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Vol.9 福永 正和
ダーツは日本人向けのスポーツだと思っています

2004年9月号

日本各地でダーツが盛んな地域はいくつかありますが、その中でも福岡は有名なエリアのひとつです。恒例のハイネケンカップの開催をはじめ、現在では700人ものプレイヤーからなる日本最大のリーグ戦も行われています。その中心であるTiTOは全国の皆さんもよくご存知のことではないでしょうか。
今回のゲストプレイヤーはTiTOグループの社長であり、もちろんご自身も熱きプレイヤーである福永氏にご登場いただきました。

ダーツを始めたきっかけは?
3年前になりますが、横浜の支店に出張があり、そこの行きつけのバーにダーツが置かれたのです。そこで初めてダーツに出会ったのですが、その日は夢中になってしまって5時間投げ続けました。もともと野球をやっていてピッチャーだったので、狙った場所に投げるということが面白かったんですね。それから出張のたびに必ず投げに行くようになりました。僕は仕事がら出張が多かったんですけど、それまでは食事も合わないし、どうも気が重かったんです。でもダーツのおかげで出張が楽しくなって、逆に九州にはダーツが無かったのでつまらなくなってしまいました。

当時九州にはダーツがなかったのですか?
そうです。九州では自分でソフトのボードを買ってちょこちょこ投げてたのですが、やっぱり本物が投げたくて、インターネットで調べたらメダリストにぶつかったんです。メダリストに連絡してどこか九州に置いてある所はないかと聞いたら、ナムコのゲームセンターに1台だけ置いてあるというので、そこに行きました。その時は僕と弟と小・中学校の後輩だった吉永(吉永雅敏氏)と、1ヶ月くらい毎日通って投げてましたね。よく3人でグリップなんかをいろいろと研究しあったりしてました。

TiTOオープンまでのいきさつは?
僕はエステサロン、広告代理店、HP制作会社などを経営していて忙しかったので、最初ダーツマシーンは友人の店に置いてもらおうとしたんです。でもその友人が、店の雰囲気もこわしたくないし、そんな訳の分からない物を置くのはいやだと言うので(笑)結局ダメになって、それじゃあつまらないので自分でお店を作ることになったわけですが、それがTiTOです。結局ダーツを初めて触ってから2ヵ月後にはお店をオープンしたことになりますね。
当時は儲かる、儲からないなどは考えてもいませんでした。毎月自分が遊ぶお金を考えたらそれほど高くないかなと(笑)そんな気持ちでした。それよりはとにかく自分がダーツを投げたい!という気持ちの方が強かったですね。最初は4台のマシンを入れました。広告代理店をやっていたせいもあって、TV取材も多く来たりして、とにかく大反響だったんです。本当に連日お客さんがたくさん来てくれました。
それから福岡のダーツ界にとっては高口さん(高口清隆氏)の影響も大きいと思います。東京でもハードのトッププレイヤーだった彼が地元福岡に帰ってきていろいろと教えてくれたんです。そんあこともあって福岡でダーツはブームになっていったんです。

それからどんどんお店を増やしていかれたわけですね。
そうですね。うちの場合はまずスタッフがどんどん育っていってくれたことが大きいです。一緒に頑張りたいというスタッフがたくさんいたので、例えばネクタイにスーツを合わせるように、お店を増やしていったという状態です。今もスタッフの努力によって成り立っているお店が多いです。現在10店舗ありますが、その中でもダーツが上手いスタッフがいる店ばかりが流行っているわけではありません。逆にあまり上手くないからかわりに接客で頑張ろうというスタッフの姿勢が良くて、そういう店の方が流行ってる場合もあるんです。

ハウストーナメントも盛んですか?
先週のハウストーナメントは250人のエントリーがありました。これだけの人数になると一度にはできないので、9時・12時・3時とエントリー時間を3回に分けて回すという方法を取りました。
来月はシングルスで200人のハウストーナメントを予定していますが、これはダブルスのトーナメントなら400人のエントリーという意味でもあって、ハウストーナメントとしてはかなりの規模だと思います。まずプレイヤーに喜んでもらいたい、上手くなってもらいたい、というのが第一です。

これからのダーツの方向性についてはどう思われますか?
僕はダーツは日本人向けのスポーツだと思っています。それは絶対断言したい。ショップもプレイヤーももっと努力しなければならないことが大前提ですが、もっと伸びる可能性があると思います。まだあと何年も、5年も10年も伸びていくものと思ってるんです。
たまに関係者で「いつまでダーツが続くと思いますか?」と質問してくる人がいるけど、それは違うでしょう。僕は逆に「それはあなたも含めたみんなで続かせていくものでしょう」と言いたいですよ。
これからソフトもハードも上級者がたくさん出てくると思いますが、さらに数多くの人達がダーツをプレーする機会を増やすことが大事だと思います。週に一回、月に一回だけ投げるという人達も確実に増えてきてるんです。実際TiTOもトッププレイヤーだけに支えられてるわけではないんです。週一プレイヤー、たまに来るサラリーマンの人とか多いですよ。その中でトップを目指す人は、何もしなくてもその方向に自然に行くでしょう。
今ダーツを曇り目で見てる人達は、まだダーツの素晴らしさをわかってないと思うし、もちろんまだダーツを知らないという人もいる。そんな人達を引き込みたいですね。小学生・中学生・高校生などの可能性も考えていく必要があると思います。

九州については?
九州についてもまだまだ発展途上、やはりもっと増えていくでしょう。ハイネケンカップなどに全国のトッププレイヤーを呼びますが、それは福岡のプレイヤーにトップのプレーを見せてあげたい、その一心です。そんなことでもっとみんながダーツに夢中になってくれればと思います。
それからトッププレイヤーの人達はぜひ、自分がどれだけダーツを愛しているか、ダーツが素晴らしいかを初心者のプレイヤー達にアナウンスメントしてほしいですね。
僕はプロの中では、やはりポール・リム氏は素晴らしいと思います。ダーツ界のために一生懸命である彼を尊敬しています。

プレイヤーとしてのご自身についてですが、練習時間は?
毎日1~2時間はひとりでひたすら投げてます。その後店に行ってお客さんと投げるので、実際は4~5時間というところでしょうか。
僕は人のペースで投げるわけではないので、それを考えると普通のプレイヤーに比べて10倍くらい恵まれてるかもしれません。投げたい時に投げたいだけ投げて、疲れたらバイバイと帰ってしまうんですからね。それからお酒を作るなんてことも全くないので、いつもダーツに集中していられるわけで、これはお店のスタッフの人達に比べれば100倍恵まれてるといえるのかもしれません。でもそのわりにはまだまだなんですよね。この状況でもっと上手くならなければウソでしょう。もっともっと練習して頑張ります。

今使っているダーツは?
ジョン・ローの20gです。

ダーツの魅力は?
ちょっと話がそれますが、僕は小・中学で野球をやっていて、高校は野球で有名な学校に進学したんです。それがちょっとしたトラブルを起こして辞めることになったんですが、それまで打ち込んでいた野球を辞めてしまったことで、いきなりすることがなくなってしまったので、ぽっかり穴が開いてしまったんです。その時友人にボクサーがいたので、それがきっかけでボクシングを始めました。その後インターハイに出場したり、プロとして活動している時期もありました。
僕はボクシングとダーツは似ていると思うんです。どちらも一対一の勝負で、やられたらやり返す。相手が怖がってる時などその気持ちが伝わってきますし、スリルも感じます。ボクシングでそんな戦いをずっとしてきたので、それがダーツにも感じられるのです。そこも魅力の一つでしょうか。

上達の秘訣は?
相手に負けたくないと思う気持ち、まずこれは大事です。それからやはり、ダーツというのはいろいろな経験の蓄積で出来上がるものだと思うので、実践でのキャリアを積むことも大事です。実践のキャリアというのはトーナメントです。トーナメントで不断通り投げるのは案外難しいものなんですよね。こういう実績を重ねることも上達にとっては必要なことではないかと思っています。

今までで印象に残った試合はありますか?
第30回JSFD JAPANオープントーナメント全日本選手権で竹山大輔選手と篠原直樹選手との決勝です。2人の恐ろしいまでの集中力に感動しました。世界との距離が近づきつつあるのを感じさせられた好試合でした。

これからの目標や夢はありますか?
海外に出てみたいですね。恥ずかしながらまだまだですが……。夢はハードで日本代表になることです。やはりハードのグローバルスタンダードという部分には惹かれます。ダーツプレイヤーとして世界の舞台に立ってみたいと思います。とにかくダーツにおいては福岡を、九州を自分が引っ張っていくぞという気持ちで頑張っていきます。ダーツを愛していればこそできることなのです。

DARTS MANIAX