Akiho Konno-Vol.59.2013.1-Top

Vol.59 今野 明穂
考えすぎると私はどんどんだめに…

2013年1月

ダーツの出発点を教えて下さい。
ダーツの出発点は、以前働いていた居酒屋の横にダーツバーがあったことです。約6年前の20歳の時です。

ダーツを真剣に始めたきっかけは?
その居酒屋によく来るお客さんからMJトーナメントに誘われて、マイダーツをもらって会場に行ったんです。会場に入った途端「こんなにダーツをする人がいるのか」と、あまりの人数に驚きました。その時はロビンで負けてしまったんですが、それから他の大会にも出場するようになり真剣に練習を始めました。

突然パーフェクト第12戦から参戦されましたね。
はい。沖縄でパーフェクトのテストがあったので「それなら受けてみようかな」という軽いノリでした。それまでは沖縄で大会もないし、あまりダーツも上手くなかったので、プロになるなんて考えたこともなかったです。2年前頃に初めて、レーティングでいえばやっとAAになったくらいでしたから。それが沖縄であると聞いて「じゃあやってみようか。ダメそうだったら更新しなければいいし」みたいな気持ちで受けてみたんです。

そして大活躍をされて、「新星登場」と言われていますね。
嬉しいです。でも反面怖いです。私は店で投げている時より大会での方がずっと打ってるんです。結果を残している試合でも、その2週間くらい前からものすごく調子が悪くて「オマエ本当に大丈夫なの?」と周りから言われているような状態なんです。それがなぜか本番では調子が良くて、どうしてこんなに結果が出るのか自分でも不思議なんです。なんとなくいつも不安なまま大会に出ている感じです。

Akiho Konno-Vol.59.2013.1-1

自分はどんなタイプの選手だと思いますか?
負けず嫌いなのは間違いないです。それから、あまり細かいことは気にならないタイプですね。他のプロの選手を見てると、みんなすごく努力していたり悩んだりしていて、それに比べて自分はなんて能天気なんだろうと思うんですけど、それがかえって良いところだと思ってます。全然ストイックじゃないし、負けても「次があるさ」と思うようにしています。「2週間後にまた大会があるんだから、落ち込んでる時間があったら練習した方がいいな」という風にしか考えらないので、そこが自分の強みでもあるのかもしれないですね。

沖縄在住だと遠征にも時間がかかるでしょうし、試合前の調整も大変だったりすると思うのですが、何か心がけていらっしゃることはありますか?
試合に挑む前の心がけは、とにかくネガティブにならないことです。入らなくても「次は絶対入る」と思って、試合中も絶対に弱気にならない。「今までの自分を信じなさい」と、自分で自分に言い聞かせることだけです。だから調整というのは特に考えたことがないですね。6年間ダーツをやってきた、その事実があるんだから、ただ今まで通りにやろうという感じです。体調管理としては、とりあえず風邪は引かないように、そのくらいしか考えないです。

今までで印象に残った試合はありますか?
松本伊代さんとの試合はとても心に残ってます。6戦中3戦当たってるんですけど、伊代さんとの試合はいつももの凄く打たれて、負けずに自分もワンチャンで返せたりとか、とにかくいつも良い試合が出来てるんです。でも印象に残ってるというよりは、本当に夢中になり過ぎていて全く記憶がないことが多いんですよ。いつも後からナインダーツで見て「あぁ、こんな試合をしていたんだ」というくらい熱く入り込めるんです。伊代さんは本当に怖いです(笑)。

練習方法について教えて下さい。
特に決まった練習というのはないんです。いつもお店にいてお客さんと投げてて、少ない日は30分くらいから多い日は5~6時間、試合が無い日は毎日投げてるのが練習ですね。観光客の方が来てくれたら下手なダーツはできないし、常連のお客さんなら「この子の練習になる様なダーツをしてあげよう」と、いつも集中して緊張感を持ちながら投げるようにしています。例えばパーフェクト前なら「君は今日は松本恵さんね。松本恵さんのつもりで投げて」とか、バーチャルでいくこともあります(笑)。

今ダーツで意識していることはありますか?
あんまり考えないようにしてます。グリップが、肘が、スタンスが……と、そういうことを考えると私はどんどんダメになっていくのが自分でも分かってるんです。以前は悩んで悩んで、いろんなところをしょっちゅう変えてみたりしたんですけど良い結果が出なかったんです。だから今は、調子が悪い時は特に何も考えないようにとりあえず投げてればいいと、逆に調子の良い時に考えるようにしています。調子が良い時に「なんで今入ってるのかな?」と写真や動画を撮ってみて、それを悪くなった時に何が違うのか見たりします。強いて言えば調子が悪い時には「絶対体を動かさない、手をしっかり伸ばす、手を真っ直ぐに引っ張ってくる」と、この3つだけ考えるようにしていますね。

Akiho Konno-Vol.59.2013.1-2

ダーツの面に向かってだいぶ右側に立っているように感じますが、何か理由はあるのですか?
自分では気付かないうちに右に寄るようになってたんです。自分の目とバレルの高さがほぼ同じなので、バレルを引いた時に狙っている所が見えなくなるのが不安なんです。自分はリズムプレイヤーだと思っているので、この位置から狙うことでリズムや感覚をつかんでいるんだと思います。

宮城と横浜育ちということですが、どうして今は沖縄に住んでらっしゃるのですか?
これもノリですね。人生一度しかないのでやりたいことをやってみようと思ってたんです。そうしたらタイミングが合って「これは今しかない」と、お金だけ持ってとりあえず来ちゃったんです。最初はゲストハウスという民宿みたいな宿に泊まって、その間に仕事と住む所を探して、そこから今6年目ですね。

現在のお仕事について教えて下さい。
ダーツバーで働いています。ダーツが4台置いてあって、投げるお客さんもいれば飲むだけのお客さんもいます。ほとんど毎日飲んでます(笑)。沖縄は泡盛が有名ですが、大好きです。毎日酔っぱらっちゃいますね(笑)。

ライバルは?
ライバルは沖縄の大城明香利ですね。すごく良い仲間であって良いライバルです。明香利が結果を残すと嬉しくもあり悔しくもあります。彼女がどんどん上に行ってくれたら、私にとってもいい刺激になると思います。

ダーツの魅力はなんですか?
年齢に関係なく誰とでも仲良くなれること、これに尽きますね。

今後の目標は?
目先の目標だったら、やっぱり来年の年間ランキングを取りたいです。そして最終的には日本だけではなくて世界に行ってみたいです。これは自分にプレッシャーをかけちゃうかもしれないけど、やるからにはできること全部やりたいです。今までにないタイプの女子プレイヤーになりたいと思ってます。頑張ります!

DYNASTY よろしくお願いいたします