Vol.107 小野 恵太
最初はポロッと負けそうな…

2021年3月号

以前はボードに向かって物凄く左端に立って投げていたんですが…。
真ん中に立って投げれるように挑戦しました。
試合ではどうしても台間が狭い時があって、隣の左の選手が視界に入ってとても投げにくかったんです。

昨年からたいへんな一年になってしまいましたが、どのように過ごしていましたか?
実はこのコロナの真っ只中で手術をしたんです。元々左手に脱臼癖があって、ふとした時に左手で後ろのものを取ろうとしたら外れたり、マッサージに行って知識が無い人に押されると外れたりしていたんです。これは10代から起きていたことなんですが、寝返りで外れたりもしていたので、けっこう深刻でした。情けない話ですが、3月の初めに階段で転倒して左肘から落ちて、その時に脱臼を守る大事な肩の軟骨を折ってしまったんです。
手術しないと今までよりもさらに悪くなる可能性が高いと、病院で説明されました。それは地方で起きた出来事だったので、東京に帰って手術して2週間入院しました。
それで開幕戦は左手を吊るして出ようかな?と思っていたんです(笑)。手術したのは3月23日だったんですが、そのすぐ後に緊急事態宣言が発令されて大会も中止になりました。ゆっくり休めたので良かったんですが、複雑な気持ちでしたね。

その後、練習はどのようにしていたんですか?
ダーツに真剣に向き合うようになってから、2週間投げないということはなかったので、再開時は違和感がありました。そのため細かくフォームの調整をしながら感覚を戻す練習をしていましたね。その頃は実際ダーツが下手になっていました(笑)。
半年あまりリハビリ生活が続きましたが、12月にはもう大丈夫というお墨付きをもらいました。まだ定期的な精密検査は必要ですが、今は落ち着いたと思います。昨年はバタバタであっという間の一年でした。

以前から練習は時間や内容は決めているんですか?
僕の練習は昨日と今日では何が違うのか?ということを重要視していて、入ることよりもイメージ通りにダーツを飛ばせれば必ず入るということなんです。例えば昨日はいい感じで終われたとして、今日はどうなのか?もし違っていたらそれを戻して終える、という毎日です。一人の練習でそういうこをやって、そして対戦して入るのかどうかを確認します。
でも昨年はダーツイベントが全て中止になってしまったので、モチベーションも落ちて悩んだ苦しい年でした。

今回はツアー中ですとフォームなど怖くていじりにくい事でも、挑戦した選手が多いのですが何かしましたか?
以前はボードに向かって物凄く左端に立って投げていたんですが、真ん中に立って投げれるように挑戦しました。試合ではどうしても台間が狭い時があって、隣の左の選手が視界に入ってとても投げにくかったんです。その人のプレイスタイルが遅い選手だとマシンに30秒というルールが設定されているので、ストレスがありました。リズムに大きく影響していましたね。
昨年アワードが終わった時から動こうと思っていたんです。そして手術して、その後それに取り組み始めました。
練習ではほぼ出来るようになって、昨年PDJの試合で試しました。結果はそれほど悪くなかったです。
それもこの時間があったからこそ出来たことですよね。短期間では立つ位置を変えるのは難しいです。狙うターゲットまでの距離が変わってしまいますからね。

その他では何もしていないんですか?
微妙に本当に少しですが、グリップやフォームが変わっていると思います。敢えてということではなく、自然にそうなったという感じでしょうか。

セッティングはいかがですか?
僕の場合はそこまでの余裕が無かったです。リハビリと立つ位置を変えることで目一杯でした。今までにたくさん試して追求して来たので、今のところそれで満足しています。

今回の挑戦はカードデータには表れていますか?
最近カードを使って投げていないんですよね。どうでしょうか。そこそこ結果は出せると思います。今FIDOに出ているんで、スティールを投げる機会が多いです。

FIDOプレミアリーグの試合、観ていましたよ。
オンラインはそれで難しいですね。思ったより固かったです。アベレージ的には78だったんで、それほど悪くなかったんですがもう少し出来たかな?と思っています。今を改めて考える機会になりました。

今年はどこかでプロツアーが始まると思うんですが、準備はできていますか?
一年以上試合をしていないのは不安ですよね。初めての経験です。昨年の11月にダーツライブのイベントがあって、久しぶりに対面で試合をしました。知野真澄選手とのオープニングマッチだったのですが、二人とも心拍数180ぐらいの感じで緊張しましたね(笑)。

今年の目標を教えて下さい。
他の選手はどんな感じで仕上げて来るのか、全く分からないのでどうでしょうか。でも2018年7位、2019年は4位でしたので、3位以内に入りたいという気持ちはありますね。最初はポロッと負けそうな気がします。それでも慣れていって後半で追い付きたいですね。

最後にメッセージをお願いいたします。
今新型コロナの影響でみなさん、たいへんな思いをしているんだと思います。大会が再開されたら元気な姿をお見せして、頑張りたいと思いますので応援お願いいたします。