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No.11 PDCの近況

2022年7月

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1. MvG、3年ぶりのプレミアリーグ戴冠。
マイケル・ヴァン・ガーウェン(以下MvGと記載)は、先月ベルリンで行われた、プレミアリーグのプレーオフにて、ジェームズ・ウェイドとジョー・カレンに勝利し、見事プレミアリーグチャンピオンとなった。
MvGは、2020年のPDCシーズン入りから調子を崩し、以前のように勝ち続けてタイトルを獲得しまくる様な姿を見られなくなってしまった事は、皆さんもご存知であると思う。
実際、今回のプレミアリーグのタイトル獲得は、MvGにとって、18か月ぶりのメジャータイトルの獲得となった。
これについて、MvG本人も「本当に厳しい期間を過ごしてきた、このタイトルを獲得する事は私にとって非常に意味のある事だ。」と述べている。
さらに、決勝の相手であるジョー・カレンに、「彼は決勝で驚異的なプレーを魅せた。私は非常に運が良かった。」とも述べている。実際、ジョー・カレンとMvGは10-11(Legs)の激闘を繰り広げており、最終Legの21Leg目はお互い素晴らしい削り合いの展開で、先にチャンスを掴んだのはジョー・カレンだった。68残りから20、16と入れ、32残りのD16を僅かに惜しくも外してしまった。その後、MvGは最大限の集中に入った顔つきで、D14に見事1本目でシュートした。
今回のプレミアリーグ優勝で、MvGはプレミアリーグ6回目の戴冠となった。これは生ける伝説のフィル・テイラーのプレミアリーグ優勝回数と並ぶ事となった。この事についてMvGは「私はフィル・テイラーの記録を塗り替えるつもりだ。私の選手生命はまだ10年も15年も残っており、確実に出来ると考えている。」と述べながらも、プレミアリーグで勝つ事の難しさを述べている。「プレミアリーグは勝つことが最も難しいトーナメントだろう。何故なら、私たちは16週間にわたって欧州中を旅行しなければならず、16週間素晴らしいプレーをし続けなければならないからだ。」 「プレミアリーグは白熱した勝負とドラマが沢山あり、これは私自身の自信にとって良いことではないかもしれない。しかしながら、それがプレミアリーグの現実であり、私はそれを受け入れる必要があるのだ。」と語った。

2. エイドリアン・ルイス、悲願のタイトル獲得。
プレイヤーズチャンピオンシップ20にて、エイドリアン・ルイスが優勝した。
マーティヒン・クリアメーカー、ジョニー・クレイトンやネイサン・アスピナルといった強敵達を倒し、決勝ではアベレージ103.02のチェックアウト率44.44%という素晴らしいプレーで、対戦相手のボリス・コルツォフを8-4(Legs)で圧倒した。
エイドリアン・ルイスは2011、12年のワールドチャンピオンで、PDCランキング上位を10年近く維持していた元トップランカーである。
今大会の優勝は、ルイスにとって2019年ぶりのPDCタイトル獲得となり、近年良い成績を残す事の出来ていなかったルイスの復調の兆しかと思われる。これからのルイスの活躍に心から期待する。

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3.ワールドカップ、オーストリアの優勝。
時は10年前に遡る。2012年のワールドカップ決勝にて、イングランドとオーストラリアは死闘を繰り広げた。その時の代表メンバーはサイモン・ウイットロックとポール・ニコルソン。決勝は両者譲らない展開となり、3-3(Points)でサドンデスレグ(1レグ先取)を迎えた。素晴らしい削り合いで迎えたウイニングダブル、イングランド代表のエイドリアン・ルイスとフィル・テイラーは2ラウンドに渡りダブルを決め損ねるという大チャンスをオーストラリア代表はモノにすることが出来ず、準優勝に終わったのだ。(この動画はPDC公式がYouTubeに載せているので是非見て欲しい→MOST DRAMATIC FINAL EVER? 2012 World Cup Final | England v Australia)
この伝説の死闘から10年を経て、オーストラリアは再びワールドカップ優勝のチャンスを迎えた。2022年の代表メンバーはサイモン・ウイットロックとデーモン・ヘタ。決勝戦の相手は一昨年優勝国のウェールズだ。ウェールズはガーウィン・プライスとジョニー・クレイトンという、今波に乗り続けているコンビであり、非常に困難な戦いになる事は間違いなかった。
いざ試合が始まると、ウイットロックとデーモンは素晴らしいプレーでウェールズを圧倒した。ダブルスこそ落としたものの、3試合のシングルスはすべて勝利し、3-1(Sets)で悲願の優勝を果たしたのだ。
ウイットロックは優勝を振り返って、「このワールドカップ優勝は人生を変えるものです。私はこの瞬間を夢見続けて、ようやく達成することが出来た。最高の気分だ。」と述べた上で、相方のデーモン・ヘタについては「私には素晴らしいパートナーのデーモンがいた。彼は間違いなく地球上で最高の選手だ。彼は次の世界チャンピオンになるだろう。」と褒めちぎっている。
更に対戦相手のガーウィン・プライスも「ウイットロックとデーモンは素晴らしかった。我々は来年また強くなって戻ってくる。」とオーストラリアを褒めている。