですが、でもまだ完璧には出来てないです。それを試合の時に使うとシュート力が落ちるので、今の時点では練習のみです。
いずれ試合でちゃんと使えるようにしたいですが、今は試合中では回転がかかったり、かからなかったりしていると思います。
ダーツの飛び
飛びはとにかく矢がブレないようにしています。あまり暴れて飛ばしたくないですね。それだけ精度が落ちるし、例えばハードだったらあれだけ狭いところにブレた状態の矢が刺さるのは無理ですよね。それを思うと、ブレずにしっかり飛ばすということが重要だと思います。
スピリット
とにかく経験を重ねることです。今のプロダーツはメンタルが9で技術が1だと思います。
プロはみんなほとんど同レベルの技術を持っていると思うので、あとはもうメンタルの勝負だと思います。僕はメンタル的に弱い部分があるので、これから一番強化したいですね。