Mari Komori-Vol.95.2019.1-Top

Vol.95 小森 麻理
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2019年1月

ダーツの出発点を教えてください。
友だちに誘われてダーツと出会いました。飲みに誘われたんですが私はお酒がまったく飲めなかったので、そこにあったダーツを見て「やってみたいな」と思ったんです。それまで投げたことはなかったんですけど、マイダーツというものを持ってたんですよ。

それはご自分で買ったんですか?
地元に今でいうラウンドワンみたいな複合施設があって、よくビリヤードをやってたんです。そこにビリヤードのキューなどグッズを売ってる場所があって、そこにマイダーツがいくつか並んでたんです。それで「マイダーツってかっこいいな」と欲しくなって買ったんですけど、ずっと使わずにかばんに入れっぱなしにしてたんです。
誘われてダーツバーに行った時に「そうだ!マイダーツ持ってる」って思い出したんですけど、組み立て方もわからなくて(笑)。それでお店のスタッフの方に、「持ってるんですけど投げたことがなくて、組み立て方がわからないんです」と頼んだんです。かなり驚かれましたけど、ちゃんと組み立ててくれました。それが初めてダーツを投げた時です。12年前のことですね。

12年前からダーツやってるんですか?
そうなんです。今30歳ですが、18歳の時には間違いなくやってました。
生まれて初めて投げた一本がインブルで、しかもセンターだったんです。そこから一本も刺さらなかったんですけど、それがどういうことなのか知りたくて、上京するまで毎日投げてました。
だから真剣に投げ始めたのは、ダーツを初めて投げた当日からです。最初の一本が気持ち良かったので、次の日から練習に行き始めました。

では、ダーツ歴はかなり長いのですね。
そうですね、長くなってしまいましたね(笑)。

JAPANレディースに参戦したのはいつからですか?
2018年6月の新潟大会からです。

今年からなのですね。
そうです。新人さんでございます(笑)。

その時の最初の印象はいかがでしたか?
もともとPERFECTにいたんですが、全然違う印象でしたね。
PERFECTではロビンで通過が決まるのですがJAPANでは違うので、もっと全体のことを見ていなければならなくて、最初はちょっととまどいました。
もちろん成績が良ければ上がれますけど、一度でもプラスマイナスゼロになった瞬間に、自分が今全体の何位なのか、スタッツはどうかを気にしなければならなくなりますよね。プラス1だったらまず抜けると言われてますけど、とにかくPERFECTとはかなり違いがあるので、慣れるのに時間がかかりました。

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PERFECTはどのくらい参戦していたのですか?
2016年と2017年の2年間です。

ほとんどに参戦していたのですか?
一年目は遠い所は出ていないです。全戦廻ったことはないですが、北九州や福岡方面には飛行機でも行きました。全戦に出場しているのは今年からですね。

PERFECTからJAPANに移った理由はどうしてですか?
スポンサーの兼ね合いです。

今年の成績には満足していますか?
ハロウズになったプレッシャーが大きいですね。時間が経つほど『私、世界一のメーカーと契約しちゃったんだ』という意識が強くなってきたんです。ロビンを抜けただけで負けてしまったり、思い通りに投げるどころかなんとかしがみついているという印象で、すごく悔しいですね。環境を自分で整えるのも難しくて、今はすごくあせってます。

今までに印象に残っている試合はありますか?
PERFECTに出ていた時ですが、2017年の第8戦福島での準々決勝です。これで勝てば入賞という大事な試合で、相手は大内麻由美さんでしたが、全然敵わなかったんです。周りは「よく頑張ったよ」と言ってくれましたが、自分ではまったく歯が立たないという印象でした。
ロビンから一戦一戦必死に戦って勝ち上がってきて、やっと準々決勝というところまで来てみたら「こんなに差があるの!?」と愕然としました。自分が頑張ったから印象に残ったというのではなくて、「どれだけやればこの人に勝てるの?」と強烈な思いが湧いたので、この試合はたぶん一生忘れないと思います。

JAPANの舞台についてはいかがですか?
みなさん言われることかもしれないですけど、JAPANの方がなんとなく和気あいあいとしてる印象があります。どうしてでしょうね(笑)。
なんていうか、JAPANの方が選手達と話す時間が長い気がするんです。PERFECTではみんな「試合に来てるんだ」という意識が高いのか、誰にも話しかけなかったですし話しかけられもしませんでした。
長くやってるので知り合いが多かったというのもあったのか、JAPANの方が溶け込むのが早かった感じで、選手達とはすぐ慣れましたね。

今は男子よりも女子プロプレイヤーに注目が集まっている部分もありますね。このことについてはどう思いますか?
もちろんとてもありがたいです。イベントに呼ばれるのも女子の方が多いですし、ずっと昔から実力優先だった男子とはまた違った魅力があるのかもしれないですね。
実際可愛い子がたくさんいますし、女子プロ達はそれぞれ自分の個性を生かして外見的にも気を使っているので、そういう部分も楽しいのかと思います。
女子選手への注目度はどのスポーツ業界でも同じかもしれないですね。

そういう中でご自分はどういう個性を出していきたいと思っていますか?
最近は周りの選手達からいろいろ相談されたり、年齢的にもお姉さん扱いされる様になってきたんですよ。これからもっと若い選手がどんどん登場すると思うので、私は『お姉様路線』でいこうかなと思っています(笑)。

一年間のツアーを廻るための体調管理などはどうしていますか?
今年は耐えるしかなかったですね。PERFECTに比べてJAPANは地方遠征が多いので移動距離が断然長くなりました。それを全戦廻るのも初めてですし、一人で行く様になったのも初めてだったので、とにかく耐えました。

辛いこともありましたか?
基本的にイベントが多くて、試合の前後にイベントをすることも普通なんです。そうすると家に帰れない時間が多くなって、それが辛かったです。
試合の成績もそうですし、イベントでお客さんと接したりするのは楽しいので、基本的には充実した気持ちで眠れるんです。でも朝起きた時に自分の家じゃないと、急に「帰りたい!」ってなるんですよ。この、ホテルで起きた瞬間のストレスに悩まされました。前日にどれだけ楽しく過ごしていても、朝起きると早く帰りたくて「ここから家に帰るまでに何時間かかる」とか考えちゃうんです。
それから、試合と仕事では移動する時間もまちまちで、どうしても睡眠時間も変わってしまうので、それも辛かったです。

普段の練習時間や方法は決めていますか?
全然決めてないです。私はチャレンジマッチが何よりの練習だと思ってる
んです。基本的には休憩を取らないので、一日5〜6時間かわるがわる対戦しますが、本当に始めたばかりの初心者からある程度の上級者まで、いろいろな方がいらっしゃいます。そういう方達とのプレイはとても練習になりますね。
基本的にはお客さんとの練習が一番で、一人で投げる時はカウントアップをずっとしてます。家にライブⅡが置いてあるので家で投げることもありますが、でもそんなに長い時間は練習しないですね。

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今ダーツで一番大事にしていることは何でしょうか?
2018年はとにかくしがみついて仕事も頑張って、何が何でも全戦廻るぞという意気込みだったんです。でも2019年は環境を大事に、少しゆとりを持って一年間廻りたいと思っています。
一年間一人で廻り切るために、いただいたお仕事はどんなに過酷なスケジュールでもガツガツ入れてたんですけど、削るところを間違えていたなと思ったんです。ツアーを廻るということはすごくお金のかかることなので、一生懸命働かなくてはならないと頑張ったんですが、一年を振り返ってみると実際に試合に勝ったわけでもないですし、いつも同じところで負けてるという印象でした。これは自分自身にゆとりがなかったせいもあると反省しています。
ハロウズからも「あとは実力さえあれば」とすごく言っていただいているので、来年はダーツのことだけを考える一年にしたいです。例えば仕事を少しセーブしても練習ができる時間を増やすなどして、自分のための時間を作りたいです。
とにかく来年はすべて変えたいですね。反省点がいろいろあるので、しがみつくだけではなくて、しっかり環境を整えてちゃんと挑戦したいです。

お仕事について教えてください。
ダーツバーなどに呼ばれてチャレンジマッチをしたり、いろいろなイベントに出たり、今はそれだけです。

では、完全なダーツプロですね。
そう言いたいですね。イベントだけで食べてます。本当は契約金と賞金だけで食べたいんですけどね(笑)。
やっぱりみんなが夢見る段階があると思うんです。私の場合も普通に会社員をやっている時にダーツを始めて、プロになりたくてその世界に飛び込んで、ダーツバーで働きながらツアーを廻ってというところから始まりました。それがイベントだけでなんとか食べていけるようになって、さらに上を見るなら賞金だけで食べていける様になることですよね。
一応はダーツだけで生活していると言えますので、自分的には少しずつ進んでいるつもりです。

尊敬するプレイヤーはいますか?
難しいですが、男女一人ずつ言おうかな。
女性では圧倒的に浅野ゆかりさんですね。私は基本的にプレイヤーの動画を見てその人の真似をしたりはしないんですけど、浅野ゆかりさんだけは真似はしませんが、ずっとDVDで見てました。プライベートで行くお店は唯一ゆかりさんのお店だけなんですが、ゆかりさんと話す時はいつも緊張してしまいます。名前を覚えてもらえた時も一緒に練習しようと言われた時も、たぶん一生緊張して話すと思います(笑)。
「モチベーションはどうしてますか?」と聞いた時に「モチベーションなんてないよ。好きで投げてるだけだから」とスパッと言うところなんかも本当に素敵だと思いました。あんなにソフトな感じなのに、どうしてあんなにカッコいいのか、優しくて強いゆかりさんに憧れますね。
男性は榎股慎吾選手です。本当にプロだと思います。賞金と契約金だけで生活していて、もちろんすごく強くて試合でも勝ってますし、とてもカッコいいです。ハロウズに入って近くで見る様になって、改めて榎股選手のようになりたいと思う様になりました。
すごく真面目な方なんですよね。開会式の時も他の選手はその辺で立ってたとしても、榎股選手は一番前の席に座って一人で真剣に話を聞いてたり。そういう姿も尊敬します。

ハロウズと契約するに至ったいきさつはどうしてですか?
まず社員の方からご連絡いただきまして「一度お話を…」と言われました。その時は前のメーカーとの契約が微妙だったので、いくつかのメーカーから打診のようなお話をいただいていたんです。
あいまいな話がいくつかある中で、ハロウズだけは「どうしても欲しいので時間を作ってください」というきっぱりした態度だったんです。「絶対欲しい」と言っていただけたことがすごく嬉しかったので、その出会いを大切にしようと思いました。なのであまり条件も聞かずに承諾しました。

Mari Komori-Vol.95.2019.1-3

ダーツの魅力は何でしょうか?
一生楽しいところですね(笑)。みんなそうだと思うんですけど、悩んでダーツと向き合ってる時も楽しいです。どんな状況でも楽しいのがダーツの魅力だと思います。

ダーツ以外の趣味はありますか?
これが全然出てこないんですよね。10代終わりの一番可愛い時期から30代までの10年強の時間を、全部ダーツに使ってしまいましたから(笑)。

ダーツにどっぷりですね。
こういう言い方をすると批判があるかもしれないですけど、その10年というのは女性として一番大事な時期だと思うんです。私はその時期ダーツしかしてないんですよね(笑)。
強いて言えば移動時間に漫画を読んだりゲームをしたりしますね。

これからの目標や夢を教えてください。
まずは一年間全部の試合を廻り切ることが目標です。そして入れ替え戦までいくことです。一歩ずつだと思ってるので、まずはとにかく入れ替え戦に行きたいです。それから、まだ行ったことのない県でのお仕事をもらいたいです。

最後に読者にメッセージをお願いします。
私が一流になるまで応援してください!頑張ります!