2020年9月号
この厳しい状況で、プレイヤーとしてやりたいこと
動画配信を自分一人ですることが出来るプレイヤーが、企業にとっては率先力になっているんじゃないかと思います。
初めましての方もそうでない方もこんにちは。宮崎県出身神奈川県在住の川﨑圭恵と申します。
今回はこういう機会を設けていただいたので、私の思っていることだったり、感じていることを書きたいと思います。Sylarに所属する前の考えも書きますので、こういうダーツ女子プレイヤーもいるんだなって思っていただければ幸いです。
SylarProject.というバレルメーカーが立ち上がったのは2017年。当時バレルメーカーを背負っていなかった私は、なんだか新しいプロモーションの仕方をしているメーカーができたなぁ、というくらいにしか正直感じていませんでした。
私は九州出身で地元でダーツのプロを取得しました。日本のトップである松本恵選手や山田勇樹選手のプレイをハウストーナメントで見る機会が多くありました。地元のプロの方々にダーツに対する考えだったり、勝つための貪欲さだったりを常に間近で聞いてきました。大学の授業が終わって練習となると、フェニックスレーティングでAAA以上の選手と練習していたりと恵まれた環境にいました。
とある理由で上京してからというもの、イベントのお話をとても多くいただくようになりましたが、正直自分の心の中では葛藤がありました。
九州ではダーツのイベントや大会で呼ばれるのは、実力のあるトップ選手のみでしたので、私の中ではそういうイメージしかなかったからです。私の思い描くトップ選手とは優勝を何度か経験したことがあるプレイヤーです。
そうなると私の当時の5位タイや9位タイの成績では程遠く感じていました。
そしてバレルメーカーに所属していたシーズンもありましたが、それが終了以降は基本的にお断りさせていただいていました。
それと同時進行でSylarというメーカーがダーツ界に現れて、大会会場ではブースに列ができるほどの人気っぷりを横目で見ていたりして、以前と随分雰囲気が変わってきたなぁ、と感じていました。昔は全体的にピリピリしていた雰囲気でしたからね。
今はプロの試合をやっているマシンの近くと、観客席やブースがある場所ではメリハリがあるといいますか、うまく同じ会場内でも別れているようになりました。関東のビックトーナメントは特にそうですが、地方でも同じようになって来ていますね。
少しずつ私の考え方も変わるようになり、2年くらいアプローチを受けていたSylarProject.に2019年から加入することを決めました。
大きな決め手は、身近に私の意見や考え方を気軽に話せる方がいること。自分モデルのバレル実現。プロモーションの好みが近かったからです。さらに新しいことに取り組んでくれるという、柔軟性の高いメーカーだと感じたからです。
しかし2020年にダーツ界がこういう状況になるとは誰も思わなかったことでしょう。プロだけで生計を立てている選手やメーカーさんも、とても苦しい状況だと思います。
それでもSylarというメーカーは、すぐさまyoutube生配信だったり、新メンバーを募集したり、試投バレルのレンタルサービスだったりと方向性を変えて新しいことを始めました。ユーザーにどう届くかは分かりませんが、とにかく暗いニュースが蔓延していますので、日頃みんなが見ているスマートフォンの中に、何かしら楽しいと思ってもらえる情報を発信して、純粋に楽しんでほしいです。
プレイヤーとしては、今までは単に実力だけで勝負してきた、結果を残すためだけにやってきた、というプレイヤーがほとんどだと思います。しかし、こういう状況では試合ができていないので、何をしたらいいか分からなかったり、スポンサーに対してできることがとても限られたり、そういう状態でいるプレイヤーも多くいると思います。
そうなると、youtubeやツイキャスなどの動画配信を自分一人ですることが出来るプレイヤーが、企業にとっては率先力になっているんじゃないかと思います。
例えば、俳優さんが演技だけでなく歌ったり、作曲したり、本業以外にもなにかを求められる時代になっているように私は感じています。正直ダーツのプロのなろうと思った時は、そういうことを私にも求められるようになるとは思ってもいませんでした。
大会会場やイベントでの雰囲気にはだいぶ慣れることができましたが、動画配信となるとトーク力も求められますよね。表現力というか面白いことを言わないといけないといいますか。求められていると感じるかどうかは、プロ意識や企業に対する思いや考え次第だと思いますが、プレイヤーは少なからずそういうことを自分から発信していかないといけない状況にあるのではないでしょうか。
でも私は苦手なのですっごく勇気がいるんです。Youtube生配信では私が司会をやることになって、Sylarの社長が裏方で参加型でやっていたので、スタッフにすごく助けられたと実感しました。またやりたいですね(笑)。
今は観客を入れることができるプロのダーツ大会の再開が、いつになるか誰も分かりません。その時に備えて準備することは、もちろん企業として個人として大切ですが、今はやれることを一生懸命やることが大事だと思います。
昔と違って今はSNS時代ですからユーザーの意見は届きやすいし、企業からも届けやすいですよね。なのでもっと意見を送ってください。一緒にSylarを作っていくくらいの気持ちを伝えていきたいです。Sylarはそういうメーカーであり続けると私は思っています。