落合 庄吾,ダーツプレイヤー

Vol.33 落合 庄吾
原点に戻って

2008年9月号

ダーツを始めたきっかけは?
7~8年前ですが、バーにスタッフで入ったときに、お店の隅っこにダーツが一つ置いてあったんです。オーナーから、お客さんとすることもあるからせっかくだからやってみたら、と言われたのが初めてです。

カウントアップ最高点は?
1128点ですね。でも3年くらい前の話です、カウントアップはあまり好きじゃないので……。カウントアップって自分と向き合うようで、なんか苦手なんですよね。ハードだったらいくらでも一人で投げていられるんですけど、ソフトだとすぐ飽きちゃいますね。

本格的に始めたのは?
以前からお酒を飲みながらみんなでワイワイやるダーツは大好きで、それまでもお客さんと毎晩のように投げて遊んでました。
競技志向に目覚めたのは、初めて投げてから2年くらいたってですね。その当時の名古屋では急にお店もダーツ人口も増えてきて、勤めてたお店で月一回か二ヶ月に一回の割合でガチンコのシングルスをやってたんです。僕はいつも運営側だったんですが、ある日たまたま一人だけ枠が空いてて、オーナーから出てみたらと言われたんですね。その時は自分ではそこそこ勝てるだろうと思ってたんですが、逆にボコボコにやられてしまって……「このやろ~」と思いましたね。その時からです、ダーツに火がついたのは。

練習時間や練習方法は?
練習時間は、全く投げない日もあれば、投げるときは店を閉めてから4時間くらい続ける日もあり、平均すると一日2時間くらいです。特に練習メニューというのはないですね。自分の体との会話というのか、自分の体がどう動いてて、それがダーツに伝わってどう飛ぶか、一本一本それを確認しながら投げています。もちろん「入れる」ための練習をするときもありますが、基本的には自分の体の動きの把握というのが多いと思います。
自分のフォームやグリップなども客観的には分かってると思います。たまに映像で確認することもありますが、ほぼイメージ通りというか、「まぁこんなもんでしょう」といった感じですね。

ダーツで一番大事にしているポイントは?
脱力ですね。力まないことが大事だと思います。もし力んでいたとしたら、力んでいる自分をよく理解し、無理に入れよう入れようとしないことですね。

Shogo Ochiai-1
トーナメントなどでの自己コントロールの方法は?
僕は今まで緊張したことがないんですよ。だから相手が強いからどうこうとか、そんなことは意識しないし、調子が良くなったり悪くなったりとかもそんなにはないんです。僕の中ではダーツって、入るときもあれば入らないときもある、一生懸命やってダメなときもあるし、逆に適当にやって勝っちゃうときもある、そんなイメージなんです。
だから勝ち負けにはそんなに執着してないです。基本的に適当なんですよね(笑)
ダーツってライフスポーツじゃないですか。長い目で見て、自分の技能やメンタル面が向上していけばいいかなと思っているので、一つ一つの大会で「これは絶対勝ってやる!」とか、そんなことはあまり考えたくないです。

スティールとソフトの取り組み方の違いは?
ソフトはどちらかというと楽しんでるという感じです。もちろん勝ちたい気持ちはありますし勝てればよりいいのですが、それよりもその場で他のプレイヤー達と交流を深める場であればいいかなと思っています。
でも、ハードの試合に関しては絶対に負けたくないという気持ちが強いです。

JSFDにはどのくらい出場していますか?
名古屋から移って来たのが今年の7月初めなので、つい先日2回目に出場したばかりですが、雰囲気はすごくいい感じでした。
受ける刺激もいっぱいあって、やっぱりこっちに来て良かったなと思いました。全体的なプレイヤーのレベルが高くて、知らないプレイヤーにでも簡単に負けてしまったり、そんなこともすごく楽しいです。
ソフトはどのトーナメントに出場したいですか?
特にどれと絞るつもりはないですね。全国サーキットなどはそんなにあちこち行けるわけでもないので、総合タイトルなどには興味がないです。出られる試合に出ようと思っています。

今までで想い出に残ってる試合は?
2~3年前に出たD—1の大会です。その時縁があってジョニーさんと組ませていただいて決勝までいったんですが、その時の対戦相手が嵐さんとヨッピーさんで……
その時の僕なんてまだまだだったんですが、僕以外の3人は有名プレイヤーじゃないですか、あきらかに僕だけが劣っていたのがわかりました。
それで、この時からフォームももっとちゃんと勉強しようと思いました。それまではただの我流だったんですが、以前から「よくそれで投げてるね、よくそれで入るね」と言われてたんです。僕はフォームを型にはめるのは好きではないのですが、だからといって理論的なものをあまりにも無視するのも違うだろうと、このままでは限界がくるなと、この試合をきっかけに、投げ方や飛ばし方をもう一度ゼロから考えようと思ったんです。
それから一年くらいかかってなんとか形になってきて、去年burn.という舞台にも立てましたし、それなりに成果も出てきたのでやっぱり変えてよかったと思いました。だからこの時の試合は僕の中では大きかったんだと思います。大きく変わりましたからね、ほんとに。

去年飛躍的に伸びたわけですか?
そうですね。burn.自体はそれほどやる気はなかったんですが、店舗予選があり、ブロック決勝があり、前日のファイナルがあり、グランドファイナルがあり、段階を追ってやっていく中で自然とモチベーションが上がってきて、この時は結局毎日5時間くらい黙々と練習してました。最終的にベスト8までいきましたが、ダーツを始めてから初めてちゃんと練習してるな、という感覚がありましたね。

スランプはありましたか?
イップスってあるじゃないですか、手がピクピク震えちゃって、ダーツを持とうと思っても持てなくて、投げようとしてもダーツが足元に落ちてしまうんです。今年の3月にこんな状態になりました。
今思うと東京に出てやってみようと思っていたので、いろんなプレッシャーを自分にかけてしまってたようで、らしくなく精神的なものからそうなったんだと思います。
世界の舞台を目指して頑張ろうと決めたとたんダーツが飛ばなくなる、ちょっとあせりましたけど……。でも、特に周りには言わなかったです。お客さんから「どうしたの?」と聞かれても「そんな時もあるよね」みたいに流してました。

ーツの魅力は?
最初はお酒を飲みながらダーツを投げてるのがただ楽しかったです。それから名古屋でハードのリーグ戦に誘ってもらったんですが、当時からハードの人達は真剣で、そこで競技としてのダーツもおもしろいんだと、ちょっと考えが変わりました。
最近は原点に戻ろうというのを大事にしています。初めてダーツに触れ合った時の楽しさを忘れたくないんです。あまりにも頑張りすぎるとだんだん楽しくなくなってしまうじゃないですか。
僕はダーツがすごく好きなので、好きなものは苦しみながらやるんじゃなくて、楽しみながらやるものだと思うんです。これは最近の僕のテーマです。

今後の目標は?
ハードで世界の舞台へ挑戦したいと思います。やりたいと思ってるだけじゃ何も変わらないので、実際やってみようと東京に出てきたわけですからね。ここでもっと自分を磨いて、近い将来世界のプレイヤーと戦ってみたいです。

今使ってるダーツは?
DMCのレイヴンです。ソフトとハード、コンバージョンで使ってます。

契約プレイヤーなどの話はありますか?
それらしいことはありますが、僕はそれにはまだまだだと思っています。僕の中では契約プレイヤーというのはプロなので、絶対的な強さを持っていなければだめだと思うのです。今の自分を客観的に見るとまだそんな力はないです。もっと実力がついた時にまたそういう話をいただけたら、その時は胸を張って契約したいと思います。

現在はザッカのスタッフですが?
楽しいですね。いろんなレベルのお客さんといっぱい投げてます。お客さんには、お店にいる時間を最大限楽しんでもらいたいです。ダーツバーだからダーツを投げなくてはいけないというわけではないし、ただ飲んでるだけでもいいし、その人にとって都合よく使ってくれればいいかなと思います。いいお店であり続けるために、接客には気をつけています。
お客さんが今何を求めてるのか常にそれを考えて、なるべく居心地の良い空間を作ろうと思っています。人との接し方は一番大事ですからね。僕はもともとダーツプレイヤーではなく、バーテンだったので、お酒の種類も結構詳しいし、強いですよ。ダーツだけでなく、飲みでも挑戦しにきてほしいですね。

全国のダーツファンにひとこと
ダーツとの距離感を大事にしてほしいと思います。最近ダーツとの距離感が崩れちゃってる人が多いような気がするんです。本業はなんですか?って尋ねたくなるような人が結構います。
この先ダーツを本業にするんですか?それなら思いっきりやるだけやればいいと思うんですが、そうじゃないのに、他に本業があるのに、あまりにやりすぎてダーツの楽しさを忘れてしまってる人が多い。それはちょっと違うんじゃないかなと思うんですよね。
お店にお金を払ってダーツを楽しみに来てるのに、苦しそうに投げてちゃだめですよ。みなさんダーツを初めて投げた頃を思い出してください。原点に戻って、ダーツを楽しみましょう!