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No.1 バレルを選ぶ・替える

2015年9月号

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僕の自己紹介
現在は愛知県にある「ダーツショップD×3(ディースリー)」のスタッフとして、ダーツ漬けの毎日です。

僕は体育大学卒業後、教員を目指しながら県内の高校に保健体育の講師として勤めていました。講師3年目の年に趣味としてダーツと出会ったわけですが、当時の愛知県では、ダーツをたくさん取り扱っている専門店などなく、ダーツバーに数点並んでいる程度でした。ダーツを投げる環境もダーツバーが一般的で、今のようにネットカフェや投げ放題の店などはありませんでした。

ダーツを仕事に
ダーツと出会って半年が過ぎた頃、通っていたダーツバーのオーナー(現ディースリー代表)からダーツショップのオープニングスタッフとして誘われ、講師と掛け持ちでダーツショップのスタッフとなりました。
スタッフを始めた頃は、ただただ好きなようにダーツをさせてもらっていて、純粋にダーツの事を人に話して楽しいと思ってもらいたくて、次から次へといろいろ勉強していったものでした。そのころの教科書が当時から販売されていたこのダーツライフだったり(笑)。
こうして、どっぷりダーツにハマってしまったわけでして、教員への想いはダーツに変わっていきました。元々好きなことにはとことんな性格でしたし、何よりも人の成長を見届けるのが好きで教員を目指していたところがありましたから、ダーツの仕事でもそれはやっていけるかなと…。スタッフとして人にダーツをレクチャーするためには自分のダーツの腕も磨かなければいけないと、ますます練習にも打ち込むようになりました。お客さんにダーツの説明をするにも僕がまともに投げられないのは問題かなと……(笑)。

ショップに来るお客さんのダーツ上達の手助けになるのではと、橋本守容選手や畠中宏選手などトッププレイヤーを招いてのイベントも積極的に開催しました。トップレベルのダーツを目の当たりにし、僕自身プレイヤーとしての魅力を強く感じるようになりました。
ダーツを始めてから12年。現在はプレイヤーとしてJAPANに参戦しています。大会を通じて数多くの選手との交流の中から、いろいろな選手のダーツへの思いや考え方を肌で感じ、「ダーツを楽しむすべての方の手助けができればいいな」と、日々奮闘しています。

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No.1

一番下のものがMarverickの原型。7年間ほぼ毎日のように投げ続けたバレルは摩耗し、原型より細くなっている。元々16.5gあった重量も15g以下まで軽くなっている。(画像中)
一番上のものは、2015年10月発売予定の「Marverick SHO」。DMCの国内初となるプレイヤーシグネイチャーモデル。重量は15.5gで7年間使用した感覚に近い仕上がりとなっているため、バレル変更後も即戦力となっていると勝見選手はいう。

No.2

Dx3最初の路面店
当時は国産メーカーはほとんどなく、Harrows、Unicorn、
Bottelsenなどイギリス・アメリカの商材がほとんどでした。

バレルを選ぶ・替える

自己紹介が長くなったところで突然ですが、お尋ねします。皆さんがバレルを選ぶとき、何を考えて選んでいますか。
「もっとカットを強くしたい」「もっと重いのが投げたい」などといった理想のイメージが先にある場合もあれば、「気分転換にダーツ替えたい」「調子が上がらないから替えてみたい」など、

具体的なイメージはないけど替えたいという願望がそうさせる時と、いろいろあるのではないかと思います。
バレルを替えたいと思う時は、決め手になるキッカケがあると思います。その中でも特に多いと思うのは「試しに異質のバレルに触れた時」ではないかと思います。例えば友人のダーツを投げた時、ショップで試し投げをした時などです。そういったキッカケから、何か不安や悩みに変わってくると替えたいと思うわけです。
その一例として、バレルの磨耗。毎日使っているバレルは、投げる度に少しずつ削れて消耗しているのですが、普段はあまり気にかけることはありません。気がつけば削れているって思うんですが、その気づいた時に急に新しいバレルが気になり出したりすると思うんです。そんな時、ふと新品の同じモデルのダーツを投げると「新品はこんなに掛かってたんだ」って思うことありますよね。これをキッカケに悩むんです。そのまま使い続けるか、もしくはこれキッカケに何か新しいものを使おうか。という具合に。
先月行われたTHE WORLD ステージ4で見事優勝を果たした勝見翔選手が、直後自身のSNSでの「6〜7年使っていたバレルを替えて新しいバレルで臨んだ」というコメント。それだけ長い期間バレルチェンジすることなく使い込めるのは、彼のダーツのレベルや練習量からしても、バレルの扱い方に対してのみ執着してきたのではないかということがうかがえます。
バレルは、投げ続ければどんどんすり減ってしまうもの。何年もの間に毎日少しずつ少しずつ、自分でもわからないレベルで摩耗していくわけです。
半年ほど前に見せていただいた時の本人の使用していたバレルは使い込み過ぎてすでに原形をとどめていなかったんです。天然ものというか、自然形成されたデザインのバレルというか、すでにオリジナルのバレルになっているわけです。感覚、愛着、思い出までもがそのダーツに注ぎ込まれているわけです。
ダーツを選ぶポイントとして「そのダーツが気に入っていることが大事」と勝見選手は言います。長く使うことでそのダーツに「馴染む」という本人にしかない唯一無二のアドバンテージとなると考えるからです。

それほどまで慣れ親しんだバレルの使用を打ち切り、今回バレルチェンジをするという決断は相当悩んだ末のことだったでしょうし、それは本人以外には計り知れないものでしょう。

その決断の理由の一つになったであろう新しいダーツには、きっとこれまで以上の大きなアドバンテージとなる要因があるはず。これまでに培ってきた感性を損なわないようにデザインされ、生まれ変わったダーツで、すでにTHE WORLDにて優勝という一つの結果を残しています。勝見選手の今後がますます楽しみなところです。
道具を替える替えないで悩むケースも多々あると思いますが、こういった例のように一つの道具で感覚を貫き通すタイプもいれば、少しずつモデルチェンジをするタイプと両方いると思います。どちらが正しいかというわけではありません。どちらも単なるスタイルです。自分にとって相応しいスタイルで、うまく道具と付き合っていけると良いですね。

というわけで、このコラムは、特にダーツの道具に特化していろいろ書いていければと思っています。

これまでの経験を生かして、スタッフとして日々感じること、話題の商品や道具の扱い方についての考え方を中心に、僕の主観たっぷりで色々と書けたらいいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。