Vol.107 馬場 善久
何も変わらず調整できている

2021年3月号

ただ試合感というものはどうしても失われている部分があるでしょうね。
これは一番大事なことでもあるので、この試合感をオンライントーナメントで
いち早く取り戻せた選手が開幕した時にスタートダッシュを切れると思います。

練習はどのようにしていましたか?
自宅でもソフトとスティールを投げられる環境を作りました。外に出て投げられることもありましたし、同じチームメイトと数人集まって練習する機会は作っていました。

練習会みたいな感じですか?
練習会となると人が集まりすぎてしまうので、営業していないお店に2〜3人集まる程度です。最低人数で声をかけ合って、という感じでした。

レベル維持のためですよね。
そうですね。あとはモチベーションの維持もありました。いつ開幕するかわからない状態だったので、いきなり来月開幕と言われても戦える準備を整えておこうという気持ちでした。

練習時間や内容は決めていますか?
特に決めてないです。例えば冬前になると手が乾燥してきたりして、感覚の悪い時期というのがあるので、そういう時はいつもより多めに投げることもあります。でも、何か練習メニューを決めて、それをクリアするまでは終わらせないというようなことはないです。

それでも集中して練習できますか?
自宅で練習する時はさぼりたくなる誘惑が多いので危ないですね(笑)。
僕にとっての練習は、自分がある程度持っているものを崩さないためのものなんです。一人の練習は技術を向上させるためのものですが、技術の向上というのは、100パーセント集中していなければできないものではないと思うんです。
例えばすごく字のきれいな人は、字を書くことだけに100パーセント集中しているわけではなくて、書道などで練習しているから意識しなくてもいつもきれいな字が書けると思うんです。
ダーツも同じで、ある程度の集中で正確に投げられる技術を身につけることが重要だと思います。一人の練習でそのスキルを身につけて、それを試合の時にどれだけ発揮できるかが大切ですね。

オフの期間を利用して何か変えたり試したりしたことはありますか?
僕は他の選手に比べると、わりと新しいことを取り入れることが多い方だと思うんです。シーズン中でもフォームやバレルのセッティングを変えることに抵抗がないタイプなんです。なので、逆にコロナで試合がないから何かをやってみたということはないですね。

コロナの前と今ではスタッツやアベレージに変化はありましたか?
ほとんど変わらないか、少し上がってる感じです。

では上手く調整ができているということですね。
技術的なことでは何も変わらず調整できていると思います。ただ試合感というものはどうしても失われている部分があるでしょうね。これは一番大事なことでもあるので、この試合感をオンライントーナメントでいち早く取り戻せた選手が開幕した時にスタートダッシュを切れると思います。なので今は、チームメイトと投げる時でもなるべく試合感を意識するようにしています。

2019年の年間ランキングは7位でしたが、この成績には満足されていますか?
やっぱり1位を目指したいと思っているので、まだまだ満足できる結果ではありません。ただ、今までのシーズンで一番の結果を残せましたので、そういう意味では良かったというか安心できました。

ひとつ残念だったのは、昨年スーパーダーツの出場を決められたのに中止になってしまいましたね。
100パーセント中止ではなくて、どこかのタイミングで開催する予定で動いてくださっているようです。
それもあったので、この一年間モチベーションを落とすことなくやってこれたと思います。

スーパーダーツのステージは普通の大会とは全く違ってものすごく演出されているので、見ている側も楽しいんですよね。
本当にそうですね。

今年はプロツアーも再開されると思いますが、準備はできていますか?
急に来月スタートだと言われても大丈夫な状態にはしているつもりです。
この一年SNSで他の選手の動きを見ていましたが、中にはシーズン再開が読めないからモチベーションが上がらない、というのもあったんですが、僕にはそれが理解できなかったです。もしそういう選手がたくさんいたとしたら、そことの差はできてるかなと思っています。
2019年度と同じパフォーマンスで打てるので、かなり戦えると思います。

新しい目標などはありますか?
ジャパンで年間チャンピオンを狙うというのは変わらないです。それからスティールにも力を入れて、もっと名前の売れるような選手になっていかなくてはと思っています。他の業界同様、このコロナ禍でダーツ業界もしぼんでいると思うので、僕たちが頑張って盛り上げていきたいですね。

この期間にスティールもだいぶ投げるようになったのですか?
今までも投げてましたが、FIDOが普及したのもあって、最近はスティールを投げる機会も多くなりました。

スティールは楽しいですか?
ソフトとの違いはありますが同じダーツには変わりないので、自分の好きなことをする機会が増えたのは楽しいです。

ソフトとスティールは何が違いますか?
僕の中ではそんなに大きな違いはないんですが、やっぱり刺さり方などはソフト以上に考えなくてはならないですね。そういうことがスティールの楽しさの一つでもあると思います。

ジャパンには強い選手がたくさんいますが、倒したい選手はいますか?
『打倒○○』みたいな選手はいませんが、やっぱり2年連続で年間チャンピオンを獲ってる大城選手は必ず壁になる選手だと思います。彼をまったく意識しないというのは無理なので、必ず超えて行きたい壁として注視していくことになると思います。

では読者にメッセージをお願いします。
僕の持ち味でもある、楽しみながらダーツをするというのを今後も続けていきますので、変わらず応援よろしくお願いいたします!