Vol.108 座波 常輝
JAPAN 2020 ONLINE OPEN STAGE

2021年5月号

まずダーツが好きだということはあります。
駆け出しの一年後くらいに肘を痛めて、ヤバいな?と思った時に投げるのをセーブできるようになったことがあると思います。
今でも疲れたり違和感を感じたら、すぐやめるようにしています。

優勝おめでとうございます。オープンということだったのですが、エントリー数はどのくらいだったのですか?
ありがとうございます。2400人ほどだったと思います。

すごい数のエントリーですね。誰が勝つんだろうと思っていましたが、その頂点に立ちました。これは価値ある勝利だと思います。
そうですね。本当に嬉しかったです。ファイナルでは16人が集まって直接対決だったんですが、ほとんどの選手が約一年ぶりのステージだったのではないでしょうか。そのため皆固かった感じですね。

前号では20人の選手たちにインタビューしたのですが、けっこう皆さん練習しているようでしたよ。フォーム改造にも取り組んでいました。多くの選手がこの試合に照準を合わせていたと思います。
そうですね。長いオフになってしまったんで、皆さんいろいろと取り組んでいたとは聞いていました。僕もそれなりにしていました。

今日本で一番強いとされる浅田斉吾選手にも勝っていますね。
勝ちましたが、でも彼は本調子ではなかったようでした。これはチャンスだと思ったので、一番集中した試合でしたね。

そして決勝は昔からよく知る村松治樹選手でした、どんな試合だったのですか?
実はまだ動画も見ていなくて記憶が飛んでいるんです。試合後はあれ?勝っちゃった!という感じでした。当日は朝からすごく調子が悪かったんです。たぶん緊張のためか、ブルが全然入っていなかったですね。
そこで練習中にここまで来れたんだから、それでいいじゃないかと気持ちを切り替えたんです。そうしたら試合で入るようになりました。

経験も長いのでうまく対応できたということでしょう。ところで当日会場はどんな雰囲気だったんですか?
張り詰めている感じは無くて、とても和やかでした。でもこのコロナ禍、練習中はそうだったんですが、控室はそれぞれ個室だったんです。そのため休憩中のコミュニケーションはありませんでした。でもこの状況でこんな大会を開催していただいた関係者の皆様にお礼を申し上げます。

ところですぐ後にFIDOプレミアリーグでまた村松治樹選手に当たって、また勝ちましたね。
そうですね。この試合では彼は絶対勝つ!と思っていて力んでいたように思いました。なんといってもPDCに一番行った選手ですから。でも当日、彼のスタッツは僕よりも良かったんですが、ダブルで引っ張っていました。この試合はダブルを決められたのが勝因ですね。

ダーツ歴も長いですが、ずっとトップを維持している理由は何ですか?
何でしょうか?まずダーツが好きだということはあります。そして駆け出しの一年後くらいに肘を痛めて、ヤバいな?と思った時に投げるのをセーブできるようになったことがあると思います。今でも疲れたり違和感を感じたら、すぐやめるようにしています。特にここ数年は確実にそうしています。怪我の予防のため無理して練習はしません。
毎日はそれほど投げ込んでいませんが、試合の2週間前から1週間前では自分の思っている基礎練習をみっちりやっています。

今プレイヤーのレベルは上がって来ていますよね。その中でトップを維持するのはたいへんなことだと思うのですが、どんな努力をしているのですか?
上がっていますね、正直たいへんです。例えば僕はこんなことをしています。カウントアップの練習とかはしないんです。カウントアップで何点の目標とか設定して投げません。僕の練習はひたすらスティールボードに向かっての空投げです。ずっとフォームというよりは軌道を意識しながら投げます。最近19トリプルがイマイチだな、と思ったらずっとそこに投げます。結果よりも再現性を大事にしています。軌道を安定させる練習ですが、それが一番大事なことだと考えています。

最初に弊誌に登場したのは2009年7月号ですが、それからグリップやフォームは変わって来ていますか?
変えようという意識はないですが、自然に変わってきています。それが分かるのが使っているバレルが合わなくなった時です。グリップで違和感を感じたり飛びが安定しなくなったりするんです。そのタイミングで新しいバレルが出るんです。

今、技術的にダーツで一番大事にしていることはなんですか?
実は技術的には少し落ちていると感じています。一番良かったのは2012年で、その年にジャパンが始まったんですが年間ランキングは6位でした。その時は20トリプルでカウントアップをやると、月に2、3回1200点を超えていました。それが最近は1000点出ないです(笑)。当時はレーティングも18を切らなかったんですが、今は17後半くらいでしょうか。
今回のオンライントーナメントでは18を超していましたが、普段とは違っていました。優勝しましたが、何だったんでしょうか?自分でも不思議な感じがしています。

読者にメッセージをお願いいたします。
48歳になっても優勝できるのが、ダーツという競技です。長く楽しめるので、ぜひどんな年齢からでも始めて下さい。これからも頑張りますので応援よろしくお願いいたします。