Vol.33 劇場用映画『Happy ダーツ』完成!

2008年9月

『Happyダーツ』では、30歳、仕事に熱意もなく、すべてが中途半端。そんな女性がダーツにハマり、全国大会優勝を目指し、懸命に練習に励んでいくことで、人生の喜びを再び見出していく。
主人公・美奈子には、その飾らないキャラクターで、ドラマ、舞台、バラエティと幅広く活躍する辺見えみり。彼女のイメージとは全く違う、仕事に熱意があるわけでもなく、恋愛にも本気になれない、いまどきのOLを見事に演じた。美奈子の憧れの人・篠塚には、ドラマ「ホタルノヒカリ」でヒロインの恋人役を好演、ミュージシャンとしても日本武道館ライブを成功させるなど人気急上昇中の加藤和樹。ライバルの天才ダーツ・プレイヤー八王子には、モデルからバラエティへと活躍の場を広げる森泉が、映画初出演。
そのほか、佐藤仁美、新田恵利、村杉蝉之介など多彩な顔ぶれが作品を華やかに盛り上げる。
監督・脚本は、インディーズ映画界の女王と言われる松梨智子が商業映画に初挑戦。自分自身の現在の状況を投影したという同年代の主人公の心の変化を、コミカルに、時に細やかに表現し新境地を切り開いた。出演者・監督は、撮影前から日本で活躍するダーツ・プレイヤーの指導を受け、皆すっかりダーツの虜に。手に汗握るリアルな試合シーンも必見な、本格ダーツ・ムービーが誕生。

STORY
30歳。派遣社員。泣いて、笑って、ダーツして。
久し振りに頑張れるもの、見つけた。

全日本ダーツトーナメント決勝。大勢の観客が見守る中、沢田美奈子が最後のダーツを投げようとしていた。高まる緊張感の中、美奈子の頭にはこの2ヶ月の出来事が廻っていた───
食品会社に派遣社員として勤める美奈子は、今日も終業時間ぴったりにタイムカードを押し、同僚で親友の麻衣といつもの部屋飲み。「最近、仕事が楽しい。」と語る麻衣に、「信じられない~」と美奈子。興味は、最近購入したブランドものの財布や洋服のみ。仕事に意欲などまったくないのだ。お酒がなくなり、「外で飲もう」という麻衣に連れられて行ったのは、ダーツバー、サーカスタバーン。「めんどうくさい」と一人お酒を飲む美奈子に、「ダーツ、やってみませんか?」と店員の篠塚慶介が声をかけてきた。爽やかでかっこよく、親切な篠塚に美奈子は一目ぼれしてしまう。それから美奈子は、彼に会いたいという下心でダーツを始め、サーカスタバーンに毎晩のように通い始める。

サーカスタバーンでハウストーナメントが開催される日、偶然お店に行った美奈子は、勢いで急遽参加することに。対戦相手は八王子里美。ダーツ界で有名な選手でワールドカップにも出場したことのある実力者、しかも若くて美人。楽しくゲーム感覚でダーツをしてきた美奈子が敵うわけもなかった。大勢のギャラリーや篠塚の前で、恥ずかしいほどの大差で負け、その上、親密そうな篠塚と里美を見て、すっかり意気消沈してしまう。
その悔しさから、美奈子は本格的にダーツを練習し始める。ブランドものの洋服から、Tシャツとジーンズに、ヒールの靴からスニーカーに、ダーツのために服装も変えるほどのめり込んでいく。そんなある日、篠塚がプロを目指し、イギリスに渡ってしまうことを知る。美奈子はショックを受けながらも、ある決心をする。仕事も恋もこれまで適当に、中途半端な生き方しかしてこなかった自分と決別するためにも、全日本ダーツトーナメントで優勝し、それから篠塚に想いを打ち明けると。美奈子はこれまで以上にダーツの練習に打ち込むようになる。
そしていよいよ全日本トーナメント開催の日。並みいる強豪を次々と退け、美奈子は決勝まで勝ち進む。そして決勝戦の相手は、里美。因縁の勝負が始まった!

辺見 えみりさん Interview
映画以前にダーツは知っていましたか?
映画を撮る4年位前にダーツバーでダーツをする機会が何回かありましたが、それ以外はほとんど知らないで撮影に入りました。

ダーツをテーマにした初めての映画ですが、出演が決まったときはどう思われましたか?
どういう感じでダーツが映画に入ってくるのか、どこまで本気でダーツをやらなくてはならないのか考えました。撮影前に先生について練習を始めましたが、最初は探り探りといった状態で、実際に「これは本格的にやらなくてはダメだな」と思ったのは撮影直前でした。ダーツが出来るという設定なので、ごまかしは効かないなと……見る人が見るとすぐ分かってしまいますからね。

ダーツ映画ということで難しかったことはありましたか?
特にダーツの映画だということを意識したわけではなかったんですが、普通の女の子としての場面は最初だけで、結局後はほとんどダーツばかりの内容でした。フォームはKTMさんに習ったんですが、かなりしごかれました。途中、KTMさんも出演するしないという話が出たんですが、「自分のフォームを完璧に教え込んだから自分はもう出演しているようなものだ」とまで言われたくらいですからね。
さすがに一ヶ月もやり続けると結構上達しましたよ。最後の大会のシーンは、本当に最後に撮ったので、ちゃんとブルに入るんですよね。それが先生としては嬉しかったみたいです。
始めに集中して練習して結構投げられるようになったんですが、撮影の進行上、上達以前のシーンが途中で入るんです。そうやってわざとはずしてたら、今度は本当に入らなくなっちゃって……それが一番きつかったですね。へたにしちゃった瞬間に投げられなくなっちゃってボードに届かないんです。「あんなに出来てたのに何で?」って状態になっちゃいました。それでまた先生に来てもらって、出来るようになったんで良かったんですけど、あの時はこのまま入らなくなったらどうしようと、ヒヤッとしましたね。

もちろんテーマはダーツですが、どんな映画ですか?
恋もしたことがない30歳の女性が、たまたま好きになった人がダーツをやっていたのをきっかけに、ダーツに本格的に入り込んでいくというわかりやすい内容なんです。それまでは何に対しても一生懸命になれなかったのに、恋をしたことによって、こんなにも一生懸命になれるんだと、こんなにも人って変わってしまうんだ、ということが描かれてる映画です。
見どころは?
とにかくみんな真剣にダーツを投げてますので、それは見ていただきたいです。それから実際のダーツプレイヤーの方たちが、所々に出演しています。それは必ずしもダーツを投げているわけではなく、例えば工事現場のおじさんだったり、さりげない場面でいろいろ登場しているので、そんなところも見ていて楽しいのではないでしょうか。

顔見知りになったプレイヤーもいらっしゃいますか?
タローさんはこの映画の男の子のモデルになってる人なので、始めにお会いして教えてもらったりしました。タローさんはビジュアル的にも素敵ですしね。それから、ジョニーさんはちょっとおもしろキャラですね。

監督や共演者の方とのエピソードなどはありますか?
私と加藤君と蝉之介さんはとにかくダーツにハマってハマって大変でした。行く先々に必ずダーツがあるので、カメラが回ってない時もいつも投げてました。ハマッた人はハマりましたが、興味のない人は全然で、共演者はパッキリ二つに分かれましたね。
監督も元々ダーツが好きで、これは彼女自身の体験でもある話なんです。結構上手いので、監督自ら投げることもあるような、そんな楽しい現場でした。

撮影秘話などありますか?
秘話というわけではないですが、撮影中雨の日に一度も当たらず、天気で撮影がダメになるようなことが一度もなくて、すべて順調に終ったんですよ。映画やテレビなどではまずありえないことで、必ず一日二日雨で撮影がずれたりするんですが、今回はそんなことがまったくなかったですね。
それから大会のシーンでは、去年実際のトーナメントに行って撮影しましたが、カメラマンさんがずっと手持ちで撮影してるんです。だからとてもリアルに撮れてて臨場感が伝わってくると思います。これは見所の一つでもありますね。

撮影期間は?
二週間です。二週間毎日朝から晩までびっちりでした。

ご自身のダーツは?
撮影中ほどではないですが、続けてます。撮影中は毎日毎日投げてたので、どんどん上手くなったんですが、さすがにそこまでは出来ないので、上達はあまりしてないと思います。でも私自身ダーツが好きになったのと、ダーツを通して知り合いも沢山できたので、そんな人達に連れて行ってもらうことも多くなりました。お正月などは一人で投げに行ってましたよ。この前まで京都で舞台があったんですが、京都のダーツバーを探してみんなで行ったり、結構楽しんでます。

ダーツについてどんな印象を持ちましたか?
すごく集中力が必要なんだなと思いました。遊びながらなんとなく投げようとしても、じゃあ勝負しようかということになるとつい真剣になってしまいます。相手が男の子でも「絶対に負けたくない!」という気持ちが沸いてきますね。上手い下手というのがあっても意外に成り立つというか、それなりに楽しめるというのがダーツの面白さですね。

これからもダーツを続けますか?
絶対やります。お酒も好きですから、普通のバーに行くならダーツができる所に行くほうが断然、楽しいですからね。

読者にひとことお願いします。
気軽な映画なので、ぜひ気軽に見に来てください。時間があるからなんとなく見てみようかなと、そんな感じでさらっと見られる映画です。
ダーツプレイヤーはもちろん楽しめると思いますし、ダーツを知らない人なら、最初からしっかり説明してるので勉強になるのではないでしょうか。そしてダーツも気軽に始めてみてほしいと思います。もし私を見てやってみようかなと思う人がいたら嬉しいですね。

ご自身についてですが、これからはどのような活動をされるのですか?
これからは舞台に力を入れていきたいと思っています。もちろんテレビも出ますが、舞台という緊張感を感じるのが好きなので、今の年齢でしっかりと力をつけたいと考えています。
緊張感という意味ではダーツも同じですよね。