Vol.71 PDJ 2014
試合総括

2015年1月号

再び、アノ舞台へ挑戦…
恒例のイベントとして根付いた感のあるPDJ。ダーツプレイヤーなら誰でもあこがれるPDCの目玉イベントであるワールドチャンピオンシップへの出場権を賭けて日本人プレイヤーの熱い注目を集める大会へと育って来た。さて、日本ダーツ界の期待を背負って「アノ舞台」で戦うのは誰なのか?

やはりハードの真剣勝負はおもしろい
東予選、西予選から勝ち上がった10選手。その他3団体からの推薦でPDJファイナルにはまた13名の名プレイヤーが11月24日、両国KFCホールに集結した。誰もがアノPDCワールドチャンピオンに出場したいことだろう。
2009年か始まったこの大会、6年目を迎えるが勝利したのは誰だったのか?

1回戦、2回戦 : best of 7 legs
準決勝 : best of 9 legs
決勝 : best of 11 legs
女子決勝 : best of 5 legs
※東西予選順位は、予選時のアベレージを元に順位付けを行っている。
※団体推薦選手については、ファイナル前日に選手自身が抽選を行い対戦相手が決定。
今号では文章/編集 有限会社 ハード(zac ca)代表 原田健さんにご協力いただきました。

1st Leg:村松選手が2ラウンド目に180。その後も大きく削り121レフトをOB-T20-D18と打ち、12ダーツで先取。
2nd Leg: 村松選手が26で最悪のスタート。175でT20-T19-S18の135を削り、40とナイスアレンジ。しかしこれを外し10レフトにしてしまう。続く東田選手56レフトをS8-S8と打ち40を外してしまう。結果D5で村松選手が決める。
3rd Leg:このLegの途中、東田選手が非常にテンポ良く投げている場面があった。これが彼が持つ本来のテンポなのだろう。先ほどのLegと同じ56レフトでS16-S20-D10とミスはしたものの持ち前のテンポで決めた。
4th Leg: 村松選手が140、東田選手が180と両選手好スタート。村松選手はその後も着々と削り、キープ。
5th Leg: 東田選手が140-100と大きく削る。途中もたつくもきっちりとダブルを決めた。これも東田選手のテンポ良さが見えるLeg。
6th Leg:4ラウンド目に村松選手が180を出せば、東田選手は140で返す。最後は村松選手がD20を1本目で決め王手。
7th Leg:一進一退の攻防の末、東田選手がきっちりと上がり、村松4vs東田3とする。
8th Leg:何か思いがよぎったのだろうか?東田選手に精細さが欠ける。逆に村松選手はいつも通りのダーツをしている。その結果が反映してか村松選手が勝利。
東田選手が早いLegの段階でペースを作る事が出来ていれば違う結果になっていたかも知れない。淡々と投げている彼にはそう思わせるリズムがあった。ペースの作り方を覚えたら面白くなりそうだ。この試合の村松選手をひとことで言うと「いつも通り」。スコアが悪くても、思い通りの展開が出来なくても意に介しない。そんな飄々としたプレイスタイルに定評のある村松選手が決勝戦に駒を進めた。

1st Leg:両選手とも立ち上がりが悪い。そんな中、知野選手が82をDB out board-D16でブレイク。
2nd Leg:知野選手が1ラウンド目に180を出し、その後も快調に削っていく。宇佐美選手も140などで応戦するも知野選手がキープ。
3rd Leg:2Leg先取され何とかキープしたい宇佐美選手。40レフトでS20-S10-S5とダブルを引っ張ってしまう。続く知野選手が48レフトをS16-D16ときっちりゲームショット
4th Leg:知野選手がまたも1ラウンド目に180。両選手ともに40レフトとするが知野選手が取り、ストレートで王手をかける。
5th Leg:宇佐美選手が終始先行で削り、知野選手も付いていく。宇佐美選手が20レフトを隣のD6に入れてしまいヒヤっとさせたがD4をしっかり打ちゲームショット。
6th Leg:途中まで削りは両者互角だったが知野選手が大きく引き離す。28レフトをしっかりと決め決勝進出。
いつも勝負強く、粘り強い宇佐美選手が珍しく「らしさ」をあまり出せなかった試合だ。逆に知野選手は集中感が良く出ていた。古くからハードに取り組んでいる選手だけにゲームメイクやアレンジは流石。

1st Leg:村松選手のブレイク。両選手ともに全力で狙っているのだろうが、どことなく探り合っているようにも見える。上がり手前の2ラウンドは特にそう見えた。
2nd Leg: 知野選手の削りが少し遅い。その間隙を縫って村松選手のキープ。
3rd Leg: 2nd Legを晴らすかのように知野選手が入れ始める。1ラウンド目から180-100-135と削り、勝利。
4th Leg: 両選手同じペースで削っていたが知野選手が118レフトをT18-S14-DBで決める。
5th Leg: 淡々とした試合展開。村松選手がブレイク。
6th Leg:知野選手が2ラウンド目に180。ハイオフチャンスを見逃すもブレイク。この時点で3-3とタイゲーム
7th Leg: 流れに乗ったか、知野選手1ラウンド目で180。そしてそのまま勝利。
8th Leg:1ラウンド目に180を出した次のLegの1ラウンドはロースコア。何故かそんなデータが知野選手にはある。今回も58という悪スタート。後半スコアを伸ばすが村松選手が4-4に戻す。
9 th Leg:知野選手のファーストだが村松選手の削りが早い。王手をかける。
10 th Leg:決めたい村松選手。60レフトをS1-S19-S20で回してしまう。負けられない知野選手。88レフトをT20- out board -D14と決め最終Legへ。
11 th Leg:両者共に18本目が面白い。知野選手が119をT19-S12からの18本目でDBフィニッシュトライ。惜しくもOB。続く村松選手92をOB-S17からの18本目でDBフィニッシュトライ。こちらもOB。共に25レフト。ファーストの知野選手S9- out board – out board 。順番がまわってきた村松選手。S9を決め一呼吸。2本目でD8を決めPDC行きを手に入れた。
村松選手が2Leg先取すれば2Leg返す知野選手。そこからはシーソーゲームとなり最終レッグでは異様な雰囲気に包まれた。ゲームメイクは両者共に巧妙。非常に面白い決勝戦だった。知野選手は非常に悔しい思いをしただろう。他選手も来年はこの糧を乗り越えてさらなる上を目指してほしい。


日本のハードダーツのレベルはここ数年で目覚ましい躍進を遂げた。しかし世界に通用するかと言えば課題はまだまだある。世界を目指すプレイヤーの覚悟、業界や関係者の環境整備、金銭的問題…。色々なものが必要となるがいつか世界の舞台で日本人選手が活躍する姿を見てみたい。そしてそれが近い将来であれば喜ばしいことこの上ない。