Vol.88 寺島 考次郎
一般社団法人 JSFD 理事長

2017年11月

日本で初めてのワールドカップが無事終了しました。どうもお疲れさまでした。
本当にどうもありがとうございました。

今回の成功点や反省点などはありますか?
成功点としては、会場の大きさも含めて全体的な雰囲気など、ワールドカップを開催するにふさわしい状態にできたのではないかと思います。いろいろな意味で各選手がストレス無く試合に臨めたのではないかということと、多くの方の協力の元で海外選手やサポーターのみなさんが、会場で不自由無く過ごすことができたのが良かったと思います。
反省点としては、学生ボランティアのマーカーとしてのレベルというか連動が今ひとつで、WDFのレフリーに繫げられなかったことが挙げられると思います。結果的に神戸・大阪を始め関東のプレイヤー達が協力してくれて事無きを得ることができ、オールジャパンの力の賜物だったと思っています。

今回のワールドカップが日本に決まったいきさつを教えてください。
2011年のワールド会議で、4年後に向かって立候補するという打診をしていたのですが、その年は東日本大震災があったので見送ることになりました。
その後2013年のワールドカップの時に改めて立候補したところ、わりとスムーズに決定しました。

神戸での開催になりましたが、プレイヤーの中からは、もし東京開催ならもっと観客が集まったのではないかという声も聞かれました。神戸に決まった理由はどうしてでしょうか?
まず一番の理由は福島の原発の状況が世界的に良く伝わっていなかったからなんです。東京だとどうしても福島に近いということで、各国から不安視される声が聞かれ東京開催は断念しました。
そんな時、ちょうど開港150周年にあたる神戸での開催はどうかと、当時の市長からもご協力いただけるという意見もあり、神戸での開催となりました。確かに東京での開催の方が集客できた可能性はありますが、地元の皆様の協力も厚くいただいたので、神戸での開催で良かったと今は思っています。

初めての開催ということでWDFの方々も来日されてのミーティングを重ねられたことと思いますが、どのような様子だったのでしょうか?
実際にはトーナメントディレクターのロイ・プライス氏が3回来日してるんです。最初の来日では候補地だった場所が会場としてあまりふさわしくないということになり、次の来日で周辺のホテルのアクセスなどを考慮して、神戸の国際展示場に決定しました。
そして今年の4月には各方面に最終的な指示を出し、延べ1週間は協議を重ねたことになりますね。

今回の大会で特筆すべきは、神戸学院大学の学生ボランティアがかなりの人数で参加していたことだと思います。
はい、彼等には大変助けていただきましたね。神戸学院大学の佐藤学長始め、グローバルコミュニケーション学部の東学部長と中西教授にはとても協力的にご支援いただきました。そのお気持ちが学生さん達にも伝わって、あれだけたくさん集まっていただけたのだと思います。
彼等は英語もそこそこ出来ますので、会場でも海外選手とコミュニケーションを取りながら、とてもなごやかな雰囲気を作り出してくれたと感謝しています。

会場では彼等がものすごく動いていて、ゴミ一つない状態でしたね。
そうですね。みんな自分達から積極的に仕事を見つけてはどんどんこなしてくれるので、本当に助かりましたし有難かったです。

マーカーなどの課題も残ったこととは思いますが、全国各地からプレイヤーも手伝いに駆けつけていて、オールジャパンの素晴らしさが改めて分った開催になりましたね。
学生さん達は週に2回マーカーの講義と練習を続けてくれていて、そこそこのレベルの人も多くいました。その実力を充分に伝えられなかったのは私達の責任なのですが、結果的にはオールジャパンの力となって乗り切ることができました。

海外の選手はそういう事情は知らないので、みんな良かったと褒めていましたよ。
私はいろいろなワールドカップに行っては、一番心配だったマーカーのことをずっと見てきたんです。ボランティアとなると上手な人ばかりが来ているわけではないので、どうしても時間がかかっていたり「チェンジしてくれ」と言われているのを見るとやはりかなり心配でしたね。
でも今回は実力のあるプレイヤーがマーカーをやり、なおかつ世界で初めてパソコンのモニターで数字を表示するという新しい試みを実現させましたので、そういう意味では各国の選手も楽しめたのではないかと思います。

では日本代表についてはどのような印象を持たれましたか?
結果では女子チームが3位、ユースの男子ダブルスが3位でメダルを獲ってくれました。これはJSFDとしてもとても良かったと思っています。
残念なのは男子の選手が実力を出し切れなかったことですね。やはり各国の実力ある選手ばかりなので、本当にちょっとしたことで勝敗が決まってしまうという印象でした。

今回は世界から500人以上の選手とスタッフが来日しましたが、世界の選手達の印象はいかがでしたか?
まずイングランドが来なかったことは非常に残念ですね。国によってレベルは様々ですが、強豪国のオランダ、オーストラリア、アイルランド、アメリカなどの選手は本当に強かったですね。
特に驚いたのはユースのオランダ男子とイラン女子の強さです。どちらも優勝しましたが、本当に素晴らしいダーツを投げていたと思います。大人の試合に出てもそこそこ戦えるのではないかというレベルだったので、本当に驚きました。

最後に、これからのJSFDの活動について教えてください。
今まで同様全国各地で日本代表選手を決める大会を開催していくのはもちろんですが、各地の団体とより密接に繋がって、今回のワールドカップのことをきちんと伝えていきたいと思います。そして各地のプレイヤーの技術の向上に務めたいですね。日本選手はもっと強くなる可能性があります。
今回は日本で初めてユースも出場しましたが、今後はユースの育成に力を入れていく活動にも重点を置きたいと思っています。