No.63 紙媒体という形ではこの号が最後

2022年9月

紙媒体という形では、この号が最後となるというご連絡を頂いた。
最初にコラムの依頼を頂いた時に、紙媒体にコラムを書くという行為自体が、昭和世代からすると嬉しくもあり、選んで頂いたことに感謝していました。今では、自分でもKindleを使用して紙媒体を一切断絶していたのですが、毎回「形になる」ということが当たり前のことではなくなって来ているのを実感しながら、大事に保存してあります。

所詮「紙」。今ではデータである方が利便性や機能的なことは充分承知している。「紙」は朽ちていく。
しかしながら、やはり雑誌という形で残り続ける大事さや編集者さんの苦労を考えるとそこには「データ」よりも、手間がかかっている分、何かしらの想いが伝わりやすかったのかなぁと、ふと感じていました。
慣れてしまえば、「進化」という便利さには勝てないんですけどね。それでも、電子版にシフトするというお話は頭ではとても効率的でむしろ多くのユーザーが望んでいたことなのかもと思いつつ、少し寂しい気持ちが残ります。

本誌は、ソフトダーツの黎明期からこの2022年まで出し続けて来たことが偉業だと思います。創刊号から拝読していた自分がまさか何年にも亘ってコラムを書くとは、あの頃は全く思ってなかったなぁ(笑)。
本当に激動の黎明期と、現代の比較的安定期の両方を体験出来たことは自分にとっては「スゲー楽しい20年余り」でしたね。
正直もう2020年くらいから「やり切った感」からの自分自身にお疲れ様モードへ入ってしまってはいましたが、なぜか本誌のコラムはライフワークな感じで。

ダーツに関連する職種や物作りは殆どやり尽くしたし、お陰様であと3県を残して47都道府県制覇出来る段階にも来ました(笑)。
ダーツに関わっていなければ、まぁこれだけバスの様に飛行機に乗り毎週末どこかへ旅しているなんてできなかったと思います。
まぁでも、サードキャリアとしてそろそろ別のことへの準備も始めないと、年齢的な時間に限りが出て来ましたし、そういう意味でもなんかタイミングって流れで来るんだなぁと。勿論、電子版への移行で依頼があれば当分は継続してコラムは継続して行きたいと思っていますし、もうちょっと「ちゃんとダーツのこと」を書こうかなと…(笑)。

なんていうんでしょうねぇ、ここ数年はちょっと頭の中にあるパズルを組み立てていたというか、うまく文章で表現出来ないことが多かったので、やり過ごしていたのかもしれません。
ほぼソフトダーツとしては、空白の2年間を業界が過ごさざるを得なくなり、やっと今年から徐々に動き出しているので大会風景などのSNS投稿を見ていると嬉しくなりますね。

ただ、本当に面倒なのがまだ予断は許されませんし、この2年間でライフスタイルからダーツが削除されたプレーヤーさんも多くいるのは事実。
でも、なーんにもないところから始めるわけではなく、それまでに各団体・マシンメーカー・バレルメーカーは各々作り上げて来たものがあるでしょうし、ゼロから1を作るわけではないので、ちょっと崩れてしまった砂山の土台はしっかり残っていると思うので、また色々と楽しませてもらいたいですよね。
時代に合わせて形は変えるチャンスなんですから。FIDOが提示してくれたように、オンラインで大会は出来るわけですし、今の技術進化なら一般大会だって必ず実現出来ますしね。

むしろメタバースな時代を鑑みながら、メーカー達も用意しているでしょうし。実際に集まる今までの大会形式とオンライン形式の2タイプをうまく使い分ければ、絶対に2019年の時以上のダーツ人口の獲得は確実なわけですから。特にダーツはコンタクトスポーツと違って、オンラインに適していますからね、性質上。

本誌も進化するわけですから、ちょっと「紙媒体」への心残りもありますが流れに乗るには今がちょうど良い時期ですからね。
ダーツ業界にとっても前述した通りに、「チャンス」です。この方向転換に上手く乗ることが出来れば「ナイトアミューズメント」との共存が可能となると思います。いろいろな楽しみ方・ダーツへの入り口を作れる段階に来ていますからね。
そう考えると、この業界自体の受けた損失は大きなものだったことは紛れもない事実ですが、その代償に新しい方向性を見出せたわけですから、先に先行投資したと思って前に進んで行ってくれると思います。
あくまでも、オンラインに特化するのではなく今までの「ナイトアミューズメント」との共存を考える。

最後に、本誌を出し続けてくれた編集長・編集者の方に心より感謝致します。また、新しい媒体で面白いことが待っていますね!