Vol.106 西谷 譲二
ずっとトップを走っている選手は凄い

2021年1月号

僕が10年前にダーツを始めた頃に活躍していたのに、今も勝てている人たちは普通じゃないですよね。
そういう先輩たちには、心の底から頭が下がります。

ダーツとの出会いはいつ、どんな状況でしたか?
二十歳ぐらいの時ですが家の近所にダーツがおいてあるバーに行きまして、誘われてダーツをしました。その時にあまりうまくプレイできなかったので、悔しくてそれから投げるようになりました。11年前のことですね。

真剣に投げ始めたのはいつからですか?
練馬にあるアポロというダーツバーで働き始めてからです。お客さんに真面目に投げろと怒られまして、真剣になりました。10年ほど前のことです。プロになったのは2012年末です。

ジャパンへの移籍を決めた理由を教えて下さい。
スポンサーや働いていたお店など周りの環境の流れで、すごく悩んだんですが思い切って決断しました。

環境が変わるのでリスクなど感じなかったですか?
リスクでしかなかったです。もし活躍できなかったらどうしようか、と随分考えまして追い込まれていましたね。

移籍後初戦のステージ16 神奈川で、いきなり準優勝して話題になりました。
初めての試合だったので緊張していたのはよく覚えています。予選落ちだけは避けたいと一生懸命練習していたんですが、直前までダーツの調子が悪くてかなりナーバスになっていました。
その日予選を1位通過したと思いますが、そこで落ち着きました。パーフェクトでは移籍時点のランキングが8位だったので、プレッシャーはすごかったです。朝の段階では入れ替え戦に残りたいと思っていましたが、それが達成できると楽になりました。準優勝はよくやった、と思います。
プロになってパーフェクトに挑戦していましたが、ジャパンのプロ選手もよく観ていました。10年前に憧れていた選手たちと一緒に試合に出ているので、感慨深いものがありましたね。昔動画で観てスゲエと思った選手たちと、同じ舞台にいて感動しました。

プロ歴も長いですが、今まででどの試合が印象に残っていますか?
勿論、移籍後一発目の決勝戦は記憶に残っています。
それとパーフェクト2017年第30戦久留米で開催されたヤンマーとの試合は印象に残っています。負けたんですが、凄いレベルの戦いでした。また初優勝した鈴木徹プロとの試合も忘れられません。

昨年はステージ18岡山が最後で以降中止になりました。どう考えていましたか?
緊急事態宣言が出て、多くのイベントが自粛となりました。コロナは人との接触が原因として飲食店が名指しされたこともあり、働いていたお店のオーナーがすぐ閉店を決断しました。その時に考えたことはダーツのみならず、他のスポーツでもそうだと思うのですが、プロ選手のサバイバルが始まるということです。
トッププロで今まで稼いでいた蓄えがあるプロと、元々本業があって影響のないプロしか残れないかもしれません。これからプロになって活躍しようと思っている人には打撃になるでしょう。大会がないためパフォーマンスはできないし、スポンサーの付きようがないですよね。

ステイホーム期間に新しい試みはありましたか?
今まで毎週のようにプロツアーの試合があったので、プロの試合を観たい人はけっこういるんだと思いました。そういう人たちがユーチューブに流れて関連の動画を観たりしているので、突然ダーツでもSNSが活発になりました。僕の場合もすぐに発信を始めました。そうでないと忘れられてしまいます。
昔はDVDで有名選手の動画をよく観ていましたが、今は新しく更新されるユーチューブ動画を観る傾向が強いですよね。新しい時代がやってきてプロとして、他の仕事が増えています。フォロワー数やチャンネル登録数など数値化されるのでシビアですよね(笑)。生き残るためにできることはやるつもりです。
僕としてはきちんと編集された内容のレジェンドたちのDVDが大好きなのですが…。そういう時代なのかもしれませんが、寂しい気持ちもあります。

スティールは投げますか?
TDOには一時期出ていましたが、仕事の都合で続けられなくなってしまいました。いずれ戻って出たいですね。

PDC挑戦、日本選手の試合などは観ましたか?感想はありますか?
観ましたよ。エディーの活躍は衝撃的でしたね。勝つことは勿論大事ですが、彼はインタビューに英語で応えることが出来たので現地でも大注目されました。お父さんがウェールズ出身ということもあり、インパクトは強かったです。
PDJ神戸の試合も生で観ていて、パーフェクトでも一緒でしたので良いダーツを打つのは知っていましたが、今回の出場ですっかり化けてしまいました。あの舞台でキャラクターが受け入れられたので、将来が楽しみですね。

自分はどんなタイプの選手だと思いますか?
自分としてはいろいろ考えて投げているつもりなんですが、周りの評価では直感的なダーツスタイルだと言われているようです。

試合に臨む前の心がけ、調整、体調管理はどうしていますか?
試合前日は早く寝て、当日は早く起きるようにしています。試合は朝10時頃から始まるんですが、それに体調を合わせると3〜5時ぐらいが良いようです。それから朝食をとってアップを始めます。そのため会場入りは早いですね。

練習について教えて下さい。
今はほぼスティールを投げています。対戦する時はn01を使っています。一人で投げるよりも、対戦の方が緊張感があるので好きです。ソフトもあるんですが、夜だと音の問題で近所に迷惑になる可能性もありますからね。
よくセッティングを変えて練習しています。同じバレルで幾つかのパターンを用意して、その日に一番合うのを探っています。

尊敬するプレイヤーはいますか?
いっぱいいます。ダーツ歴が長くて、ずっとトップを走っている選手は凄いと思います。僕が10年前にダーツを始めた頃に活躍していたのに、今も勝てている人たちは普通じゃないですよね。そういう先輩たちには、心の底から頭が下がります。10年以上もダーツのプロとして生活しているなんて信じられません。

ターゲットとの契約はいつからですか?
2020年1月1日からです。日本ではスーパーダーツなどで優勝したトップ選手が所属していますが、世界になるとワールドチャンピオンが何人もいて、豪華なメンツです。何と言ってもフィル・テイラーがいますからね。嫌でもやる気になります。ターゲットUKにも認知されるように頑張ります。

プロツアーが再開した時に向けて準備はしていますか?
その時に慌てることがないように、きっちり練習しています。

今後の目標、夢をお聞かせください。
まずは移籍したジャパンで活躍して、いつかはPDCにも挑戦したいですね。

最後に読者にメッセージをお願いいたします。
10年前からNDL読んでいたんですが、今回登場できて嬉しかったです。今はコロナ禍でたいへんですが、いつか必ず大会も始まると思いますので、応援よろしくお願いいたします。