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No.1 イップスは精神論ではありません!

2012年9月

初めましてASUKADARTS代表を務めさせて頂いております五十嵐(通称IGA)と申します。この度New Darts Lifeさんにコラムページを常設頂き恐縮しております。何の経歴もなく説得力もございませんが、できるだけ分かりやすく内容を深めていけるよう努力して参りますので、是非とも温かく時には厳しく見守ってください。

何故イップス論なのか?
ダーツ業界に携わって8年、憂慮する事はダーツをやめる方がいらっしゃる事です…趣味で始めたことを何故「やめる」と言う風になるのでしょうか?それはダーツそのものが苦痛だからです。なぜ苦痛なのでしょうか?それは脳と身体が一致せずバラバラで、人によっては三本真ん中に入るハットトリックを出しても嫌味ではなく首を傾げてしまう状況があるという事が現実としてあり、実際現場で苦しまれている沢山のプレイヤーさんを見てきました。ダーツがそれだけナイーブで、力任せは通用せず極々コントロールだけが求められる競技なのだという事と共に、競技における基礎的な技術論が選手を救済しきれていない現状にあると考えています。
私のコラム内容はいわゆるイップスをテーマとした技術論についてお話しして参ります。
イップス(yips)とはいわゆる運動障害のことで、語源の発祥は、1930年頃活躍したプロゴルファーのトミー・アーマーが最初と言われ、パッティング時に震えや痙攣・硬直といった症状によりスムーズにプレイが行えない状況に陥り、数々の名プロゴルファーが悩まされる事象で、場合によっては引退を余儀なくされています。その他イップスになる競技に野球・弓道・アーチェリー・テニス・卓球・そしてダーツなどがあり、様々なスポーツでイップスが確認されています。ダーツに関しては非常に多くの方が悩まされていると思われます。

イップスは日常でも起こる肉体の反応・反射です!
本コラムでのイップスの定義ですが、所謂身体が動かないものから何となくおかしいな?と思う小さなものまで、脳と身体が一致しない運動の全てとします。
イップスの原因は正式に解明されておりませんが、「メンタル・精神論」と一言で片づけられるケースが殆どで、気の弱さや神経質さが原因とされメンタルケアを中心とした改善方法が一般的と思います。

「しかし本当にそうでしょうか?」
私のイップス論は一般的な考え方とは少し違います…
メンタルが弱いからイップスになった?気が小さいから?考えすぎるから?違います!イップスになったからダーツ時におけるメンタルが弱くなった「だけ」なのです!故に普段の性格とイップスは切り離して考えなくてはなりません。
緊張して顔が赤くなったり汗をかいたりパニックになったりする事とは別次元の問題で、あくまでも肉体的なシステムが原因なのです。

技術的な改善によりイップスをケア
私がイップスに関して調べようと思ったきっかけは、昨年の秋、ダーツプロ選手と野球談議をしているときに、「ダーツをやるようになってからキャッチボールができなくなった」という話しを聞いた事でした。
実はチームASUKAの一員で一昨年のREVOLUTIONグランドファイナリストの平田聡もキャッチボールがまともにできない送球イップスだったのです。
私は一昨年まで軟式野球ではありますが神奈川県横浜野球連盟所属一部のチームで監督兼選手をやっており、そこは高松宮杯予選や都市間交流戦予選などの出場資格を持ったチームでした。チームメイトは皆若く野球名門高校や名門大学などの出身者も多く在籍し当時から送球イップスなど話題にはなっていました。
(※送球イップスとは、キャッチボール時にボールに力が乗らず上手くリリース出来なかったり、手からボールが離れないなどの症状です。)
送球イップスとダーツの関係を紐解ければダーツのイップスは治るのではないかと浅はかに考え、単純ではありますがインターネット検索である野球トレーナーさんにいきあたり、その方は数多くいるスポーツトレーナーさんの中でも少ない送球イップスの症状を持つ選手の原因がメンタルではなくフォームにあることを指摘されていました。

技術的な改善とは名人の主観ではなく客観的な学問によるもの
そこで送球イップスの共通点とダーツの共通点を考え「主観」だけで考察が始まりASUKADARTSウェブサイトで「イップスは治ります!」という題名でブログを書かせて頂きました。
しかし共通項をその時点で解明することができず何一つ指し示す事ができないことに気づき、しっかりとした説得力を身につけるべく客観的な学問である解剖学等を独学ではありますが学ばせて頂く事となりました。
もちろん答え合わせとして、作業療法や柔道整復術の先生に都度監修して頂きながら発表させて頂いております。何分新しい考え方ではありますので今のところ私の主観によるところが大きく左右いたしますが、イップスは技術論で改善されます!もちろん精神は起因しますが直接的な原因は単なる身体の動かし方、すなわち技術論なのです。
この技術的な裏付けなしには、いくらメンタルを改善したとしてもイップスは直りませんし、逆にどんなに精神的に弱くても技術的な原因を潰してしまえばイップスは発症しないのです。

人体の不思議
ダーツの腕(前腕)の動かし方を人間は解剖学上得意としません。合気道で手首を制御して相手の動きを封じる技がありますが、正にそれは身体構造上の弱点を付いた技術なのです。
前腕には尺骨と橈骨二本の骨と20余りの筋肉そして神経が三つあり、この構造により手首を中心とした様々な動きが可能となり、この複雑な前腕部がイップスの鍵を握り、イップスになる運動やスポーツに共通点をもたらすのです。

人体は不思議です。まだまだ解明されていないことが山ほどあり、21世紀になり新しい関節が発見されたり、骨盤の部位で関節か否か複数の論調があるくらいなのです。
何事もメンタルで片づけるのは簡単です。不思議な現象をお化けや宇宙人のせいにしてしまえば夢がありますが、あえてメスを入れ解明していこうと思っております。
もちろん技術の後先にメンタルがあり、強くなるためには大変重要な事で同技術であれば精神的に優位な方が勝利を収めるでしょう。
イップス論では基礎的な技術論やダーツを気持ちよく飛ばす事を、イップス的な観点に基づき解剖学や生理学などの客観的学問の裏付けの元に構築して参りたいと思っております。

イップスは突然に誰にでも起こります
イップスはある日突然、誰の元にもやってきます。怪我や疲労・筋肉の過緊張その他神経の障害など努力すればするほど、徐々に徐々に驚くほど脳と身体の不整合を感じる波が押しては引き、もしくは永遠に戻っては来れない深みにはまってしまうのです。長時間かけて浸み込ませた癖は当然パッと瞬間的には直りません。しかし、どうしてイップスになるのか?を学習し向上するためにやってきた技術論が、いかに間違いだったかを知った上で取り組んで頂ければと思っております。

次回よりこのイップス論における筋肉や神経の仕組み、そして改善策などについて言及して参りますので、これからお付き合いのほど宜しくお願い致します!

また疑問点などございましたらASUKADARTSウェブサイトにてお問合せなど承っておりますのでお気軽にご質問ください。

※散々メンタルとの関連性を否定していますが、もちろん無関係ではありませんし重要です。本コラムではあくまでも「技術論サイド」からのアプローチと考えて頂ければ幸いに思います。行き過ぎた表現がございますこともお詫びいたします。