Momoka Makino-Vol.92.2018.7-Top

Vol.92 牧野 百花
「どっちも応援して」

2018年7月

ダーツの出発点を教えてください。
出発点は秋葉原でした。秋葉原でダーツの大会があったんですけど、それが普通の大会とちょっと違っていて、コスプレとかアニメが好きで秋葉原に集まって来る人達を対象とした大会だったんです。
当時私は秋葉原の雀荘で働いてたんですが、雀荘のお客さんがその大会に出るから見に来てと言われて行ったのがダーツとの出会いです。

それから真剣に投げ始めたのはいつ頃からですか?
すぐですね。その大会に行ってから一ヶ月後くらいには雀荘を辞めてダーツバーで働き始めました。

それはいつ頃の話ですか?
今年プロになって4年目なので、4年半前くらいです。

PERFECTはいつから参戦しているのですか?
4年前の1月にプロテストを受けて、2月の開幕戦からデビューしました。ダーツを始めて半年でプロ試験を受けたんです。もともと楽しんでダーツを投げたいというより、プロになりたいという気持ちが強かったので、駆け足でプロ試験を受けました。

PERFECTの成績には満足していますか?
全然満足してないですね。去年から少しずつベスト16からベスト8と進む様になり、最終戦でやっとベスト4まで行けました。
でもベスト4の後の準決勝ではとんでもない力の差を見せつけられて、これがトッププレイヤーなんだと痛感しました。

今までで印象に残った試合はありますか?
初めてベスト8に行けた時の試合です。それまではずっとベスト16止まりで、周りからも「いつになったらベスト16抜けるんだ?」と言われ続けていたんですけど、去年の熊本大会でやっとベスト8まで行けたんです。
その大会は女子のエントリー人数がすごく数なくて、私は1位抜けしてシードだったので、一回勝つと上まで行けるというエレベーターの様な形式だったんです。とにかくベスト8に行くことを目標にしてたので、行けるかどうかのその試合はすごく大事だったんです。
メチャメチャ緊張してガチガチだったんですけど、フルレッグでようやく勝てました。今思い出しても泣きそうなくらい震えたので、ものすごく印象に残っています。

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PERFECTの舞台裏はどのような雰囲気ですか?
実は私、一年目は怖くて選手控室に入れなかったんです。プロなのに怖くて、表に荷物を置いたままにして、選手控室には入ったことがない状態で一年間出場してました。
二年目にある先輩から「ダーツプロなのに選手控室に入ったことないの?」と、「試合間の時間の使い方も、そんなんじゃアマチュアと変わらないよ」と言われ、「そうなんだ」と衝撃を受けたんです。
それで2年目でやっと控室に入り、使い方やルールなど周りを見ながら覚えたんです。みんなロビンを通過したら本戦まで何をしているのかとか、やっと控室での過ごし方を覚えてきた感じです。

今のダーツ界では男子よりも女子のプレイヤーに注目が集まっていますが、それについてはどう思いますか?
それは本当のところどうなのかなと思いますね。やっぱりプレイヤーは男子の方が多いし主流だと思うんです。そんな中で活躍している女子がいるとどうしても目立つというか、注目度も上がるんじゃないでしょうか。
実際はいいプレイが見たかったら、男子のトッププロの方がすごいものを見せてくれる確立が高いと思うんです。もっと男子の露出が増えるといいなと思う場面もあるので、イベントなどがある時には、出来れば男子と女子の抱き合わせで企画してもらえるといいなと思いますね。

牧野選手は現在人気沸騰中で、可愛いプレイヤーと言うと名前が挙がりますが、それについてはいかがですか?
実際可愛いかどうか自分では何とも言えないですが、現在二足のわらじでアイドル業もやっているので、可愛くなければいけないと思ってるんです。
もし私がダーツと兼業でサラリーマンをしていたら、例えばタイピングが早いとか企画力があるとかのアビリティを持ってなければならないと思います。でも私はダーツプロの傍らでアイドルをやってるので、普通の子と一緒じゃいけないと思ってるんです。体型を維持するために食事にも気を使うし、毎日ヨガにも通ってます。
パッと見た時に「この子はダーツ以外にも何か露出系の仕事も持ってるな」というオーラを出しておかなければならないと思ってるんです。
私は個性が強いので、可愛いとか可愛くないとかいう意見は賛否両論だと思いますが、自分では普通の子とは異質な空気を出せるように、できるだけ努力しています。

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アイドルのお仕事もされているということですが、詳しく教えていただけますか?
元々は小さいライブハウスで、ソロで歌をうたってたんです。それからいろいろ機会があって、今はソロ活動ではパソコンゲームの主題歌を歌わせてもらってます。それから去年の3月にアイドルユニットを結成するのでスカウトされて、いまはユニットの活動もしています。
ユニットに入る時「私はダーツがやりたいので全戦出場したいしイベントにも出たい。だからアイドルのイベントに出られない時もあるかもしれないけどそれでもいいですか?」と条件を出したら「それでもいいから入ってもらいたい」ということで入ったんです。だから、本来ならアイドル自体のライブは月に15本くらいあるんですけど、私が出てるのはだいたい2〜3本なんですよ。
でも運営さんは「それでもいいから、君はどんどん外に羽ばたいて行きなさい」という寛大な心の持ち主なんです。おかげでソロ活動もユニット活動もダーツも毎日できている、とてもありがたい状態です。

それでPERFECT全戦に出場するというのはものすごく忙しいですね。
そうですね。でも忙しくていいと思ってるんです。それが幸せです。私は誰からも呼ばれなくなったり、どこにも居場所がなくなるというのが一番怖いです。だからもし私を必要としてくれる人がいるのなら、その人のために全力で頑張ろうと思ってます。

写真を提供していただきましたが、いろいろな衣装をつけて楽しそうに写っていますね。
撮影会もやってるんです(笑)。去年から始めたんですよ。撮影会の何がすごいって、今はSNSがこれだけ発達してるので、撮った人がどんどん拡散してくれるんです。「こんな子がいるよ」って、名前と写真を広めてくれて。私は髪の毛がピンクで目が青くて、一目見たら印象に残る外見なので、そういうところで拡散してもらえたらいいなと思って始めたんです。

牧野さんの名前を検索するといろいろなところから出て来ますから効果は出てるんじゃないですか。
そうでしょうか(笑)。いろんなことにチャレンジしたいんです。やってないうちから「こういうのは良くないな」とか「こういうのはあんまり意味ないな」と決めつけるのはもったいないと思うんですよ。時間は有限なので、その時間の中にいろんなことを詰めていかなければならないんです。その積み重ねで、10年後20年後にはまた違う何かがあるかもしれないですからね。私は今のうちにいろんなことをやっておきたいんです。

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それだけ忙しいと時間の長いダーツの試合は大変ですよね。
そうなんですよ。私はしょっちゅう風邪をひいたり熱が出たり、じんましんが出たりするんですよ。それを改善させようと3月から始めたのがヨガなんです。
私は代謝がメチャメチャ悪くて、ユニットで踊ったり歌ったりしてる時、みんなが汗だくになってても私だけ一滴も汗が出なかったんです。「もしかして私って老廃物の塊なんじゃない?」って思うくらいで、根本的に体質を改善しようと思ったんです。
ヨガは有酸素運動なんですが、有酸素運動の利点は短いスパンでは変化が出ないけど、長いスパンで続けて行くと体質が変わってくることなんです。ジョギングや縄跳びも同様ですよね。この体質が少しでも改善されればいいと思ってヨガを始めました。
真剣に自分の身体と向き合おうと、2週間くらいに前に初めて人間ドッグを受けました。悪い所を治して今より健康になれば、もっと出来ることが増えると思うんです。やっぱり健康は大事ですね。

では改めて、ダーツの魅力は何でしょうか?
私は元々麻雀打ちなので(笑)。麻雀打ってた頃は、勝ち負けを運気のせいにしたり、4人でやるので他家同士の争いにしたりしてたんです。でもダーツというのは負けたら自分のせいじゃないですか。絶対に人のせいにできないスポーツだから、私はそこが好きなんです。
自分自身の力で一生懸命練習して勝てた時の喜びは大きいです。負けた時は悔しいけど、勝った人に対して「この人は毎日毎日頑張って練習してるんだな」という姿を想像して、「じゃあ自分ももっと練習するしかないな」という気持ちになります。そういうところが素敵なスポーツだなと思います。

ダーツ意外の趣味はありますか?
考えてみると仕事につながることが好きですね。麻雀も好きだしカラオケも大好きだし、お絵描きも好きです。
私のサインになってる『よかろうざえもん』というキャラクターがいるんですけど、これは麻雀を打ってる時に4コマ漫画を描こうとして出来たんです。『よかろうざえもん』はなんでもイエスマンなキャラクターで、漫画から離れて一人歩きしてるんです(笑)。こんな感じでヒマさえあれば絵を描いてますね。

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これからの夢や目標を教えてください。
ダーツで優勝したいのはもちろんですが、欲張りかも知れないけどなんでも出来る人間になりたいです。どこでも活躍できる人間になりたいという気持ちが強いんです。
よく「アイドルとダーツとどっちが本気なんですか?」と聞かれることがありますが、どちらかという答えは絶対に出さないですね。どちらかと言ってしまうと、そのように偏っちゃうのが嫌なんです。
どっちも頑張ると決めて、周りにも「どっちも応援して」って言ってます。オールマイティーにどこでも活躍できる人間になりたいです。

最後に読者にメッセージをお願いします。
私は自分に自身がなくて、自分で自分を認められないタイプなんです。でもイベントや大会でなどで「応援してます」とメッセージをもらえると、ようやく自分のことを認めることができます。みなさんの言葉で力をもらってるので、いつも感謝しています。
これからも頑張っていきますので、応援していただけると嬉しいです。