Eriko Tomiyama-Vol.69.2014.9-Top

Vol.69 富山 恵理子
まさにノリと勢いだけかなと(笑)

2014年9月

ダーツの出発点について教えてください。
ダーツを始めたのは周りの人がやっていたからなんですが、私は負けるのが嫌だったんで最初はあんまり積極的じゃなかったんです。でもたまたまよく行っていたお店で見た女の人が、すごいミニスカートのピンヒールで投げているのを見て「カッコいいな」と、こんな服装で出来るスポーツはダーツしかないなと思ったんです。しかもその人は3本に1本くらいは入っててすごく上手く見えて「あの人より上手くなりたい」と思ったんです。でもその人がダーツを抜いてこっちに来たら、なんとおじさんだったんです(笑)。
その人はその界隈では有名な人だったらしいんですけど、私はダーツを投げてる女装したおじさんの後ろ姿に惚れたわけですよね。それがショックで悔しかったんですよ(笑)。これホントの話ですからね。

じゃあその人はゲイだったんですか?
ゲイバーのママです。それから一緒に飲み出して「私もダーツ上手くなりたい」と相談したら、上手くなるためにはお店で働くのが一番と言われダーツバーを紹介してもらって、もう次の週から働き始めました。

それは東京ですか?
はい、葛西のお店です。

いつ頃ですか?
21歳の時なので4年前です。今5年目に入ったところです。

現在はジャパンのプロリーグに参戦されてますが、真剣に投げ始めたのはいつからですか?
初めて投げてから約2年後くらいからです。その頃は違うお店に移ってましたが、そこを辞める時にたまたま出場した千葉のレディースの大会で優勝したんです。その流れで「お店を辞めるって聞いたけどダーツも辞めるの?」と声をかけられたんです。その時は、プロでもないし生活もあるので続けられないかもと思っていたんですが、「えりちゃんみたいな女の子が続けるのはダーツ業界にとっても意味があるから続けて欲しい。辞める辞めないはその後に考えて欲しい」と言われ、ぜひ会って欲しいとある方を紹介されました。そして五反田のダーツショップで働くことが決まったんです。
出勤の初日にプロテストを勧められすぐ受けて、気がついたらあっという間にプロになってました。それまではお店で投げることしかなかったので、飲みのツールとして単純に楽しんで遊んでいたんですが、そのままノリでプロになっちゃった感じなんです。プロになったらなったでスポンサーのお話もすぐにいただいて、デビュー戦はジャパンの初年度の神戸大会に出場することになりました。
その時に「私はユニフォームを着てスポンサーさんを背負ってプロとして試合に出るんだからちゃんと練習しなくちゃ」と、そこから真剣に投げる様になりました。今の私は全部周りの人に作ってもらったんですよね(笑)。

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現在はジャパンに全戦出場されていてステージ2と3で2連覇されてますね。その成績についてはどのように感じていますか?
優勝したことについては今でもあまり実感がなくて、周りの人から言われて「ああ私は優勝したんだ」と感じるような状況です。誰も私が連覇するとは予想してなかったと思うんですけど、一回優勝した勢いで二回目も優勝してしまった感じですね。
ちょうど仕事の環境が変わったタイミングだったので、練習も今までとは違うやり方になったのと、バレルもアルティマダーツさんから自分のシグネチャーモデルを出してもらったのが馴染みだした時期でしたね。それから勢いというのもあったと思います。

現在のランキングは3位ということで、年間チャンピオンも狙えそうな位置にいますね。
もちろん狙っていきます。今年は結果がついてきていますが、去年も狙って戦っていたので、そのスタンスは変わらないですね。

自分で自分のことをどのようなプレイヤーだと思いますか?
まさにノリと勢いだけかなと(笑)。
誤解を恐れずに正直に言うと飽きっぽい性格なので、シーズン中でも「もうやーめた」と思ったら途中で辞めちゃうんじゃないかと思うくらい結構あっさりしてます。やりたいことや他に目標が出来たらそっちに行っちゃうんで……。
でも今は真剣に投げてます。今まで勝負事でここまで長く続けたことはなかったんです。部活は長く吹奏楽部にいましたが、勝ち負けじゃないじゃないですか。賞やコンクールはあったけど、あの人に勝ったとか負けたとかいうのは初めてなので、それがとても楽しいですね。
私はとにかくノリと勢いと負けず嫌いなプレイヤーです。

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他に何かスポーツはしていましたか?
何もやってないです。初スポーツがダーツです。
私は身長が170cmあるのでやれば出来るんじゃないかとは言われてたんですけど、何もしなかったですね。両親もスポーツをやってたし弟も陸上でインターハイに出たりしてるので、家系的にはスポーツ系なんですけどね。

ハードでは去年のジャパンオープンに出場されたとか?
その時の私はハードダーツを持ったこともないしハードの盤面に向かって投げたこともないのに、いきなり出場の話をいただいたんです。日程的には空いてたので、ジャパンオープンの前日の練習会に行くことになりました。そこで外国人選手二人とチョーカーの練習をすることになったんですけど、二人とも投げるのがめちゃくちゃ早いしトリプルもバシバシ入るんですよ。私は計算も全然できないしで、もうその場で泣いちゃったんです。「もうハードやだ、明日出たくない」って泣いたんですけど、今思えば良い経験だったかもしれないですね。

今ダーツで一番大事にしているポイントはありますか?
私の持論ですけど、ダーツにとって一番難しいことは続けることだと思うんです。続けるためには楽しいと思う気持ちが絶対必要だから、まずは楽しむことを大切にしています。楽しくなければ好きになれないし、好きじゃないと続かないし、続かないと上手くはなれないし、上手くなければ勝てない。ということは根本にある楽しいことが重要ですね。

尊敬しているプレイヤーはいますか?
私はダーツ業界に疎かったので、始めた頃は特にプレイヤーの方達のことなど全然知らなかったんです。自分がプロになっていろいろな方を見させていただくと、私は誰にもあてはまらないなと思いました。みんなと話したわけではないですが、考え方とかもだいぶ違うと感じました。尊敬するプレイヤーがいないというと変かもしれないんですが、例えば誰かを目標にしてきたわけでもないし、あの人みたいになりたいとかも思ったことがないんですよね。でも一緒に働いている宮本先輩などはプロとしてすごいなと思いますし、TDOで一緒の宇佐美先輩などのダーツに対する考え方などは尊敬します。

決勝戦はどのような試合でしたか?
ダーツの魅力はなんですか?
誰でも出来ることですね。小学生からスポンサーが付いてる選手もいれば、もっと年齢が高くなっても続けられますよね。何も持たずにダーツバーに行ってもすぐ出来る手軽さは魅力です。私がそうだったように遊びで始めても真剣になれて、それなりに個性も出せるところが好きです。

ダーツ以外の趣味はありますか?
寝ることが好きです(笑)。あとは音楽もお酒も好きですね。

これからの目標や夢はありますか?
ダーツってこんなに楽しくて、こんなにいろいろ出来るんだということをたくさんの人に広めていきたいです。これはダーツが上手なだけじゃダメで、出来る人と出来ない人がいると思うんです。男子のプレイってすごいと思うんですけど、ダーツをやったことがない人が見たらすごいと思えるか、興味を持てるかと言ったら難しいと思うんです。でも女の子が可愛いかっこして真っ直ぐブルに入れてるのを見たら「すごい」と思う人はいると思うんです。そうやって入口を広げることが出来るプレイヤーになれればいいなと思います。

最後に読者にメッセージをお願いします。
みんなにダーツの楽しさを知って欲しいし、そこから一歩踏み込んでプロという世界があるというのも見て欲しいです。私自身は今シーズン残り半分を頑張っていきますので、応援よろしくお願いいたします。