Vol.97 大城 明香利 島村 麻央
沖縄 Angel 大特集

2019年5月号

お二人はお生まれからずっと沖縄ですか?
大城 私はずっと沖縄です。
島村 私は生まれが東京で育ちが沖縄です。でも沖縄の方が全然長いので、東京の記憶は微かにしかないです。

沖縄は空港から街の雰囲気までだいぶ変わった様に感じましたが、いかがですか?
大城 そうですね。幼少期から比べるとすごく変わっている気がします。国際通りなどを歩いていると、「日本人いるのかな?」っていうくらい外国語ばかり聞こえてきて、ますます観光地化しているなと感じますね。外国の方が来てくれるのは嬉しくもあるんですけど、私には寂しさの方が大きいです。沖縄の良さというのはみんなのんびりで、のほほ〜んとしているところだったんですけど、そういうのが少しずつ変わってきている様な気がして、それはちょっと寂しいです。
島村 小さい頃から比べるとすごく便利になりましたよね。大きなショッピングエリアができたりして、以前は東京や大阪に行かないと手に入らなかった物が沖縄でも買える様になりました。

ではダーツとの出会いについて教えてください。
大城 両親がダーツバーを経営していたので、常にダーツに触れ合う環境でした。小さい頃からお父さんのダーツの試合を見に会場に行っていた記憶があります。投げ始めた記憶があるのは小学校4年生くらいの10歳頃で、初めて投げたのはハードでした。
今のユースは会場では距離を狭めて投げていますが、私の場合は最初から大人と同じ距離で投げさせられたんです。ハードなので跳ね返ってくると危ないというのが一番の理由だったと思いますが、やっぱり最初は全然ボードに届かなかったですね。でも子供は覚えるのが早いのか、すぐ届く様になり、それからは「ここ狙って」、「次はここ狙って」と場所を指定される様になったんです。そして狙った場所に入るとお小遣いをもらえたので、私はお小遣い欲しさに頑張って投げていました(笑)。
島村 私は大学生になった時にダーツバーでバイトを始めたのがダーツとの出会いでした。お客さんと投げたりもしていましたが、その時はマイダーツを買うほどでもなかったんです。半年くらいしてからそのお店が閉まることになり、その後はダーツに触らなくなりました。当時はダーツのルールがちょっと分かる程度でしたね。
それから2年後くらいに塾の先生のバイトをしていたのですが、そこの先生達の間でダーツが流行っていたんです。塾の教室にハードボードが掛けてあるほどで、そこでは中学3年生の男子生徒たちがすごくハマっていました(笑)。その時私はダーツ選手のことなど全く知らなかったんですけど、彼らから「星野さんが」「えぐっちょさんが」という話をいろいろ聞かされていました。
「先生は投げないの?」と聞かれても「先生はルールは知ってるけどへたくそです。君たちには勝てません」と答えていましたね(笑)。
ある時送別会で投げる機会があったんですが、その時初めて面白いなと感じて、特別趣味もなかったので、もう少し真面目に投げてみようかなと思ったんです。それで同僚の先生に「ダーツってどうやって買ったらいいの?」と相談をしたら、「そう思ったんならちゃんとやろうよ」と真剣に誘われて、それからダーツと向き合う様になりました。
やっぱり先生なんでしょうね「どれだけ上手になるか見たいから、ちゃんと教えるね」って言われて、それから本当にちゃんと教えてもらいました。
大城 その「先生はやらないの?」って言った子たちは、今ダーツやってるのかな?。
島村 どうだろう、やってるのかな……。
大城 会ったことある?
島村 プロになってから一回だけ会ったことある。で、「先生プロなんでしょ!」って、超びっくりされた(笑)。あんなにやらないって言ってたのに(笑)。

お二人は今日も明日もリーグ戦ということですが、沖縄のダーツ環境はいかがですか?
大城 リーグ戦は多いですね。
島村 本当に多いです。毎日リーグに出てる人もいるくらいです。

ということは、それだけお店もチームも多いということですよね。
大城 掛け持ちしてる人がほとんどなんですけど、投げる環境は結構あると思います。私がモチベーションを維持していられる理由の一つは、火・水・木でリーグをやってるからだと思います。
普段のパターンは、週末が大会なので金曜日から遠征が始まり、月曜日のイベントに出てから沖縄に帰ります。
そして火・水・木がリーグなので、常に投げているという状態になるんですよ。これはさぼり癖のある私にはすごくありがたいんです。自然と練習になってるので、今の沖縄の環境は私にはすごく合ってます。
それから、周りにいる人たちにも恵まれてると思います。私の周りにはあまりきつく意見する人がいなくて、全然打てなくて負けた試合でも、それについて何か言われることが少ないんです。
東京にイベントで行った時の方が、グサッと刺さることを言われることがありますね(笑)。でもそれは東京の人が冷たいということではなくて、はっきりしてるんです。沖縄の人というのはあまり本音を言わないというか、思っていてもたぶんはっきり言わないんですよ。
島村 私は沖縄でもけっこうはっきり言われるけどな(笑)。
大城 えーほんと?
島村 私は言いやすいのかもしれないですね。
大城 私はきっと言いにくいタイプなんでしょうね。「言うなオーラ」を出してるんだと思います(笑)。
島村 私はリーグであんまり打てなくて、PERFECTではこのスタッツが出るのに、どうしてリーグではこうなんだというくらい差があったんです。
それが去年の後半頃からやっと同じくらい打てる様になって、いよいよ戦力になり始めたかなという時に、ある人から「麻央ちゃん評価低いよね」って言われたんです。その時は「リーグであんな姿見せてるんだから、そうだろうな」と納得しながらも、評価が低いという言葉にへこみました。
PERFECTはみんなが見てくれてるわけではないし、どちらかというと結果重視でスタッツは気にしない人が多いですよね。だからリーグの私しか知らない人にとっては当然な意見だなと納得しました。その人は全然悪気はないと思うんですけど、「そっかぁ、評価低いか」と、やっぱりグサッときましたね。
でもそう言われてからのスタッツの上がり方がすごかったです(笑)。けっこう悔しかったんだと思います(笑)。

お二人はいつからの知り合いですか?
大城 二人ともツアーを廻り出したのが2012年からなので、出会ってるのはもう少し前ですね。
島村 明香利さんが沖縄に帰って来た頃だから、9年前くらいからかな。LGPの時に初めて会ったんですよね。私は明穂さんに勧められて出場したんですけど、ダブルイルミネーションで初めて明穂さんに勝ったんです。その次の決勝の相手が明香利さんで、その試合で「クリケットは4点オーバーじゃないと勝てない世界なんだ」「4点打てないと戦えないんだ」っていうのを初めて学びました(笑)。
それからちょこちょこ会うようになったんですけど、明香利さんは最初のその印象が強いです。

PERFECTにはいつから参戦しているのですか?
大城 初めて参戦したのは2012年の確か岐阜大会だと思います。
島村 私のデビュー戦は2012年の沖縄大会です。プロになった翌月でした。 明香利さんも沖縄大会出てたよね。
大城 え、そうだっけ!?
島村 いたいた!絶対出てた!浅野ゆかりさんと戦ってる後ろ姿覚えてるし(笑)。
大城 え〜、あんまり記憶ないな。じゃあ沖縄かもしれない(笑)。

お二人ともPERFECTでずっと安定していますが、その理由はどうしてでしょうか?
大城 スポンサーさんとの関係というのも少なからずあると思います。
Dクラウンが無くなるとなった時に、JAPANかPERFECTのどちらかを選ばねばならなくなったんですが、私がPERFECTを選んだ理由は浅野ゆかりさんがいたからです。ゆかりさんがPERFECTだったので、純粋に私もそうしようと思いました。
島村 私がPERFECTのプロ資格を受けようと思った理由は、今野明穂さんがPERFECTを受けると言ったからです。明穂さんに追いつきたくて、「じゃあ私も受ける」と。それで明穂さんと同期なんです。
ずっと安定しているのは明穂さんと明香利さんがいるからですね。二人とも好きな選手でもあり、同じ土俵で戦っていたいと思うので、私にはPERFECTを動く理由がないんです。
最初は単純な理由で選んだかもしれないけど、PERFECTの魅力はどんどん増してきました。特に、前回の大会で優勝していたとしても、次は皆また一からというルールは大きいですね。前回の成績は関係なく、皆同じスタートラインに並ぶというのは私にとっては最大の魅力です。だからPERFECTで二連覇・三連覇してる選手は本当にすごいと思います。
もちろんJAPANが簡単だとは全く思ってないです。一戦一戦を戦うことがどれだけ大事かはわかっているつもりですから。
大城 それから、控室があるのはありがたいです。
島村 そうですね。控室が無いとちょっときついですよね(笑)。

人気が出てくると、いろんな人がどんどん話しかけてくるので大変ですよね。
大城 一般トーナメントでは、皆さんとお話ししたり写真撮影するのはすごく嬉しいんです。でも試合の時は自分自身がいっぱいいっぱいで周りが見えなくて、ファンの方の要望に応えられないことも多いんです。ですから自分の世界に入って集中できる場所というのは大事だと思います。
JAPANでも上位の選手には控室がありますが、いつも上位にいられるとは限らないですから(笑)。いろいろな面でPERFECTの方が私のプレイスタイルに合ってると思いますね。

沖縄から全国に遠征するのは大変ではないですか?
大城 沖縄はどこへ行くにも飛行機なので、乗ってしまえばどこでも2〜3時間で着くじゃないですか。でも陸続きの場合は車で何時間もかかることもあり、交替で運転しながら往復移動する選手もいるので、その方が大変じゃないかと思います。そういう意味では沖縄からの移動は楽だと思います。
島村 そうですね。もちろんお金はかかりますけど、単純に移動するということだと沖縄の方がシンプルで簡単かもしれないです。
大城 沖縄は島なので、わりとどこにでも空港があるんです。無くても羽田に飛んでそこから行けるので、今まで行くのが大変だなと思った場所は無いですね。
でも飛行機の移動は体力を使いますよね。なので移動もプラスに考えて、飛行機はお昼寝タイムだと思ってます(笑)。
島村 私も飛行機ではリラックスしています。何も考えずに、ひたすらぼ〜っとしてられる時間なんです(笑)。

お二人は移動も同じ飛行機で一緒に行くことがあるんですか?
大城 わざわざ合わせたりはしてないんですけど、ちょこちょこありますね。沖縄からだとだいたい前日入りになるんですが、たまたま飛行機が一緒になったら「じゃあホテルの近くまで一緒に移動しようか」って感じです。イベントの場所によっては一日一便しか無いようなこともあるので、そういう時は一緒ですね。
どの選手もそうですが皆それぞれ自分のペースがあるので、前日は無理のない様に、なるべく気を使わないですね。
島村 話したいことがあると、前日ご飯食べたりするよね。
大城 そうそう、「ちょっと話聞いて」ってね(笑)。

最近の成績についてはどのように思っていますか?
大城 2012年から参戦していますが、当時から何かを変えたつもりもないし変わったとも思わないです。同じことの繰り返しは大事ですが、同時に何かを変えなくてはいけないんだろうなとも思っています。
追われる立場なので、年々女子のレベルが上がっていることを感じていますね。
自分では2014年・2015年あたりがピークだったと思っています。最近2015年の試合の動画を見る機会があったんですが、自分で「上手いな」と感心してしまいました(笑)。「めっちゃ入ってるじゃん」って感じでしたね(笑)。
その頃に比べると今はきつそうに投げてます。自分でも苦しそうに投げてるのを感じてて、「どうしてだろう?」と考えてみると、やっぱり年齢を重ねて体がだんだんということを聞かなくなってきてるというのもあるんでしょう。

そうですか!?
大城 そう思ってます。2年くらい前までは、イベントを月に何回入れても全然平気だったのに、今はちょっと続くともう体がきつかったりするんです。ですから今は、技術をどうこうするよりも自分の身体について考えることの方が多くなりました。
例えば、どういう練習をしたらもっと上達するのか、どういうグリップやフォロースルーがいいのかという勉強ではなくて、どうやったらもっと身体が楽に投げられるか、どうしたら次の日に疲れを残さず今日を戦いきれるかと、まずは自分の身体を優先させたいんです。

ちょうど2年前くらい、大城選手のイベントは半年待ちだというのを聞きましたが?
大城 そうなんです。その頃は本当に忙しくて、週末に沖縄にいることはほとんどなかったですね。去年くらいから少しずつ自分の体調と相談しながら、イベントを選ばせていただくようになりました。
もうそろそろいいんじゃないかなと思い始めてるんですよ(笑)。若い選手もどんどん出てきてますし、可愛いプロがたくさんいますからね。私はそういう選手の気持ちが少なからず分かると思うので、そういう選手のフォローができればいいなと思います。
頑張ってる子を見ると、大変そうだなぁと心配になってしまうんですよね(笑)。
今でも「明香利さん、いつ休んでるの?」と聞かれるんですけど、今は結構休んでるんですよ。最近は沖縄にいる時間も増えました。
もっと自分のお店に立ちたいというのもあって、イベントを少し絞らせていただいています。
島村 この7年間は良くて7位悪くて11位という成績で、ずっと10位圏内の狭間にいるんです。ポジティブに考えると、PERFECTは年々レベルアップしているので、同じ順位をキープしている自分も一緒にレベルアップしているのかなと思います。もし自分のレベルが追いついてなかったら、必然的に下がって来るはずなので、この7年間ほぼ同じ順位にいるのは、少しずつでも上達しているんだと思っています。
去年はイップスになってしまって、本当に苦しかったんです。人によっては「そんなの気の持ちよう」って言うかもしれないですけど、ひどい時は手が出なくて、投げる感覚が真っ白になってました。
そういう中でPERFECTに出場して、投げるのがすごく遅かったし、たぶんいろんな選手に迷惑をかけながら試合してました。
PERFECTに出場し始めの頃からイップスの傾向はあったんですが、それをごまかしつつ投げてました。毎年この季節になるとちょっとおかしくなるなという時期があったので、そのコツをつかみながら上手くごまかしてたんです。
それが去年は一年間ずっとで、「今日はちょっとリズム良く投げられてるな」と思っても次の日にはもう全然ダメとか、握っただけでボードに行く気もしないくらい「やばい」という日もありました。
どうにもならない状態の中、アスカダーツの五十嵐さんが、「もう突貫工事だ!これだけ意識して投げろ」とアドバイスをくれたり、とにかく周りの人達の協力のお陰で何とか乗り切った一年でした。
そんな苦しい一年でしたが、それでも11位だったのは自分でもよくやったと思います。暗くなったりあきらめたりしたら負けなので、「こんなに調子悪くて11位なんだから、治ったらいったい何位になるんだろう」と、前向きに考えるようにしてるんです(笑)。
もし同じ状況になっている人がいたら「私もそうだったけどプロツアーに出てますよ」と伝えたいですね。「ちゃんと投げられるし戦えますよ」「楽しく投げられるし、必ず治りますよ」と教えてあげたいです。
症状は今年に入って出なくなってきました。自分でも筋肉のしくみの勉強をして、「こうするからこうなる」「こうなったらこうしよう」という引出しをたくさん身に付ける努力をしています。まだ結果には現れていませんが、少なからずスタッツは上がってきてるので、少しずつ身に付いてきているのではないかと思います。
今目標にしていることは、あせらないことです。周りからも期待されてるし「もっと結果を出さないと」と思う気持ちはあるんですが、ここであせっては逆効果だなと思っています。こんなことを言うと明香利さんが気を使うかもしれないですけど、やっぱり明香利さんと一番比べられるんです。でも比べられるのは嬉しいなと思ってます。そもそもその器がなかったら比べられもしないですからね(笑)。

では、スポンサーの存在についてお聞かせ下さい。
大城 とてもありがたいと思ってます。RYUダーツでは西川さんにほとんどお任せしているので、もしも今RYUから「もうお前いらないよ」って言われたら、この先私はダーツが出来なくなっちゃいますね(笑)。
西川さんには金銭面だけではなく、他にもいろいろ助けていただいてます。2013年に廻り始めてから、ランキングでは1位と2位しか獲ってないですが、最後の表彰台で西川さんが喜ぶ顔が見たくて頑張ってるというのもあると思います。本当は毎回優勝して毎回喜んでいただきたいんですけど、なかなかそうはいかないのが残念ですね。

島村選手は新しくワンエイティーと契約されましたが、いかがですか?
島村 新しいところが付いてくれるのは心機一転という気持ちにさせてくれますね。
今までは最初からASUKAダーツにいて、すごく可愛がってもらって甘えさせてもらっていました。
「うちの子なんだから応援するのは当然でしょ」という暖かい環境の中で戦わせてもらってたんですよね。
でも180は雰囲気もまた違って、社長とも英語でコミュニケーションを取らなければならないです。全てが一からなので改めて身が引き締まりますし、良いプレッシャーを与えてもらってると感じます。緊張して「新しいところだ、どうしよう」とは思ってないです。
他の人より得してると思う部分は、また英語の勉強をやろうという環境になったことでしょうか(笑)。

女子の選手が注目され人気が出ていることについてはどう思いますか?
大城 単純に嬉しいです。最近は本当にいろんなタイプの選手が出てきて、どんどん注目度が高まってるのを感じますね。
百花さんが登場した時なんかは「うわ〜、すごいのが出てきたな〜」と思いましたから(笑)。「PERFECTの顔になる選手が登場したな」と思いましたよ。髪の毛もピンクだし、どうやっても目を引きますよね。しかもすごく可愛いじゃないですか。
島村 ホント、可愛い。お客さん受けもいいしね。
大城 新しいタイプの女子プロが出てきた感じですよね。
島村 こういう選手がいてもいいんだと、すごく思います。
大城 JAPANだとマヨンヌちゃんが頑張ってますからね。
PERFECTには派手な選手っているかな……?みんな結構ストイックに上を目指してる感じじゃないですか。PERFECTを初年度から引っ張ってる先輩方は、恵さんとか伊代さんとか、みんなカッコいいタイプの選手ですよね。
島村 硬派なんですよね。
大城 そんな中でも年々いろんなタイプの選手が入ってきましたね。

いろいろなタイプの選手がいた方が周りも楽しいかも知れないですね。
大城 そうですね。百花ちゃんは本当に頑張ってるので、無理のないようにしてもらいたいです。

ものすごい数のイベントをこなしてますからね。
島村 とにかくパワフルですよね。百花ちゃんにも言いましたけど、私は百花ちゃんの腹筋が好きなんです(笑)。ポスターもらってお店に貼ってるんですよ(笑)。
大城 百花ちゃんは見た目はふわ〜ってしてるけど、すごいストイックですよね。

では、ご自分でどのようなタイプの選手だと思いますか?
大城 自分で言うのもなんですが、ウケはいい方だと思います。でも本当は面倒くさがりやなんです。結構話しかけやすいタイプだと思うんですが、ぼーっとしてることが多いので、話を聞いてるようで聞いてないこともあるんです。
だから知れば知るほど「なんだこいつ」「何考えてるんだ」って思われるタイプかも知れないですね。話しかけやすくて入りやすいけど、深く付き合ううちに「中身ないな〜」って感じになってくるタイプ?(笑)。なのでダーツ以外のことも学んで、素敵な女性になりたいと思います!
島村 私も話しかけられやすいタイプだと思います。あと、なぜか八つ当たりも受けやすいんですよね(笑)。
周りからは「いつも元気だよね」って言われます。自分でもいつも笑うのを心がけてるんですけど、「とりあえず元気なのがいいよね」って言われます。でもスイッチオフになった時のオフ感は、もう無に等しいです(笑)。

プロダーツプレイヤーとはどういうものだと思いますか?
大城 単純に、プロダーツプレイヤーというからにはダーツが上手くないとダメだと思います。どんな場面でも見せるダーツができなくてはプロとはいえないです。
試合やイベントでは当然ですが、例えば誰かと飲みに行った時などにたまたまそこにダーツがあって、ダーツがあるとよく「投げてみて」って言われるんです。そういう場面でも「やっぱり上手いね」って言われて初めてプロだと思ってます。なので、いつどんな時でも瞬発的にちゃんと投げられるように心がけています。
島村 ダーツのプロはアマチュアと近いじゃないですか。よく「どうやったらプロになれるの?」と聞かれるんですけど、資格さえ取れば誰でもなれるわけですよね。
昨日までアマチュアだった人が資格を取ったら今日はすぐプロを名乗れる世界です。そういう人もプロなら、ちゃんとツアーを廻って賞金で生活している人もプロなので、私は「やっぱり違うね」って言われるプロを目指したいです。
アマチュアに近い分、違いをはっきりさせて「さすがプロだよね」と言われるようになりたいと思っています。やっぱりあんまり下手なところは見せたくないですよね。急な場面でもいつでも打てる様にしたいです。

これからの目標を教えてください。
大城 目標は常に上位の人でいたいです。どんなに調子悪くても、気付いたら今年も上位にいるなという選手でいたいです。だから一戦一戦を大事に戦っていかなければと思っています。
島村 私も単純に上位に行くことです。今はランキングが思わしくなくて悔しいです。「もうちょっとだよね」と言われることが多いので、そのもうちょっとを克服したいです。
それから「いないと楽しくないよね」って言われる選手になりたいです。例えばハードの試合が被った時などでヤンマーさんや斉吾さんが出ないとなると、みんな「なんかちょっと寂しいよね」と感じる瞬間があると思うんです。
今は男子の試合数が増えたのでそうでもないかもしれないですが、最初の頃は「いないとなんか変だよね、なんか違和感あるよね」って感じでした。私も今後そういうことがあった時に、周りから「いないと寂しい」と思われる選手を目指したいです。

今までに印象に残った試合はありますか?
大城 いっぱいありすぎますね。上げたらきりがないな。
島村 7年もやってるとたくさんあります。悔しかったのも多いし。
大城 私は勝った試合の方が印象に残っていますね。
島村 私は半々ですね。上がれなくて悔しくて印象に残ってる試合もあるし、震えた手でよく入れたなと自分で感心した試合もありました。
大城 最近だと、去年の最終戦はいろんな思いで投げていた印象深い試合でした。もちろんランキングも獲りたかったですが、でもそう甘くもなくて、結局直接対決で負けてしまいました。それから麻央と対戦した試合もあるしね。

お二人の対戦成績はどうなのでしょうか?
島村 PERFECTでは私がゼロ勝です。
大城 でもそんなに当たらないんですよ。
島村 そうそう、あと一つ勝てば当たるねという場面でも、二人で仲良く負けてお互いベスト4とかで(笑)。
大城 当たったのは今までに5回くらいですね。

今ダーツで心掛けていることはありますか?
大城 今年に関してはダーツを楽しむことを心掛けています。去年と一昨年が苦しかったので、今年は心から楽しみたいです。
2013年と2014年は「楽しい」と思いながら投げてた記憶があるのに、月日が経つにつれいろいろなものを意識したり背負い出して、いつの間にか楽しむ気持ちが薄れていたと思うんです。「元々は違ったじゃない」と、今年はもう一度初心に戻りたいという気持ちで投げています。
島村 私が今年気を付けていることは体力作りです。疲れが貯まってくると飛ばなくなるし、下から上がって来る若い選手と戦うためには、まずは体力が必要ですからね。だから今年は走ったりして体力を付けて、それからダイエットもしました(笑)。
太ってる方が安定感があるんじゃないのという意見もありますが、私の場合は違います。身体が軽かった時が一番上手だったし、疲れがすぐに取れるんです。自分の身体は自分が一番よく分かっているので、やっぱり体重管理は大事だなと思っています。
それから精神的に落ち着くことも心掛けています。いつも興奮しながら戦っていたので、それではダメだと思いました。毎回スタートラインに立つ挑戦者なのだから、常に落ち着いた気持ちで投げる様にしたいと思っています。

尊敬するプレイヤーはいますか?
大城 松本恵さんと浅野ゆかりさんはカッコいいし、ずっと憧れの好きなプレイヤーさんです。
でも最近遠征に出て思うんですけど、ツアーに出てるプレイヤーは全員尊敬しています。「みんな凄いな」って思いますね。
昔は憧れの選手といえば、めぐさん、ゆかりさんってすぐ名前が挙がったけど、いろんなプレイヤーと関わっているうちに素敵なプレイヤーが次々に出て来るんです。だから今は挙げ出したらきりがないです。
みんな見えないところで大変な思いをしてるけど、決してそれを表には出さないじゃないですか。それを知ってしまってからはみんなを尊敬するようになってしまいました。
島村 毎戦毎戦いろんな人の良いところを見るので、私も明香利さんと同じ感覚です。どのプレイヤーにも良いところがあって「これは真似したいな」「こういうのが好きだな」って。みんなが魅力を持ってるから、それぞれファンがいるんだろうなと思います。
動画を見る選手は小峯尚子さんです。でもDクラウン時代の動画しかないのでだんだん少なくなってきちゃってるんですけど、いろいろ探しては見てますね。
男子のプレイヤーでも凄いなと思う人はいるし、戦ってるしぐさでも勉強になる人がいます。

最後に改めてダーツの魅力とは何でしょうか?
大城 私は、ただボードに向かって投げてるだけで、すごく楽しい時があります。ダーツが刺さる音を聞いてるだけでも楽しいんです。たまに誰もいないお店で「ちょっと投げようかな」と思って、ハウスダーツでカウントアップしたりするんですけど、「ブルに刺さって嬉しい!」という気持ちがまだあるんです。いつか無くなるみたいな言い方してますけど(笑)。
それから、もしダーツが無かったら絶対この人と話すことがなかっただろうな、と思う人と友だちになれるのが魅力ですね。それはリアルに思います。
もしも学校の同級生だったら話しかけないし、相手も私には話しかけてこないだろうと思う人とも、ダーツを通じて仲良くなれるのは素敵です。
でも何と言っても私の場合は、ただ投げてるだけで楽しいんです(笑)。

大城選手の場合は子供の頃からだから、本当に長いですよね。
大城 そうですね。私からダーツを取ったら何も残らないので、結構意地でやってる部分もあるんですけど(笑)。
プロスポーツ選手としてやっているからには、応援してくれる人やスポンサーさんがいるわけじゃないですか。私のことでファンが喜んだり泣いたりしてくれる、一緒に戦ってる気持ちになってくれるのは嬉しいです。
ダーツはファンと距離が近い分、そういう声がダイレクトに届くんです。私と同じ気持ちで喜んでくれたり、悔しがって泣いてくれる人たちがいると思うと、「まだまだやめられないな」と思います。
もちろん自分のためにやってるはずなんですけど、優勝した瞬間にまず思い浮かぶのは家族やファンの顔の時が多いです。
ダーツがもう身体の一部になってるんですね。
島村 本当に簡単にはやめられないですよね。すごくへこんでる時に、完璧なタイミングでツィッターなどに応援のメッセージが届くんですよ。そうするとまた「よし、頑張ろう!」という気持ちになります。すごい力になりますね。
ダーツは大好きなので、プライベートでカウントアップやっても楽しいけど、試合に臨む時の気力というのは、ほぼ応援のお陰だと思います。「こんなしんどい思いして」というテンションで試合に行く時もありますが、そういう時になんで頑張れるのかと聞かれたら「頑張れって言ってもらってるから」って答えます(笑)。
その日優勝したら日本一という瞬間があるじゃないですか。人生の中で何度も日本一を狙えるチャンスがあるって面白くないですか(笑)。

最後に読者にメッセージをお願いします。
大城 まず、この雑誌を手に取って見ていただいてありがとうございます。私は二回目なので、一回目と同じことを言ってたりするんですけど、今回はユニフォーム姿だけではなくて、私服でも撮影していただきました。
普段は見られない様な大城明香利と島村麻央を見ていただけるかと思います。
最近はあまり良い結果が残せていないんですが、応援してくれるファンの皆様に一戦でも早く多く結果を届ける様に努力していきます。今後とも応援よろしくお願いいたします。
島村 最後まで読んでいただいてありがとうございます。このインタビューで「麻央ちゃんはこんなことを考えていたの」というのを知ってもらえたら嬉しいです。
それから私は、いつも悔しがってる姿を見せることが多いので、勝って喜んでる姿を見せる様に努力したいです。明香利さんが一戦でも多く早く結果を出したいと言っているので、私はそれを倒せる様に頑張りたいです(笑)。
大城 そうだよね(笑)。
島村 明香利さんとの決勝の回数が増えたらいいなと思ってます。私の今年一番の目標は、大城明香利と二人で決勝の舞台に立つことです。二人で決勝に行ったら旅行に行きます(笑)。
これからも呆れずに見ていていただけたら嬉しいです。これからも頑張ります!