Yuruki Masaki-Vol.45.2012.5-Top

Vol.45 柚留木 美咲
ダーツの楽しさを広めたい

2012年5月

ダーツを始めた、いきさつを教えてください。
17歳の時、当時のアルバイト先のスタッフ全員で「お疲れ様会」みたいなものを開くことになって、一緒においでよ!と誘われたんです。それでみんなに付いて行った先がダーツバーで、そこの店長さんとも仲良くなって…というのがきっかけですね。

ダーツが面白いと思うようになったのは?
ダーツバーにはよくあると思うんですけど、初めて来たお客様にカウントアップで何点以上取ればマイダーツプレゼントっていうイベントがあるじゃないですか。大体みんなそれだと思うんですけど、私もそれを初日にクリアしてダーツを頂いて、自分はダーツ向いているな、と思ったんですね。丁度その時、隣で投げられていた常連さんがもう機械のように上手で、その方は当時でAAくらいだったと思うんですけど、全部が真ん中に入るんですよ!もう「なんだ!このおじさん!」と思って(笑)。面白い!私もこうなりたい!と思ってからでしょうか…。

「USAGI」のメンバーになったいきさつを教えてください。
丁度2年半くらい前、19歳の時にKTMさんが主宰しているレディースのセレクションという企画に応募したのがきっかけです。それまでシングルス戦とかには出たことがなかったんですが、参加するようになって…USAGIの方に「もしよかったら」というお誘いをいただき、USAGIのメンバーになりました。

「USAGI」のメンバーには個性溢れる先輩方がたくさんいらっしゃると思いますが?
正直私、女性が苦手なんですよ、どっちかっていうと。サバサバしているというか…結構バッサリしている性格なので、最初はちょっと不安だったんですね。でも先輩の皆さん、似たような性格というか…負けず嫌いだし、サバサバしていて、話しやすくて、「悩みがあったらいつでも話しておいで」と言っていただけます。
今でも相談事とかがあると会ってくれる方も中にはいらっしゃいます。皆さんすごく素敵な先輩ばかりです。最近は皆さん続々と赤ちゃんが生まれて…私が一番下っ端なので、「これからは美咲が頑張っていかないと…」と言われています。うん、確かにそうだな(笑)がんばります。

ブログを長らく書かれていますね?
そうですね、書き物が結構好きなんです。ブログって、始めたけど全然更新しなかったり、いろいろあると思うんです。私は書くことが好きなので、もう3年くらいになりますが、できるだけ毎日更新するようにしています。そんなに毎日皆様にお話しする程のネタではない時もありますけど(笑)。
「この時こういうことあったなぁ」と思い返すのも好きなので、たまに書いた後で読み返したりもしています。メッセージを頂いたり、「ブログを見たよ」と大会で声をかけていただいたりすることもあるので、それが応援というか勇気付けられるというか、更新しようっていう励みになってどんどん書いています。

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今、トーナメントの主戦場は?
Dークラウンです。今年は開幕戦に出場して、次の沖縄戦はパスして、京都戦には出ようと思っています。

Dークラウンのレディースも熱いようですが?
熱いですね、やっぱり正直強いです。もう本当に…落ち込むぐらい(笑)。Dークラウンがプロ化する前の2009年から出場していたんですけど、もうみんな負けず嫌いだから、ロビンからガツガツの試合内容で…。ここで負けるとやっぱり悔しいですよね。私はまだシングルス戦だとベスト16までしか行ったことがないんです。今年はその壁を越えて行きたいな、と思っています。

自分はどんなタイプのプレイヤーだと思いますか?
周りの方からよく「マイペースだね」と言われるんですが、私は独りモードが好きなんですね。遠征先に行くとみんなでワイワイしている方々が多いんですけど、私は大体一人で行動しちゃうタイプです。どっちかっていうと大会の前日はみんなでワイワイするより一人でゆっくりしていたいんです。だから、自分はマイペースなんだろうなと…。
次に、すごく負けず嫌いです。負けた後、家に帰ってからお風呂につかって「うわぁ…」って泣いて1時間以上落ち込んだりもするほどです。ただ、忘れっぽい…というわけではないと思うんですけれども、切り替えは早いです。とことん落ち込むまで落ち込んで、「ここはこうだったのに」とか、すごく反省するんですけれども、次の日起きたらもう「よし!練習しよう!」みたいな(笑)。

試合に臨む前の心がけや調整、体調管理などで何か特別なことはありますか?
体のメンテナンスについては試合の1週間くらい前から気を付けるようにしています。整体に行ったり、ストレッチをいつもより多めにしたりしています。試合の日は「最後の方は体力勝負じゃないか!」というくらい長いので、体調というよりも体力が大切だなと、大会に出場して痛感しました。そこでとにかく体力を付けようと思って、去年からウォーキングや筋トレや体力作りに励んでいます。そういう風には見えないと思うんですけれど(ちょっとまだ線が細いですね…)。
そして最も大事にしていることはモチベーションですね。とにかくその日に向けて良いイメージを描くようにしています。大体1か月くらい前から準備します。ツアー時期になると月に1〜2回は試合があるので常に気を使っている感じになりますね。

過去に印象に残った試合はありますか?
何試合かあるので1番というのは難しいんですが、敢えて言うな
ら2年前のburn.レディースクラシックの小峯尚子選手との決勝トーナメントベスト8です。丁度その頃、小峯選手はすごく波に乗っている時期で、「絶対この人が優勝するだろう」っていう空気が流れている時でした。それでも私も調子が良くてすごく入っていたんで、緊張はしましたがファイナルレッグまで行きました。そのファイナルレッグで「勝っている人と勝っていない人の差」っていうのを見せつけられたというか、「これが勝っている人の強さなんだな」っていうのを身に沁みて感じました。ファイナルレッグの時だけ彼女の空気が変わったんですよ。それが忘れられません。上がれなかった数字をその後ずっと練習しています…。やっぱり思い出すのは、その試合ですね。彼女はそんなこと思っていないと思いますけど(笑)。

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どのくらい練習していますか。
肩の調子が悪い時などがあって、正直投げたくないと思う日もあります。大体そういう時に体を壊しやすいので、意識して体を大きく動かしたり、ストレッチなどをするようにしています。あんまり「入らない」とか気にしないようにしていますが…やっぱり気にしちゃいますけどね。練習時間は、正直「何時間」とは言い切れないんですが、試合の前などは特に長い時間投げるようにしているので、トータルすると毎日2時間以上は絶対に投げています。

ダーツについて、今一番大事にしていることは何ですか?
最近ちょっと色々あってダーツの調子が落ちた時があって、本当にダーツってメンタルスポーツなんだなと思い知りました。頭が違うことでいっぱいになっていると、ダーツ自体も楽しめていないし、入らないから余計イライラするし、メンタルというかモチベーションのコントロールってすごく難しいなあと感じました。始めた頃の気持ちを忘れずに、楽しむことが何より一番なんだなっていうのを最近痛感しましたね。今はとにかく楽しんで投げようという気持ちが強いです。もちろん「勝ちたい」というのもありますが、楽しまなきゃついて来ないな、と思いました。

お酒は飲まれますか?
はい、お酒、好きです。ただ試合中はそんなにガブガブとは飲みません。グレープフルーツハイや緑茶ハイなどを薄めで頼んで3〜4杯です。選手の方でデロデロに酔っ払っている方、多いんですけど(笑)。私はあんまり酔っ払えないというか「あそこまで酔ってよく投げれるな…」って思います。私の場合は酔っ払うと投げられなくなってしまうんですね。飲んでもあまり変わらないんですが、試合ではソフトドリンクのみにしてみようとか色々試したりしています。休みの日にみんなで「飲みに行こう!」っていう時には飲みますけどね(笑)。

尊敬するプレイヤーはいらっしゃいますか?
浅野ゆかり選手です。尊敬するプレイヤーでゆかりさんを挙げる方はすごく多いと思います。始めてからもう丸6年になりますが、最初はダーツバーにいる常連さんや自分の周りの世界しか見えていなかったので、トップの方々を全然知りませんでした。そんな中みんなが「ゆかりさんはすごい!」と言うのを聞いていて、「ゆかりさんってどんな人なんだろうなぁ」って想像していました。そして今いざ自分が同じプロという立場に立って、試合に出場し対戦する中で「あぁ、この人がゆかりさんなんだ」と感動しています。ダーツ歴もすごいし、世界に行っているというのも素晴らしいですし、何か「ゆかりさんだけにしか感じないオーラ」というのがあるんですよ。他の選手には無い、ゆかりさんだけの何か…オカルトみたいな話になって来てしまいましたが(笑)。どうしてみんなに尊敬されるのか、というのが分かるような気がします。具体的にどこが、と聞かれるとすごく難しいんですが、もう「浅野ゆかり」という存在がすごいな、という。もう…凄いんです。

柚留木さんにとって、ダーツの魅力とは?
始めた頃を思い返すと、やっぱり一人だったらダーツにハマっていなかったと思うんです。仲間やライバルがいて、ひっくるめて「仲間」という存在が何よりの魅力です。10代の頃から投げていて、その場にいた方々は30代40代で、男性女性供に、年齢が離れている方が多かったんですね。その時皆さんに「こんな若い子と話すきっかけなんてなかなか無いよ」と言われましたが、逆に私から言えば、仕事以外のプライベートで年齢の離れた方と仲良く出来る機会なんて滅多にありませんでした。皆さん年上の方なのでダーツ、そして人生の先輩としてたくさんのお話を聞くことが出来ました。
最近若いプレイヤーが増えてきたと思うんですけど、社会勉強という意味でもぜひ若い人たちに始めてほしいとすごく思います。皆さん困った時は助けてくれたりして、男女年齢関係問わず仲良くなれるのは素晴らしいことだなと思います。それにダーツって女性が男性に勝てるゲームなんですよね。女の子が男性に勝てるものなんて本当に滅多に無いので、そこが女性には良いですよね。ぜひもっと女性に始めていただきたいです。

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ダーツ以外にご趣味はありますか?
特にはありませんが、あんまり家にいるのが好きじゃないので、買い物とか、散歩したりとか、映画を見たり、とにかく気分転換をするようにしています。いつも屋内にいることが多いので、できるだけ外に出て、ダーツや日常と正反対のことをしようとしていたら、それが趣味になってしまいましたね。アウトドアなことをしようというか「お日様の光を浴びなきゃ!」みたいな(笑)。

好きな男性のタイプは?
男性のタイプですか…ええと、前号で菜美さんの記事を読んだのですが、もう「その通りだな!」と思いました。見た目じゃないですね。もちろん第一印象は見た目から入るのは、誰でもそうだと思うんです。でも結局その後はどんなに見た目が良くても、中身の問題ですよね。それはお互いにですけれども。私もよく見た目と中味の差が激しい、と言われます。前号で菜美さんもおっしゃっていたんですけど、私も土日など時間がなかなか取れないので、それを理解してくれて一緒にいてくれる人がいれば良いなぁ、と思います…わがままなんですけど(笑)。
今はまだ、恋愛のためにダーツを辞めたいとは思わないので…。それを理解して下さる優しい方がいらっしゃったら、良いですけどね(笑)。みんなに「バカじゃねーの」って言われちゃうくらい、今は「男よりダーツ!」ですね、本当に(笑)。

今後の目標や夢などはありますか?
選手としてD-クラウンで結果を残すというのが目標ですね。D-クラウンではベスト16までしか行ったことがないので、今年は壇上に立つことを目標として頑張りたいと思っています。
夢…は難しいですね(笑)。ダーツを始める前からお店を持って「独立すること」が夢だったんです。今は選手としての方に力を注いでいるので、まだその夢の方には力を注げないと思います。いつ自分が納得出来るかはわかりませんが、選手として完結できる日がきたら、そっちの夢の方を追いかけても良いのかなと思っています。真っ直ぐで不器用なので、どっちも!とかは出来ないんですよね。

読者の方にメッセージをお願いします。
いつも見た目と中味が違うと言われるんですが、話してみると結構バカなやつだと思うので(笑)ぜひ、一緒にダーツ投げましょう。またプロプレイヤーとして、もっとダーツの楽しさを広めていけたらな、と思っています。
ダーツを知らない方も、始めたばかりの方も、投げ込んでいる方も、一緒にダーツを楽しめたら良いなと思います。ぜひそういう方々に、私が掲載されているNDLを手に取っていただきたいですね(笑)。これからも応援よろしくお願いいたします。