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Vol.58 Peter McCormick
世界には様々な形のダーツがある 

2012年11月

プーマダーツの歴史や商品について教えて下さい。
我々が会社を始めたのが1970年のことでした。その頃ニュージーランドではダーツ製品はあまり知られていなかったので、最初は紙製のダーツボードを販売することからスタートしました。
1972年には自社製のダーツの販売も始めたのですが、最初は真鍮で出来ているものでしたね。その2年後にはタングステンのダーツも作り始めました。そして、75年~76年頃にブリッスルボードの販売を開始したのです。この製品のために、オークランド(ニュージーランド最大の都市)から約170キロ離れたところにあるカティカティという小さな街に工場を作り、それ以来その場所が弊社の本拠地となったんです。海辺にある素晴らしいところですよ。
その後弊社は色々なブリッスルボードを作るようになりました。最初は、バンディットボードという製品を世に出したわけですが、この製品は今でも世界的に愛され続け、それが変わらずニュージーランド製であるということを誇りに思っています。
このバンディットボードは、WDFが認定した世界でたった2つのオフィシャルボードのうちの1つで、過去5回のワールドカップなどのメジャー大会で使用されています。また、1992年にプーマダーツが開発したブレードボードは、ワイヤーを埋め込むことによってバウンスを少なくするという画期的なもので、その後世界的に普及していきました。
2009年に発売したバンディットプラスは全く新しいダーツボードといえるもので、背面の炭素繊維素材から、過去には見られなかったほど鮮明な表面のプリント、更には地球環境に優しい素材の選択も含めた、こだわりの逸品となりました。
同じく2009年にはshot!シリーズも発売開始し、ダーツ上級者や一段上を目指すプレイヤーの為に、独自のデザイン性や性能に力を入れました。このラインアップは、特にアジアのプレイヤーのニーズに応えるために作られているんです。
2011年には日本のLーStyleと提携し、その後Grafixシリーズをshot!の中に展開しました。このシリーズは、バレルの表面に特殊なコーティング加工を施すことによって、グリップ性能の向上と、優雅な外観の両方を達成したものです。2012年にはCAMOとSKULLのシリーズもラインナップに加わり、多彩なデザインとカラーでダーツプレイヤーの皆様に喜んでいただけるものと信じています。
弊社の主力製品は、今でもニュージーランドの最高の技術者たちによって作られているんです。技術的な面だけでなく、デザインのメインチームもニュージーランドを拠点にしています。現在プーマダーツの製品は世界の74の地域で販売されています。現地提携している会社が世界中に約50もありますし、そういったパートナー達からその地域の特色や色々と有益な情報が得られます。
そのお陰で、変動の激しいダーツの世界的な市場にも対応していけるのです。

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世界74の地域というのは凄いですね。そこまでにするにはご苦労もあったでしょう。
そうですね。長い道のりでした。海外に市場を開拓して行くというのは、一歩一歩の着実な努力が必要なんです。
それぞれの市場にその地域特有の違った特徴があるわけですね。ある商品がここでは売れても、違う場所に行くと売れないということはよくあることです。
ですから、その地域のニーズに合わせた商品を素早く提供していくのが大切です。

プーマダーツの売上において、どの地域がベスト3となりますか?
アメリカ、オーストラリア、香港の順番ですね。

今回日本の他にも、中国、韓国、香港にいらしたと聞きましたが、いかがでしたか?
おかげさまで素晴らしい旅をさせてもらいました。
まずは香港に行ったのですが、香港はダーツ人口も多いですし、熱気あるトーナメントを観戦させてもらいました。香港の市場は急速に拡大していますから、ダーツ関連の場所を散策することも色々参考になりました。弊社でも今後新しいデザインの物を色々投入していくつもりです。
それから中国にも行きました。中国の市場は現在のところとてもゆっくり成長しています。その後韓国にも行きました。韓国は面白いところで、他とは違ったユニークな商品が売れ筋になったりするんです。ここでもダーツ市場は確実に大きくなっていますので、今後が楽しみな地域ですね。そして今回日本にも来たわけです。勿論ジャパンを見ることが大きな目的ですね。
それにしても、日本の市場はめまぐるしく変わるので大変興味深いです。世界でも一番変化の早いマーケットだと言えるでしょう。ここでは、ダーツのデザインや、フライト、ティップなど、全てが凄いスピードで変わっていきます。
ですから、ここでやっていくためには、その変化に素早く対応して新しい商品をリリースしていく必要がありますね。だからこそ、面白くてやりがいのある市場になっていると思います。

日本にはよくいらっしゃるのですか?
基本的に年3回は来ています。1998年が初めての来日でしたので、それ以来もう数えきれない程来ていますよ。

それだけ頻繁にいらっしゃるのは、先ほどの日本の市場の特性と関連があるのですか?
そうですね。やはり、変化の早いマーケットに対応するためには、実際にその動向を目の当たりにして空気感を知ることが大切ですから。
今日本では何が起きているのか、何が求められているのかを感じるためには、そのくらい何度も現場に来て実際に見なければなりません。日本のように急激に成長し、変化を続けながらも洗練された構造を保っている市場では、常に新しい物を追求して認知度を保つことが必要なんです。

初めていらした頃と今とでは、日本のトーナメントはどう変わったでしょうか?
一番変わったのはプレイヤーの質でしょうね。
今回日本でジャパンを見させていただきましたが、プレイヤー達の上達には目を見張るものがありますね。現在の日本人プレイヤーのレベルであれば、ソフトでならどこの国でも通用するでしょう。日本のトーナメントのレベルはとても高いですから。強い選手が次々現れて、お互いに切磋琢磨して更に強くなるわけです。
ですから今と昔で日本のトーナメントで変化したことと言えば、やはりプレイヤーのレベルが劇的に上がったということでしょうね。

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日本ではダーツは比較的新しいスポーツですが、この短期間のうちに多くの新しい商品が溢れた市場になって来ています。このことについてはどうお考えですか?
本当に沢山のバレルメーカーなどがあって驚いています。
私が日本に来るたびに新しいメーカーが出来、新しいデザインのバレルや商品に出会います。それだけでなく、多くの商品が優れた技術やデザイン性を持っていますね。そういった物から、何が日本のプレイヤー達に求められているのかというヒントを得ることができます。そこは、私が日本に頻繁に来る一つの大きな理由でもありますね。
弊社の商品を、常に日本のプレイヤーにとって、新鮮で魅力的なものにしておくためには、必要なことなんです。

ニュージーランドとオーストラリアのダーツシーンについて教えて下さい。
ニュージーランドとオーストラリアでは、ダーツと言えば95パーセントがハードのことです。ソフトのマシーンはあまりありません。日本とは随分違う状況ですね。
日本ではダーツマシーンはダーツバーなどにあるのが当たり前ですが、ニュージーランドやオーストラリアでは、スポーツクラブや、ダーツクラブでプレイするのが普通です。そういったところにはハードのボードがあって、仕事の後や週末にリーグで戦ったりします。家族でダーツを楽しむプレイヤーも大変多いです。バーでプレイする日本とは、雰囲気が全然違いますね。

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ニュージーランド/オーストラリアと言えば、有名なのはサイモン・ウィットロックですね。
彼はオーストラリアの出身ですね。サイモンは本当に才能溢れるプレイヤーです。何年もオーストラリアのダーツ界で優勝していました。今は世界最高峰のPDCに挑戦の場を移して活躍しています。熱心に練習することでも有名で、世界有数のプレイヤーと言えるでしょうね。
最近のニュージーランド/オーストラリア選手の中にも、良いプレイヤーはたくさんいますよ。特にオーストラリア出身の女性プレイヤーで、世界ランキング上位に食い込んでいるトリー・コーシュは期待できます。ニュージーランドからはジョナサン・スィルコックという若手の良いプレイヤーも出てきています。
若い世代に素晴らしい選手が増えてきていることは、本当に嬉しいですね。

最後に読者にメッセージをお願いします。
ダーツマーケットの世界的成長と共に、プレイヤーにとっても色々なチャンスが増えている時代になりました。日本のプレイヤーの方々にも沢山トーナメントに出場して、経験を積んで欲しいですね。
そして、海外に目を向けて欲しいです。世界には様々な形のダーツがあります。違う文化やその地域独自のトーナメントなどに触れることで、多くの物を学び取ってくれたら嬉しいですね。そういう経験が自分の中に新しい何かを形成してくれるし、更には新しいダーツの時代を運んでくれることにもなるのです。

PUMA DARTS よろしくお願いいたします