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No.28 第7回 PDJ FINAL

2015年11月

今年もPDCチャレンジファイナルの季節がやって来ました。
今回で7回目のこのイベントに、清水浩明の応援で行ってきましたので、今回はPDCチャレンジに関して書こうと思います。

そう、このイベントももう7回目になるんですね。
過去6回で優勝しているのは村松治樹の4回と、橋本守容の2回で全てモンスター勢なんですよね。
しかも今回も含め7回のファイナルに全て出場しているのは村松治樹だけ。彼は今年1月にイギリスで開催されたQスクールを勝ち抜き、PDCツアーへの2年間の参加権も獲得しています。
誰が優勝するのかという興味と、それと共に誰が村松治樹を止めるのかって部分も注目だったのではないかと思います。
村松治樹を止めたのが山田勇樹で、その山田勇樹を決勝戦で倒した小野恵太が優勝し、PDCチャレンジからの3人目の挑戦者に決まりました。
小野恵太は前日のパーフェクトも優勝していて、厳しいトーナメントを2日続けて勝ち抜く見事な結果でした。
大会全体を見ても勝者が3ダーツアベレージで90点を超えた試合が2試合あり、年々全体のレベルが上がってきている事は感じられました。

しかし、なんですよね。試合中や試合後、参加していた選手や見ていた人達と話をしていて、「例年より盛り上がらないね」という話しが出たんです。
言われてみると確かに。決勝戦は小野恵太の応援団が多く賑やかな応援でしたが、全体として盛り上がったのかと言われるとそうではない。
何人かとそれについて話しをしたんですが、一番多かった意見は「観客のほとんどがPDC ジャパン・マスターズを経験してしまった事」。
そう、あのイベントはあの場に居た多くの人が、選手のプレイで湧き、演出で盛り上がり、あの空間に酔いしれ、自然と盛り上がっていったんです。
「お金を払って見に来たお客様はPDCが提供する最高のサービスを楽しんでいってください」と提供されたイベントを経験してしまっているんです。
昨年まではファイナルを見に行く多くの方が「◯◯選手を応援するぞ」という気持ちとともに、「イベントを盛り上げよう」って気持ちも少なからずあったと思うんです。
主催者も選手も観客も立場は違えど、1つの物を一緒に作る共有関係にあったんです。
でも今年は多くの観客から「イベントを盛り上げよう」という気持ちが薄くなり、その共有関係が崩れてしまったんじゃないかと思います。観客がPDCを経験してしまった事で。

個人的にはPDCチャレンジも曲がり角に来ているんじゃないかと感じました。
もっと観客に対するサービスや盛り上げ方を研究して、PDCのようにもっと観客を増やしスポンサーにダーツ業界以外から付いてもらえるようにするのも一つの方向でしょう。
逆にイベントという方向性を薄くし、1日だけのトーナメントにしてコンパクトにする方向もあるでしょう。
今年はラス・ブレイがスケジュールの都合で来られなかったようですが、ラス・ブレイも経費かけて呼ぶ必要無いと思うんですよね。今まで多くの人はラス・ブレイが見たいわけじゃなく、PDCに触れたいからラスが来た事に喜んでいたと思うんです。
来年もジャパン・マスターズがあるんだったら、PDCに触れるのはそれで済むことです。トーナメントを入場無料または低価格で公開し、逆に中継等を500円程度で見られるようにする方がダーツ界の現状に合っているような気もします。
そう、会場に居た観客は多くありませんが、中継を見ていた人は意外と多いんですよね。現在ソフトダーツでも入場料を取って試合を見せるって事が難しく、無料で中継を見てもらう形にしかなっていません。ダーツを見せるって事とは別の何かが無いと、会場まで多くの人に来てもらうのは難しいのではないでしょうか。
それから女子の試合の扱いに関して。現状の状態で女子の試合必要ですかね?男子はワールド・チャンピオンシップに出場できます。女子に関してはそれに類する物は何もありません。
ここ数年日本の女子ハードダーツ界を牽引してきた大内麻由美が予選にも出ていないんですよ。賞金はあるにしても名誉だけでは。
確かにPDCには女子部門がありませんので、派遣する大会が有りません。例えばですよ、JSFDが持っているBDOワールド・マスターズの出場権を1名分JSFDから用意してもらうなんてどうでしょう?
女子の大会としては、BDOワールド・チャンピオンシップに次ぐ大会で、誰もが出られる大会ではなく、BDOの上位ランカー又はWDF加盟団体の推薦選手だけが出られる大会です。
好タイミングに今年は、大内麻由美と大城明香利がステージに上がり日本でも多くの人が中継を見ています。
男子の大会は「PDCチャレンジ」、同時開催で女子の大会は「ワールド・マスターズ・チャレンジ」なんて名前にして。問題があるんだったらエントリーもコントロールも別にして会場だけは同じとかね。
折角今年はJDAからも代表が出て、国内の主要な団体が全て同じテーブルについたわけです。
一つになれとは思いませんが、お互いの団体の良い部分は都合しあっても良いんじゃないでしょうか。選手の為にも。

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そうそう、ラスが来られなくて今年はビル・ロングが全ての試合のコーラーをしました。これも代表推薦枠のある4団体からコーラーを出してもらい、2試合くらいずつやってもらうなんてどうでしょう?
PDCでコーラーをする為にはPDCの社員になる必要があり、選手として出場するよりも日本人にとっては狭き門です。PDCチャレンジでのコーラーを目指して各団体でコーラーの育成に力を入れ始めたら面白くなっていかないかな、と部外者は勝手な事を言いますね。
この7年間PDJ関係者の方々の努力は並大抵ではなかったと思います。当初は多くのハードダーツ団体がPDJに対し批判的な立場をとっていましたが、今年のように全ての団体から推薦選手を出してもらえるようになりました。本当に素晴らしい事だと思います。
PDJがこのまま日本のハードダーツ界の鎹になってくれればと思います。ただこれまでとは違い難しくなる部分も出てきていますね。
選手のPDCに対する、Qスクールを含めたアプローチが変わってきていますし、それを見る側・応援する側の意識も変わっています。ワールド・チャンピオンシップに挑む選手の決定だけでいいのか、PDCに挑む全ての選手のガイドをするのかなどなど…。
大変だとは思いますが、日本のダーツ界の為にもこれからも頑張って欲しいなと思います。

ダーツ屋どっとこむ よろしくお願いいたします