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No.1 衝撃的なコラム スタート

2012年1月

Ayano_column_No.1-1

ダーツというゲームをを現代の業界まで発展させてくれたのは、メディアやメーカーや組織ではなく、プロの選手でもない。いわゆる中級レベルで奮闘を続ける人達と、その手本となり自分達もまたトッププレイヤーを目指す二流プレイヤー達であり、彼らが夢中で使い続ける時間とお金の流れだと思っています。そんな今の時代のダーツの中身を、「女」という目線から、生々しく書いていきたいと思います。ダーツは昔から酒の場での大人の遊び。だからダーツとsexも切り離せない関係にあると思います。

私が常日頃から思っている事の一つとして、ダーツというゲームを通じて感じる僅かな緊張感と極度の興奮は、男性の勃起状態によく似ている気がします。自分を高めて愉しめる瞬間をできるだけ長くキープして、更なる悦を求め続けるゲーム感が、私から見るsex観にそっくりです。
そういう目線を持って考えてみると、ダーツを愛する大人たちが足繁く通うダーツバーとは、薄暗い店内で酒を飲みながら、大人が時間と趣味を共有できる場所とも言えます。そのダーツバーでは夜な夜な、男と女が狭い空間、限られた共有できる時間の中で、ダーツという遊びと酒に酔っている。抑えきれない性欲を剥き出しに、勃起しているかのような興奮状態で。
同じ相手に何度も挑み続けて今の自分の限界を超えようとしてみたり、常に違う相手との新しい刺激で自分の境界を広げようとしたり、自身を慕う目下の人間を大事に可愛がってみたり。人それぞれのダーツに対する愉しみ方は違っても、ダーツに求めるものは自分がsexに求める探究心と同じなのではないでしょうか?

つまり各々が気づかないうちに、身近な異性と【あと一歩でヤレる状況】が、ダーツバーの四方八方に散在しているのだと思います。【ヤレる】という表現が下劣に聞こえるのなら、【抱ける】もしくは【寝れる】って言葉に直しますね。たまにはそんな上品な言い回しを使うのも、非日常的なエロスを感じられて良いのかもしれませんね。

私がダーツを始めたのは8年前…まだデータ通信のカード類が普及していなかった頃。
その時から、私はダーツに関わりの無い男とは寝ていません。
週末や夜の空いた時間をダーツにばかり費やしていたので、そんな私を理解してくれる男性=ダーツに関わる男性であることが、ダーツに憑りつかれた私の、恋愛をするための最低条件です。例えそれが一晩限りの相手であっても…。

最初の男性は、私が頻繁に通っていたダーツバーで社員として働く年下の店員でした。
外見にも表情や会話の中にも、男性としてのsexyさはまるで見られない人でしたが、唯一、ダーツを持つ時とお酒を作る時に器用に開く指先に、男の細やかなテクニック的なものを感じました。
彼は私にとって【試してみたい男の子】のひとりであったのは確かでしたが、その男性との最初のsexは、私が自から望んだ事ではなかったのです。
年下の男性の魅力は、なんといっても勢い任せの情熱と直球勝負。
その男性が働くダーツバーで、彼が突然ダーツでの勝負を挑んできた上に、他の店員さんもお客さんもいる前で、「もしも僕が勝ったら、僕と付き合ってください!」と叫ばれてしまいました。なりふり構わず私を口説こうとした彼に対する愛しさから、「いいよ。」と即答してしまった自分の言葉に、私自身が一番驚きました。
お酒の勢いもあったと思うのですが、約束は約束ですからね。私から一応の確認はしてみたんです、「どうする?」って。真っ赤な顔で「いくとこまでいっちゃいましょう!」って答えた彼に、「ホテルでしようね。」と、私が場所を指定しました。
私の部屋に来たがる彼を宥めて、安ホテルを選んだのには理由があります。私の身体が受け入れても、心が受け入れていない男性を、自分の部屋に入れてしまう事には抵抗があるのです。
何度も逢瀬を重ねて、ある程度の信頼を持てる相手ではない限り、基本的には【一晩限りの男】と割り切って私は男性を選びます。一度限りだからこそのガチンコ勝負に、全力を出し切ろうという男性に愉しませてもらう夜は、女として生まれてきた事を素直に悦べる瞬間でもあります。
勢い任せで私を口説き落とした年下の店員君は、ラブホテルの部屋に入ると、無理やりテンションを上げてしゃべり続けていました。まるでダーツの試合前に緊張を抑えて興奮状態を高めようと必死でお酒を煽るプレイヤーさん達のように。
「先にシャワー使うね。」内容の無い話を遮って立ち上がる私を、見上げるのが精いっぱいだったのか、私と目線を合わせる事ができずにいた彼の額にキスをしてバスルームへ向かいました。その夜、私は彼が果てるその瞬間まで、【年上の女】を演じ続けました。
頼りない手つきで何度も私の反応を確かめながら、必死で愛情を注いでくれた彼との一夜は、私の生涯で忘れられない情事の一つでした。

一夜の情事の楽しみは、その後の男性との距離感にもあります。
何事もなかった顔でいつものように足を運ぶダーツバーで、たった一度寝ただけの男性が私を手に入れたかのように振舞う様を、平然とあしらってみたりします。
男性の多くは、たった一度でもその手に抱いた女性を【自分の女】と思い込み、態度や言動が急変するものです。スキンシップが増えたり、他のスタッフやお客さんとの絡みに一喜一憂したり、嫉妬や劣等感を剥き出しにしてみたり。
そういった男性は自覚がなくとも、【抱いた女】に対する甘えが出始めているという事。私にはそれがたまらなく可愛くて楽しいんです。
その感覚を長く楽しむためにも、二度目には時間をかけます。相手が痺れを切らすぎりぎりで、私が差し伸べた手に喰いつく男性には心から萌えますね。
おあずけ状態から解放された小動物を見ているようで、野良犬を拾って躾ているようなサディスティックな達成感を味わえる瞬間です。尻尾を振って飛びつく男性に【自分の女】という概念はとうに消えてしまい、私の中での主従関係がはっきりと出来上がります。
これが私のダーツを通じて交わる男性との恋愛のプロセスです。

これに似たような事は、ダーツ業界の其処彼処に溢れているものだと思っています。決して珍しい話では無いはず。
多く耳にするのは、スタッフの男性とそのお店のお客さんである女性との「ヤッた」だの「寝取られた」だのという話や、お店で抱えているプレイヤーと呼ばれる立場の男性たちが自分たちを慕ってくれる女性を、「喰い荒らす」的な話など。
私はそんな男女のイザコザに巻き込まれてしまう事も少なくはありません。でも嫌いではないんですよね、とっても人間臭く感じられて。ダーツとは大人の遊び場ですから、そういう類の問題はあたりまえのように勃発するものだと思っています。
一度のsexが揉め事にまで発展してしまうのは、【同意の上】ではあって【合意の下】では無いのが原因でしょうね。
お酒の力や勢いであっても、本気の恋愛感情であっても、寝るまでには【同意】があったと思います。ただ、その後の相手との距離感や関係では【合意】が得られない事が大半です。sexは【同意】で成り立ち、恋人は【合意】が無いと成り立たないものですから。
恋人になれると思い込んでいた人と、あくまで遊びと割り切るつもりだった人とでは、相手に求める事に雲泥の差が出てしまいます。自分の要求を受け入れられない者同士では、どこまでも平行線の喧嘩に発展していくものですよね。
私だったら、身体を求められるのは女として喜ばしいことだと思えるのですが、その後の関係を望まれたくは無いですね。わかりやすい言葉に換えて言うなら「ウザい」と思ってしまいます。

私にとっての恋愛とsexは、ダーツと同じく夜の楽しみであり一時的な興奮状態を与えてくれるゲーム。時に危険な賭けに乗ってみるようなスリルも味わえる、私の人生には欠かせない行為。

愛すべきダーツと、愛おしい男の性。