Vol.87 PDJ 2017
試合総括

2017年9月号

9回目の大会で挑戦者となったのは…ついに第一人者が優勝
再び、アノ舞台へ挑戦

歴代優勝者
2009 村松 治樹 Haruki Muramatsu
2010 橋本 守容 Morihiro Hashimoto
2011 村松 治樹 Haruki Muramatsu
2012 村松 治樹 Haruki Muramatsu
2013 橋本 守容 Morihiro Hashimoto
2014 村松 治樹 Haruki Muramatsu
2015 小野 恵太 Keita Ono
2016 知野 真澄 Masumi Chino

PDJ FINALで感じた事
今年の挑戦者が決まった
Darts Cafe Bar DOLLiS 灰田 裕一郎 Yuichiro Haida
今年もスティールダーツ国内最大のイベント PDJ JAPAN CHMPIONSHIP The Final (以下PDJファイナル)が開催された。
PDJファイナルは年末にイギリスで行われるPDCワールドチャンピオンシップ(世界最高峰のダーツ選手権)に日本代表枠として出場する1名を決定する大会である。国内では数少ない団体の垣根を超えておこなわれるトーナメントであり、紛れもなく日本一のスティールダーツプレイヤーを決めるトーナメントという位置付けになっている。
今回で9回目を迎えるPDJファイナル、第2回大会以降は開催地を横浜から両国に移して開催されていたが今大会は場所を横浜の大さん橋ホールに変更し久々の横浜開催となった。
そして今回は大きな変更があった。ファイナル出場枠が12名から16名になったのである。これまでのPDJファイナルは東日本予選4名と西日本予選4名の計8名の予選通過者とスティールダーツ4団体からの推薦選手4名を加えた計12名により行われていた。しかしながらこの場合、1回戦シードとなる選手が4名出てしまい、ここ数年その優位性が疑問視されていたところがあった。そういった部分の公平性を保つ意味もあってか、今回から16名によるファイナルに変更になった。
増枠された4名はスポンサー推薦2名、そしてファイナル前日に最終予選を行い最後の2名を選出という方法が採られた。これにともなってゲームフォーマットや当日の試合進行にも若干変更がなされた。ゲームフォーマットは決勝戦まではすべて4レグ先取となり決勝戦のみ5レグ先取と短くなった。
これでは実力差がはっきりしないのではないかと懸念していたが、実際終わってみると短すぎるという印象はほとんど受けなかった。むしろスピーディーで観戦している側としてはちょうどいいと感じるフォーマットであった。
ワンデーで15試合をボード1面で行うような観戦型ダーツイベントでは進行面でも、面白さという面においても「スピーディーであること」がとても大切な要素であることを教えられた気がした。
ゲームフォーマットを変更しスピーディーになったとはいえ全部で15試合である。すべての試合がもしフルレッグになった場合、レグ数は107ゲームに及ぶ。

その全試合のゲームコントロールとコーラーを務めてくれた今大会で一番大変だった人物を忘れてはいけない。2年連続でPDJファイナルのコーラーとして本場イギリスから来日してくれたジョン・ファウラーMCだ。昨年急逝されたビル・ロング氏に代わってPDJコーラーを務め、その安定したコールはもちろん、あたりの優しい人柄でとても評判のよかったファウラー氏が今年もPDJファイナルのマイクを握ってくれた。
今回は試合数が多いことから試合と試合の合間の休憩も大幅に削減された。これは見ている側には次から次へと試合が進んでとても嬉しいことであったが、コーラーにとってはとてもハードな変更である。しかしファウラーMCは終始ミスなくコーラーをこなし、観客への笑顔も忘れなかった。
榎股選手の9ダーツトライを試合直後に自身のツイッターで全世界へ発信するなど、表に出ない部分でも大会MCとして貢献してくれていたことも彼の素晴らしいところである。世界選手権の日本代表を決めるという緊張度の高いイベントで、全15試合をひとりでコールするということは普通では考えられないことである。それを最後まで見事にやり遂げたジョン・ファウラーMCを今大会の影の立役者として忘れないでいたい。
さて試合の方に話を戻そう。PDJ初期の頃に比べ、現在の国内スティールレベルは格段に上がったことは誰もが実感していると思う。現在、国内のスティールトーナメントアベレージは1ラウンド当たり(PPR)80点前後である。とくにここ数年で1ラウンド当たりの平均スコアにして5~10点上がっている。ダーツ数にすると上がりが1ラウンド早くなっている、これは凄いことである。
PDJの東西予選でもベスト16以上の試合では18ダーツ以内での上がりは必須となっている。しかしながら世界のトッププレイヤーたちの上がりは平均15ダーツである、PPRで90~105点。日本と世界ではまだ1ラウンドの差がある。たかが1ラウンドだがこの15ダーツと18ダーツの1ラウンドの差というのはとてつもなく大きい。陸上100m走でいうところの10秒00と9秒99の差と似たようなものだと思う。
今年のPDJを予選から振り返ってみても、ここ数年みられたスティール全体のレベル上昇が頭打ちになっている。トータル的にみて個々の試合は観ていて楽しい内容であったが、数字的な面でみるとパッとしなかった印象が残る。ファイナル全体の数字を見てもここ数年では低いほうだ。そこまで低くないとしても、ここ数年感じることができた全体のレベルアップを感じることはなかった。やはり国内のスティールレベルは現時点で頭打ちなのかもしれない。
アレンジなどに関しても進歩がまったくみらなかったのはとても残念であった。ソフトダーツが主流の日本においてスティールのレベルをもう一つ上に引きあげるためにも、ここらで本格的にスティールダーツへ取り組む選手やそういった業界全体の動きが生まれてこないとこのまま日本のスティールダーツは世界から取り残されてしまうかもしれない。今回のファイナルではそんなことを感じる大会でもあった。
読者もご存知のとおりPDJ JAPAN CHAMPIONSHIP The Final 2017は浅田斉吾選手の優勝で幕を閉じた。終わってみれば彼の強さはひとつ抜けていた印象だ。これまでも国内のスティールトーナメントでは常勝、PDCとは別の世界選手権であるBDOレイクサイドには昨年末まで3年連続でアジア代表として出場を果たしている。2014年に出場したBDOワールドマスターズではベスト16まで進出し世界を驚かせたことはいまだ記憶に新しいところ。

その彼が悲願としていたPDCワールドチャンピオンシップ出場が叶うときが来た。年末までにしっかりと準備をして日本ダーツ界最強プレイヤーとして活躍してくれることを期待したい。
これまで9年にわたって開催されてきたPDJファイナルだが今回が最後という噂を耳にした。はっきりとした発表がされていないのでここでは詳しく書かないが、これまでのPDJのようなものでなくなるのは確かなようだ。
もしPDCワールドチャンピオンシップの派遣という権利が今後なくなったとしても「PDJ JAPANCHAMPIONSHIP」という大会は日本一のスティーラーを決めるトーナメントとしてぜひ今後も継続して欲しいと願っている。
PDJというトーナメントが日本スティールダーツのレベルを引き上げてくれたことは間違いない。今後も国内のトップスティーラーが凌ぎを削る場所が増えていくことを期待している。
文中に陸上競技の例えを出したが、つい先日東洋大の桐生祥秀選手が日本陸上界の悲願であった10秒の壁を破る9秒98という記録を達成し「ようやく世界のスタートラインに立てた」とコメントした。いつか国内のスティールダーツが世界のスタートラインである平均15ダーツに追いつく日がくることを心から期待している。
日本のスティールダーツはまだ始まったばかりである。伸びしろしかない。がんばれ日本のスティーラー!

ついにPDCの舞台に挑戦できる
PDJ FINAL 優勝Interview 浅田 斉吾 Seigo Asano
PDJ優勝おめでとうございます。昨日で最後のチャンスを掴んだわけですが、試合はどのような感じでしたか?
昨日は新しいバレルが出て調子も上がってきたところでした。スティールのバレルも作ってもらったので試してみよう、みたいな感じだったんですがいい感じに入りました。最後の鈴木徹選手との試合はちょっときつかったですが、勝って抜けることが出来たので本当に良かったです。

今日の試合を拝見していてダブルが入っている様に感じましたが。
新しいバレルというのもあって、試しながらの部分もあったんです。こうやったらこう飛ぶんだというのを調整しながら投げましたが、思った通りに入ってくれました。しんどい場面もありましたが、そういうところではいつも通りつっこみ気味で切り抜けることが出来ました。

珍しく涙ぐんでいらしたようですが、何か特別な感激がありましたか?
ずっとBDOでやってきましたが、PDCに行けない選手もいるじゃないですか。
僕も行きたい気持ちはありましたが、もっとBDOで経験を積んでからと思っていました。それがこんなところでチャンスが転がって来るとは思ってもみなかったんです。
スーパーダーツの権利もあったので2つ同時に獲れたのも嬉しかったし、嫁も昨日から応援に来てくれて、いろんな気持ちが重なって感極まってしまいました。

浅田選手のあんなに嬉しそうな姿を見たのは久しぶりでした。やっぱり大きいタイトルだからでしょうか?
PERFECTにエントリーしながらもデフォルトして出場したという後ろめたい気持ちもあり、これはどうしても勝たなくてはと思っていました。何よりも大阪から家族と地元の友人達がチケットを買って応援に来てくれたというのが一番大きいです。

前回のジャパンオープンのインタビューの時にはスティールは全然触っていないと仰っていましたが、今回は試合前に調整されましたか?
いえ、全くやってないんです。もっとスティール投げたいんですけど、PERFECTの試合もありますし、店でもスティールは投げにくいんです。店の売上的にもソフトを投げていかなくてはならないので、自分の練習というのは出来ないですね。でもソフトで練習しながら調整できていたのかなと思います。

年末はいよいよワールドチャンピオンシップに挑戦することになりました。今年はフィル・テイラーの最後の試合もあり例年以上に盛り上がりを見せるだろうと言われていますが、お気持ちはいかがでしょうか?
彼の動画を100万回見て育ってきたので、最後の姿をしっかり見たいですね。でもまずは、自分がどれだけ出来るかを試すことです。BDOで6年間やってきた集大成をぶつけて、日本もなめられないように頑張って来たいと思っています。

PDJも数年経ちPDCに挑戦する日本人選手も何人か登場しました。しかしながらあの舞台では思う様な結果が出せずなかなか前進しない状況ですね。
今までレイクサイドなどたくさんの観客がいるトーナメントにも出場しました。そこにフィル・テイラーをはじめ憧れの選手がいるという場面は行ってみないと想像出来ませんが、そういうことに飲まれることなく自分の力を出し切るように頑張ります。

日本中のダーツプレイヤーが応援しています。結果を楽しみにしていますので頑張ってください。
任せてください。緊張して負けたとか技術が足りなくて負けたとか、そんな言い訳ができないくらい全力で戦ってきます。
みなさん応援よろしくお願いします!