小野 恵太
2023年を振り返って

前回のインタビューは2021年3月でしたが、その後のダーツの取り組みはいかがでしょうか?
今年はJAPANは勿論のこと、THE WORLD、PDC挑戦ASIAN TOURにも全部出ています。その中ではASIAN TOURが一番厳しかったですね。序盤は5〜6位ぐらいにいたんですが、最終的には総合で18位に落ちてしまいました。準優勝が1回、3位が2回だけという結果でした。メチャクチャ悪いというほどでは無いんですが、後半戦は悩みながらでの試合でした。ASIAN TOURの上位ランカーには、ほとんどが敗戦だったので悔しいですね。

皆さん言っていますが、今年はチケット、ホテル代金が高いですね。
その通りです。来シーズンはどうしようかな?と考えてしまいますよ。たぶん50〜70万ぐらい赤字だったように感じています。これだけ赤字になったツアーは初めてのことですね。あの面子で優勝して、2000$ですからね。自分に対しての投資でしょうか(笑)。

でも良いニュースがあるようですが?
10月に開催されたD-TOURに新しいモデルのスティール・バレル、セッティングで臨んだら、アベレージで93あって優勝できました。1日7〜8ゲーム投げてのトータルアベレージなので、とても自信になりました。
実はそれには理由があります。僕はダーツの後ろが重くないと、うまく飛ばせないんです。そしてバレル自体も重いと親指が痛くなってしまいます。スティールだと前がどうしても重くなります。僕はコンバージョン・ポイントを使っていますが、重い成形フライトを付けて投げると、飛びは良いのですが刺さりが甘くなってしまうんです。そうすると次のダーツを当てるのに勇気がいりますよね。
その時は新しいモデルのバレルにストームポイント(TARGET 軽いのが特徴)を付けて、フライトを紙に変えて画期的に改善されました。TARGET社にはバレル開発で、わがままを言わせていただいたので苦労されたと思います。
今も新バレルは試作中で、投げ込んで完成させたいと思っています。やはりダーツは道具が大事ですね(笑)。発売されたらよろしくお願いいたします。
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以前は同じお店で小野プロが育てたような後藤 智弥プロが大活躍ですが?
彼のことは17歳から知っていて、今年27歳になったので10年の成長を見てきています。今では若手筆頭株のようになっていますが、20〜25歳までの苦悩の時期を知っているので、凄く嬉しいですね。表に出てから皆さん認知しますが、20歳頃はプロライセンスは取ったものの、金銭的な事情もあってスポット参戦しか出来ませんでした。その後良い出会いがあってスポンサーが付いて、22歳頃から全戦参戦していたと思うのですが苦しかったですね。コロナで1年棒に振ったのも大きかったです。
NDLにも機会がありましたら紹介して下さいとお願いしたら、その後インタビューをしていただきました。技術があるのは分かっていたんですが、試合では結果が残せていなかったですね。それは自分で経験を積んで見つけることなので、アドバイスは難しいですよ。
実は最初の入れ替え戦突破を許した相手は僕だったんです。初めて上がって来てドローで当たって、1レグ目後攻からパーフェクトやられて、良いダーツしてました(笑)。
彼にとっては胸借りやすかったと思いますが、僕は負けられないと複雑な心境でのゲームでしたね。それ以来素晴らしい活躍を観せています。

小野プロを顧みるとSUPER DARTS優勝、PDC World Championship出場の華やかな戦歴が光りますが、ご自分ではどう思っていますか?
当時はダーツにまっすぐ向き合っていましたね。SUPER DARTSではその年人気投票ということになって、皆さんの応援で出場することが出来ました。そこで優勝できてNDLの表紙を飾りましたが、試合後のインタビューは全く記憶がないです。始まってからずっと見ていたので、信じられなかったですね。ステージの雰囲気が全然違っていて特別なものがありました。ダーツ界のタイトルだと思っています。運がありましたね(笑)。
今は年齢も重ね周りの環境も変わりましたが、もう一つプロプレーヤーとして集中力が必要なのかと思います。ポール・リム先輩がいますからね…。

来年のQ-Schoolは行かれますか?
予定していません。それは日本で経済的基盤を固めてから行きたいと考えているからです。もしツアーカードが取れたらあちらに住んでじっくりツアーに挑みたいですね。
その時はソフトをやめてスパーリング・パートナーを探して本気で挑戦したいです。あの世界でアジア人が通用するにはヨーロッパに住んで臨まないと、とても無理だと感じています。言葉、気候、食事も違うし、きっと馴れるまでに時間が必要なので、最初は絶対に勝てないでしょう。世界最高峰の舞台ですから夢として持っています。

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ところでお店をオープンしましたね?
2022年5月に東京亀戸に開店しました。同じお店に12年いたんですが自分の思うことを実現するために、自らオーナーになって独立しました。さきほどのPDCの話とも繋がっていて経済基盤を固めるためですね。
以前から昼の仕事もしているので、昼夜、プロと三足のわらじになりました。日本ダーツプレーヤーの中で一番時間が無い、という自負はあります(笑)。そんな事ができるのも30代だからでしょう。

トッププレーヤーを呼んでいて、成功しているようですが?
ありがとうございます。他のお店には無い強みを活かして、頑張っています。駅から5分ほどの立地なんですが、裏通りにあってダーツのお客さんが95%なんです。日本ダーツ祭り時期には地方の方々にも来ていただきました。そのため焼酎の種類も多く用意して、全国から来ても対応できるように努力しています。
お世話になったお店にはご迷惑をかけないようにして、初期投資の絡みで亀戸になりました。元々下町育ちなので、僕には合っています。

JAPAN現在ランキング9位ですが、いかがでしょうか?
PERFECT時代は年間ランキンで5位以内に入賞している事が多かったので、当時はコンスタントに良い成績を残していたんだと思います。現在PERFECTでは津村 友弥プロが1位、仲が良いプロで1歳年上、刺激はもらってます。今年JAPANで名前が挙がるのは浅田、後藤、酒井だと思いますが、さらに若手も台頭して来ていて少し遅れをとっている感じはありますね。コロナ前の年間ランキングが4位、開けてからその後は5位、9位と立ち位置が後退しているのは事実です。
ダーツの状態が悪いのでは無いのですが、JAPANのシステムが影響しているのかもしれないです。シードを取る16以内に入る過程で体力を使い切ってしまい、そこから一気にパワーアップ出来ていません。今日は調子良いなという日に上位ランカーと当たって力負けしたり、現状難しくて克服できていない状態でしょうか。

若手の台頭はいかがですか?
僕が若い頃にやっていたことを、今同じ反撃をされているような感じです。大人のダーツってこんな風だよと、見せきれない自分が歯がゆいです。若いとチャレンジ精神が強いので、怖いものが無いですからね(笑)。自分の中でハングリー精神が足りないのかな?と自問自答もしています。
今年は物凄く状態が良くて、優勝できるな?と思う日が3回あったんですよ。最初の2回は智弥に負けて、その日彼は優勝していました。もう1回は先日の名古屋大会ですが、決勝で有原 竜太プロに寄り切られてしまいました(苦笑)。
若手の台頭は感じていますが、僕達世代も頑張っています。

最後に皆さんにメッセージお願い致します。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。JAPANでは4年優勝出来ていなくて、PDC挑戦でも結果が残せていないですが、まだまだ頑張りますので応援よろしくお願い致します。

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