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No.12 シーズン後半戦、加熱する順位争い

2022年9月

2022年度もあっという間に9月。PDCサーキットも後半戦へ突入する時期になった。これから年末にかけて、様々なメジャーTVイベントやプロツアーが開催される。これから開催されるメジャーイベントについて、軽く触れよう。

①「ワールドグランプリ」(10月3日~9日)
優勝賞金:£130,000・昨年度優勝者:ジョニー・クレイトン。
ダブルインスタートが特徴的なこのイベント。ダブルインルールはワールドグランプリのみであり、普段とは少し違った試合が繰り広げられ、面白みがある。
②「ユーロピアンチャンピオンシップ」(10月27日~30日)
優勝賞金:£120,000・昨年度優勝者:ロブ・クロス。
ユーロピアンツアー賞金ランキング(オーダーオブメリット)の上位32人の選手のみが出場可能なイベント。ユーロピアンツアーの集大成といったところ。
③「グランドスラム・オブ・ダーツ」(11月12日~20日)
優勝賞金:£150,000・昨年度優勝者:ガーウィン・プライス。
独自の参加基準(様々なイベントの優勝者や準優勝者、賞金ランキングから選出)があり、トップ選手達が招かれるイベント。ショートゲーム(5先)のラウンドロビンからロングゲーム(16先)の決勝トーナメント迄、非常にハイレベルなゲームが繰り広げられる。
④「プレイヤーズチャンピオンシップ・ファイナル」(11月25日~27日)
優勝賞金:未決定(昨年度£100,000)・昨年度優勝者:ピーター・ライト。
プレイヤーズチャンピオンシップ賞金ランキング(オーダーオブメリット)の上位32人の選手のみが出場可能なイベント。プレイヤーズチャンピオンシップの集大成といったところか。
⑤「ワールドチャンピオンシップ」(2022年12月15日~2023年1月3日)
優勝賞金:£500,000・昨年度優勝者:ピーター・ライト。
言わずと知れた、年末の一大イベント。ロンドンのアレクサンドラ・パレスで開催され、PDCプレイヤーは勿論、世界各予選を勝ち上がってきた選手も参加する。
賞金額がPDCの中で群を抜いて1番高く、賞金ランキングへの影響が非常に大きい。

これら5つのメジャーTVイベントや各ユーロピアンツアーやプレイヤーズチャンピオンシップが今後開催される事を踏まえ、賞金ランキングの順位争いがどうなり得るか、ツアーカードを巡る戦いに焦点を当てて考えてみる。まず、ツアーカードのシステムについて簡単に説明する。ツアーカードの獲得方法は2つ、1つ目が賞金ランキングの上位64位に入り自動的に獲得する事、2つ目がQスクールを突破してツアーカードを獲得する事だ。
又、ツアーカードの効力は2年間であり、ツアーカードを獲得して1年目のプレイヤーはもう1年間ツアーカードを保持出来る。このシステムを踏まえて、今年ツアーカードを失効しかねないプレイヤーをいくつか紹介する。
①グレン・デュラント(現在OOM(賞金ランキング)43位)
「Duzza」のニックネームを聞き覚えのある方も多いだろう。BDOでの数々の優勝、PDCではプレミアリーグ優勝、賞金ランキングTop16入り、といった華々しい経歴を持つトッププレイヤーだった。
しかしながら2020年にCovid-19感染後、大きく調子を崩し続けている。試合中継を見れば明らかに分かる程、ダーツの投げ方や飛びが変わってしまっていた。2022年現在、PDCにおける殆どの試合に参加しておらず、このままツアーカードも失効してしまうのではないだろうか。

②ジェフリー・デズワーン(現在OOM50位)

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オランダが誇る若手プレイヤー(26歳)。ノーセットアップの独特で味のあるスローは、見ている人を惹きつける魅力を持つ。
数年前迄は、多くのトーナメントで上位に食い込む事もあり、ワールドマッチプレーでは準優勝へ進んだ事もあった。
残念ながら、ここ数年、期待されていた様な戦績を残す事が出来ておらず、一時期20位前半まで登っていた賞金ランキングも、かなり落としてしまった。今年度、ここから活躍が無いと、ツアーカード失効の可能性がある。

③マックス・ホップ(現在OOM67位)

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ジャーマンダーツオープンやワールドユースチャンピオンシップ優勝、賞金ランキング32位入といった経歴を持つ、ドイツの若きプレイヤー(26歳)。しかし、段々と調子を落としつつあり、2021年度後半から現在にかけては、以前の様に勝つ事の出来ていない。
この状況が続けば、ツアーカード失効は不可避だろう。

④ジョン・ヘンダーソン(現在OOM69位)

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「ハイランダー」のニックネームを持ち、スコットランドのダーツファンから熱狂的な人気がある、ヘンダーソン。スコットランド・アバディーンで行われたプレミアリーグにチャレンジャー枠で参戦した際には、ファンの凄まじい応援と熱気が会場を沸かしていた。更に、昨年度のワールドカップではピーター・ライトと共にスコットランドを優勝に導いた。
そんな彼だが、最近の個人成績は芳しくない状況が続いており、ランキングを下げ続けている。今のままだと、ツアーカード失効があり得る。

⑤アダム・ガヴラァス(現在OOM74位)

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2021年度にEU・Qスクールを突破したチェコのユースプレイヤー、アダム・ガルヴァス。まだ20歳でながら、プレイヤーズチャンピオンシップやユーロピアンツアーで、有力選手相手に素晴らしい試合を繰り広げる事も多く、今後に大きな期待が出来る若手選手の一人である。
しかしながら、現在の順位だとツアーカードの失効は確定であり、ここから順位を上げることが出来るか注目したい。