Rin_column_Top-5

No.5 2021 PDC プレミアリーグニュース

2021年5月

Rin_column_No.5-1

1、昨年度とは顔ぶれが大きく変わった今年度プレミアリーグメンバー
今年度、初めて選出されたプレミアリーグメンバーが複数人いる。昨年度ワールドマッチプレイ優勝のディミトリ・ヴァン・デン・バーグ、昨年度グランドスラム優勝のホゼ・デ・スーザ、今年度マスターズ優勝のジョニー・クレイトン、ここ1年間でメジャータイトルを初めて獲得した3名だ。そして、現世界チャンピオンで賞金ランキング1位のガーウィン・プライスが、直前のPCR検査でCovid-19陽性という結果が出てしまい出場不可、無念の欠場となってしまった。プライスの代わりにはジェームズ・ウェイドが急遽参戦することとなり、2019年ぶりのプレミアリーグ参戦となった。

2、昨年度プレミアリーグ優勝者・「DUZZA」グレン・デュラント、1勝も出来ずに脱落
昨年度、プレミアリーグで優勝を果たした、グレン・デュラント。しかし、そんなグレン・デュラントを待っていたのは悪夢の低迷だった。
優勝の翌週にCovid-19に感染、ユーロピアン・チャンピオンシップを欠場。回復後のグランドスラムでは1回戦敗退、プレイヤーズチャンピオンシップ・ファイナルズも1回戦敗退、そしてワールドチャンピオンシップは3回戦敗退、と思うような結果を残せていなかった。
そんな中迎えたプレミアリーグでは、残念ながら不調のまま9戦0勝9敗で脱落となってしまったのだ。トータルアベレージは86.2でリーグ最低、9戦で一度もアベレージ90を超えず、70台の日すらあった。レグ差は-39、9戦で取れたレグは24レグのみであった。
一体彼に何があったのだろうか。彼はプレミアリーグ敗退後のインタビュー記事で自らの胸の内を明かしている。「私はあっという間にスターから無に変わってしまった、と言っても過言ではない」と厳しい自己評価を述べていて、「昔の自分の動画を見て今のスローと比較すると、以前は楽に投げられているのだ。でも何が原因でおかしくなってしまったか分からない」とも述べている。確かに、私が観戦していても、グレンのおかしな点にはいくつか気づいていた、以前より窮屈そうに投げていて、飛びが変わったことから矢角も変わっていたのだ。
今グレンは、ジムに行き水泳をしたり、首の後ろや肩の緊張がとても強い事から理学療法を検討したりしていると述べている。そして彼は一度リフレッシュする為にも、ダーツから少し離れることを考えているようで、例えば窓拭きを始めようと思っているようだ。それは友人知人と一緒に楽しく過ごし、ダーツの事を考えないようにする為だと、いつも家にいるとダーツの事しか考えなくなってしまうからだと言う。ジョニー・クレイトンはそんな悩める彼に「ダーツをまたやりたくなるタイミングはグレン自身が判断することだ、急ぐ必要はないのだよ」と声をかけたそうだ。
最後にグレンは「私は出来る限りのことをしている。自分の問題を修正する事に力を入れており、今はマッチプレーに目を向けている。」と述べており、復調してくれることを願うばかりだ。

3、マイケル・ヴァン・ガーウェン、復活の兆しか
元賞金ランキング世界1位で、プレミアリーグ優勝5回(2016~2019年4連覇)の、マイケル・ヴァン・ガーウェン。そんな彼は2020年度にWinmauへ移籍してから、2019年度以前のような素晴らしいプレーが出来ず、思うような結果を残せずにいた。その為、今現在の彼の賞金ランキングは3位まで落ちてしまっている。(1位がガーウィン・プライス、2位がピーター・ライト)
しかし、今年度のプレミアリーグでは、素晴らしいプレーを安定して発揮しているのだ。ハイアベレージをコンスタントに叩き出し(Night3:107.58 / Night8:104.72 / Night10: 109.96 / Night12: 107.44)、ダブルもきっちり上がる事で、他者を寄せ付けないダーツとなっている。
特にNight12のジェームズ・ウェイド戦、この試合はえげつないものであった。開幕12ダーツ、アベレージ107.44、ハイオフ3発(135,128,104)、チェックアウト率は驚異の66.67%というスーパープレイで、8-3(Legs)の勝利。相手のジェームズ・ウェイドもアベレージ110.28という凄まじいスコアを叩き出していたが、このマイケルのプレーには対抗できず、苦笑いしていた。
以上のような活躍ぶりが結果にも表れていて、12戦中7勝3分2負でリーグ首位を走っており、昨年度プレーオフへ進出出来なかった分、今年度は優勝を掴みに行くぞという意思をひしひしと感じる。

4、5月24日にNight 13から再開、プレーオフは5月28日
今現在リーグトップを走っているのは、7勝3分2負で17ポイントを獲得している、マイケル・ヴァン・ガーウェンだ。そこに、ネーザン・アスピナルとディミトリ・ヴァン・デン・バーグが15ポイント、ホゼ・デ・スーザとジョニー・クレイトンが14ポイントと続いている。
最終夜のプレーオフに進むには、上位4位に入る必要があり、残り4夜の勝負が非常に大切になってくる。12ポイントのギャリー・アンダーソン、11ポイントのジェームズ・ウェイド、9ポイントのピーター・ライトにも、上位4位に食い込む可能性は残されている。その為、これからの試合は各選手が本気で勝利をもぎ取りに来るだろう、残り4夜の試合からますます目が離せない。

※余談だが、5月24日のNight13から観客を入れるようだ、観客が戻ってきたPDCを久しぶりに観ることが出来るのが私としてはとても嬉しい。